「フィリピンの税金は日本とどう違うの?」
「フィリピンの税金について、知らないと損することはある?」
物価の安さから、フィリピンへの移住を考える方も増えています。しかし、税金に関する情報を仕入れずに移住してしまうと、税額が高く生活が苦しくなってしまう恐れもあります。
本記事では、フィリピンに移住する前に知っておきたい税金制度について、わかりやすく解説します。
税金の種類だけでなく、確定申告についても解説しておりますので、フィリピンへの移住を検討されている方はぜひご覧ください。(本記事掲載内容は2024年6月時点の内容です。最新の情報については、公式サイトや最新のニュースをご確認くださいませ。)
フィリピンの税金は大きく3種類
国税 | 地方税 | 市・自治区税 |
---|---|---|
所得税(法人税) キャピタルゲイン税 相続税 贈与税 付加価値税 物品税 など |
不動産取引税 フランチャイズ税 住民税 など |
事業税 固定資産税 など |
フィリピンでは、主に上記の税金が発生します。特に代表的な税金について見ていきましょう。
国税
国税には、所得税(法人税)やキャピタルゲイン税、相続・贈与税など日本でも馴染みのある税金が多く存在します。付加価値税(VAT)は、日本における消費税に近く、間接税の一種です。
この中でも個人に多く関わってくるのは、所得税とキャピタルゲイン税です。自ら申告を行い納付する必要があるためご注意ください。
地方税
地方税には不動産取引税、フランチャイズ税などが存在します。不動産投資を行う場合、購入時に不動産取引税がかかるため注意しましょう。
市・自治区税
市・自治区税は地方税と同様に、地方自治体によって定められた税金です。税金を納める方法によって「直接税」「間接税」に分類される特徴を持ちます。
不動産投資を行う場合は、固定資産税がかかるため注意しましょう。
フィリピンでかかる主な税金の税率
フィリピンでは「個人所得税」「キャピタルゲイン税」が主にかかる税金です。それぞれの税率を見ていきましょう。
個人所得税は0〜35%
居住者の個人所得税は、0〜35%と幅があります。日本と同様、年間の課税所得に応じて税率が上がるため、年収が高いほど税率も高くなります。
課
税所得(年間) | 所得税率 |
---|---|
25万ペソ以下 | 0% |
25〜40万ペソ | 15% |
40〜80万ペソ | 20% |
80〜200万ペソ | 25% |
200〜800万ペソ | 30% |
800万ペソ超え | 35% |
日本と同じ累進課税制度であり、フィリピンの税率も一定の金額を超過した部分から税率が上がるため注意しましょう。
なお、年間の滞在日数が180日以下である非居住者の場合は、個人所得税はフィリピン国内の源泉所得にのみ税率25%で固定で課税されます。181日以上の場合は、居住者と同様の税率が課せられます。ただし、日比租税条約に定められた短期滞在者免税規定の要件を満たした場合は、フィリピンでの課税は免除されます。
キャピタルゲイン税は譲渡益の15%
フィリピンではキャピタルアセットに該当する資産の譲渡損益については、通常の所得とは分離されて計算が行われます。これらの資産に対するキャピタルゲイン税は、異なる税率が課税され、最大で譲渡益の15%となっています。これはフィリピンの非上場株式の場合です。
フィリピン国内の上場企業の株式におけるキャピタルゲイン税は免税となり、売却価額に対して0.6%のパーセンテージ税が課されます。
投資用不動産の売却で生じた売却益には、売却価格もしくは公正市場価格のいずれか高い方に6%をかけた税率が課税されます。
キャピタルゲイン税の申告・納税期限は取引日から30日以内と、タイトなスケジュールになるためご注意ください。
フィリピンの個人所得税は日本と比べて高い
フィリピンの個人所得税は、日本と比べ高い傾向にあります。2024年4月15日現在のレート(1ペソ≒2.7円)で比較してみましょう。
課税所得(年) | フィリピンの税率 | 日本の税率 |
---|---|---|
80〜200万ペソ (216〜540万円) |
25% | 10~20% |
200〜800万ペソ (540〜2,160万円) |
30% | 20~40% |
800万ペソ超え (2,160万円〜) |
35% | 40%~45% |
