2021年1月25日2024年4月21日税務
代理で確定申告はできる?代わってもらうメリットやデメリットまとめ
確定申告の作成は手間と時間がかかるため、難しく感じている方もいるでしょう。しかし、負担が大きいと感じる場合は税理士に代理の依頼が可能です。手間を省く以外のメリットもあり、代理申告を依頼したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、確定申告の代理について基本的なルールを解説します。無資格者の罰則にも触れているため、トラブルも未然に防げるでしょう。家族や親族が申告書を提出する場合の注意点も併せて紹介します。
目次
代理による確定申告書の作成や提出はできるのか
確定申告の代理作成や提出を希望するときは、法律的な知識が必要といえます。混同しがちな代理と代行の違いや税理士と確定申告の関係について知識を深めましょう。ここでは、確定申告の代理作成や提出を依頼する際の基本的な規定や仕組みを解説します。
代理とは?代行とは?
確定申告を税理士に依頼する場合、「代理」にあたる行為か「代行」であるか明確に理解している方は少ないかもしれません。「代理」と「代行」には法律的な意味で明確な違いがあります。それぞれの概要は以下の通りです。
代理 | 代行 | |
---|---|---|
意味 | 代理権の範囲で、代理人が自らの意思決定に基づいた手続きを実行する | 本人(依頼人)が決定した意思の表示や伝達をする |
意思決定の権利 | 代理人 | 依頼人 |
原則、確定申告は申告者本人が作成して提出しますが、税理士であれば代理ができます。税務書類の作成は、税理士の独占業務内容に含まれているためです。
税理士の業務は原則的に無資格者がしてはならない
税理士法第2条、第52条に基づき、相手に渡す対価の有無にかかわらず、無資格者は代理で確定申告書を作成できません。税務書類作成を含む特定の業務は、税理士のみができる独占業務と定められています。ただし、以下のようなケースは例外です。
- 地方公共団体の役員や職員が、無報酬で申告書の相談に応じる場合
- 弁護士や弁護士法人が、国税局長の通知によって税理士業務を行う場合
- 行政書士や行政書士法人が、政令で定める租税関係の税務書類を作成する場合
(参考: 『税理士法』)
ふるさと納税や住宅ローン控除の確定申告も無資格者の代理は禁止されている
ふるさと納税(寄附金控除)や住宅ローン控除といった手続きも、代理作成は禁止されています。いずれも年末調整や確定申告をすることで控除が受けられますが、代理できるのは税理士のみで、資格がない場合は家族や親族による手続きでも受け付けられません。
税金の申告に関わる手続きは、無資格者が代理できないと考えてよいでしょう。確定申告だけでなく、税務書類全般の作成は資格保有者の独占業務としているためです。
代筆や提出だけであれば問題視はされない
例えば、申告者本人の障害・病気などの理由で作成や提出が困難な場合などもあるでしょう。このような場合は、無資格者の代筆や提出の代行が認められています。
ただし、問題視されないのは、あくまでも書類の代筆と提出の代行です。税理士への依頼とは異なり、本人に代わって項目を埋めることが前提という点を理解しましょう。したがって、所得の計算や控除内容の決定は全て申告者本人が担います。
申告者が海外在住の場合|無資格者の代行はできる
海外在住で日本から収入を得ている場合、業務形態や収入によって確定申告が必要です。ただし、確定申告のたびに帰国するのは現実的ではありません。この懸念を解消するのが、納税管理人による代行です。
納税管理人は税理士である必要はなく、個人の他、法人も指定できます。納税地のある税務署へ届出書を提出しますが、例えば日本に住む家族や親族、友人といった関係性でも指定可能です。しかし、同時に複数の方が納税管理人にはなれません。納税管理人は確定申告書の作成を除く以下の手続きを代行できます。
- 作成した確定申告書の提出
- 税務署から関連書類の受け取り
- 税金の納付
- 還付金の受け取り
無資格者が確定申告書の作成業務をした場合の罰則
無資格者は代理で確定申告できないと定めているのは、税理士法第52条です。違反すると、以下の罰則の対象となる場合があります。
税理士法第52条の違反:2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
罰せられるのは申告者ではなく、依頼を受けた人物です。例えば、親の確定申告書を子が代理で作成した場合、罰則の対象は子になります。正しく認識しておきましょう。
(参考: 『非税理士により行うことが禁止される税理士業務 国税庁』)
税理士に確定申告の代理を依頼するメリット・デメリット
