2022年8月24日2024年5月28日投資
インフレ対策に投資は必要?資産を減らさないためにできる対策方法は?
インフレは「インフレーション」の略で、継続的に物価が上昇する現象です。インフレになると通貨の価値が下がるため、投資が必要と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、インフレ対策に有用な資産運用方法を紹介します。投資先を選ぶ際は、インフレに強い資産と弱い資産を正しく理解することが大切です。適切な資産に投資することで、インフレによる通貨価値下落の影響を軽減し、継続的な資産形成につながるでしょう。
目次
インフレとはどんなもの?
インフレ対策をするには、まずインフレがどのような状態なのか詳しく知ることが大切です。
物価が上昇する
需要と供給のバランスにより物価が変動します。例えば、消費者の需要よりも供給が少ないと数量が限られたものを奪い合うことになるので物価が上昇します。これがインフレです。
消費者の需要よりも共有が多いと売れ残りを回避するために価格を下げて売ることになるので物価が下落します。これがデフレです。
通貨の価値が下がる
インフレによって1つ100円だったものが120円になったとしましょう。インフレの状況下では物価が上昇しますが、通貨に変化はあるのでしょうか。
通貨に視点を移すと同じものを購入するために支払う通貨の量が増えています。通貨の額面は変わりませんが、インフレの状況下では価値が下がっていると言えます。
インフレには良いもの悪いものの2種類がある
インフレを物価の上昇、通貨の価値の下落と考えた際、インフレを良くないものと考える方も多いことでしょう。
しかし、インフレには良いインフレと悪いインフレの2つがあります。詳細は後述しますが、一般的なインフレは好景気の状況下で起こるものです。そのため、企業の業績が良くなる中で給与が増える、金利も高くなります。これは良いインフレです。
円安や人員不足などの要因で物価が上昇し、経済の活性化を伴っていないインフレでは給与が増えません。給与が増えず、負担だけが増えるので悪いインフレです。
対策を考える前に!インフレが与える影響や経済の現状
インフレ対策を考えるには、インフレが経済全般にどのような影響を与えるのかを正しく理解しなければなりません。ここでは、インフレが与える影響と2024年4月時点における日本経済の状況を詳しく解説します。インフレ対策の必要があるのか悩んでいる方は、チェックしてみてください。
インフレが起こると日本円の資産価値は下落する
インフレには、為替変動や原材料価格の高騰による「コストプッシュインフレ」と需要の拡大が原因の「ディマンドプルインフレ」があります。どちらも継続的に物価が上昇し、相対的に通貨の価値が下がることは変わりません。
日本国内でインフレが起これば、日本円の価値が下落し、円建て預金の資産価値が下がります。保有資産の多くが現金や預貯金の場合、インフレの影響を大きく受けて資産が目減りするため注意が必要です。
家計の負担が大きくなる
インフレの状況下では、物価が上昇するので家計の負担が大きくなります。影響を受けるのは食料品や衣服などのものだけではありません。
物価の上昇でサービスを提供する企業も経費が増えて、サービスの価格が値上げされる点にも注意が必要です。
2024年における日本のインフレ状況
総務省が公表した「消費者物価指数(2024年2月)によると、2020年を100とした物価の過去1年間の推移は以下のような結果となりました。
2023年 |
2024年 |
|||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
|
総合 |
104.4 |
105.1 |
105.1 |
105.2 |
105.7 |
105.9 |
106.2 |
107.1 |
106.9 |
106.8 |
106.9 |
106.9 |
(参考: 『2020年基準 消 費 者 物価指数|総務省』)
2023年から2024年にかけて物価上昇が続いており、現在も高値圏での推移が続いています。インフレは日本に限った話ではありません。
原油価格の高騰や半導体不足などの影響を受けて、全世界共通でインフレが発生しています。特に日本の場合には、米国を中心とする諸外国との金利差拡大による円安で、輸入品の価格が上昇に転じています。
国民の購買意欲が低く、景気が良くならない悪いインフレに陥っているのが現状です。
インフレ対策に投資・資産運用は必要?
