2021年2月8日2024年11月26日税務
副業の確定申告のやり方は5ステップ!必要なケース・条件や未申告の罰則も紹介
会社に勤めている方でも、内職やアフィリエイトなど副業の状況によっては確定申告が必要です。要否を判断する基準が複数あるため、「自分に必要か判断できない」「何を準備すればいいのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、副業における確定申告のやり方について5ステップで詳しく解説します。判断基準が分かると、今後状況が変化したときも適切に手続きできるでしょう。必要な書類や、申告書に記入する情報と書き方も含めて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
副業の確定申告が必要となるケース
副業で得ている収入が多い方や、青色申告者の場合は確定申告が必要です。本業の年収が多い方は、副業の有無を問わず対象になるケースもあります。複数の判断基準を把握した上で、該当する場合は手続きの準備に進みましょう。会社に勤めている方が確定申告するケースについて、4つのポイントを詳しく解説します。
副業の年間所得が20万円を超えるとき
副業を続けている方にとって重要な判断基準のひとつが、1年間の所得です。副業のみの年間所得が20万円を超えると、原則確定申告が必要になります。対象となるのは、副業に必要なコスト(経費)を差し引いた金額です。
基準となる金額=1年間の収入-(交通費などの経費+各種控除)
経費を差し引いた金額が20万円以下になる場合、確定申告の対象に含まれません。
また、個人事業主など本業が給与収入以外の方は、副業の収入が少なくても確定申告が必要です。
給与による収入が2か所以上ある・本業の年収が2,000万円を超えるとき
2か所以上の会社に勤めている方は、全ての給与収入を計算した上で確定申告をします。各会社がそれぞれ源泉徴収・年末調整をすることで、最終的な納税額に誤差が生じるためです。なお、年末調整は本業で努めている会社のみが実施します。
勤め先の数だけでなく、具体的な金額や所得控除を考慮した内訳も重要な要素です。以下2つに該当する方は、確定申告の必要はありません。
- 給与収入の合計から雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除を差し引いた金額が150万円以下
- 給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下
また、「収入源は1か所だが、年収が2,000万円以上ある」方は、確定申告の対象になるため注意しましょう。
還付金の申告をしたいとき
本来確定申告の対象にならない方でも、手続きによって還付金を受け取れるケースがあります。具体的な例は以下です。
- 副業の収入が源泉徴収されている
- 医療費や住宅ローンなどで利用できる控除がある
- 特定の団体に寄付した
- 災害などが原因で、資産に損害を与えた
医療費控除や寄付は、会社があらかじめ手続きする項目に含まれません。副業の年間所得が20万円に満たない場合でも、還付申告で税額を提示しましょう。
青色申告の承認を受けているとき
すでに青色申告の承認を受けている方は、副業の所得金額を問わず確定申告をします。青色申告者として認められる所得は以下の3種類です。
- 事業所得:サービス業や農業などによる所得
- 不動産所得:賃貸やマンション経営による所得
- 山林所得:山林の伐採や譲渡による所得
2020年度以降は、通常55万円の特別控除が利用できます。以下2つの要件を満たした場合、65万円の控除が可能です。
- 仕訳帳や総勘定元帳を、電子帳簿で保存する
- 確定申告の期限までに、国税電子申告・納税システム(e-Tax)で手続きする
(参考: 『No.2072 青色申告特別控除』)
副業における確定申告のやり方を全体像でチェック
現在、副業で給与所得がある方は、確定申告に備えて準備を始めましょう。手続きに必要な書類だけでなく、申告書の記入方法も分かるとスムーズに進めやすくなります。所得金額の計算が複雑なケースもあるため、記入漏れや計算ミスがないよう実践することが大切です。
確定申告のやり方について、大まかな流れを以下にまとめました。
- 確定申告書の作成方法を知る
- 所得金額を計算して求める
- 必要書類を準備する
- 確定申告書を作成する
- 作成した確定申告書を提出する
詳細については、以降で確認していきましょう。
副業の確定申告のやり方ステップ1.確定申告書の作成方法を知る
まず、確定申告書の作成方法を把握しておきましょう。
