固定資産税は計算方法がやや特殊で、いくつもの制度が絡み合い計算されています。専門的な知識を必要とする分野であり、節税の難易度も高いでしょう。
そこで本記事では、固定資産税を節税する方法についてわかりやすく解説します。固定資産税の基礎から、具体的な方法、免税・減税になるケースまで解説しておりますので、固定資産税における節税の全体像がわかる記事となっております。
土地や建物をお持ちでお困りの方は、ぜひご覧ください。
固定資産税を節税するための基礎知識
固定資産税の金額は、固定資産税評価額という役所が決めた価格により行われます。詳細はあなたの土地や建物の状況により異なりますが、一般的には以下のケースが多いです。
- 土地:時価の7割
- 建物:請負工事金額の5〜6割
具体例を見てみましょう。
【土地と建物の評価額を合計1,000万円とした場合】
1,000万円 × 固定資産税1.4% =14万円
これに加えて、地域毎に都市計画税(一般的には0.3%)がかかる場合があります。
1,000万円 × 都市計画税0.3% = 3万円
つまりこの場合だと、合計「17万円」かかるわけです。実際の計算になると土地、建物それぞれの評価額が異なりますので、値段は目安程度にご覧ください。
固定資産税が免税になる3つの条件
固定資産税が免税になる条件は、大きく3つあります。
- 固定資産税の課税標準額が免税点未満のケース
- 公園や私道になっているケース
- 災害により修復不能な被害にあったケース
1.固定資産税の課税標準額が免税点未満のケース
固定資産税の課税標準額が免税点未満のケースは固定資産税が免除になります。
簡単に言い換えると、資産価値の低い土地や建物は税がかからないということです。同じ市町村内に自分の土地・建物が複数ある場合はその合計額での判断となります。
具体的には、合計額が以下の通りであれば、免税の対象になります。
- 土地:30万円未満
- 家屋:20万円未満
- 償却資産:150万円未満
2.公園や私道になっているケース
まず、地方公共団体や学校法人、社会福祉法人などの所有物であり、かつ本来の目的通りに運用されているものは非課税になります。
また、私有地の場合でも公園や私道など、公益性が高いと判断される場合に非課税になるケースがあります。
3.災害により修復不能な被害にあったケース
地震などの災害で、建物が居住できないなど使用目的が果たせないほどの被害にあった場合、固定資産税は全額免除または被害の度合いによって減免されます。
固定資産税が減税になる5つのケース
ここでは、固定資産税が減税になる5つのケースを紹介します。
- 住宅用地の特例を利用するケース
- 新築一戸建て・マンションを購入したケース
- 土地を農地転用したケース
- 省エネ改修工事を実施したケース
- 災害により固定資産が破損等したケース
1.住宅用地の特例を利用するケース
住宅用の土地には一戸当たり200㎡まで、小規模住宅用地の特例が適用されます。これは簡単に言い換えると、住居などの建物がある場合、土地の固定資産税評価額を1/6にするというものです。
また、200㎡を超えるものでも、住宅用地の特例が適用され、土地の固定資産税評価額が1/3になります。
2.新築一戸建て・マンションを購入したケース
以下の条件を満たす新築一戸建ては、3年間の固定資産税(120㎡相当まで)が半分に減税されます。
- 2024年3月31日までに取得等した新築住宅
- 床面積が50〜280㎡以下
- 家屋の床面積のうち居住用部分が1/2以上であること
また、マンションであれば以下の条件を満たせば、5年間の固定資産税が半分に減税されます。
- 3階建て以上
- 耐火構造・準耐火構造住宅
- 床面積が一戸につき50㎡(共同住宅や区分所有の貸家は40㎡)以上250㎡以下
3.土地を農地転用したケース
建物が無い土地で、土質などの環境が適している場合、農地転用も方法の一つです。通常の土地から農地になると、農地課税と呼ばれる種類の税金になり、課税額が低くなるため、ケースによっては倍以上税額が異なることも珍しくありません。
地方にある更地の土地に固定資産税がかかり続けているのであれば、農地転用も選択肢の一つに加えましょう。
4.省エネ改修工事を実施したケース
120㎡までの住宅で、省エネ改修工事を実施した場合は翌年の固定資産税が1/3まで減税されます。
ただし、窓の断熱改修工事を必須として、床や天井・壁の断熱工事、高効率空調機の設置や高効率給湯器の設置などを行っていること等様々な要件があります。
全ての要件を満たした上で、市区町村窓口に「固定資産税減額申告書」及び「増改築等工事証明書」を期限内に提出し、認可されると減額を受けられます。
5.災害により固定資産が破損等したケース
土地や建物などの固定資産が著しい破損を受けると、その後に納期限がくる分は、固定資産税が減税または免除となるケースがあります。
ただし、これには申請手続きを取らなければなりません。
細部内容については自治体により異なり、役所の判断となりますので、まずは固定資産がある市区町村のホームページをご覧の上、役所にお問い合わせください。
また、災害時に住宅が被害にあった場合は、災害減免法により所得税も軽減される可能性があります。固定資産税と共に確認しておきましょう。
固定資産税を節税する4つの方法
固定資産税を節税するには、大きく4つの方法があります。
- 土地を分筆する
- 土地の登記簿と実際の面積などに間違いがないか確認する