インフレ対策として有効な手段は、インフレに強い資産に投資することです。インフレに伴って価値が上昇する実物資産や、利益上昇が見込まれる企業の株式に投資することで、保有する資産を増やせます。
投資せずに現金預金のみで資産を保有すると、通貨価値の下落によって資産が目減りするため注意が必要です。日本では歴史的な超低金利状態で、利息によって預金額が増えることは期待できません。インフレ状況下でも継続的に資産を増やしたいのであれば、積極的に投資に取り組む必要があります。
インフレに弱い資産の種類
資産にはインフレに弱いものと強いものがあります。インフレに弱い資産がポートフォリオの大半を占めると、インフレ時に資産が目減りするかもしれません。ここでは、インフレに弱い資産を3つ紹介します。これらの資産が占める割合が多いのであれば、インフレに強い資産を含むようにリバランスを検討しましょう。
為替で価値が変わる「現金・預金」
インフレが起こると、通貨の価値が下落するだけでなく、為替変動の影響も大きく受けます。円安の進行によって、外貨と比較して日本円の価値が下がるケースにも注意しましょう。
インフレ時には預金金利は上がるものの、預金金利の上昇スピードはインフレが進むスピードよりも遅い場合がほとんどです。相対的に資産価値が下落するため、現金・預金はインフレに弱い資産といわれています。
契約時に受け取る金額を定める「保険」
保険は、契約時に将来受け取る保険金の金額を定める仕組みです。契約時の経済状況に応じて保険料と保険金を決めるため、インフレが発生すると相対的に価値が下落します。
例えば、30年後に5,000万円を受け取る保険契約を締結した場合を考えてみましょう。継続的にインフレが進むと、契約時の5,000万円と30年後の5,000万円の価値は大きく異なります。額面は同じでも相対的な資産価値が下がるため、保険はインフレに弱い資産です。
マクロ経済スライドの「年金」
2024年4月現在、日本の年金制度では「マクロ経済スライド」を採用しているため、年金はインフレに弱い資産といえます。マクロ経済スライドとは、社会情勢に合わせて年金の給付水準を自動的に調整する仕組みで、インフレによる物価の上昇ほどは給付される年金額は増えません。
つまり、物価や賃金が2倍になっても給付される年金額は2倍にはならないため、相対的に資産を減らす結果につながります。
投資を用いて個人でできるインフレ対策の方法4選
投資の目的がインフレ対策であれば、インフレに強い資産を選ぶことが重要です。ここでは、インフレでも利益を出しやすい投資先を4つ紹介します。インフレに強い理由をチェックし、将来有望と思える資産があれば、自身のポートフォリオに組み込んだほうがよいか検討するとよいでしょう。
投資信託
投資信託とは、投資家が出資した資金を信託財産としてひとつにまとめ、株式や債券、コモディティに投資する金融商品です。運用会社の専門家が運用するため、投資家が運用指図をする必要はありません。
投資信託には、インデックスと同様の構成でファンドを組む「インデックスファンド」と、インデックスを上回る成果を目標として優良銘柄を厳選してファンドを組む「アクティブファンド」の2種類があります。
インフレによって成長が見込まれるファンドを選んで投資すれば、資産の増加が期待できることからインフレ対策として有効です。ただし、全ての投資信託がインフレに強いわけではないため、きちんと情報をチェックした上でファンドを選定しましょう。
株式投資
インフレが起こると、企業が販売する物品やサービスの商品価格が上昇します。価格の上昇により利益が増加して業績が上がれば、株価にも反映されるのが一般的です。株式投資に取り組めば、株価の上昇に応じて資産を増やせます。
インフレによる企業の成長を自身の資産形成につなげられるため、業績向上に期待できる企業の株式を保有するのはインフレ対策として有効です。
金投資
金は物そのものに価値がある実物資産です。世界的に信用が高く、インフレ時に需要が高まる特徴があるため、インフレ対策として保有する方も少なくありません。
「有事の金」とも呼ばれ、経済危機や世界情勢の変化があるときは資産の避難先の役割を果たします。インフレが懸念されるときは金の需要が増えて資産価値が上がるため、インフレ対策として有用です。
不動産投資
不動産も実物資産のひとつで、インフレによって物件価格が上昇します。購入時より高く売却することで大きな収益を生み出せるだけでなく、賃貸物件であれば家賃を増額することでより多くのインカムゲインが獲得できるでしょう。
不動産投資を始めるのであれば、立地条件やイグジットの取れる物件、利回りなどを相対的に加味し物件を選定する必要があります。
投資以外の方法を用いて個人でもできるインフレ対策の方法5選
インフレ対策として有効なのは、投資だけではありません。すでに保有している資産を見直すことでインフレによる悪影響を抑えられます。ここでは、インフレ対策におすすめの方法を5つ紹介します。自身の資産状況に合わせて、取り組めそうな対策があれば検討しましょう。
外貨預金をする
日本国内でインフレが起こると、日本円の価値が下落し、相対的に外貨の価値が上昇します。したがって、外貨預金をすることでインフレを資産形成につなげられるでしょう。
