2022年6月17日2022年6月13日税務資産運用
節税におすすめの方法を紹介!個人事業主や会社員がすぐに始められる節税対策
事業における収益や会社員の給与といった収入には所得税が課されます。「税金を少しでも減らして手元に資産を残したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、個人におすすめしたい所得税の節税方法を紹介します。会社員だけでなく、個人事業主にも焦点を当てました。全部で14種類の方法を紹介するため、自身に合った方法を選ぶことで効果的な節税対策ができるでしょう。
目次
個人事業主も会社員もOK!おすすめの節税対策5選
個人事業主と会社員に共通しておすすめする節税対策として、NISAやiDeCo、ふるさと納税が挙げられます。さらに、所得控除を上手に活用できれば、より効果的な節税が期待できるでしょう。ここでは、それぞれの制度の特徴について詳しく解説します。
1.所得控除
自分自身で確定申告をする個人事業主は、控除の要件を把握していないと適用を受けられない恐れがあります。また、会社員も雑損控除や医療費控除、寄附金控除を受ける場合は確定申告が必要です。
所得控除の種類 | 適用要件と概要 |
---|---|
雑損控除 | ・災害や盗難によって生活に必要な資産に損害を受けた場合 |
医療費控除 | ・自己または生計を一にする配偶者・親族のために原則10万円以上の医療費を支払った場合 |
社会保険料控除 | ・自己または生計を一にする配偶者・親族のために健康保険や国民年金などの社会保険料を支払った場合 |
小規模企業共済等掛金控除 | ・小規模企業共済やiDeCo、企業型確定拠出年金などの掛け金を支払った場合 |
生命保険料控除 | ・生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合 |
地震保険料控除 | ・地震保険や、経過措置が適用される長期損害保険の保険料および掛け金を支払った場合 |
寄附金控除 | ・地方公共団体や特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」に該当する寄附を行った場合 |
障害者控除 | ・自己や配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合 ・控除額は障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円 |
寡婦控除 | ・納税者本人が「ひとり親」に該当しないなどの要件を満たす寡婦である場合 ・控除額は27万円 |
ひとり親控除 | ・納税者本人が「ひとり親」に該当するなどの要件を満たす場合 ・控除額は35万円 |
勤労学生控除 | ・納税者本人が一定要件を満たす勤労学生である場合 ・控除額は27万円 |
配偶者控除 | ・「年間の所得金額が48万円以下」などの要件を満たす扶養配偶者がいる場合 ・控除額は16万円から48万円の間で、納税者本人の所得金額などによって変わる |
配偶者特別控除 | ・「年間の所得金額が48万円超133万円以下」などの要件を満たす扶養配偶者がいる場合 ・控除額は1万円から38万円の間で、納税者本人と配偶者の所得金額によって変わる |
扶養控除 | ・所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合 ・控除額は38万円から63万円で、扶養親族の区分によって異なる |
基礎控除 | ・納税者本人の合計所得金額が2,500万円以下である場合 ・控除額は所得金額によって、48万円、32万円、16万円の3つに分かれる |
2.NISA(ニーサ)
株式や投資信託といった金融商品に投資して得た売却益や配当金には、通常20%程度の所得税が課されます。NISAは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる売却益や配当金が非課税になる制度です。20歳以上が利用できる「一般NISA」と「つみたてNISA」があるため、それぞれの制度概要を確認しましょう。
種類 | 概要 |
---|---|
一般NISA | ・株式や投資信託などが投資対象 ・毎年120万円まで購入できる ・非課税期間は最長5年 ・非課税投資枠は最大600万円 ・2024年以降は投資対象が一部限定され、年間の購入可能額が122万円となる |
つみたてNISA | ・長期、積立、分散投資に適した一定の投資信託が投資対象 ・毎年40万円まで購入できる ・非課税期間は最長20年 ・非課税投資枠は最大800万円 |
3.iDeCo(イデコ)
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の愛称です。個人で老後資金を蓄えるための年金制度で、拠出した掛け金を自由に選択できる金融商品で長期運用します。老後の資金を効率的に準備できる仕組みといえるでしょう。
掛け金は全額所得控除の対象で、運用益の非課税制度や受け取り時の控除制度があることから節税効果の高い仕組みです。加入対象者は、日本在住の20歳以上60歳未満で、国民年金や厚生年金といった公的年金に加入している方です。
4.ふるさと納税
