ヘッジファンド投資は資産運用の選択肢の1つですが、どのような運用方法なのかを詳しく知らない方も多いでしょう。資産運用は元本割れによって資産を減らす恐れもあるため、リスクを抑えつつ資産を増やすためにも、特徴をしっかり理解してから運用を始めることが大切です。
この記事では、ヘッジファンド投資の運用について、メリットやデメリット、実践方法を解説します。ヘッジファンド投資がおすすめの人も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ヘッジファンド投資とは
資産運用に興味がある方の中には、ヘッジファンド投資と聞いてどのような投資方法なのか気になっている方も多いと思います。
資産運用には複数の手法がありますが、どの方法を選択するかによってリスク・リターンが大きく異なります。自分に合った運用手法を選択するためにも、特徴を把握しておくことが大切です。
ヘッジファンド投資とは、株や債券をはじめ、複数の取引手法を駆使し、株式市場が暴落しても利益を追求するファンドです。
危機回避のことをリスクヘッジとも言いますが、要するに危険を避けて安定して5〜10%程の利益を目指す投資手法を指します。
絶対収益追求型とも言われるヘッジファンドですが、誰もが利用できるわけではありません。
ヘッジファンドは、提示される1,000万円〜数億円単位の条件に該当した適格投資家のみ利用できると把握しておきましょう。
ヘッジファンドと投資信託の違い
出資者から集めた資金を運用する点では、ヘッジファンドと投資信託は同じです。しかし、両者には異なるポイントがいくつかあるので、違いについて把握しておきましょう。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
---|---|---|
運用目標 | 絶対収益 | 相対収益 |
投資対象 | 多種多様な金融商品 | 株・債券など |
対象投資家 | 個人富裕層・機関投資家 | 一般投資家 |
成功報酬 | あり | なし |
最低投資金額 | 1,000万円~数億円 | 10,000円程度~ |
投資信託は、10,000円〜と少額で投資を始められるため、初心者にもおすすめの投資です。ただし、投資対象の株式や債券の価格が変動すれば、資産に大きな影響を与えかねません。もし、投資対象の金融商品が下落した場合は、資産を失うリスクがあります。
一方、ヘッジファンド投資はさまざまな金融商品を利用するため、投資信託と比較するとリスクは高いですが、相場が不安定な時期でも、利益が期待できます。
ヘッジファンド投資のメリット
ヘッジファンド投資を始めるメリットは以下の3つが挙げられます。
それぞれの詳細について詳しくみていきましょう。
- 市場環境の影響を受けにくい
- 投資のプロに資産運用を委託できる
- 分散投資によってリスクを軽減できる
市場環境の影響を受けにくい
ヘッジファンド投資を行う最大のメリットは、市場環境の影響を受けにくいことです。株式や債券だけでなく、信用取引やオプション取引などさまざまな金融商材を駆使し、ロング・ショート戦略やマーケット・ニュートラル戦略などあらゆる戦略で運用します。
主な戦略 | 概要 |
---|---|
ロング・ショート戦略 | 市場で割安の金融商品を購入、割高の金融商品を売却する戦略 |
マーケット・ニュートラル戦略 | ロングとショートを同程度組み合わせて、市場に中立となる戦略 |
買収アービトラージ | 実際の価格と買収が発表された企業の買収実効価格との乖離を収益とする戦略 |
ディストレスト戦略 | 経営困難により割安となっている企業株を購入し、株価が回復した際に収益を得る戦略 |
グローバル・マクロ戦略 | マクロの視点で分析し、国内外問わず広範囲な金融商品に投資する戦略 |
マネージド・フューチャーズ戦略 | 先物・オプション取引によって、相場の上昇・下落両局面において利益を追求する戦略。 |
下落相場にあわせて柔軟に運用できるので、仮に価格の減少や「〇〇ショック」などの打撃を受けても利益が期待できる投資が可能です。
投資のプロに資産運用を委託できる
自身で資産を運用する場合、複数の金融商品に関する知識を身につけなければならず、運用の時間を確保しなくてはなりません。ヘッジファンド投資だと、投資のプロに一任できるので効率良く資産を増やすことが期待できるでしょう。
しかし、利益が出た場合に成果報酬が発生するため、一般的な投資信託よりも運用コストが高い傾向にあります。ヘッジファンドに投資する際は事前に成果報酬を確認する必要があります。
分散投資によってリスクを軽減できる
ヘッジファンド投資では、分散投資で価格変動によるリスクの軽減が期待できます。
一般的に資産運用は、1つの投資口に集中しやすいでしょう。
しかし、1つに集中投資すると、該当する金融商品の価格が下落した場合、大きな影響を受けかねません。ヘッジファンドは価格が一方に変動する負の相関関係にある株式と債券を組み合わせるだけでなく、他の金融商品も取り入れています。
また、投資口を分散して取得単価を平均化することによって高値掴みを回避しているため、価格変動のリスクを抑えながら資産を運用できるでしょう。
ヘッジファンド投資のデメリット
一方、ヘッジファンド投資のデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 取引コストの負担が大きい
- 現金化したくてもなかなかできない
- 情報開示がなく運用方針が分かりにくい
取引コストの負担が大きい
ヘッジファンド投資は、投資信託よりも取引コストの負担が大きいです。
ヘッジファンドと投資信託の手数料をまとめると以下の通りです。
手数料 | 利率 | |