確定申告書の作成方法は、主に以下の3つが挙げられます。
- 確定申告ソフト・アプリを利用する
- 確定申告書等作成コーナーで作成する
- 手作業で作成する
自分の作成・管理しやすい方法で確定申告書を作成しましょう。
確定申告ソフト・アプリを利用する
確定申告ソフトやアプリは、売上や経費の登録といった仕訳から確定申告書作成に至るまで、確定申告関連の作業がトータルでできるサービスです。
使いやすいインターフェースで、必要な項目に情報を入力していけば、手軽に申告書の作成ができます。使い勝手がいいため、副業をスタートして1年目の初心者でも困りません。
なお、マイナンバーカードやICカード対応のスマートフォンを持っているなら、e-Taxを経由してそのまま申告書を送信できるアプリもあります。
提出まで手軽に済ませられるので、利用を検討してみるといいでしょう。
確定申告書等作成コーナーで作成する
国税庁のホームページから利用できる「確定申告書等作成コーナー」からも、申告書の作成ができます。
こちらも画面の案内に沿って入力を進めていけば、作成できます。納税金額も自動で算出されるため、瞬時に把握できます。
確定申告書の作成後は、印刷して税務署に直接持参もしくは郵送できます。e-Taxを利用する方法もありますのでとても便利です。
何より、国が提供するサービスのため、最も安心感が持てる方法でしょう。
手作業で作成する
税務署に出向いて取得もしくは、取り寄せた確定申告書に直接手書きする方法もあります。
パソコンでの入力が不得意な人にとっては、手書きの選択肢もいいでしょう。ただし、記入漏れや計算ミスには注意しなければいけません。
また、第一表と第二表の2種類に記入する必要があり、手間がかかる上にハードルは高いです。記入するのが初めての人は、不安に感じるかもしれません。
なお、手書きの書類なら、直接税務署に持ち込んでサポートを受けながら作成もできます。
副業の確定申告のやり方ステップ2.年間の所得金額を計算して求める
申告書へ記入する前に、まずは副業の種類を明らかにしましょう。収入源によって、以下の2種類に区分できます。
所得の種類 |
概要 |
支払者が交付する書類 |
---|---|---|
給与所得 |
・飲食店やコンビニエンスストアなどでの勤務(アルバイトを含む) |
源泉徴収票 |
雑所得 |
・オークションサイトやフリーマーケットアプリによる所得(個人取引) ・民泊による所得 ・原稿料や講演料 |
支払調書 |
給与所得に該当する場合は、本業の所得と合算した上で記入が必要です。
雑所得は経費の計上が可能なため、交通費などを差し引いた金額を反映します。計算した結果が20万円を下回る場合は、確定申告も不要です。
また、支払者によっては「支払調書」を送付しないケースもあります。1年間で得た金額だけでなく、費やした金額と項目も把握しましょう。
副業の確定申告のやり方ステップ3.必要書類を準備する
確定申告を行うにあたって、副業でもいくつか必要書類があります。
申告者の個人情報を証明する書類や、収支の内訳が分かる物も用意しなければいけません。以下を参考に、状況に適した書類をそろえましょう。
必要書類 |
備考 |
---|---|
本人確認書類 |
マイナンバーカードや運転免許証など |
確定申告書 |
1月1日〜12月31日までの年間所得や控除額とその種類、算出された所得税額を記載した書類 ※2023年1月から申告書Bの様式に統一 |
収支内訳書 |
白色申告者の場合 |
給与所得の源泉徴収票 |
本業・副業全て提出 |
各種控除に関する書類 |
医療費控除の明細書や社会保険料控除証明書など |
必要な書類を用意できたら、以降で確定申告書の記入に移ります。
副業の確定申告のやり方ステップ4.確定申告書を作成する
確定申告書の作成は、給与所得と雑所得とでそれぞれ異なります。主な書き方の違いについて、詳しくみていきましょう。
副業の確定申告書への記入方法:給与所得の場合
本業とは別で、給与所得を得ている方は、両方の給与所得を合算しましょう。
基本的な記入方法は雑所得と同様ですが、項目を統一する点に注意が必要です。
第一表 |
1.「収入金額等」の給与欄に本業と副業の収入合計金額を記入 2.源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を所得金額の給与欄に記入 3.控除を利用できる場合は「所得から差し引かれる金額」に記入 4.「税金の計算」にある「課税される所得金額」などを計算・記入 |
---|---|
第二表 |
