2022年3月25日2024年4月21日税務資産運用
個人事業主の節税対策13選|経費になるのは?節税の基礎知識を網羅
個人事業主は、1年間の所得について確定申告し、所得税を納付しなければなりません。確定申告するにあたり、個人事業主ができる節税対策を知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、個人事業主が取り組める13個の節税対策に焦点を当てました。節税の失敗パターンも紹介するため、個人事業主が陥りがちな失敗を回避したい方は参考にしてください。
目次
個人事業主が納付する税金は4種類
個人事業主が納付しなければならない税金は、原則「所得税」「住民税」「消費税」「事業税」の4種類です。ただし、税金の種類によって納税義務者が異なります。
申告・納税義務のある税金を漏れなく納税するためにも、まずは4種類の税金に関する知識を深めましょう。ここでは、各税金の概要を紹介します。
所得税
所得税は個人が1月1日から12月31日までに得た所得に対し課される税金です。所得税は、以下のように10種類に区分されます。
・給与所得
・事業所得
・配当所得
・利子所得
・不動産所得
・一時所得
・譲渡所得
・山林所得
・退職所得
・雑所得
このうち、個人事業主が事業で得た所得が該当するのは「事業所得」です。事業所得は「総収入金額-必要経費」で求めます。
所得税は全ての事業者が国に対して納税する税金です。所得税の税額には累進課税制度が採用されています。累進課税とは、所得が増えれば増えるほど課される税率も高くなる制度です。高所得者ほど、納税額が大きくなります。
なお、2013年から2037年の間は、復興特別所得税も発生するため注意しましょう。所得税に上乗せして2.1%分の税金を納付します。
住民税
住民税は、その年の1月1日時点で市町村に住所がある者に対し課される税金です。住民税は国税ではなく地方税であるため、住所地管轄の地方自治体に納めます。
個人事業主の場合、住民税の納付は6月、8月、10月、1月の年4回です。納付税額は、前年度の所得を記載した確定申告のデータに基づいて各自治体で割り出します。自身で手続きをする必要はありません。また、原則として市区町村から交付された納税通知書で納付します。
消費税
消費税は、商品やサービスをやり取りする際にかかる税金です。以下のようなケースに該当するときは、課税対象となります。
・前々年の年間課税売上高が1,000万円を超える
・前年の1月1日~6月30日の課税売上高が1,000万円を超える
・消費税課税事業者選択届出書の提出を済ませている
また、2023年10月1日からはインボイス制度が導入されるため注意が必要です。課税事業者となる方が増える可能性があります。
納税が必要な場合、所得税の確定申告とは別に消費税の申告をしなければなりません。個人事業主の消費税の申告納付期限は、課税期間の翌年3月31日です。期限に間に合うよう手続きをしましょう。
事業税
事業税は個人事業主のうち法令で定められた業種や、290万円を超える事業所得がある方を対象に課税されます。事業所得が290万円以下であれば、原則納税の義務は発生しません。
法定業種の分類数は全部で70種類です。法定業種に指定されていない業種に就いている方は、課税対象外となります。所得税の確定申告または住民税の申告をした場合、事業税の申告は必要ありません。確定申告書等の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入することで、事業税の申告は完了します。
節税の仕組みと所得税の計算方法
所得税に適用されているのは超過累進課税です。課税所得を減らすことができれば税額も少なくなります。
自身の状況に合った節税方法を導入するためにも、まずは所得税の計算方法を確認しましょう。計算の手順と計算式は以下の通りです。
1.所得を出す:所得金額=収入金額-必要経費
2.課税所得を求める:課税所得金額=所得金額-所得控除
3.所得税額を算出する:所得税=課税所得金額×税率-控除額
4.納税額を求める:納税額=所得税額-税額控除
収入からは経費が差し引かれ、課税所得からは所得控除が、そして所得税額からは税額控除が差し引かれます。そのため所得税や住民税を節税する際は、利用できる控除を増やす、あるいは経費を増やして課税所得を減らすことが大切です。
個人事業主の節税対策13選
ここでは、個人事業主に適した13個の節税対策について解説します。節税対策の恩恵を最大限享受するためには、自身の状況に合わせて適切な方法を導入することが重要です。
青色申告制度の利用や必要経費の計上、控除の利用といったように、個人事業主の税金対策はいくつかあります。具体的な導入方法を紹介するので、参考にしてみてください。
1.青色申告のメリットを活用する
青色申告制度とは、確定申告方法の一種です。日々の取引を会計処理する際に、複式帳簿に記帳することで、特別控除の利用や経費対象の拡大が認められます。
