2022年12月7日2023年4月6日税金対策
節税とは何かを正しく解説!注意点や具体的なテクニックも紹介します
節税をすると納める税金を削減できるため、手元資金の増額につながります。ただし、やり方を間違えると脱税行為と見なされたり、ペナルティが課されたりする恐れがあるため注意が必要です。
そこで今回は、節税の定義や意味と、具体的な節税方法を紹介します。節税時の注意点も併せて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
節税とは
節税をする際はまず、節税に関する基本的な知識を身に付けることが大切です。節税は合法的に納める税金を減らす行為であり、所得を隠ぺいしたり納めるべき税金を故意に支払わなかったりする行為のことではありません。ここでは、節税の考え方や脱税との違いについて解説します。
節税の考え方
節税は税務制度に即した方法で、合法的に納める税金を減らす行為です。具体的には、控除を用いたり、経費を適切に計上したりすることで納める税金を抑えられます。
控除とは、所得や算出税額から一定額を差し引きできる制度です。所得税や住民税を計算する際に控除を利用することで、税額が小さくなります。また、経費とは業務のために使用したお金のことです。所得を出す際は利益から経費を差し引きするため、経費が増えれば課税対象になる所得を小さくできます。
脱税とは大違い
脱税とは、違法な方法で会社の利益や納める税金の額を減らす行為です。「実際の所得よりも低く申告する」「本来経費にできない費用を計上する」といった行為は脱税と見なされる恐れがあります。脱税行為の一例は以下の通りです。
・経費や人件費を水増しする
・売上を過少申告する
・在庫数を少なく申告する など
また、申告内容に不明瞭な点があると、脱税の可能性があるとして調査される可能性が高くなります。脱税と判断された場合、ペナルティが課されるため注意しましょう。
脱税がバレた場合のペナルティ
脱税すると悪質性に合わせてペナルティが与えられます。ペナルティの内容は以下の通りです。
・過少申告加算税
・無申告加算税
・不納付加算税
・重加算税
・延滞税
「10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金」といった刑罰が与えられる上、社会的な信用を失う恐れもあります。社会的信用は一度失ってしまうと回復が難しいものです。脱税によって失うものは得る利益よりも大きくなるでしょう。
また、所得隠しや課税逃れといった明らかな脱税行為だけでなく、計算ミスや申告漏れでも悪質性があると脱税に該当する可能性があるため注意が必要です。
節税時のよくある失敗と注意点
節税方法を間違えると脱税につながる恐れがあります。節税時に起こりやすい失敗や注意点を事前に確認し、対策を立てることが大切です。ここでは、節税時に気を付けたいポイントを紹介します。知識を深め、正しく節税しましょう。
不要な支払いをしてしまう
節税時のよくある失敗として、大きな節税を目指すために余計な支出が増えてしまうことが挙げられます。例えば、減価償却費を増やそうとして不要な事務用品を購入したり、経費を増やそうとして会社用の車を買い替えたりするといったケースです。
支出が増えれば、保有資産が減ります。節税の目的は手元資金の増額であるため、余計な出費が増えるのは本末転倒です。
所得の申告に漏れがある
申告漏れとは、計算ミスや申告書の記載ミスによって納める税額が少なくなることです。また、申告期限に遅れても申告漏れと見なされることがあります。
申告漏れは悪意がないケースもあることから、悪質性が低ければ脱税とは見なされません。しかし、過少申告税や無申告加算税などが加算されるため要注意です。正しく所得税申告できるよう、余裕を持って申告作業を進めましょう。
何でも経費に計上する
経費を増やせば課税所得が減るため、「何でも経費にしてしまおう」とする方も中にはいます。しかし、本来経費計上できない費用まで申告すると、所得を過少申告したとしてペナルティが与えられるため止めましょう。
経費に計上できる費用の範囲は、法人か個人事業主かといった立場によって異なります。自身のケースではどのような費用が経費になるのかを事前に確認し、会計知識を深めておくことが大切です。
会社員に適した節税テクニック3選
会社員には基本的に経費がないため、控除や税制優遇制度を利用した節税方法が最適です。ここでは、会社員の方におすすめの節税テクニック3選を紹介します。なお、ここで紹介する節税方法は個人事業主にも当てはまるものです。個人の所得税や住民税を減らしたいときに参考にしてみてください。
税額控除を利用する
税額控除とは、課税所得に所得税率をかけて算出した税額から、一定額を控除できる制度です。税額から直接差し引きできるため、大きな節税効果を期待できます。税額控除の一例は以下の通りです。
・配当控除
・外国税額控除
・政党等寄附金特別控除
・住宅借入金等特別控除
・寄附金控除 など
