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シンガポールの所得税・法人税の税制を紹介!日本との違いもわかりやすく解説

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「シンガポールへの移住を検討しているけど、所得税の制度がどうなっているか知りたい」

「シンガポールと日本で所得税の税制は異なる?」

海外の移住先候補として高い人気を誇るシンガポールですが、日本と比較して所得税率が低い国としても知られています。これからシンガポールに移住したいと考えている方もいるでしょう。

そこで本記事では、シンガポールでの所得税・法人税を中心に税制度の違いを解説します。

さらに、シンガポールでの節税に役立つ優遇制度や、税額がどれだけ安くなるかのシミュレーションもしていますので、ぜひ参考にしてください。

(本コラムは2024年2月時点の内容です。最新の情報については、公式サイトや最新のニュースをご確認くださいませ。)

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シンガポール税制の概要

シンガポールの税制は、滞在日数により居住者・非居住者の区分けがされ、課税税率も異なる特徴があります。

具体的にはシンガポールでは滞在日数が183日以下の場合、非居住者という扱いになり、税率が安くなる、又は免税にもなります。

また、シンガポールにはNOR(Not Ordinary Resident)スキームと呼ばれる駐在員向けの優遇制度もあります。この制度を適用すると、個人所得税を節税できる場合があるため利用する人の多い制度です。

NORスキームの条件と優遇措置は、以下の通りです。

条件・NORスキームを最初に認定される直前3年間はシンガポールで税務上の居住者でない
・シンガポール国籍・永住権保有者でない
・所得がSGD160,000以上ある
・年間90日以上ビジネス目的でシンガポールに滞在する
優遇措置(駐在開始後5年間適用)・勤務日数による所得の配分計算が可能(ただし、課税所得が全給与所得の10%以下の場合、10%が所得税額になる)
・シンガポール国外の年金制度における会社負担分が免税される(上限あり)

まずはこうした概要を把握しておいてください。

シンガポールの個人所得税

シンガポールの個人所得税について見ていきましょう。ここでは、以下の項目を詳しく解説します。

  • 個人所得税率
  • 対象者
  • 申告と納税方法

シンガポールの個人税は、所得税のみです。住民税などの地方税はありません。

シンガポールの個人所得税率

シンガポールの個人所得税率は、日本と同じ累進課税制度です。

大枠の仕組みは同じですが、税率が異なります。2024年における累進課税率を見ていきましょう。

所得額累進課税
〜20,000Sドル0%
20,001〜30,000Sドル2%
30,001〜40,000Sドル3.5%
40,001〜80,000Sドル7%
80,001〜120,000Sドル11.5%
120,001〜160,000Sドル15%
160,001〜200,000Sドル18%
200,001〜240,000Sドル19%
240,001〜280,000Sドル19.5%
280,001〜320,000Sドル20%
320,001〜500,000Sドル22%
500,001〜1,000,000Sドル23%
1,000,001Sドル〜24%

参照:シンガポールにおける 個人所得税の申告について

2024年2月執筆時の1Sドルは約111.5円なため、日本よりも所得税額がかなり安くなることがわかります。

個人所得税の対象者

183日を超えて滞在している場合は居住者とみなされ、国内源泉所得(現地及び日本の給与)は課税対象になります。ただし、日本での不動産収入など国外での源泉所得は非課税な点に注意しましょう。

非居住者の場合、原則として国内源泉所得は課税対象です。しかし、短期滞在者免税適用要件(183日ルール)により免税されるケースもあります。詳しくは後述しますのでそちらをご覧ください。

個人所得税の申告と納税方法

シンガポールにおける個人所得税の納税方法は、確定申告方式です。サラリーマンなどの給与所得者であっても確定申告が必須であり、日本のように源泉徴収がない点に注意しましょう。