5.「所得の内訳」に本業と副業それぞれの収入金額を記入 6.「所得から差し引かれる金額に関する事項」を内容に応じて記入 |
副業の確定申告書への記入方法:雑所得の場合
副業が雑所得に該当する場合は、確定申告書に必要情報を記入します。
以下の流れを参考に、申告書を完成させましょう。
第一表 |
1.本業の収入金額を「収入金額等」の給与欄に記入 2.副業の収入金額を「雑」の項目に記入 3.「所得から差し引かれる金額」に該当する項目がある場合は記入 4.「税金の計算」に課税される所得金額などを記入 |
---|---|
第二表 |
5.本業の源泉徴収票にある「支払金額」と「源泉徴収税額」を記入 6.副業の支払調書にある「支払金額」と「源泉徴収税額」を記入 7.雑所得の経費がある場合、「必要経費等」の項目に1年分の金額を記入 |
所得発生から受け取りまでの期間が長いケースでは、反映するタイミングに注意が必要です。例えば、2023年12月21日に発生した所得を2024年1月31日に受け取る場合、2023年分の所得として計上します。
副業の確定申告のやり方ステップ5.作成した確定申告書を提出する
確定申告書を作成できたら、税務署に提出する必要があります。提出方法は主に以下の3つです。
- 確定申告ソフト・アプリで電子申告する
- e-Taxで電子申告する
- 税務署に郵送・持ち込みする
確定申告ソフト・アプリで電子申告する
確定申告ソフト・アプリで作成した申告書は、印刷して提出もしくは、スマートフォンによる電子申告ができます。
電子申告のほうがスムーズに提出できる反面、マイナンバーカードの読み込みに対応したスマートフォンが必要です。
また、電子証明書格納のマイナンバーカードと利用者識別番号がなければ手続きできません。
政府が運営するオンラインサービスの「マイナポータル」を活用して、利用者識別番号の取得・紐付け手続きをしましょう。
e-Taxで電子申告する
所轄の税務署に電子申告等開始届出書を提出すれば、e-Taxを利用できます。
e-Taxを利用するためには、利用者識別番号を用意しなければなりません。
マイナンバーカードによるアカウント登録や税務署でID・パスワード方式の届出を作成・送信、書面といった方法で取得できます。
また、マイナンバーカードでe-Taxを利用するなら、ICカードリーダーもしくは対応したスマートフォンを用意しましょう。
なお、e-Taxで提出すれば、
受信通知や審査結果、還付金処理状況のお知らせなどを確認できます。納税もメッセージボックスから手続きできるため、スマートフォンで完結させられます。
税務署に郵送・持ち込みする
作成した紙の確定申告書は、税務署に郵送もしくは持ち込みでも提出できます。
郵送を選択した場合、通信日付印の日にちが提出日として扱われます。よって、締切日近くで郵送すると、期限に間に合わない恐れがあります。
期限近くになった場合は、郵送ではなく直接持ち込む方法が安心でしょう。
なお、収受日付印がついた確定申告書の控えが欲しい場合は、複写した控えもセットで持参してください。
※収受日付印は令和7年に廃止が決定
副業における確定申告後の納税方法
確定申告ができたら、算出された納税額を確認して実際に納税しましょう。
納税方法は、大きく以下の7つが挙げられます。
納税方法 |
納税の種類 |
備考 |
---|---|---|
振替納税を利用する |
キャッシュレス納付 |
振替納税の申し込み期限あり |
ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)で納付する |
キャッシュレス納付 |
即時もしくは指定期日に口座引落し |
インターネットバンキングやATMで納付する |
キャッシュレス納付 |
– |
クレジットカードで納付する |
キャッシュレス納付 |
決済手数料が発生 |
スマートフォンアプリで納付する |
キャッシュレス納付 |
納付金額の上限は30万円以下 |
QRコードによるコンビニエンスストアで納付する |
キャッシュレス納付以外 |
納付金額の上限は30万円以下 |
金融機関もしくは税務署の窓口に行って現金で納付する |
キャッシュレス納付以外 |
納付書が必要 |
もし納税手続きを忘れそうだと不安がある方は、振替納税やダイレクト納付がとてもおすすめです。
特に振替納税なら、1ヶ月間ほど支払いの猶予があるため、少し余裕を持てるでしょう。
副業の確定申告が未申告の場合時の罰則や注意点
確定申告の対象であるにもかかわらず手続きしなかった場合、延滞税などペナルティの対象です。故意に申告を免れると、かえって金銭的負担が増幅するかもしれません。
