2022年7月1日2024年4月28日税務税金対策

法人税等から算出する実効税率|東京都23区を例に解説

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法人税や住民税、事業税など、法人にはさまざまな税が課されます。それら主要な税金をまとめた税率として「表面税率」と「実効税率」という税率がありますが、両者の違いを正確に説明できない方は意外に多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、表面税率と実効税率の違いを解説した上で、東京23区を例にした実効税率を紹介します。正しい経験判断をするためにも、実効税率の仕組みをきちんと理解しておきましょう。

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実効税率と表面税率の違い

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法人が支払う税金には、大きく分けて「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の3つがあります。これらを計算する際に用いるのが実効税率と表面税率で、目的のために使い分けられています。

表面税率とは、法律で定められている税率のことです。税金の納付や申告の際に使用します。しかし、事業税は損金参入が可能であるため、企業が実質的に負担する税割合は表面税率とは異なります。

そこで登場するのが、法人実効税率です。法人事業税の損金算入分が考慮された、企業が実際に納める税率です。税効果会計の会計処理に使用され、節税効果を予測する場合にも使われます。

法人税など企業が所得等に対して負担する税

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企業が所得に対して課される税は以下の5つがあります。

・法人税
・地方法人税
・法人住民税
・事業税
・特別法人事業税

それぞれ税率が異なり、改定されることもあるため、最新情報をキャッチしておく必要があります。また上記の税は、実効税率や表面税率を計算する際にも使用します。ここでしっかりと把握しておきましょう。

法人税

法人税は、法人が事業活動を通じて得た所得に対して課税される直接税です。一般的に各事業年度の益金から損金を引いて計算しますが、特別な定めが置かれているケースもあります。

税率は法人の種類や資本金、所得金額により異なる点に注意しましょう。たとえば、平成31年4月1日以後に事業を開始した資本金1億円以下の普通法人の場合、800万円以下の所得には15%、800万円超えの所得には23.20%の税率が設定されています。他の税率等、詳細は国税庁のサイトをお確かめください。

(引用:『No.5759 法人税の税率|国税庁』:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

地方法人税

地方法人税とは、国が地方に代わって徴収する直接税のことです。したがって、「地方」と付いていますが国に納めます。地方交付税の財源の一部として、地域間の経済格差を無くす目的で設立されました。

所得による税率区分はなく、一律10.3%です。仮に法人税額が100万円だった場合、「100万円×10.3%」で10万3,000円が地方法人税になります。

法人住民税

法人住民税は、事務所等が所在する都道府県や市町村が課税する税金の総称です。都道府県民税と市町村民税、都内に事業所がある場合は都民税と分かれています。

法人住民税には、資本金や従業員数に応じて定額の負担が求められる均等割、法人税額に応じて負担が求められる法人税割の2種類から構成されています。つまり法人住民税は、法人税割と均等割の合計額です。

どちらも都道府県または市町村ごとに超過税率を設定でき、適用の有無や税率は一律ではありません。

事業税

法人事業税は、法人が行う事業そのものに課される地方税のひとつです。法人が事業活動を行う際には行政サービスや公共施設の提供を受けることから、経費の一部を負担すべきという考えに基づいて作られています。

資本金や事務所数などに応じて超過税率の適用ルール等が異なり、各都道府県の判定基準に委ねられています。

特別法人事業税

特別法人事業税は地域間の財政格差を是正するべく、平成31年10月1日に開始する事業年度から導入された国税です。導入に伴い、これまでの地方法人特別税は廃止されました。

法人事業税の申告納付義務がある法人は全て課税対象です。税額は事業税額、つまり標準税率で計算した法人所得割額または法人収入割額に税率を掛けて計算します。事業税を超課税率で計算している法人でも、地方法人特別税では標準税率を用いる点に注意しましょう。

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実効税率の考え方と計算式

企業は当期の所得に対し、決算日後2か月以内に法人税・地方法人税・事業税・特別法人事業税を納めなければいけません。これら税率の総和が表面税率です。

実効税率では、これら税額の合計と法人の所得に対して、何%の税負担が生じるかを求めます。その際、事業税は翌期の損金に算入されることを考慮して計算しなければいけません。計算式は以下の通りです。

・実効税率={法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+事業標準税率×特別法人事業税率}÷(1+事業税率+事業標準税率×特別法人事業税率)

東京都23区の実効税率

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ここでは東京都23区を例にして、前述した実効税率の式に当てはめて計算しました。なお、東京都23区は市町村の法人住民税率が都道府県民税率に含まれている点に留意してください。ここで紹介する実効税率は、小数点第2位を四捨五入しています。

外形標準課税適用法人の実効税率

資本金1億円超えの外形標準課税適用法人に課される税率は以下の通りです。

・法人税率=23.20%
・地方法人税率=10.30%
・法人住民税率(都道府県民税)=10.40%
・事業税率(超過税率)=1.18%
・事業税率(標準税率)=1.00%
・特別法人事業税率=260.0%

上記税率を式に当てはめて算出します。

実効税率={23.20%×(1+10.30%+10.40%)+1.18%+1.00%×260.0%}÷(1+1.18%+1.00%×260.0%)=30.6%

よって外形標準課税適用法人の実効税率は、30.6%となります。

外形標準課税不適用法人(超過税率)の実効税率

外形標準課税不適用法人(超過税率)に課される税率は以下の通りです。

・法人税率=23.20%
・地方法人税率=10.30%
・法人住民税率(都道府県民税)=10.40%
・事業税率(超過税率)=7.48%
・事業税率(標準税率)=7.00%
・特別法人事業税率=37.0%

上記税率を式に当てはめて算出します。

実効税率={23.20%×(1+10.30%+10.40%)+7.48%+7.00%×37.0%}÷(1+7.48%+7.00%×37.0%)=34.6%

よって外形標準課税不適用の法人(超過税率)の実効税率は、34.6%となります。

外形標準課税不適用法人(標準税率)の実効税率

外形標準課税不適用法人(標準税率)に課される税率は以下の通りです。

・法人税率=23.20%
・地方法人税率=10.30%
・法人住民税率(都道府県民税)=7.00%
・事業税率(超過税率)=7.00%
・事業税率(標準税率)=7.00%
・特別法人事業税率=37.0%

上記税率を式に当てはめて算出します。

実効税率={23.20%×(1+10.30%+7.00%)+7.00%+7.00%×37.0%}÷(1+7.00%+7.00%×37.0%)=33.6%

よって外形標準課税不適用法人(標準税率)の実効税率は、33.6%となります。

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まとめ

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企業は法人税をはじめとするさまざまな税金を納めなくてはいけません。納付申告の際には表面税率を用い、節税効果を予測するといった税効果会計の会計処理では、実効税率を用います。しかし、実効税率の計算は難解である上に、改定もされます。複雑な企業税務は、税理士のサポートを受けながら適切に処理することをおすすめします。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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