ふるさと納税とは、都道府県や市区町村といった自治体への寄附制度です。利用することで返礼品がもらえる他、所得税や住民税の税額控除が受けられます。寄附した金額のうち2,000円を超える部分の一定限度額までは、すでに納めた所得税や翌年納める住民税から控除される仕組みです。
控除限度額は所得税の税率を利用して計算するため、それぞれの所得状況によって異なります。例えば、本人の給与収入が800万円の場合、共働きの夫婦のケースでは12万9,000円が控除限度額の目安です。
5.住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、所得税額から「年末時点の住宅ローン残高×控除率1.0%」の金額を控除できる制度です。合計所得金額3,000万円以下の個人が、一定の要件を満たす住宅ローンを利用して住宅を新築・取得、増改築した場合に利用できます。控除期間は原則として10年です。
例えば、年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合、30万円(=3,000万円×1.0%)を所得税額から差し引けます。なお、令和4年以降に入居する場合から、一部措置の改正が決定しました。控除率が0.7%に引き下げられ、控除期間が新築住宅は原則13年、既存住宅は10年に変更されます。
個人事業主におすすめする9つの節税対策
個人事業主が納付する税金には、所得税や住民税、個人事業税、消費税があります。所得税は、収入から経費を差し引いた所得金額を基準に税額を計算する仕組みです。住民税や個人事業税は、所得税の確定申告の内容をもとに金額が決定します。
したがって、個人事業主の節税は、所得金額をいかに減らすかがポイントであるといえるでしょう。ここでは、主に所得金額を減らす方法に焦点を当て、9つの節税対策について解説します。
1.青色申告制度を利用する
青色申告とは、一定の要件を満たすことで利用できる制度です。「損益計算書や貸借対照表が作成できるような正規の簿記の原則による記帳」といった要件を満たす必要がありますが、多くの税務上のメリットが受けられます。主なメリットは以下の通りです。
・青色申告特別控除
一定の要件を満たした場合、青色申告特別控除65万円が受けられます。なお、65万円の控除を受けるには、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告が必要です。それ以外は控除額が55万円となるため注意しましょう。
・青色事業専従者給与
原則として配偶者や親族に対して支払う給与は経費として認められません。ただし、適用要件を満たすことで、青色事業専従者給与として一定額を必要経費にできます。
2.漏らさず経費を計上する
事業を営む上で必要な費用は、経費として計上できます。ただし、個人の飲食代といった事業に関係のない費用は経費にできません。経費計上できる主な費用は以下の通りです。
勘定科目 | 概要 |
---|---|
租税公課 | 消費税や個人事業税、固定資産税 |
荷造運賃 | 商品発送のための段ボールや運送料 |
水道光熱費 | 水道代や電気代 |
旅費交通費 | 電車やバスの費用、宿泊費 |
通信費 | 電話代やインターネット料金 |
広告宣伝費 | 新聞やテレビによる広告費用 |
接待交際費 | 取引先との飲食代やお中元・お歳暮の費用 |
消耗品費 | 文房具など消耗品購入費用(10万円未満) |
減価償却費 | 事業用の建物や機械装置の減価償却資産にかかるもの |
福利厚生費 | 会社が支払った従業員の食事代や健康診断の費用(事業者本人や専従者に対するものを除く) |
3.「家事按分」を利用する
家事按分とは、自宅を事業所として利用し、備品について事業用と生活用で分けていない場合の経費計算方法です。使用する部屋の面積や利用時間など、合理的に示せる情報をもとに、事業用に利用している割合を求めて按分計算します。家事按分を利用する経費として挙げられるのは、地代家賃や水道光熱費、通信費です。
地代家賃を家事按分する場合。自宅100平方メートルのうち20平方メートルの部屋を事業用に使用しているのであれば、20平方メートル÷100平方メートル=20%が按分率と求められます。
4.事業関連の税金を経費計上する
事業に関連する税金であれば、経費として計上できます。経費計上できる主な税金は、消費税および地方消費税、事業税、固定資産税、自動車税、自動車重量税、自動車取得税、印紙税、登録免許税です。
自宅やプライベートで利用する車のような事業に関係のないものに課される固定資産税や自動車税は、経費計上できない点に注意しましょう。また、所得税や住民税、加算税も個人に課される税金で、経費計上できません。
5.少額減価償却資産の特例を利用する
通常、パソコンのような高額な資産は固定資産と見なされ、減価償却されます。購入金額を耐用年数に応じて分けて、減価償却費として経費に計上する仕組みです。ただし、少額減価償却資産の特例を利用すれば、青色申告は30万円、白色申告は10万円までの少額資産に関して購入金額を一括で損金算入できます。
なお、適用を受けるには「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」の提出が必要です。
6.年払い費用を一括で計上する
地代家賃やリース料のような継続してサービスを受ける契約では、1年分のサービス料をまとめて支払うケースがあります。契約が翌年にまたがる場合、原則「前払費用」として翌年の経費に計上しなければなりません。
