2020年6月16日2021年12月24日資産運用
初心者が知るべき投資信託のイロハ!仕組みや買う場所、選び方まで解説
資産運用の選択肢のひとつに「投資信託」がありますが、「投資初心者でもチャレンジできるのか」「どこで買えばいいのか」など、疑問がある方もいるのではないでしょうか。
実は、投資信託は投資初心者でもチャレンジしやすい資産運用方法なのですが、リスクがないわけではありません。リスクを抑えるには、前もって投資信託について学んでおくことが大切です。そこでこの記事では、投資信託の仕組みや購入方法、選び方などについてご紹介します。
投資信託とは
ニュースや新聞などで「投資信託」という単語を目にしたことがある方は多いでしょう。しかし、投資信託がどのような仕組みの金融商品なのかを正しく把握しているでしょうか。
投資信託は株式やFXよりリスクが低めですが、全くのゼロというわけではありません。仕組みやメリット・デメリットを知ったうえで始めることが大切です。まずは、投資信託の基本について見ていきましょう。
投資信託の仕組み
投資信託は、簡単にいうと「金融商品セット」のようなものです。投資家が出した資金をひとまとめにして、運用の専門家(ファンドマネージャー)が国内外の株式や債券といった複数の金融商品に投資し、預かった資金を増やすことを目指します。
投資信託を1種類購入すれば、自動的に複数の金融商品に投資できるということです。そして、投資した金融商品から得た損益は投資家に還元されます。投資家が投資信託から得られる利益は「購入時と売却時の金額の差益」と「分配金」の2種類です。
- 購入時と売却時の金額の差益:投資信託の価格(基準価額)が購入時よりも高くなったときに売却することで得る利益
- 分配金:投資先の株式や債券から得た運用益を、保有している投資信託の数(保有口数)に応じて還元するもの
分配金は必ず支払われるものではなく、設定されていない投資信託もあります。また、分配金が支払われるものであっても、支払いの頻度や金額は商品によって異なるので、選ぶときにきちんとチェックしておきましょう。
投資信託のメリット
投資信託には、以下のようなメリットがあります。
- 数百円程度の少額から購入可能
- 投資対象の選定や運用をプロに任せられる
- 投資信託を1種類購入しただけで自動的に分散投資できる
- ほぼ毎日基準価額が公表されるため資産価値を把握しやすい
- 決算の際に監査を受ける義務があるため透明性が高い
投資初心者にとってうれしいメリットは、「少額から始められる」「プロに任せられる」「自動で分散投資できる」という点です。
投資経験が少ない方が、いきなり多額の資金を投資するのは抵抗があるでしょう。しかし、投資信託であれば数百円~数千円程度の少額から購入できるので、資産が減る不安を軽減できます。
また、初心者には投資対象の選定や変更のタイミングなども難しいものですが、投資信託はそのような判断をプロに任せられることもメリットです。
投資信託のデメリット
投資初心者にメリットの多い投資信託ですが、デメリットもあります。
- 元本割れを起こすことがある
- 購入時や運用時に手数料がかかる
- 基準価額がわからない状態で売買する(ブラインド方式)ため、予想通りの価格で取引できないことがある
投資信託には預貯金のような元本保証がないため、運用がうまくいかないと元本割れを起こして資金が減るリスクがあります。
また、予想した価格で取引ができず、損をすることがある点もデメリットです。投資信託は長期運用することを前提とした金融商品であるため、売買時に適用される価格がわかると、高く売れるときや安く買えるときに注文が殺到してしまうことが予想されます。
そうなると急激に基準価額が上下し、長期保有する投資家の利益に影響が出るので、注文日の翌日以降の基準価額が適用される仕組みになっています。フェアな取引のためにブラインド方式を採用しているということも覚えておきましょう。
投資信託は投資初心者にこそおすすめ!