青色申告はさまざまなメリットがありますが、特に節税効果の高いものは「青色申告特別控除」と「青色事業専従者給与の必要経費算入」の2つです。
・青色申告特別控除
事業所得から最高65万円を控除できます。なお、令和2年分以降、65万円の特別控除を利用する適用要件に「電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告」が加わりました。この要件を満たさない場合の控除限度額は55万円です。
・青色事業専従者給与
一定の要件を満たす配偶者や15歳以上の親族へ給与を支払う際は、必要経費に算入できます。「生計を一にしていること」「6か月を超える期間事業に従事していること」といった条件に該当する場合は経費計上が可能です。この制度を利用する際は、事前に「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」を提出する必要があります。
なお、青色申告をするなら、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。1月16日以降に開業した場合は、開業日から2か月以内が提出期限です。期限に遅れないよう注意しましょう。
2.経費を漏らさず計上する
所得税や住民税は、所得金額に基づいて計算します。所得金額は「収入-経費」で求めるため、事業の経費を漏らさず計上することは節税の第一歩といえるでしょう。個人事業主が経費計上できる費用の一例は以下の通りです。
勘定科目 | 代表的な費用 |
---|---|
荷造運賃 | 商品の発送にかかる運賃、段ボール代、ガムテープ代 |
水道光熱費 | 事業所の電気やガス、水道にかかる費用 |
通信費 | インターネット利用料、切手代、郵便費用 |
消耗品費 | パソコンや文房具、事務用品のうち10万円未満のもの |
損害保険料 | 事業所の火災保険や地震保険、自動車保険にかかる費用 |
修繕費 | 事業所の修繕にかかる費用 |
仕入れや人件費、家賃といった費用の他にも、移動のためのタクシー代や打ち合わせで利用した喫茶店の飲食代も費用として計上できます。これらの費用を経費計上するには、必要な経費であることの証拠となる書類が必要です。領収書やレシートは、忘れずに保管しておきましょう。
3.光熱費など経費と生活費が混在する費用は按分計上する
個人事業主が自宅で仕事をしている場合、家賃や光熱費の一部を事業の経費として計上できます。計上の際は、経費と生活費を分ける「家事按分」をしましょう。家事按分とは、経費のうち事業で使用している比率を明確にして按分計算したものです。例として、自宅の一部屋を事務所として利用しているケースを見てみましょう。
《条件》
・賃貸マンション:家賃25万円
・面積:80平方メートル
・事務所として利用している部屋の面積:10平方メートル
《計算例》
業務上利用している割合=10平方メートル÷80平方メートル×100=12.5%
経費=25万円×12.5%=3万1,250円
このケースでは、3万1,250円が経費として認められる可能性があります。なお、家事按分は、合理的な説明ができる場合に限り利用できる制度です。
ただし、実態とかけ離れた割合で申告すると、税務調査によって家事按分が認められなくなる恐れがあります。実際に業務で使用している分だけ計上するようにしましょう。
4.事業に関わる税金は経費にする
個人事業主が納めた税金のうち、事業に関わるものは「租税公課」として経費計上できます。ただし、所得税や住民税、相続税の他、延滞税のようなペナルティは個人に対して課される税金は経費計上できません。
経費にできる税金は、事業で利用する資産に課されるものに限ります。例えば、固定資産税でも、自宅のような事業に関わりのない不動産に課されるものは経費計上できません。経費にできる税金とできない税金は以下の通りです。
経費にできる税金 | ・固定資産税 ・登録免許税 ・不動産取得税 ・地価税 ・特別土地保有税 ・事業所税 ・自動車取得税 ・自動車税 ・印紙税 |
---|---|
経費にできない税金 | ・所得税 ・住民税 ・相続税 ・贈与税 ・加算税 ・延滞税 |
5.少額減価償却資産の特例を使う
通常、パソコンのような高額な資産は固定資産と見なされ減価償却します。減価償却とは固定資産の取得にかかった費用を耐用年数で割り、一定年数にわたって経費計上していく会計処理のことです。年数の経過に伴い価値が下がるものだけが減価償却の対象となります。
白色申告では、全額を一括で経費計上できるのは10万円までです。10万円を超える固定資産で使用期間が1年以上あるものは、減価償却の対象となります。
一方、青色申告者は、少額減価償却資産の特例制度を利用可能です。30万円までの少額資産はその購入額を一括で経費計上できます。ただし、特例を利用するには、確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があるため、忘れずに提出しましょう。
6.特例を活用して年払い費用を一括計上する