特に、ふるさと納税(寄附金控除)は比較的気軽に利用できます。ふるさと納税は、任意で地方自治体に寄付する制度であり、納める税額を削減する効果はありません。しかし、寄附をすると各自治体から返礼品が送られるため、その分はメリットを得られます。
所得控除を利用する
所得控除とは、所得税を計算する際に課税所得から一定額を差し引きできる制度です。所得控除を利用すると、課税対象となる所得が減るため所得税を減額できる可能性があります。所得控除の一例は以下の通りです。
・基礎控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・医療費控除
・寄附金控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・ひとり親控除 など
所得控除は所得税を計算する際に個人の経済事情を反映するためのシステムで、一定の要件を満たす場合に控除を利用できます。
税制優遇制度を利用する
iDecoやつみたてNISAといった税制優遇制度を利用して資産運用するのも方法のひとつです。納める税金を減らしながら資産形成できます。制度概要は以下の通りです。
iDeco(個人型確定拠出年金) | つみたてNISA(少額投資非課税制度) | |
---|---|---|
加入目的 | 老後のための資産形成・資産運用 | 資産運用 |
加入条件 | 20歳~65歳未満の国民年金保険者 | 20歳以上の国内居住者 |
引き出し制限 | 60歳まで不可 | 制限なし |
優遇措置 | ・運用益が非課税 ・掛金を全額所得控除可能 ・受け取り時も控除が適用される |
・運用益が非課税 |
特にiDecoは、優遇措置が複数用意されています。掛金の全額が所得控除の対象となり、給付金の受け取り時も控除を利用可能です。資産運用なので預貯金とは異なり、複利によるリターンも期待できます。節税だけでなく資産運用も検討中の方に適した制度です。
個人事業主に適した節税方法3選
個人事業主は自身で経費や所得税の計算をして、税務署に申告をします。計上する経費を増やしたり、特別控除を利用したりすることで節税が可能です。ここでは、個人事業主に適した節税方法を3つ紹介します。
青色申告で申告する
青色申告とは、個人事業主における確定申告方法の一種です。青色申告と白色申告の2種類の申告方法があり、青色申告を利用することで、より税制優遇の恩恵を受けられます。青色申告の特徴とメリットは以下の通りです。
・青色申告特別控除:最高65万円の所得控除を利用できる
・青色申告専従者給与:一緒に事業を営んでいる家族への給与を経費にできる
・純損失の繰越・繰戻し:赤字所得を翌年度以降に繰り越したり、前年度以前に繰り戻したりできる
・30万円未満の減価償却資産の一括計上:30万円未満の固定資産にかかる費用を一度に経費計上できる
青色申告で申告する際は、申告する年の3月15日(1月16日以降に開業したときは開業の日から2か月以内)までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。また、複式簿記による帳簿の提出も求められるため、青色申告を利用する際は会計知識も深めましょう。
プライベートの費用と家事按分する
家事按分とは、プライベートと事業の両方で使用している費用において、事業用として使用している分だけを経費計上する会計方法です。自宅で仕事をしている方や、プライベートと仕事で同じパソコンを使用している場合などは、家賃や通信費を使用割合に応じて按分できます。家事按分できる費用の一例は、以下の通りです。
・家賃
・水道光熱費
・車両費
・通信費
・減価償却費
例えば、通信費1万円のうち2分の1を事業に使用しているとすると、5,000円分を経費計上できます。家事按分を考慮せずにプライベートでの使用分も経費に計上してしまうと、税務調査で指摘を受ける恐れがあるため注意しましょう。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業経営者が退職金の代わりとして積立をするための共済保険です。月々の掛金は1,000円~7万円の範囲で自由に設定可能で、掛金の全額を所得控除できます。
また、小規模企業共済に加入すると、今までの掛金のうち一定割合までの貸付を受けられるのもメリットのひとつです。売上が減少した際や経営状態がひっ迫したときにも、迅速に事業資金を用意できます。
法人経営者に適した節税方法3選
法人に課せられる税金は法人税です。法人が事業活動で得た所得に対して、一定の税率が課せられます。
納める法人税を削減し、事業活動に使用できるお金を増やしたいと考えている経営者の方は多いでしょう。法人税の節税方法は複数ありますが、その中でも特にメリットの大きい方法を3つ紹介します。
会社や従業員に投資する
会社や従業員への投資とは、教育費や資格取得費用、福利厚生費を増やすことです。会社や従業員への投資にかかる費用は、一定の条件に合致する場合、経費として計上できます。例えば、以下のような費用は経費計上が可能です。
・従業員の資格取得費用:教育研修費
・従業員の健康診断にかかる費用:福利厚生費
