2020年10月14日2021年12月23日税務

贈与税はいくらからかかる?計算方法や贈与税対策を詳しく解説

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個人から金銭や不動産など財産の受け渡しがあった場合、一定の金額を超えれば贈与税が発生します。具体的な税額が気になる方もいるのではないでしょうか。贈与税がいくらからかかるか知っておけば、贈与者となったり、受贈者となったりしたときに役立つでしょう。

そこでこの記事では、「贈与税はいくらからかかるのか」について紹介します。併せて、非課税となる制度や生前贈与の際の注意点も解説しますので、贈与税について知識を増やしたい方は参考にしてください。

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贈与税はいくらからかかるのか

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財産の受け渡しがあった場合、贈与税がいくらからかかるのか心配な方もいるのではないでしょうか。ボーダーラインを知っていれば、申告漏れのリスクも減ります。知らないうちに脱税してしまっていたとならないように、まずは基本的な部分から把握しましょう。

暦年課税では年間合計額が110万円を超える場合にかかる

暦年課税とは、1年間に贈与を受けた財産価額の合計をもとに税額を計算する方式のことで、110万円というのは、暦年課税の基礎控除額です。

受贈者(贈与を受けた人)が年間で110万円を超える財産を受け取っていれば申告し、税金を納める義務が発生します。それ以下であれば贈与税の申告は必要ありません。また、税率や控除額は、財産のやり取りがあった人物との関係性によっても変わります。

相続時精算課税では累計2,500万円を超える部分にかかる

相続時精算課税を選択した場合、現金や不動産など、受け取った財産価額の累計が2,500万円以下であれば、贈与税の課税対象にはなりません。超えた部分に一律20%の税率で課税されます。

また、贈与者が死亡した際は、相続時精算課税を選択して贈与した財産はすべて相続財産に加え、相続税の対象です。利用するには以下のような要件があります。

・贈与者の年齢:60歳以上(財産を贈与した年の1月1日時点での年齢)
・受贈者の年齢:20歳以上(財産を受け取った年の1月1日時点での年齢)
・贈与者と受贈者の関係性:親子または祖父母と孫

暦年課税との選択制であるため、取り消しや変更はできません。また、暦年課税制度の基礎控除額110万円がなくなる点にも注意しましょう。

贈与税の税率と計算方法|暦年課税

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暦年課税での贈与税の税率には、特例贈与財産用の特例税率と一般贈与財産用の一般税率の2つがあり、それぞれ異なります。一般税率・特例税率の対象となる贈与の例も理解し、贈与税の仕組みを押さえておきましょう。税率と併せて、暦年課税での贈与税の計算方法も解説します。

贈与税の税率|特例税率

特例税率は、子供や孫(贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上)が直系尊属となる両親・祖父母からの贈与によって財産を取得した際に適用されるものです。特例贈与財産に対する税額を算出する際に使用します。税率は一般税率よりも低く設定してあるのが特徴です。

【贈与税の速算表:特例税率】

基礎控除後の課税価格 控除額 税率
200万円以下 10%
400万円以下 10万円 15%
600万円以下 30万円 20%
1,000万円以下 90万円 30%
1,500万円以下 190万円 40%
3,000万円以下 265万円 45%
4,500万円以下 415万円 50%
4,500万円超 640万円 55%

(参考: 『No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)国税庁』)

贈与税の税率|一般税率

一般税率は、特例贈与財産以外の贈与財産(一般贈与財産)に対して適用される税率です。例えば夫婦間・兄弟間・親から未成年の子供の贈与が該当します。以下の速算表で税率の確認と贈与税の計算が可能です。

【贈与税の速算表:一般税率】

基礎控除後の課税価格 控除額 税率
200万円以下 10%
300万円以下 10万円 15%
400万円以下 25万円 20%
600万円以下 65万円 30%
1,000万円以下 125万円 40%
1,500万円以下 175万円 45%
3,000万円以下 250万円 50%
3,000万円超 400万円 55%

(参考: 『No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)国税庁』)