投資経験がないと、投資信託による資産運用に不安に感じるかもしれません。しかし、投資信託はプロに運用を任せられる、少額の資金で始められるなどの特徴から、知識や資金の少ない投資初心者にこそおすすめの金融商品です。
とくに資産運用を始めるときに、「多額の資金は用意できない」「損失が出るのが怖い」など資金面が心配になる方には1万円程度、商品によっては1,000円~5,000円程度から始められる投資信託が向いています。
積立投資であれば月100円から受け付けている販売会社もあるため、「まずは投資信託がどんなものか試してみたい」という方は、積立投資を始めてみるのもよいでしょう。
月100円であれば積立資金を捻出する負担がなく、基準価額が下がったときに資金が大きく減る心配も少ないため、投資信託の練習として挑戦してみましょう。
投資信託はどこで買える?
投資信託を始めようと考えたときに、「どこで買えばいいのだろう」と悩む方もいるでしょう。投資信託はお店で売っているものではなく、「銀行」「証券会社」「ネット銀行・ネット証券」のいずれかで投資信託用口座を開設し、これらの金融機関を経由して購入します。
それぞれ特徴が異なるので、各金融機関の特徴を把握して、自分に向いているところを選びましょう。
銀行
銀行で投資信託を始めると、「手続きや管理がしやすい」という点がメリットです。銀行の窓口であれば、投資信託の購入に必要な手続きを担当者主導でスムーズに進めることができます。
資産運用や投資信託に関する相談にも乗ってもらえるので、不安なことやわからないこともその場で解消できるでしょう。
また、既存の普通預金口座で取引を行うこともできるため手間がかかりません。よく利用する銀行で投資信託を購入すれば、たくさんの金融機関の口座をチェックしなくても、通常の支出や投資信託の資金がまとめて管理できることもメリットです。
- 手厚いサポートを受けたい
- お金の管理を簡単にしたい
このような方は、銀行で投資信託を購入するのが向いているでしょう。
証券会社
証券会社は金融商品の取引の仲介や売買を行なう、資産運用のプロともいえる金融機関です。そのため、窓口に行けば手続きをサポートしてもらえるだけでなく、より専門的なアドバイスもしてもらえます。
資産運用に関するセミナーを開催していたり、動画を配信していたりすることもあるので、証券会社を利用すれば投資信託の知識が深まるでしょう。
また、銀行は投資信託の種類が少ない場合が多いのですが、証券会社は取り扱い数が多く希望に合う商品を見つけやすいのもメリットです。
- 資産運用や投資信託の知識を深めたい
- 豊富な商品の中から自分に合うものを見つけたい
上記に当てはまる方は、証券会社で投資信託を購入するのが向いているでしょう。
ネット証券・ネット銀行
ネット銀行やネット証券でも、投資信託用口座を開設すれば投資信託を購入できます。ネット銀行やネット証券の場合、口座開設の手続きや投資信託の売買注文などをすべてネット上で行うため、銀行や証券会社の窓口のような手厚いサポートは期待できません。
しかし、システムメンテナンスなどの時間帯を除けば、基本的に24時間いつでも手続きや取引ができます。資産運用を学べるツールやコラムなどが充実しているところも多く、投資初心者でもわかりやすいよう工夫されているのも特徴です。
さらに、ネット証券は投資信託の取り扱い数が多いというメリットもあります。購入時の手数料が無料の投資信託(ノーロード)も豊富に取りそろえられているので、手数料を節約することが可能です。
- 銀行や証券会社の窓口に行く時間がない
- 投資信託にかかるコストを抑えたい
このような方は、ネット銀行やネット証券を利用するのが向いているでしょう。
投資信託はどう選べばいい?
