「老後の資金に不安があるから投資信託を始めたい」
「投資信託を始めたら、どれだけ税金がかかるのか不安がある…」
投資信託とは、販売から運用、資産管理までをそれぞれの専門機関(ファンドマネージャー)が行う金融商品です。手堅い投資の選択肢として、挙げられるのではないでしょうか。
しかし、投資信託で利益が発生すれば、その金額に対しても課税対象となります。
そこで本記事では、個人が投資信託で得られる利益と税金、確定申告について解説します。
投資信託の利益は2種類
まず投資信託の利益は「分配益」と「譲渡益」の2種類あります。利益の種類によって税金の計算方法が変わるので、おさえておきましょう。
1.分配益について
分配益は、投資信託で得られた収益から投資家たちに分配するお金を指します。
この分配金は、大きく「普通分配金」と「特別分配金」の2種類に分類されます。
- 普通分配金:運用によって得られた利益から支払われる分配金
- 特別分配金:分配金のうち元本の払い戻しに相当する部分
普通分配金は、利益として換算されるため、課税対象になります。
一方、特別分配金は、決済前の個別元本が決済後よりも下回る場合に払い戻される金額のため、課税対象にはなりません。
2.譲渡益について
譲渡益は、投資信託の売却時に基準価額が購入時の取得単価を上回っていた場合、獲得する利益を指します。
譲渡益は譲渡所得としてカウントされ、課税対象となります。
なお、売却価格の基準価額が取得金額よりも低い場合、譲渡損としてカウントされるため、課税対象にはなりません。
投資信託に税金がかかるタイミング
では次に、投資信託に税金がかかる3つのタイミングをご紹介します。
- 分配金を受け取るとき
- 分配金を再投資したとき
- 投資信託を途中換金・満期償還するとき
分配金を受け取るとき
まず、普通分配金が支払われ、受け取るタイミングで課税されます。
一般的に投資信託の分配金は、決算後の5営業日以降に受け取れますので、このタイミングで課税所得が発生すると理解しておきましょう。
なお、普通分配金に対してかかる税金は源泉徴収されます。
分配金を再投資したとき
投資信託の収益から得られる普通分配金の場合、受け取らずに再投資したタイミングでも課税対象となります。
再投資できるのは、税金を差し引いて残った金額です。
なお、分配金を再投資する場合、原則「購入時手数料(販売手数料)」はかかりません。よって、現金で受け取った後に再投資するよりも、効率的に口数を増やせるでしょう。
また、特別分配金に対しては再投資しても非課税になります。
投資信託を途中換金・満期償還するとき
投資信託を途中換金もしくは満期償還されるときに、スタート時点の価格を上回っている場合、その差額分は課税対象となります。
途中換金の場合は解約差益として、運用期間が終了したタイミングには償還差益に対して課税されます。
投資信託は、事前に運用期間が決められているケースがありますので、把握しておきましょう。
投資信託の利益にかかる税金の割合は20.315%
投資信託によって得られた利益にかかる税金は、2014年以降20.315%です。
主な内訳は以下の通り。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%※
- 住民税:5%
※復興特別所得税は、2037年まで適用
例えば、投資信託を売却して20,000円の譲渡益を得られて、100円の解約手数料がかかったとしましょう。すると、19,900円が課税対象となります。
税金は、譲渡益(20,000円)から解約費用(100円)に、20.315%をかけた金額となります。
よって、(20,000-100)×20.315%の計算式となり、4,042円が税金となります。
投資信託にかかる税金は確定申告が必要?