贈与税の計算方法と計算例

暦年課税の贈与税は、以下のように計算します。

(贈与額-基礎控除110万円)×税率-控除額=贈与税額
※贈与額-基礎控除110万円は「基礎控除後の課税価格」のこと

ここで、600万円の贈与があった場合の贈与税を計算しましょう。条件は以下の通りです。

・一般贈与財産:600万円のとき
・特例贈与財産:600万円のとき
・一般贈与財産が100万円と特例贈与財産が500万円のとき

税率

計算式

贈与税の税額

一般贈与財産(一般税率)

・600万円-110万円=490万円

82万円

・490万円×30%-65万円=82万円

特例贈与財産(特例税率)

・600万円-110万円=490万円(基礎控除後の課税価格)

68万円

・490万円×20%-30万円=68万円

一般贈与財産+特例贈与財産

・600万円-110万円=490万円

13万6,600円+56万6,600円=70万3,200円

【一般贈与財産分:100万円】

・(490万円×30%-65万円)×(100万円/600万円)=13万6,600円

※百円未満の端教があれば切り捨て

【特例贈与財産分:500万円】

・(490万円×20%-30万円)×(500万円/600万円)=56万6,600円

一般贈与財産(A)と特例贈与財産(B)の両方を受け取った場合は、それぞれから基礎控除の110万円を差し引くのではなく、贈与価額の合計から差し引きます。具体的には以下の計算式です。

1.(A+B-110万円)×一般税率-控除額×(A/A+B)
2.(A+B-110万円)×特例税率-控除額×(B/A+B)

双方の式から算出した金額を足し合わせると贈与税額になります。

(参考: 『No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)国税庁』)

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財産の受け渡しで生前贈与となるケースとならないケース

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財産の受け渡しの目的はさまざまです。全てのケースが生前贈与とみなされるわけではありません。贈与の目的やお金の性質によっては、生前贈与とはならず贈与税がかからないケースもあります。ここからは、生前贈与になるケースとならないケースの違いを確認しましょう。

生前贈与となるケース

暦年課税では、個人から受け取った財産が基礎控除額である110万円を超えれば、基本的に課税対象です。他に以下のようなケースも生前贈与とみなされます。

・子の借金を親が代わりに返済し、子は免除してもらった場合
・親名義の自宅を無償で子の名義に変更した場合
・満期保険金を保険料の支払いをしていなかった人物が受け取った場合

生前贈与とはならず贈与税がかからないケース

財産の受け渡しがあっても、生前贈与とはならず贈与税がかからないケースもあります。具体的には以下のようなケースです。

・生活費や教育費を扶養義務者から受け取った場合で、通常必要と認められるもの
・個人から香典・見舞金・贈答・お年玉などを受け取った場合
・法人から贈与を受け取った場合

ただし、扶養義務者からの生活費や教育費を貯金や不動産、株の購入費用などに充てた場合は、贈与税がかかります。また、法人からの贈与は、贈与税ではなく所得税がかかります。※第三者の個人が受け取った場合には「一時所得」に該当。

贈与税を非課税・減額できる制度や特例

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場合によっては非課税制度や特例を使うことで、贈与税がかからなかったり、税額を減らせたりすることがあります。ここからは、贈与を検討する際や贈与税を申告する前に知っておきたい、非課税制度や特例を4つ確認しましょう。いずれも要件が複数あるため、正しい情報を把握しておくことが大切です。

教育資金の一括贈与

子や孫の教育資金を贈与したいと考える場合、一定の要件を満たせば、非課税制度が使用できます。対象となるのは平成25年4月1日から令和3年3月31日までに受けた贈与です。受贈者は、財産を使用する度に領収書を作成しましょう。制度の概要は以下です。

・一括贈与の金額は子供ひとりあたり1,500万円まで(習い事や塾など学校以外の教育資金は500万円まで)
・受贈者の年齢が30歳未満であること
・手続きは税務署ではなく金融機関を通してする

ただし、受贈者が30歳になったときに残額がある場合、残額は贈与税の対象となります。

(参考: 『No.4510直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税 国税庁』)

結婚・子育て資金の一括贈与

両親・祖父母などに結婚費用や子育ての資金の贈与を受ける場合は、以下のような要件を満たせば非課税制度を利用できます。対象となるのは、平成27年4月1日から令和3年3月31日までの贈与です。

・結婚資金は300万円、子育て資金は子供ひとりにつき1,000万円まで
・受贈者の年齢が20歳以上50歳未満であること
・受贈者の前年の合計所得が1,000万円を超えている場合は利用できない
・手続きは税務署ではなく金融機関を通してする