基本的な流れは以下の通りです。

  1. 前年の所得税を申告する
  2. 税額の通知を受け取る
  3. 記載税額を納付する(最大12ヶ月)の分割も可能

以前は紙での確定申告でしたが、近年では、電子申請が主流となっています。

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シンガポールの法人税

ここではシンガポールの法人税について見ていきましょう。

シンガポールの法人税率

シンガポールの法人税率は17%です。世界で最も低い税率国の一つであり、ここからさらに軽減税率が適用されます。

課税所得の20万シンガポールドルまでは8.3%の税率になり、特別措置があればより税負担が低くなるため、日本と比べ法人税の負担が軽いのが特徴です。

法人税の申告と納税方法

シンガポールでは、決算日から3ヶ月以内に見込み所得を申告します。

ただし、年間の売上高が500万シンガポールドル未満で、課税所得が発生していない場合には見込みの申告は不要です。

確定申告は、決算日が含まれる年の翌年11月末までに確定申告書を提出する必要があります。提出後は、税務署が決定した金額の通知書を受け取って納税します。

シンガポールと日本の個人所得税・法人税の違い

ここではシンガポールと日本の個人所得税・法人税の違いについて解説します。

シンガポールと日本との違い|個人所得税

シンガポールの個人税は所得税のみで、地方税がありません。確定申告制度のみであり、源泉徴収されない点も違いの一つです。

累進課税である点は共通していますが、以下のように税率が異なります。

所得税率
シンガポール0%〜20%
日本5%〜45%

最低・最高税率共に日本の方が高く、最高税率は倍以上の違いがあります。

シンガポールと日本との違い|法人税

シンガポールの法人税は、日本と異なり賦課課税方式を採用しています。賦課課税方式とは、税額の最終的な決定を税務署が行い、その金額を納付する仕組みのことです。

日本では、申告納税方式が採用されており、納税者の申告によって決定するため、最終決定者が異なります。また、シンガポールの法人税は日本と比べ確定申告の期限も長いことや、税制優遇措置が多い点も日本とは異なっている点です。

法人税率の違いは、以下の通りです。

法人税率
シンガポール17%
日本23.2%(一定の要件を満たす中小法人は15%)

このように、法人税率も異なる点についても把握しておきましょう。

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シンガポールの税金が日本よりも安い理由

シンガポールの税金が日本よりも安い理由は、以下の3つが挙げられます。

  1. 住民税・相続税・贈与税が非課税になる
  2. 税優遇措置が充実している
  3. 物価が高い

住民税・相続税・贈与税が非課税になる

まず、シンガポールには住民税などの地方税がありません。所得に関する税金は「所得税」であるため、税負担が少ないと言えます。

また、相続税・贈与税についてもシンガポールにはないため税金が安くなります。ただし、被相続者・相続者が10年以上シンガポールに在住していないと日本の相続税が適用されてしまうなど条件がありますのでご注意ください。

なお海外の相続税については、以下の記事で詳しく解説しております。所得税・法人税以外でも節税を検討されている方はぜひご覧ください。

🔗海外資産にも相続税はかかる?知っておきたい課税のルールと節税の秘訣を紹介

税優遇措置が充実している

シンガポールは、税優遇措置が充実しています。

例えば、二重課税を排除するための二国間租税条約や、シンガポール政府独自の税金控除制度であるタックスリベートなどが挙げられます。

また、法人税の軽減税率として、部分軽減税率や新規創業軽減税率があります。さらに、キャピタル・ゲイン非課税、繰越欠損金が永久に繰越可能など法人に対しての税優遇措置も多いことが特徴です。

これらの優遇措置により、日本よりも税金が安くなるケースが多くあります。

物価が高い

物価が高いことも税金が安い理由の一つです。そもそも、なぜ所得税・法人税が安いのかというと、富裕層や企業を多く誘致するためです。

富裕層や企業が多い地域では、物価が高くなる傾向があります。地域によりますが、シンガポールの家賃は東京の2〜3倍であることも多く、レストランでの食事は一人あたり約2,000円〜4,000円と倍近い値段なことも少なくありません。