・社員旅行にかかる費用:福利厚生費
・新しい設備の導入にかかる費用:消耗品費・減価償却費
従業員のモチベーション向上や、業務効率アップを狙えるのも投資による節税のメリットといえます。
経費を漏れなく計上する
法人の場合、経費計上できる範囲が広いため、できるだけ漏れのないよう計上することが大切です。例えば、以下のような費用も経費として認められます。
・従業員の住んでいる家(社宅)
・不要な在庫を処分した費用
・会社で使用している車にかかる費用(社用車)
・従業員への給与や賞与といった未払費用
・経営セーフティ共済の掛金 など
こういった費用を経費計上することで、課税所得の削減が可能です。法人税額は「課税所得×税率」で計算するため、課税所得が減れば納める税額も削減できる可能性があります。
赤字を繰り越す
赤字所得の繰り越しも法人税の節税に有効です。赤字所得を繰り越しすると、黒字所得になった年に、その黒字分を赤字所得で相殺できます。また、一定の条件を満たせば、損失金の繰り戻しも可能です。繰り戻しの制度を利用すると、過去の黒字所得を赤字所得で相殺できます。
法人に認められている損失金の繰り越し期間は最長10年です。個人事業主は最長3年と法人に比べると短くなりますが、個人事業主でも条件を満たせば損失金の繰越控除を利用できます。
税金の申告・納税方法と申告期限
所得税や法人税が発生する際は、正しく申告・納税することが大切です。申告期限に遅れたり記載内容にミスがあったりすると、税務調査によりペナルティが課される恐れがあります。申告・納税方法や申告期限を事前にしっかりと確認し、的確に対応しましょう。
会社員の場合
給与所得者は、会社が代わりに年末調整の手続きをしてくれるため、ほとんどのケースで確定申告が不要となります。
年末調整とは、従業員の1年間の納税額を計算し直す手続きです。給与所得者は給与を受け取る際に、あらかじめ所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されており、年末調整で過不足金が調整されます。ただし、以下のような方は確定申告が必要です。
・副業による所得が20万円を超える
・年間収入が2,000万円を超える
・年の途中で退職し、その後再就職していない
・退職所得の受給に関する申告書を提出していない
・不動産による収入がある
・2か所以上から給与をもらっている
・株式投資をしているが特定口座(源泉あり)を利用していない
・満期保険金などが一定額を超えている
詳細は国税庁ホームページでも確認できます。申告義務があるにもかかわらず無申告でいるとペナルティが発生するため注意しましょう。
(参考: 『確定申告が必要な方 国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm)
個人事業主の場合
確定申告とは、1月1日から12月31日までに得た所得や納税額を自身で計算し、申告・納税するための手続きです。個人事業主や会社経営者、一定の条件に合致する会社員は確定申告の義務が発生します。
確定申告の期限は、申告対象となっている年度の翌年2月16日から3月15日までです。住所地を管轄する税務署に申告・納税をします。申告・納税方法は複数あるため、自身に合った方法を選択しましょう。
申告方法 | ・税務署への窓口持参 ・税務署に郵送 ・税務署の時間外収集箱へ投函 ・e-Taxでの電子申告 |
---|---|
納税方法 | ・振替納税を利用 ・e-Taxで納付 ・クレジットカードで納付 ・コンビニエンスストアで納付(QRコード納付) ・金融機関や税務署の窓口での現金納付 |
法人の場合
法人税も、もちろん確定申告が必要です。法人税は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に事業所の所在地を管轄する税務署に申告・納税をします。また、事業を開始してから2年目以降の企業で、前事業年度の法人税額が20万円を超えるケースでは中間申告もしなければなりません。
中間申告の期限は、事業年度開始から6か月経過時点である「中間」日より2か月以内です。予定申告と仮決算の2つの申告方法があります。中間申告は法人税を納付する際の負担を軽減するための措置です。税金を納めすぎたときは、確定申告により還付を受けられます。
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まとめ
節税とは、税法上有効な手段を用いて納める税金を少なくする方法です。しかし、やり方を間違えると脱税と見なされ、刑罰や追徴課税のペナルティが発生する恐れがあります。税務に関する知識を深め、適切な方法で節税することが大切です。
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また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。
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