原則、翌期以降にサービスの提供を受けるために支払った費用は前払費用として扱われ、経費として計上できません。ただし、支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける場合であれば、「短期前払費用」として当期の経費にできます。
短期前払費用の特例を利用するには、次の要件を全て満たさなければなりません。要件を満たしていないと税務調査で否認されるリスクがあります。
・一定の契約に従って継続的にサービスの提供を受けること
・サービスの提供の対価であること
・翌期以降に、時間の経過に応じて費用化されるものであること
・当期中に支払いが完了していること
・継続して毎年同じ経理処理をすること
・仕入れなど売上げに直接対応する費用ではないこと
7.所得控除の対象になる生命保険に加入する
所得金額から一定額を控除できる「生命保険料控除」を活用することで、節税効果が期待できます。対象となる保険料は、生命保険料と介護医療保険料、個人年金保険料の3つです。
平成24年1月1日以後に契約した保険(新契約)と平成23年12月31日以前に契約した保険(旧契約)で、生命保険料控除の限度額や計算方法が異なります。それぞれの控除額の計算方法は以下の通りです。なお、生命保険料控除の控除限度額は合計12万円で、旧契約のみの場合、合計10万円です。
【新契約】平成24年1月1日以後に契約した生命保険、介護医療保険、個人年金保険
年間の支払保険料 | 控除額の計算方法 |
---|---|
2万円以下 | 支払保険料の全額 |
2万円超 4万円以下 | 支払保険料×1/2+1万円 |
4万円超 8万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
【旧契約】平成23年12月31日以前に契約した生命保険、個人年金保険
年間の支払保険料 | 控除額の計算方法 |
---|---|
2万5,000円以下 | 支払保険料の全額 |
2万5,000円超 5万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万2,500円 |
5万円超 10万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万5,000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
(参考: 『生命保険料控除|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)
8.小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や個人事業主が利用できる積立型の退職金制度です。掛け金は月額1,000円から7万円の間で自由に決められるため、経済状況に合わせて無理のない範囲で掛け金を納付できます。
また、確定申告の際は「小規模企業共済等掛金控除」を利用可能です。この制度を利用すると、掛け金の全額を課税所得金額から控除できます。例えば、年間5万円の掛け金を支払った場合の控除対象額は5万円です。1年以内の前納掛金も控除できます。
ただし、12か月未満で任意解約をする際は、解約手当金を受け取れません。また、掛け金の納付月数が240か月未満で任意解約した場合、受け取れる金額が掛け金の合計額を下回る点にも注意しましょう。加入するときは、長期的に見て本当に損をしないかどうか慎重な検討が必要となります。
9.経営セーフティ共済に加入する
経営セーフティ共済とは、取引先が倒産したときに中小企業が連鎖して倒産したり経営難に陥ったりすることを防ぐための制度です。正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」といいます。無担保・無保証人で、掛け金の最高10倍(上限8,000万円)まで借り入れ可能です。掛け金の総額が800万円に到達するまで積立できます。
毎月の掛け金の範囲は5,000円から20万円で、事業所得のある個人事業主は掛け金の全額を経費に計上可能です。万が一の保障としてだけでなく、節税対策としても利用できるでしょう。ただし、事業所得以外の所得は経費算入できないため注意が必要です。
また、解約時は納付月数と掛け金総額に応じた解約手当金が受け取れますが、納付月数が40か月未満であると、受取金額が掛け金総額を下回ります。納付月数が12か月に満たない場合では、解約手当金は受け取れません。加入する際は、継続して掛け金を納付できる見込みがあるか検討することをおすすめします。
10.iDeCoを利用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後資金を作るための個人年金制度です。掛け金を自ら選択した金融商品で長期運用することで、効率的な老後資金の準備に活用できます。iDeCoの税制上のメリットは以下の3つです。
・掛け金は全額が所得控除される
・運用益が非課税
