個人で不動産を保有している場合、高額な税負担や相続に頭を悩ませることも少なくありません。実は、そのような問題を解消する方法として、資産管理会社の利用があります。
しかし、資産管理会社の活用について、よくわからないという人も多いでしょう。
そこでこの記事では、資産管理会社を活用した不動産の資産移動について詳しく解説します。資産管理会社を活用した資産移動のメリットや注意点も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
資産管理会社の資産移動方法
資産管理会社の資産移動方法は、以下の通りです。
- 現物出資
- 売買
それぞれの詳細を見ていきましょう。
現物出資
現物出資では、不動産などの現物資産を会社に拠出して評価額に見合う株式を取得します。現金ではないので、手元に資金が少なくても資産移動ができるというメリットがあります。
ただし、資産評価の手間がかかることや費用が発生するというデメリットもあるので注意しなければなりません。そのため、現物出資をするのであれば、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。
売買
売買は、個人で保有している資産を資産管理会社に売却する方法です。
ただし、売買については適正価格で行わなければなりません。仮に、市場価格よりもかなり低い金額で売却すると、贈与だと判断されて贈与税を課せられるケースがあります。
一方で価格を高くした場合、資産管理会社が利益を圧縮していると判断されて、法人税を追加で徴収されることがあります。いずれにしても、税理士などの専門家への相談で安心して資産を移動できるでしょう。
資産管理会社を活用した不動産の資産移動方法
資産管理会社を活用した不動産の資産移動方法は、大きく2つのステップにわかれています。
- 移転する不動産を決定する
- 資産の移転方法を決定する
不動産の資産移動を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。
ステップ1.移転する不動産を決定する
最初に、移転する不動産を決定します。耐用年数が相当期間経過したもの、高収益もしくは高利回りの状態が維持できるものは、資産管理会社に移転すると効果的な物件です。
また、土地は個人のままで家屋だけを移転させる方法もあります。
ステップ2.資産の移転方法を決定する
移転する不動産が決まったら、資産の移転方法を決定します。資産の移転方法は、先ほど説明した現物出資と売買のいずれかです。
資産管理会社に不動産を資産移動する必要書類
資産管理会社に不動産を資産移動する際に、必要となる書類を紹介します。
たとえば、売買によって不動産の資産移動を行う場合、売主が個人であれば以下のような書類を用意します。
- 本人確認書類
- 登記識別情報もしくは登記済権利証
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書
- 実印など
また、買主も以下の書類を準備しなければなりません。
- 本人確認資料
- 会社の謄本もしくは代表者事項証明書
- 会社の実印
資産管理会社に不動産を資産移動する費用相場
資産管理会社に不動産を資産移動するときは、さまざまな費用がかかります。
- 不動産の移転費用
- 会社の設立費用
- 会社の運営費用
上記の費用について、詳しく見ていきましょう。
不動産の移転費用
不動産の移転費用には、以下のようなものがあります。
- 登録免許税
- 不動産取得税など
登録免許税は、固定資産税評価額の2%です。
一方で不動産取得税は、固定資産税評価額の3〜4%程度です。不動産の名義変更後、都道府県より納付書が送付されるので、支払いをします。
会社の設立費用
会社設立の費用もかかります。
たとえば、株式会社を設立する場合、登録免許税や定款認証などの費用が発生します。
株式会社 | 費用(目安) |
---|---|
登録免許税 | 15万円〜 |
定款認証 | 5万円 |
定款印紙代 | 4万円 |
諸経費 | 1万〜5万円程度 |
合同会社の場合も、合計で10万円程度の費用がかかるので、準備しておかなければなりません。
また、会社設立を司法書士などへ依頼すると別途費用が発生するため、注意が必要です。
会社の運営費用
会社を設立すると、運営費用がかかります。具体的には、毎年法人税を支払わなければなりません。仮に赤字だとしても、地方税の負担は必ず生じます。
さらに、会社で役員報酬や給料などを支払っているときは、社会保険料の負担も発生します。また、申告書の作成を依頼する場合は、別途税理士報酬も発生するので覚えておきましょう。
資産管理会社を活用した資産移動のメリット
資産管理会社を活用した資産移動のメリットは、大きく3つあります。
- 節税効果がある
- 資産の分散でリスク管理になる
- 事業承継の円滑化につながる
それぞれの詳細を確認しましょう。
節税効果がある
資産管理会社を活用すると、節税できる可能性があります。
個人事業主やサラリーマンは、事業もしくは給与からの所得に対して所得税や住民税が課せられ、高所得であるほど税率は高くなります。所得が高いまま放置しておくと、最大で45%の所得税が適用されます。