サラリーマンであっても、下記の場合は確定申告が求められます。
- 一般口座か源泉徴収なしの特定口座を利用している場合
- 利子所得・配当所得と売却損の損益通算をしたい場合
- 複数の特定口座間で損益通算を行いたい場合
- 翌年以降への損失の繰越控除を行いたい場合
- 配当控除を受けたい場合
一般口座か源泉徴収なしの特定口座を利用している場合
一般口座を利用する場合、税金分が自動的に徴収される制度はありません。よって、確定申告を自身で行う必要があります。
また、特定口座を利用していても「源泉徴収なし」を指定している場合、確定申告が求められます。
特定口座を利用していれば必ずしも確定申告が不要になるわけではないため注意してください。
利子所得・配当所得と売却損の損益通算をしたい場合
投資信託をはじめとする上場株式などの取引で売却損が出ているケースでは、確定申告をすれば売却損と同年分の上場株式での利子所得・配当所得と損益通算できます。
損益通算を実施したい場合は、確定申告をする際に「申告分離課税」を選択してください。
なお、損益通算を実施しても損失が残るケースもあるでしょう。その場合、確定申告で損失を3年間繰り越せます。
複数の特定口座間で損益通算を行いたい場合
複数の特定口座がある場合、確定申告をすれば口座間での損益通算ができます。
例えば、Aの特定口座では200万円の利益があり、Bの特定口座では150万円の損失が出ているとしましょう。
このケースでは、損益通算をすると「200万円-150万円」で利益は50万円となります。
損益通算をするためには、確定申告をしなければいけません。
翌年以降への損失の繰越控除を行いたい場合
源泉徴収ありの特定口座を利用しているケースであっても、損失の控除を翌年以降に繰り越したい時は確定申告をしなければなりません。
損失を翌年以降に繰り越すことを「繰越控除」と呼びます。確定申告をしておけば、最大3年間は損失を繰り越せます。
損失と配当分を相殺しても、マイナスになるケースは珍しくありません。そうしたケースでも、所定の確定申告を済ませれば、翌年以降3年間は続けて控除できます。
配当控除を受けたい場合
配当控除を受けたい場合も確定申告が必要です。
配当控除とは、配当所得における一定の割合が税額から控除される制度のこと。適用されれば、納税額を低くおさえられます。
配当控除を行うなら、「総合課税」を選択して確定申告をしましょう。
ただし、配当控除を行う場合、上場株式をはじめとする売却損と利子所得・配当所得との損益通算はできません。
なお、申告分離課税の税率は20.315%で固定されるのに対し、総合課税の税率は累進課税で決定されます。目安として、所得税の税率が10%以下なら、総合課税のほうが税金は安くなるでしょう。税率が20%付近の方は有利判定の計算をすることをお勧めします。
確定申告が不要な3つのケース
次に、確定申告が不要となる3つのケースを紹介します。
- 投資信託で得た利益が20万円以下のとき
- 投資信託で損失が出たとき
- 特定口座の利用で「源泉徴収あり」を選択しているとき
投資信託で得た利益が20万円以下のとき
まず、給与以外の所得が年間20万円以下の場合は、原則確定申告は必要ありません。
ただし、「給与年収が2,000万円以上」「医療費控除などの特例を受けるケース」は、利益額に関わらず確定申告が求められます。
投資信託で損失が出たとき
投資信託の運用で損失が発生し、他の所得や特定口座間との損益通算・繰越控除を行わない場合、課税対象の金額はマイナスなので確定申告は必要ありません。
特定口座の利用で「源泉徴収あり」を選択しているとき
投資信託を始めるにあたっては、口座の新規開設が必要です。そこで、一般口座と特定口座のいずれかを選択します。
特定口座とは、投資信託や金融商品を扱う業者のみで開設できる口座のことです。この口座では、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」を選択でき、源泉徴収ありなら源泉税が自動的に利益から差し引かれます。
よって、自身で確定申告や納税をする必要はありません。
なお、特定口座なら損失が発生したときも、自動で損益通算されるため自身の負担も軽減できるでしょう。
投資信託の分配金・売却益を確定申告するには?
では実際に、投資信託の分配金や譲渡益を確定申告する方法について説明します。
分配金は「雑所得」として申告する必要があります。証券会社から送付される「特定口座年間取引報告書」をもとに、該当する項目に分配金の金額を記入しましょう。
一方、売却益は「譲渡所得」として申告してください。売却した投資信託の種類や取引履歴に基づいて、売却益の金額を計算し、該当する項目に記入しましょう。
なお、特定口座年間取引報告書を確定申告書と一緒に提出すれば、税務署に必要な情報を簡単に伝えられます。
確定申告の際には、適切な書類や計算を行い、抜け漏れなく申告をしなければなりません。確定申告をした方が有利、しない方が有利等ケースによって異なるので、もし、確定申告が初めてで不安な方は、専門家へ相談してみてください。
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まとめ:投資信託にかかる税金は20.315%!税率を把握して確定申告をしよう
投資信託で得られた利益には、20.315%の税金が課せられます。
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