また、外国株式や外国債券を購入することもインフレ対策のひとつです。ただ、将来的に円高が進んで外貨の価値が下がったり、債券価格の下落や株価の下落などのリスクもあるため、その点は注意が必要です。
投資信託を見直す
すでに投資信託をしている方は、インフレに強いファンドに変更することを検討しましょう。インフレに強いファンドの一例は以下の通りです。
・コモディティファンド
・REIT(不動産投資信託証券)
・外国株式インデックスファンド
・全世界株式ファンド
インフレ時に価格が上昇する貴金属やエネルギー、農産物などのコモディティや為替の影響を受ける外国株式に投資するファンドは、インフレ対策に有効といえるでしょう。国内債券インデックスファンドは日本円の影響が大きくインフレに弱いため、インフレ局面では積極的に見直すことをおすすめします。
外貨建ても視野に入れて保険も見直す
保険もインフレに弱い資産です。インフレ対策を考えるのであれば、外貨建ても視野に入れて加入する保険を見直しましょう。既契約の保険を解約して別の保険に加入し直す場合、以下の要素を考慮して総合的にプラスになるかをチェックしましょう。
・すでに支払った保険料
・解約返戻金の金額
・今後支払う保険料
保険の種類や期間によっては解約するとマイナスになることがあります。保障が必要な場合、利率が悪い保険や固定金利の保険を中心に見直しましょう。資産運用の一環として加入するケースでは、より高い利回りを期待できる商品に掛け替えるのも有効な選択肢です。
住宅を購入する
住宅をはじめとした不動産を購入するのもインフレ対策になります。インフレに伴って保有する不動産の価値が上昇し、資産形成につながるでしょう。
不動産を購入するときは人気エリアの物件を選ぶなど、将来的に売却・賃貸する際に有利になるかを考慮することが大切です。将来的な利上げを見越して、早めに住宅ローンを組む方法もあります。
固定金利の住宅ローンへの借り換えに備える
住宅ローンを変動金利で契約している方は、固定金利に借り換えるのもインフレ対策のひとつです。変動金利の住宅ローンはインフレで返済額が増えるリスクがあるだけでなく、金利によっては未払い利息が発生し、最終的に一括返済が必要になるケースがあります。
インフレ局面にあるときは、固定金利の商品から上昇するのが一般的であることを考えると、借り換えは早めに実行したほうが負担軽減につながるでしょう。
インフレ対策に関するよくある質問
インフレ対策に関する理解を深めるためにも、よくある質問と回答も確認しておきましょう。
株式投資や投資信託はインフレ対策になりますか?
結論、インフレ対策になります。株式投資や投資信託で投資対象となる株式は、企業の業績によって価格が変動することが多いです。
インフレに強い資産を教えてください
インフレに強い資産として、株や投資信託などの有価証券、金や不動産などの現物資産、外貨預金や外貨建ての保険商品などの外貨建て資産などが挙げられます。
国や政府がインフレ対策をすることはありますか?
日本でインフレが生じた場合は、日本円の価値が下がります。そのため、国や政府は日本円の価値を維持する目的で利上げを実施して投資や消費を抑えます。利上げにはインフレを抑える効果がある一方で、株価の下落、ローンの金利上昇による返済負担増加、円高へのトレンド変化などを招く点には注意が必要です。
インフレ対策ならネイチャーグループにお任せ!
インフレ下で大切な資産を守るには、インフレに強い資産を中心に投資することが重要です。すでに投資に取り組んでいる方でも、ポートフォリオのリバランスが必要な場合があります。手元の資産をより効率的に増やすには、税務と投資の両面を意識しましょう。
ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、税金対策と資産運用をトータルサポートします。インフレ対策として新たな資産運用に取り組もうと考えている方や選択肢が多く何を選べばよいか判断できない方は、ぜひこの機会にご相談ください。税金対策・資産運用セミナーも開催しています。
まとめ:インフレ対策で上手に資産を形成しよう
インフレが発生して物価が上昇すると、相対的に通貨の価値が下がります。現預金を中心に資産を形成していると、手持ちの資産が目減りすることにつながり危険です。インフレ局面で継続的に資産を形成するには、インフレに強い資産を中心に投資を進めなければなりません。
ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、インフレ対策を資産運用・税務対策の両面から徹底サポートします。将来的な資産形成にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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芦田ジェームズ 敏之
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資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。
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