※それぞれ課税される税率のうち最も高い部分を表示
900万円までの課税所得であれば、日本の方が安く、それ以上であればフィリピンの方が安くなります。年間の滞在日数が180日以下の場合は、一律で25%になるため、ケースによっては日本と同等になることもあります。
また、フィリピンの物価は日本よりも安いため、移住を検討している場合はトータルでの金額算出が重要です。
フィリピンの主な非課税所得
個人所得税を計算する際、非課税所得となるものを控除して課税所得を算出します。フィリピンには非課税所得が多数あるため、代表的なものをおさえておきましょう。
- 生命保険金
- 損害補償金
- 合理的退職金制度に基づく退職金
- 13ヶ月給与で90,000フィリピンペソを超えないもの
また、以下のような例に当てはまる少額手当も非課税所得になります。
- 年間10日以内の未使用有給休暇の買取
- 従業員扶養家族向け医療現金手当(250ペソ/月)
- お米手当 (2,000ペソ/月または50kg)
- 制服・衣料手当(6,000ペソ/年)
- 医療費実費負担(10,000ペソ/年)
- 洗濯手当(300ペソ/月)
- 従業員表彰記念品(年間10,000ペソまでの金銭など価物で支給(現金や金券は不可)
- クリスマスやその他の式典で与えられるギフト(従業員1人当たり年間5,000ペソまで)
- 残業食事手当 (各地域の最低賃金の25%)
- CBAおよびProductivity Incentive Schemesによる報酬(RRNo.1-2015)(両項目の合計でPHP10,000/年)
フィリピンでかかる税金の確定申告
フィリピンでの収入は、基本的に源泉徴収されますが、フィリピンでは居住性があると認められる場合、一定のケースで確定申告が必要になります。居住性があるとみなされるのは、以下の場合です。
- フィリピン国籍を持っている個人
- 年間180日超フィリピンに滞在している
確定申告の期限
翌年の4月15日までに、確定申告書(1月1日〜12月31日までのもの)を提出する必要があります。
2024年1月1日〜12月31日の所得を例にすると、2025年4月15日が提出期限となります。
確定申告の方法
確定申告書である「BIR Form1700」に記載して提出します。
なお、フィリピン法人の源泉徴収には日本法人からの給与分が含まれていません。よって、日本法人から支給される給与も合算し、フィリピン国内源泉所得を再計算した上で、税務署へ確定申告が求められます。
なお、合算したフィリピン国内源泉所得から算出された所得税額と、源泉徴収により納付済みの所得税額を引いた差分を税務署に納付してください。
確定申告は、フィリピン法人からの所得と日本、その他海外関係会社からの所得を必ず合算して申告しましょう。
税金の計算方法
個人所得税は、非居住者とみなされた場合、25%で固定になります。
180日超滞在している場合は居住者とみなされるため、課税所得に応じ税率が上がる累進課税が採用されます。
「フィリピンでかかる主な税金の税率」の表をもとに、税率を掛け合わせて計算しましょう。
課税所得(所得-控除額)×所得税率=納税額 |
フィリピンの税金・確定申告に関する罰則
フィリピンで納税をするにあたって、よくある罰則は「納税遅延」によるものと、「過小申告」によるものがあります。
納付遅延に関する罰則は、通常、遅延額(本税)の25%が罰金になります。
不正があったと判断された場合は50%が罰金になるため、確定申告は正しく行いましょう。過少申告については、額に応じて加算税が課されます。
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まとめ:フィリピンの税金制度を理解して正しく納税しよう
フィリピンの税金の制度は日本と似ていますが、細部が異なります。
正しく理解していなければ、過少申告となり加算税が課されるため注意してください。
基本的には源泉徴収をもとに申告が行われますが、居住性があると認められる場合は原則確定申告が必要になります。特に所得税やキャピタルゲイン税は自ら申告・納税する必要があり、期限内に申告しないとペナルティが発生する可能性があるためご注意ください。
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