所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円から329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円から694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円から899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円から1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円から3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
ここで、資産管理会社を活用すると法人税の適用を受け、税負担を軽減できる可能性があります。
区分 | 法人税率 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
平成28年4月1日以後 | 平成30年4月1日以後 | 平成31年4月1日以後 | ||||
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% | 15% | 15% |
適用除外事業者 | 19% | |||||
年800万円超の部分 | 23.4% | 23.2% | 23.2% | |||
上記以外の普通法人 | 23.4% | 23.2% | 23.2% |
法人税率は、最大でも23.2%です。所得が大きくなりそうな場合は、資産管理会社を活用した方がよいでしょう。
資産の分散でリスク管理になる
資産管理会社を活用すると、資産が分散することでリスク管理にもなります。
すべての資産を個人名義で保有していると、その人にもしものことがあったとき、資産を大きく失うかもしれません。
その点、資産管理会社を活用していれば個人名義の資産にもしものことがあっても、法人名義の資産は守れる可能性があります。結果、資産の大半を失うといった事態は避けられるでしょう。
事業承継の円滑化につながる
資産管理会社を活用すれば、事業承継も円滑に行えるでしょう。個人事業主が事業用の資産を後継者に引き継ぐ際は、高額な相続税、贈与税が生じるケースがあります。
その点、資産管理会社を活用して事業用の資産を管理していれば、後継者は会社の株式を引き継ぐことで税負担を軽くして承継できる可能性があります。
事業用資産を円滑に後継者へ引き継ぐことは、安定して事業を継続するために重要です。スムーズに事業承継を行いたいなら、資産管理会社の活用も検討しましょう。
資産管理会社を活用した資産移動の注意点
資産管理会社を活用した資産移動の注意点は、以下の通りです。
- 会社運営の手間がかかる
- 不適切な運用は税務調査のリスクが高まる
注意点を知らないままでは、大きく後悔するかもしれません。資産管理会社を効果的に活用したいなら、あらかじめ注意点を把握しておきましょう。
会社運営の手間がかかる
会社運営には手間がかかるため、注意が必要です。
たとえば、会計処理や税務申告、社会保険の手続きなど業務は多岐に渡ります。
さらに、誰でも簡単にできる業務ではなく、専門的な知識が必要となる場合もあります。もし自分で対応するとなれば、知識の習得に大きく時間を割かなければなりません。
また、専門家へ依頼するとなれば、別途費用も発生します。いずれにしても会社運営は簡単にできるものではなく、手間がかかることを覚えておきましょう。
不適切な運用は税務調査のリスクが高まる
資産管理会社の運用が不適切だと、税務調査のリスクが高まります。
以下のようなケースでは、税務調査の対象となる可能性があります。
- 所得を圧縮している
- 私的な利用と事業用を混同している
- 親族が不当に有利となる取引をしているなど
資産管理会社を活用するのであれば、適切に運用しなければなりません。不適切な運用がなされていると税務署から厳しい目を向けられ、追徴課税のペナルティを受けることもあるので注意が必要です。
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資産管理会社を活用すれば、節税できる可能性はあります。しかし、節税対策は人によって最適なものが異なるので、より効果的な対策が取れるかもしれません。
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まとめ:資産管理会社による資産移動は正しくすれば節税になる
資産管理会社を活用した不動産の資産移動は、2つのステップで完了します。移転方法は現物出資と売買、贈与の3種類があるので、状況に合わせて最適なものを選びましょう。
ただし、資産管理会社に不動産を資産移動する場合は、さまざまな費用がかかります。想定外の費用がかかってしまったと後悔しないように、事前に把握しておいてください。
資産管理会社を正しく活用すると、節税できたり、資産の分散でリスク管理ができたりとさまざまなメリットがあります。
しかし、会社の運営は手間がかかるほか、不適切な運用をしていれば税務調査のリスクも高まるというデメリットもあるので、注意が必要です。
うまく活用したいのであれば、専門家への相談も検討しましょう。ネイチャーグループは、年間2,000件以上、累計で1万件以上の相談を受けてきた実績があります。資産管理会社のことなら、ネイチャーグループにご連絡ください。
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