- 認定長期優良住宅の認定に向けて申請する
- 省エネ改修工事などのリフォームをする
1.土地を分筆する
土地の分筆とは、登記簿に登録する際土地を複数に分割して登記することです。
土地を分割して登記することで、固定資産税評価額を下げられるケースがあります。
ただし、分筆のための測定などで費用が発生しますので、行うべきかどうかは専門家に相談しつつ判断しましょう。
2.土地の登記簿と実際の面積などに間違いがないか確認する
役所から送られてくる「納税通知書」と「登記簿」などを見比べて、記載されている内容に間違いが無いかを確認します。
特に、小規模住宅用地の特例が適用され減額されているか、要件を満たす新築で、評価額が軽減されているかなどについては注意して確認しましょう。
3.認定長期優良住宅の認定に向けて申請する
認定長期優良住宅というものに認定されると、固定資産税の1/2減額の期間が最大5年に延びます。(マンションであれば最大7年)
さらに住宅ローン減税が受けられる、登録免許税の税率引き下げが行われるなど他の種類の税金においても多くのメリットがあります。
認定基準を満たす必要があり、手数料と手間がかかりますがその分リターンが多いものであるため検討しましょう。
4.省エネ改修工事などのリフォームをする
固定資産税は、省エネ改修や耐震改修、バリアフリーといった一定の要件を満たしたリフォームを行うと固定資産税が3分の1になります。
ただし、実際にかかった工事費用が対象になるわけではありません。「標準的な工事費用」として国土交通省が設定した金額が適用される点には注意してください。
また、建物の120㎡までの範囲でなければ固定資産税が3分の1になりません。物件の大きさも考慮する必要があります。
知らないと損をする!固定資産税の注意点
固定資産税は知らなかったばっかりに損をしてしまう注意点があります。一つひとつ見ていきましょう。
更地や状態の悪い空き家だと固定資産税が高い
更地の場合、小規模住宅用地の特例が無くなるため、固定資産税が3〜4倍に跳ね上がります。(更地の場合、課税標準額の70%で計算することが多い)
空き家問題に対する制度は先ほどお伝えした通りですが、京都府では「空き家税」というものが制定され、2024年から導入予定となっています。
更地だけでなく、今後は空き家であっても住宅用地の特例が受けられない可能性が出てきていますのでご注意ください。
滞納すると遅延金が発生する
固定資産税は滞納すると、通常の税金に加えて遅延金を払う必要があります。遅延金の割合は各自治体により異なりますが、東京都内では1ヶ月までの滞納は「2.4%」、1ヶ月以上の滞納は「8.7%」の遅延金が発生します。
遅延金は数千円〜数万円になるケースが多く、痛手になってしまうので納税時期は確認しておきましょう。多くの場合4月頃に課税されることが多いです。
取り壊し・土地の引き払いは年内に完了させる
固定資産税をかからないようにするために建物を取り壊す、土地を引き払う場合は年内に全て完了するようにスケジュールを組みましょう。
固定資産税は毎年1月1日にその物件・土地を所有している人に課せられます。
例えば、建物の取り壊しは年内に終わったけれど、土地の引き払いが1月1日段階で済んでいない場合、固定資産税がかかります。
さらにこの場合ですと、住宅用地の特例が受けられませんので、土地の固定資産税が3〜6倍になることも。
取り壊しや土地の引き払いをする場合は、計画的に進めて必ず年内に完了させましょう。
固定資産税の節税に関する相談はネイチャーグループへ
固定資産税の節税は、さまざまな制度を利用してようやくできるものです。個人で調べるには難しい上に、放っておくと毎年高い税金がかかってしまいます。
もしあなたが固定資産税でお悩みなら、ネイチャーグループの無料相談をご利用ください。今何が問題で、新しい制度を含めた選択肢を取ればどれだけ減額できるかなどのお話をさせていただきます。
もちろん、固定資産税以外の税金についても対策方法をお伝えできることがありますので、まずはお気軽にご連絡ください。
ネイチャーグループに無料相談してみる
まとめ:固定資産税の節税対策は正しい方法で実践しよう
固定資産税は土地の場所、状態や住宅の有無などによって適用される制度が異なり、複雑に絡み合った上で計算されています。
固定資産税の節税は住宅用地の特例などの制度を理解した上で、納税通知書を見直す、各種申請を行うなどして正しく実施しましょう。
特に土地・住宅に関しては近年新しい制度が施行される、以前の制度が修正されるなど近年変化の多い分野になります。
相続や贈与にも直接関係してくる分野であるため、不動産と税金に詳しい専門家と共に節税対策することをおすすめします。
資産運用や税金対策についてどんな不安や疑問もコンサルタントが丁寧にお答えします。
お客様の保有資産をさらに増やすための最適な提案を数多くの選択肢からご提供します。
豊富な経験と、投資や税務の様々な視点から、お客様にあった税金対策を提案します。
「富裕層であればあるほど税負担が高くて困る。」「所得税・法人税の対策をしたいが難しい。」などとお困りではありませんか?
ネイチャーグループでは、参加無料のオンラインセミナーを開催しています。メディアに多く出演している弊社ネイチャーグループ代表 芦田ジェームズ 敏之が登壇し、2023年度の税制改正に対応した節税術を無料公開いたします。ご自身の資産を残すために役立つ内容のため、是非ご参加ください。