投資信託用口座を開設したらいよいよ投資信託を購入して運用を始めますが、投資初心者では「どの商品を選べばよいのかわからない」ということもあるでしょう。
投資信託の商品は6,000本以上あります。多いところでは2,000本を超える商品が用意されているため、知識がない方が自分に合う投資信託を見つけるのは大変です。自分に合う投資信託をどう選べばよいのかを知っておきましょう。
選び方1.投資対象は何かで決める
投資信託といっても、何を投資対象にしているのかで種類が分かれます。
- 株式型:国内外の株式が主な投資対象
- 債券型:国内外の債券が主な投資対象
- REIT(リート/不動産)型:国内外の不動産投資信託が主な投資対象
- コモディティ型:コモディティ(農作物・金・原油)などが主な投資対象
- バランス型:株式や債券、コモディティなど複数の資産が投資対象
- その他:ヘッジファンドなど、上記以外の資産が主な投資対象
投資対象によってリスク度が異なるため、その商品が何に投資しているかをチェックすることが重要です。
たとえば債券型は国や企業が発行する債券のみを投資対象としているため、大きく値動きすることが少なく安定した運用を期待できますが、利益は少なくなるでしょう。
株式型やREIT型、コモディティ型は値動きが激しく損をするリスクが上がりますが、その反面大きな利益が出る可能性があります。バランス型は複数の資産を投資対象にしておりリスクを抑えやすいため、投資初心者や投資信託選びに迷った方は、バランス型にするのがおすすめです。
選び方2.国内や海外など投資場所を決める
投資信託を選ぶときには、投資場所が国内と海外のどちらなのかもチェックしておきましょう。国内は資産価値がわかりやすく、よく知る企業が投資対象ということも多いため安心感があります。しかし、現在の日本の情勢では大きな値上がりが期待しづらい状況です。
対して、海外は大きく値上がりする可能性があるものの、円換算した場合に損が出るリスク(為替リスク)があります。為替リスクを避けるための「為替ヘッジ」が設定されている商品もありますが、手数料が高くなるので注意が必要です。
また、海外は「先進国」と「新興国」に分かれています。新興国とは中南米や東南アジアといった、現時点での経済水準は低いものの、今後大きく成長する可能性がある国のことです。新興国はうまくいけば先進国よりも大きな利益が得られる可能性がありますが、経済が混乱して大幅に値下がりするリスク(カントリーリスク)があります。
投資初心者はハイリスクな新興国は避けて、安定した国内と値上がりが期待できる先進国をバランスよく保有するのがおすすめです。
選び方3.運用方法から決める
投資信託には、運用方法による分類も存在します。ひとつは「インデックス型」という、日経平均株価などのインデックス(指数)と連動するように運用される投資信託です。インデックスどおりの値動きを目指すので変動の把握がしやすく、運用時の手数料が安いという特徴があります。
もうひとつは「アクティブ型」という、インデックスよりも高い利回りを目指す投資信託です。積極的に利益を得ることを目指して値上がりしそうな資産を調査したり、頻繁に資産を売買したりするため、運用にコストがかかります。そのコストは投資家が支払う手数料に反映されるため、運用時手数料が高いのが特徴です。
アクティブ型は大きな利益を得られる可能性がありますが、インデックスよりも利回りが高くなると約束されているわけではありません。よりよいアクティブ型の投資信託を見つけるためには深い知識も必要です。投資初心者には値動きがわかりやすく手数料が安い、インデックス型のほうが向いているでしょう。
投資信託を始めるときに選ぶべき口座は?