---|---|---|
ヘッジファンド投資 | 販売手数料(購入に対する手数料) | 3%前後 |
解約手数料(解約する際の手数料) | 3%前後 | |
管理報酬(運用資産の管理手数料) | 2%前後 | |
成功報酬(利益に対する手数料) | 20%前後 | |
投資信託 | 販売手数料(購入に対する手数料) | 0~3% |
信託財産留保額(解約する際の手数料) | 0~0.3% | |
信託報酬(運用資産の管理手数料) | 0.1~2.5% |
ヘッジファンド投資と投資信託で同じ利益が得られた場合、手数料分が大きいヘッジファンド投資では手元にお金が残りにくい点には注意しましょう。
現金化したくてもなかなかできない
ヘッジファンド投資の換金性は低いため、すぐに現金化できません。一般的な投資信託は、売却の指示を出してからお金が手元に届くまでは5営業日ほどです。
しかし、ヘッジファンド投資は随時解約できるというわけではなく、四半期に1度のように特定日にしか解約できません。
また、ヘッジファンドの中には「四半期ごとに25%」のように独自の解約ルールを設けるところもあります。
現金化を希望しても、すぐに現金化できないという点に注意してください。
情報開示がなく運用方針が分かりにくい
ヘッジファンド投資は、投資家への情報開示が義務化されておらず、投資先の銘柄や実態を確認させてもらえません。
ヘッジファンドマネージャーが資産の入れ替えを機動的に行い、高速で運用しているからです。
一般的な投資信託は情報開示が義務化されており、投資信託説明書(交付目論見書)に運用方針を明示しています。
現在、どのような運用状況にあるのか確認できないため、不安に思われるかもしれません。
ヘッジファンド投資がおすすめの人
ヘッジファンド投資は、希望する全ての方が利用できるわけではありません。
主に、以下2つの条件に該当する方におすすめします。
- 余剰資金が豊富にある人
- 信頼できる投資アドバイザーがいる人
余剰資金が豊富にある人
まず、ヘッジファンド投資は投資に回せる余剰資金が潤沢な個人富裕層や機関投資家がおすすめです。
そもそも、ヘッジファンド投資には1,000万円〜の最低投資金額が投資条件として設定されており、少額で利用したい方は利用できません。
また換金性が低いため、現金化したくてもなかなかできず、資金繰りに余裕を持つ必要があります。
信頼できる投資アドバイザーがいる人
そして、投資先の中身が見えづらいヘッジファンド投資の利用は、信頼できる投資アドバイザーがいる方におすすめです。
公開情報が限られているヘッジファンド投資において、投資するかどうかを見極めることは容易ではありません。
ヘッジファンドの仕組みに詳しく、リスク管理に優れた投資アドバイザーがいれば、最適なヘッジファンドを選択しやすくなります。
ヘッジファンドへの投資方法
ヘッジファンドへの投資方法は、以下の2つがあります。
- 仲介会社を経由してヘッジファンドに投資する
- ヘッジファンドに直接投資する
仲介会社を経由してヘッジファンドに投資する
仲介会社を経由してヘッジファンドに投資する方法として、以下の3つが挙げられます。
- 証券会社を経由する
- プライベートバンキングを経由する
- IFAを経由する
証券会社の中には、ヘッジファンド投資に対応しているところもあります。直接投資では、自身でヘッジファンドを見極めなくてはなりませんが、証券会社を経由する場合は代わりに選別してくれるので安心でしょう。
プライベートバンキングとは、個人富裕層が対象の銀行です。口座開設のハードルが高く、収入要件や最低預入要件などを満たした方しか開設できません。口座を開設できれば専門のアドバイザーが運用方針に合ったヘッジファンドを含む金融商品の選定やポートフォリオの構築を行ってくれます。
IFAとは、独立系金融アドバイザーのことです。金融機関に勤務していた専門家が独立してアドバイザーになっていることが多く、中立的な立場での投資アドバイスが期待できます。また、一部のIFAでは、ヘッジファンド投資に対応しています。
仲介会社を経由する際は、自身に合っているのがどの仲介会社なのかしっかり見極めてから相談しましょう。
ヘッジファンドに直接投資する
直接ヘッジファンドに投資することも可能です。しかし、ヘッジファンドは、最低投資額が高く設定されているため、富裕層・機関投資家などの余剰資金が豊富である投資家しか選択できません。
また、ヘッジファンドに直接投資する場合、公開されている限られた情報の中から投資先を判断する必要があります。
事業規模や運用実績、投資戦略などから自身のリスク許容度に合うヘッジファンドがどこか見極めましょう。
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資産運用によって手持ち資金が増えれば、生活がより豊かになります。
しかし、資産運用は判断を誤ると資産を減らす恐れがあるため、正しい知識を身につけてから取り組むほか、不安な場合は専門家にアドバイスを求めながら取り組むことが大切です。
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まとめ:仕組みを理解してからヘッジファンド投資を始めよう
ヘッジファンド投資は、相場状況に関わらず利益を追求できるといっても、元本が保証されているわけではありません。
自身の運用方針とヘッジファンド投資が合うとも限らないため、仕組みをしっかりと理解してから取り組みましょう。
「どのような運用方法を選ぶべきか分からない……」という方は、資産運用の専門家に相談することをおすすめします。
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