・年金受け取り時には「公的年金等控除」、一時金受け取り時には「退職所得控除」の対象となる
加入できるのは、原則として日本在住の20歳以上60歳未満の方で、国民年金や厚生年金といった公的年金に加入している方です。雇用形態に関する条件はなく、個人事業主でも加入できます。ただし、国民年金保険料の全額または一部を免除されている方は加入できません。
11.ふるさと納税をする
ふるさと納税とは、都道府県や市区町村への寄付制度です。所得税では寄付した金額分の所得控除、住民税では税額控除が受けられます。特に、住民税の税額控除による節税効果が大きく、寄付先の自治体から返礼品が受け取れることも特徴です。
納税額のうち2,000円が自己負担となるため、控除額は「ふるさと納税額-2,000円」です。控除額の上限は収入や家族構成によって異なります。例えば、年収1,000万円の独身の場合、18万円が全額控除の目安です。なお、控除対象となる納税額は、所得税では総所得金額の40%、住民税では30%が上限です。
12.所得税の所得控除・税額控除を活用する
所得税の「所得控除」や「税額控除」を活用することで効果的に所得税額を減らせます。適用要件に該当するものは、漏らさず利用しましょう。所得控除は以下の通りです。
種類 | 利用できるケース |
---|---|
雑損控除 | ・災害や盗難によって損害を受けた |
医療費控除 | ・本人および生計を一にする配偶者や親族のために一定額の医療費を支払った |
社会保険料控除 | ・本人および生計を一にする配偶者や親族のために健康保険料といった社会保険料を支払った |
小規模企業共済等掛金控除 | ・小規模企業共済の掛け金を支払った |
生命保険料控除 | ・生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った |
地震保険料控除 | ・自宅の地震等保険料を支払った |
寄附金控除 | ・特定の寄附金を支払った |
障害者控除 | ・本人や控除の対象となる配偶者、扶養親族が障害者である |
寡婦(寡夫)控除 | ・夫(妻)と死別または離婚し、所得金額といった一定の要件に該当する |
ひとり親控除 | ・婚姻していないまたは配偶者の生死の明らかでない人のうち、一定要件を満たす |
勤労学生控除 | ・本人が勤労学生 ・所得が一定の金額以下 |
配偶者控除 | ・配偶者の所得が一定の金額以下 |
配偶者特別控除 | ・本人の所得が1,000万円以下 ・配偶者の所得が一定の金額以下 |
扶養控除 | ・子や父母・祖父母で、所得が一定金額以下の扶養する親族がいる |
基礎控除 | ・本人の合計所得金額が2,500万円以下 |
また、所得税額から直接差し引ける税額控除は、大きな節税効果が期待できます。主な税額控除は次の通りです。
種類 | 利用できるケース |
---|---|
配当控除 | ・総合課税される配当所得がある |
外国税額控除 | ・外国で生じた所得に対して、その国の税金が課されている |
寄附金控除 | ・政党や認定NPO法人、公益社団法人に対して寄附金を支払った |
住宅借入金等特別控除 | ・住宅の新築や購入のために住宅ローンを組んだ |
住宅耐震改修特別控除 | ・昭和56年5月31日以前に建築された一定の家屋について耐震改修をした |
住宅特定改修特別税額控除 | ・バリアフリーや省エネ、多世帯同居、耐久性向上のための改修をした |
13.法人化する
一般的に、個人事業の利益が800万円を超えると、法人化するタイミングといわれています。所得税は所得金額が増えるほど税率が高くなるのに対し、法人税は一定の税率で課税されるためです。所得税と法人税の税率は、次表を確認しましょう。
所得税の税率課税所得金額(千円未満切り捨て) | 税率 |
1,000円~194万9,000円まで | 5% |
195万円~329万9,000円まで | 10% |
330万円~694万9,000円まで | 20% |
695万円~899万9,000円まで | 23% |
900万円~1,799万9,000円まで | 33% |
1,800万円~3,999万9,000円まで | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
(参考: 『所得税の税率|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
法人税の税率(資本金1億円以下の法人の場合)
所得金額 | 税率 |
---|---|
800万円以下の部分 | 15%(適用除外事業者は19%) |
800万円超の部分 | 23.20% |
(参考: 『法人税の税率|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm)
所得が800万円の場合、所得税の税率が23%に対し、法人税は15%です。法人化すると税率の他にも、自身の給与を経費として計上できたり、赤字を10年間繰り越せたりといった税制上のメリットがあります。