ただし、一定の要件を満たして「短期前払費用の特例」を利用することで、前払費用でも当年分の経費として計上が可能です。この特例を利用するには、次の要件を全て満たす必要があります。
・一定の契約に従い継続的にサービスの提供を受ける
・サービス提供の対価である
・翌年以降に、時間の経過に応じて費用化されるものである
・当期中に支払いが完了している
・毎年継続して同様の経理処理を行う
・仕入れなど売り上げに直接対応する費用ではない
7.小規模企業共済を利用する
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者が将来事業を辞めたとき、積み立てた掛け金を退職金または年金として受け取れる共済制度です。掛け金は月額1,000円から7万円の範囲(500円単位)で自由に選択が可能で、小規模企業共済等掛金控除として全額が所得控除の対象です。
ただし、加入して240か月未満で任意解約した場合、解約手当金が支払った掛け金を下回ります。加えて、1年未満で解約すると、解約手当金は受け取れません。短期的な節税対策ではなく、長期的な視野で利用することをおすすめします。
8.経営セーフティ共済を利用する
経営セーフティ共済とは、取引先が倒産したときに、連鎖倒産や経営難になることを防ぐための制度です。加入により、無担保・無保証人の借り入れができます。掛け金は月額5,000円から20万円までの範囲(5,000円単位)で自由に選べて、経費として計上できるため、節税対策にもなるでしょう。
なお、加入できるのは「継続して1年以上事業を行っている中小企業者」で、開業して1年に満たない個人事業主は利用できません。40か月未満の任意解約は、解約手当金が支払った掛け金を下回る点にも注意しましょう。
9.法人化を検討する
所得が一定金額を超えた場合、所得税と法人税の税率の差を利用した節税が可能です。所得税は、所得金額が増えると税率も上がる累進課税を採用しています。所得税の最高税率は45%です。一方、法人税率は一定要件を満たす場合15%、最高でも23.20%で、所得税の最高税率を下回ります。
法人化は、所得金額が多く、高い税率が適用される方に効果のある節税方法です。一般的に、個人事業の利益が800万円を超えたときが法人化するタイミングとされています。ただし、事業以外に所得がある場合など、それぞれの状況によって適切なタイミングは異なります。法人化を検討する際は、税理士のような専門家に相談するのがおすすめです。
副業収入のある会社員も青色申告で節税できる
副業収入や不動産収入がある場合は、会社員でも青色申告ができます。なお、青色申告を利用できる所得は事業所得、不動産所得、山林所得で、株式投資による売却益や配当金による収入は対象になりません。
また、副業収入でも事業所得と見なされない場合、青色申告はできないため注意しましょう。著述家や作家以外の方が受ける原稿料や講演料など、一時的な収入であるケースでは雑所得に区分されます。
節税の注意ポイント
節税対策には注意点がいくつかあります。ミスなく申告するためにも、事前に確認しておきましょう。また、節税には専門知識が必要です。「本当に効果のある節税なのか自信がない」「正しい申告ができるかどうか不安」という方は、一度税理士に相談するとよいでしょう。
節税のための出費が増えすぎないようにする
「住宅ローン控除を受けるために高額なローンを組む」「個人事業主が経費計上するために必要のない資産を購入する」など、節税を意識するあまり不要な出費が増えないように注意しましょう。節税対策に取り組む際は、十分な効果が見込めるか、本当に必要な出費か慎重に検討する必要があります。
期限内に忘れずに確定申告をする
所得税の確定申告は、原則、翌年3月15日が申告・納付の期限です。会社員でも適用を受ける所得控除によっては確定申告が必要な場合があります。例えば、住宅ローン控除を受ける場合、初年度は確定申告をしなければなりません。申告期限を過ぎた場合、加算税や延滞税が課されることもあるため注意が必要です。
節税と資産運用でお金を増やしたい人におすすめの方法は?
節税だけでなく運用で資産を増やしたいと考えている方は、NISAやiDeCoといった税制優遇のある制度を利用するのが安全です。
また、高収入の方や余剰資金のある方におすすめの方法として、不動産投資が挙げられます。所得金額が多いほど効果のある節税対策で、不動産の減価償却費と給与所得を損益通算することで高い節税効果が期待できます。
ただし、不動産投資による節税には専門知識が必要です。事前に詳細なシミュレーションをしなければならないため、不動産投資を検討する際は、資産運用を専門とする税理士に相談するとよいでしょう。
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まとめ
個人事業主や会社員に共通しておすすめできる節税対策には、NISAやiDeCo、ふるさと納税のような税制優遇が受けられる制度の活用が挙げられます。また、個人事業主の節税では、所得金額をいかに減らすかがポイントです。青色申告制度を活用したり漏れなく経費を計上したりすることで、所得金額を減らせるでしょう。
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