また、シンガポールは消費税(GST)が9%であり、レストランなどでは別にサービス料が10%かかります。価格の横に「++」と表示されているものは、消費税+サービス料という意味です。

実際に移住するのであれば、税額の安さだけでなく、物価を含めたトータルでの金額がどうか、という視点が重要です。

シンガポールの控除制度

ここでは、シンガポールの控除制度の一例を紹介します。

控除項目控除額(シンガポールドル)
勤労所得控除55歳未満:1,000Sドル55〜60歳:6,000Sドル60歳以上:8,000Sドル
配偶者控除配偶者の年間所得が4,000Sドルの場合、2,000Sドルの控除
子供扶養控除子供が16歳以下または、フルタイムの学生で年間所得が4,000Sドル以下の場合、4,000Sドルの控除
受講料控除仕事に関するセミナーなど受講料の全額(最大2,500Sドル)
外国人使用人課徴金控除使用人一名につき、課徴金支払い総額の2倍
補足退職スキーム控除納税者の絶対収入の15%(上限15,300Sドル)

この他にも、限定した期間内の特別控除制度が設けられることもあります。実際に確定申告をする際には、一度専門家に相談すると節税につながる情報が得られるためおすすめです。

シンガポールの税金で知っておきたいポイント2つ

ここでは、シンガポールの税金で知っておきたい2つのポイントを紹介します。

  1. 短期滞在者免税適用要件(183日ルール)がある
  2. 租税条約は必ず確認する

1.短期滞在者免税適用要件(183日ルール)がある

シンガポールには、短期滞在者免税適用要件というものがあります。

この要件は、別名183日ルールとも呼ばれるもので、その名の通り滞在日数が183日以下の個人はシンガポールでの課税が免除される場合があります。

具体的な条件は、以下の通りです。

条件詳細
滞在日数基準シンガポールでの継続した滞在期間が、12ヶ月間のうち183日以内である
支払地基準報酬がシンガポールの現地法人・居住者から支払われていない
PE負担基準日本企業がシンガポール内に保有するPE(恒久的施設)に負担されていない

こうした要件を知って有効活用できれば、より生活しやすくなるでしょう。

2.租税条約は必ず確認する

短期滞在者免税適用要件を含めた詳細なルールは、租税条約に記載されています。租税条約とは、国同士の税金の取り決めであり、課税関係の安定や二重課税を除去するために締結されているものです。

基本的には「OECDモデル租税条約」に沿って、細部は各国間の取り決めで記載されます。「シンガポールと日本の租税条約」を必ず確認したうえで、節税を検討してください。

シンガポールの税金計算シミュレーション

ここでは、シンガポールの税金をシミュレーションしてみましょう。個人所得税の単純計算ではありますが、日本の税額との比較も掲載しますので、節税効果の目安としてご覧ください。

イメージしやすいように、年収500万円で計算してみましょう。

国名課税所得税率税額
シンガポール4.48万Sドル(約500万円)7%3,136Sドル(約35万円)
日本500万円20%91万円

※2024賦課年度で算出、為替は2024年2月14日現在のもの

上記のように同じ年収でも、半額以上の税額が安くなるケースが多々あります。これは、シンガポールの税率が日本の半分程度でありかつ、累進課税が日本よりも緩やかに設定されているためです。

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まとめ:シンガポールに進出するなら所得税・法人税はおさえておこう

シンガポールは個人所得税・法人税共に日本と比べて安くなるケースが多く、高い節税効果を得やすい国です。

シンガポールの税制は183日を境に居住者・非居住者が決まり、税率が決まります。駐在員であればNORスキームを利用することで優遇措置を受けられるなど、各種優遇措置が多いことも特徴です。

日本と異なり、確定申告が必須なことや地方税・相続税・贈与税がない点に注意しましょう。また、実際に確定申告を行う際は必ず租税条約をご確認ください。

シンガポールに移住した場合、所得税の負担が軽くなるケースが多いですが、特別控除など、期間が限定された控除もありますので具体的な金額を調べたい方は専門家にご相談ください。

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