ただし、社会保険への加入が義務付けられるため、従業員の社会保険料の支払いが必要といった個人事業主にはない出費が発生する点に注意が必要です。収益が増え法人化を検討する段階にある方は、一度税理士に相談することをおすすめします。
個人事業主の節税失敗パターン
節税対策に取り組もうとしても、正しい税務会計の知識がないと、思わぬ損をすることがあります。ここでは、個人事業主が陥りがちな節税の失敗パターンに焦点を当てました。誤った節税対策をしないために、正しい知識を身に付けましょう。
年末に高額な車や機械を購入する
年末に駆け込みで高額な車や機械を購入しても、1か月分しか経費計上できません。10万円以上(青色申告者の場合は30万円以上)の固定資産を購入した場合、減価償却資産として扱われます。年の途中で取得した減価償却資産は、経費計上できる分を月割りで計算する点に注意が必要です。例えば、12月に新車を購入した場合、次のように計算します。
《条件》
・購入金額:150万円
・法定耐用年数:6年
・償却方法:定率法
・償却率:0.333
《計算式》
150万円×0.333÷12=4万1,625円
12月に150万円の車を購入した場合、その年の経費として計上できるのは1か月分の4万1,625円です。所得税率を20%とすると節税効果は8,000円程度で、購入金額150万円と比較して少額なことが分かります。
節税しすぎで利益を減らしてしまう
支出を減らすために節税しているにもかかわらず、節税を意識するあまり、不要な支出が増えては本末転倒です。節税対策に取り組むにあたっては、「本当に必要な経費なのか」「十分な節税効果が見込めるものなのか」を慎重に検討しましょう。
個人事業主に必要な確定申告の手順
個人事業主は1年に1度、確定申告にて所得を申告する義務があります。申告期限に間に合わないときや申告しなかった場合は、追徴課税が発生し、納める税額が増えるため注意が必要です。
ここでは、確定申告の必要書類や申告先、申告・納税方法を手順に沿って解説します。余裕を持って確定申告の準備を始めましょう。
1.必要書類をそろえる
確定申告の際は、所得に関する証明書や本人確認書類など、複数の書類をまとめて提出します。個人事業主の確定申告で提出が求められる書類の一例は以下の通りです。
・確定申告書B
・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・所得を証明できるもの(青色申告決算申告、収支内訳書など)
・控除の適用が証明できるもの(生命保険料控除証明書、医療費控除の明細書など)
個人事業主の確定申告では、「確定申告書B」を使用します。確定申告書Aは内容が簡略化されているため、「給与所得」「雑所得」「配当所得」「一時所得」のある方のみ使用可能です。確定申告書は税務署や役所の窓口、国税庁ホームページからダウンロードで入手できます。
(参考: 『国税庁 申告用紙』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/03.htm)
2.税務署に提出する
必要書類を全てそろえたら、税務署に提出しましょう。提出先は、個人事業主が居住する住所地管轄の税務署です。窓口に直接提出しに行く他、インターネットからe-Taxを利用して申告する方法や、郵便や信書便で郵送するといった方法もあります。
ただし、e-Taxにて申請するか所定の帳簿を電子帳簿保存しなければ、青色申告の特別控除(65万円)を利用できなくなるため注意しましょう。
なお、提出期限は、原則対象となる年の翌年2月16日~3月15日です。確定申告の後、納税まで済ませる必要があります。
3.納税を済ませる
所得税の納付期限も、申告書の提出期限と同じ日程です。以下のような方法で納付できます。
・税務署の窓口で納付する
・金融機関で納付する
・コンビニ納付を利用する
・口座振替を利用する
・クレジットカード納付を利用する
・インターネット経由で電子納付する
なお、申告や納付が遅れると、追徴課税や青色申告特別控除の減額といったペナルティが発生する恐れがあるため注意しましょう。確定申告の際は期限を守り、正しく申告・納税を済ませることが大切です。
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まとめ
個人事業主が実践できる節税対策は、大きく分けて「控除を利用する」「青色申告を利用する」「経費を増やす」の3種類です。課税対象となる所得を減らすことができれば、所得税や住民税の減額につながります。税務上の制度をうまく活用して、最大限の節税効果を享受しましょう。
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資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
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