複雑な確定申告書作成を税理士に依頼すると、時間的・精神的な負担の軽減が期待できます。一方、依頼時に費用がかかる点はデメリットです。内容が複雑なほどメリットを享受しやすいため、費用対効果の見極めが重要といえるでしょう。ここでは、代理依頼のメリットとデメリットについて解説します。
証明書類としての信頼度が高まる
税金に関する法律は短期間で変わることもあり、素人は見落としがちです。制度変更の情報や内容を正しく把握し、ミスのない書類の作成を負担に感じる方もいるでしょう。この点についても、税理士に依頼することで不安解消につながります。
また、税金の知識を豊富に蓄えた専門家が作成すれば、確定申告書の信頼度が上がる点もメリットです。例えば、銀行融資を受ける際に提出する確定申告書類も、プロが作成したものなら審査が有利に働きやすいでしょう。
依頼には費用がかかる
デメリットは依頼にかかるコストです。具体的な金額は依頼先によって異なり、依頼内容も複数のパターンがあります。
- 確定申告書の作成のみを依頼する
- 領収書の処理も含めて依頼する
- 記帳業務も依頼する
書類に反映する情報量が多いほど費用は高額になる一方、ミスに気付かずに提出した場合は追徴課税となる恐れがあるため、依頼するメリットがより実感できます。予算や状況を踏まえて、信頼できる税理士に相談するとよいでしょう。
無資格者に確定申告書の提出を頼むメリット・デメリット
確定申告書類を作成した後、提出だけであれば無資格者に依頼できます。ただし、理由によっては受理されないケースもあるため、税理士への依頼とは異なるデメリットを理解しておくことが重要です。ここでは、家族や親族といった無資格者に申告書の提出を依頼するメリットとデメリットを紹介します。
提出を頼むとき|家族や親族なら費用がかからない
税理士に代理を依頼すると費用がかかりますが、家族や親族に提出を頼む場合は必要ありません。書類を作成しても提出する時間がないという方にとって、メリットの大きい選択肢といえるでしょう。
一般的な依頼先として申告者の家族や親族が挙げられますが、友人でも代行は可能です。生活環境や相手との関係、申告期限といった状況に応じて選ぶことが大切といえます。
提出を頼むとき|税務署に受理されない可能性がある
税理士が代理を請け負うケースとは異なり、確定申告書が受理されない場合があります。無資格者が提出をするためには明確な理由が必要です。申告者本人ではない理由を明言できないと、書類に不備がなくても受理を断られるかもしれません。
特に友人や知人など、家族や親族以外の人物が提出する場合は、不信感を抱かれやすいと考えた方がよいでしょう。
家族や親族が代わりに提出するとき|押さえておきたいポイント
無資格者に確定申告の提出を依頼する場合、不審に思われないための準備をしておくと安心です。申告者のマイナンバーを確認できる書類を用意するだけでなく、代理の理由も明確に伝えられるようにしましょう。ここでは、家族や親族が申告者の代わりとして提出する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
申請者の本人確認ができる書類を忘れない
確定申告の際には納税者であることを証明するため、マイナンバーをはじめとする本人確認書類の提示やコピーの添付が義務付けられています。無資格者が代わりに提出する場合は、納税者本人の書類を準備しましょう。
マイナンバーカードを持っていない場合、住民票と身分証明書を2つ提示します。通知カードでも問題ありませんが、登録情報と相違する場合は受理できません。
誤解されないように「提出のみ」であることをはっきりと伝える
提出時に税務署員に質問されたときは、納税者の代わりに提出する旨を明確に伝えることが大切です。このとき、「代わりに書類を作成した」といったニュアンスに受け取られないよう、注意しましょう。代筆は問題ありませんが、作成代理は法律違反です。
問題視されると受理を断られる恐れがあるため、代筆と作成代理の違いを理解した上で、誤解を与えないよう配慮する必要があります。
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まとめ
確定申告の作成や提出の代理を依頼する場合、法律の理解が必要です。申告書の作成代理は税理士の独占業務であり、無資格者へ依頼すると法律違反となることを押さえておきましょう。
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また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。
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