原則3月15日までの期限があるため、遅れに気付いた場合は早急に申告しましょう。確定申告に関する罰則と注意点を詳しく解説します。
申告期限を過ぎた場合に課される「延滞税」
延滞税は、本来必要な納税が期限までに確認できなかったときに課される税金です。確定申告の場合、原則3月15日以降の納付が対象となります。期限からの経過日数によって、税率が異なる点にも注意が必要です。
概要 |
税率(年率) |
---|---|
納付期限の翌日から2か月が経過するまで |
その年度の法定税率(原則7.3%) 「延滞税特例基準割合+1%(令和5年では年2.4%)」 上記のいずれか低い方 |
納付期限の翌日から2か月が経過した日以降 |
年(14.6%) 延滞税特例基準割合+7.3%(令和5年では年8.7%) 上記のいずれか低い方 |
2か月後以降も納付しなかった場合は、延滞税率が2倍に増えます。経過日数が多いほど納める金額も増幅するため、なるべく早い対応が大切です。
(参考: 『No.9205 延滞税について』)
確定申告をしなかった場合に課される「無申告加算税」
3月15日までに確定申告をしなかった場合は、本来納める税額に応じて無申告加算税も納付する必要があります。2016年度に割合が変わったため、以下の表を参考にしましょう。
本来納付する金額に対する範囲 |
税率 |
---|---|
50万円までの部分 |
15% |
50万円を超える部分 |
20% |
「確定申告の必要性を知らなかった」という場合、期限後に申告することで無申告加算税が軽減できます。全体で5%の軽減となるため、申告忘れに気付いたタイミングで手続きしましょう。申告の翌日以降に納税すると、延滞税も発生します。
(参考: 『No.2024 確定申告を忘れたとき』)
悪質であると判断された場合に課される「重加算税」
重加算税は、申告の遅れや記載ミスが悪質な場合に課される税金です。故意に経費を多く書いたり、納税を免れるために申告しなかったりといったケースが挙げられます。
区分 |
税率 |
---|---|
過少申告加算税または不納付加算税の代わり |
35% |
無申告加算税の代わり |
40% |
過去5年間に重加算税を課された経験がある方は、特に注意が必要です。上記の税率からさに10%が上乗せされ、45%または50%の税金を納める結果になります。
(参考: 『加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし』)
市区町村に納める住民税は確定申告をしなくても別で申告が必要
副業の給与所得20万円が重要な基準となるのは、「所得税の申告が必要か」を左右するためです。都道府県や市区町村に納める「住民税」は、別区分として考える必要があります。1月1日~12月31日の期間に副業をした場合、所得金額を問わず住民税を申告しましょう。住民税に関する規定は以下です。
- 申告期限:所得があった翌年の3月15日(確定申告と同様)
- 申告書の提出先:1月1日時点で住所のある市区町村役所(税金窓口)
副業の確定申告に関するよくある質問
では、副業の確定申告に関するよくある質問についてみていきましょう。
副業の確定申告はいくらから必要ですか?
副業で得られた所得が、年間で合計20万円を超えるなら申告は必要です。
8万円や19万円のように、20万円以下なら申告は必要ありません。
ただし、所得税に限った話であり、住民税においては20万円ルールといった特例措置はないため、注意してください。
本業と副業で年末調整の書類をもらったら提出していいですか?
副業やダブルワークの勤務先で、年末調整の書類をもらっても提出はせずに、自分で確定申告をする必要があります。
本業と副業とでそれぞれ受け取った源泉徴収票の内容を確認し、給与収入を合算した給与所得として確定申告しましょう。
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まとめ:副業の確定申告は正しいやり方で済ませよう
特定の会社から給与所得を得ている方でも、副業の状況によっては確定申告が必要になります。申告や納税が遅れると金銭的負担も増すため、基準を明らかにした上で必要性が判断できると安心です。
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また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
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