(参考: 『No.4511直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税 国税庁』)

住宅取得等資金の贈与

住宅を取得する際に両親や祖父母から支援を受ける場合、非課税制度が利用できます。対象となるのは、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの贈与です。非課税限度額は住宅の購入・建築の契約締結日などによって異なる点に注意しましょう。制度を利用するための要件は複数ありますが、一部を以下に挙げます。

・贈与を受けた年の1月1日時点で受贈者の年齢が20歳以上であること
・贈与税の申告で、平成21年分から平成26年分までの期間に「住宅取得等資金の贈与の非課税制度」の適用を受けていないこと
・受贈者の贈与を受けた年の合計所得が2,000万円超である場合は使用できない

(参考: 『No.4508直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 国税庁』)

夫婦間での居住用不動産の贈与

住宅そのものや購入資金を夫婦間でやり取りする場合、贈与税の配偶者控除が受けられます。通称「おしどり贈与」といわれるもので、控除額は最大2,000万円です。基礎控除と合わせれば2,110万円まで課税されません。要件を以下にまとめました。

・婚姻してから20年以上経っての贈与であること
・居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与されたこと
・受贈者が贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住用不動産や、その金銭で購入した居住用不動産に実際に住んでいて、これからも住む予定であること

(参考: 『No.4452夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除 国税庁』)

税金を抑えて生前贈与したい場合|3つの注意点

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相続税や贈与税の税額をなるべく抑えるためには、贈与するタイミングや方法に注意が必要です。生前贈与について具体的に考える前に、あらかじめ押さえておきましょう。生前贈与をする際に知っておきたい3つの注意点を解説します。

相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となる

相続開始前3年以内に相続人が被相続人から贈与を受けていた場合は、相続税の対象になります。例えば、息子が親から毎年200万円の贈与を受けていたとしましょう。この場合、息子が毎年贈与税を申告していたとしても、3年間で受け取った600万円は相続財産に加算されます。

できるだけ納める税金を抑えたいと考える場合は、1日でも早く生前贈与を始めたほうがよいといえるでしょう。

(参考: 『No.4161贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)国税庁』)

名義預金と判断されれば相続税の対象となる

暦年贈与として例えば親が子供の口座に毎年お金を振り込んでいる場合でも、預金の管理方法によっては相続税の対象となります。子供名義でも親が管理しており、本人が自由に使えない口座が名義預金です。

この場合は親の預金とみなされ、親が亡くなった後は遺産として扱われてしまいます。口座の通帳や印鑑の管理を子供に任せるといった対策が必要です。

定期贈与とみなされれば贈与税の対象となる

定期贈与が疑われるような贈与は、課税対象となる場合があります。具体例では「毎年10月に100万円の贈与をする」といったように、決まった時期に決まった金額の入金を約束(契約)していたケースです。

定期贈与とみなされた場合、一括贈与の金額と同じ税率の贈与税が課せられることになります。贈与の都度、贈与契約書を作成するといった対策をしておきましょう。

贈与税対策でお困りなら|税理士にご相談を!

贈与税対策にお困りの方は、まずは「税金がいくらからかかるのか」を把握することから始めましょう。その上で暦年贈与したり、特例を活用したりと対策を講じることをおすすめします。

税金関係に詳しくない、自信がないという方は税理士に相談すると安心です。ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、贈与税対策はもちろん、資産承継や資産運用といったサービスにも力を入れています。税金を抑えながら資産承継を希望される方は、資産対策のプロフェッショナルファームであるネイチャーグループにご相談ください。

まとめ

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例えば暦年課税を選択した場合、基礎控除額である110万円を超える贈与を受け取れば、贈与税を申告して税金を納める必要があります。また「いくらからかかるか」だけでなく、生前贈与を始めるタイミングや名義預金など、注意点を理解しておくことも大切です。非課税制度などを使うかによっても税額は変わるため、知識を得て賢く税金対策をしましょう。

贈与や相続について疑問やお悩みがある方は、税金対策、資産運用など幅広いサービスを提供するネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)にお任せください。実績豊富な税理士が多数在籍しており、納得いただけるご提案をいたします。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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