投資信託用口座には、「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」「特定口座(源泉徴収あり)」の3種類があり、どの口座を開設するのかを選ぶ必要があります。
開設する口座の種類で確定申告の手間が変わるので、各口座の特徴を把握したうえで選ぶことが重要です。投資初心者におすすめの口座についても知っておきましょう。
特定口座と一般口座の違い
投資信託の売却による差益や分配金によって利益を得たときには、その利益に20.315%の税金が課せられます。ただし、給与・年金所得者の場合は、利益が20万以下であれば申告・納税は原則不要です。
一般口座の場合、自分で利益と税額を計算し、確定申告をして納税まで済ませなくてはなりません。
特定口座(源泉徴収なし)の場合は、金融機関が利益と税金の金額を計算して年間取引報告書を作成してくれるので、それをもとに確定申告を行います。
特定口座(源泉徴収あり)は、金融機関が利益と税金の金額を計算し、税金分を利益から源泉徴収して納税までしてくれるため、確定申告は必要ありません。
また、分配金にも利益に含まれるものがあります。「普通分配金」は投資対象から得た運用益を分配するものなので利益に含まれます。一方、「特別分配金」は投資家の元本を削って支払われるものなので利益には含みません。普通分配金なのか特別分配金なのかによって課税されるかが変わるため、注意が必要です。
初心者には「特定口座(源泉徴収あり)」がおすすめ
投資初心者にとって、投資信託の損益や税金の計算、確定申告などは負担がかかる作業になるでしょう。初心者は難しい損益や税金の計算、確定申告の手間が削減できる「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶのがおすすめです。
ただし投資信託は「譲渡損失の繰越控除制度」という、その年の利益から控除しきれない損失を、以後3年間の利益から差し引ける制度の対象になっています。この制度を利用するには、特定口座(源泉徴収あり)を選んだ場合でも自分で確定申告をしなくてはならないので注意しましょう。
投資信託を始める前に知っておきたいQ&A
投資初心者が投資信託を始めるときには、「どうすれば損をしないのか」「超初心者にはどの投資信託がよいのか」といった疑問が出てくることがあるのではないでしょうか。
損をしないためのコツや超初心者向けのサービスについて知り、投資信託を始める前に疑問や不安を解決しておきましょう。
投資信託で損をしないためのコツは?
投資信託は元本保証がなく、投資対象の値動きによって基準価額が変動するため、100%損をしないようにする方法はありません。しかしコツを押さえれば、できるだけ損をしないようにすることは可能です。
まず大切なのは、投資信託を始める前に「取引の基準を決めておくこと」でしょう。利益が出ているときは「待っていればもっと値上がりするのでは」、損失が出ているときは「待っていればそのうち回復するのでは」と考えがちです。
しかし、いつまでも待っていると思わぬ値下がりで利益を逃がしたり、損失が拡大したりする可能性があります。「これくらいの金額になったら売る」という基準を決めておきましょう。
また急激に値上がりした商品は急激に値下がりするリスクがあるので、緩やかに値上がりしている商品を少しずつ購入すれば、急な値下がりのリスクを回避しやすくなります。
ただし、株価が大暴落したときや機関投資家の売りが増える決算月の後などは、思い切って投資信託を購入することも検討してみましょう。
超初心者向けの投資信託はないの?
超初心者でいきなり資金を投入するのが怖い、資金はないけど投資信託を始めてみたいという人には、ポイントやお釣りで投資信託が購入できるサービスを利用するのがおすすめです。
最近はECサイトやクレジットカードの利用で付与されるポイントを、投資信託の購入代金に充当できるサービスが増えています。
損失が出ればポイントはなくなりますが、自分のお金がなくなるわけではありません。運用がうまくいけばポイントが増えるので、投資信託をお試ししてみたい方には向いているでしょう。
また、クレジットカードや電子マネーで「100円単位で買い物する」などと設定すれば、110円分の買い物をしたときに、お釣りの90円が自動的に投資されるようなサービスも出てきています。まずはこうしたサービスから始め、慣れてきたら本格的な運用を行うようにすると不安が軽減できるでしょう。
まとめ
投資信託は株式やFXなどと比較するとリスクが低めで、投資初心者でも始めやすい資産運用方法です。しかし、元本保証がなく損をすることもあるため、事前に投資信託の仕組みや選び方などを学んだうえで購入するかを決めましょう。
ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、お客様の希望や資産状況をヒアリングし、投資信託も含めた最適な資産運用方法をご提案しています。資産運用に関するセミナーや面談も随時開催していますので、資産運用方法に悩んだときにはぜひお問い合わせください。
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また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。
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・〈富裕層〉×〈富裕層をめざす方〉向けの資産運用/税金対策専門ファーム
・日本最大規模の富裕層向けコンサルティング
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