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資産管理会社の節税効果とは?税金対策の仕組みと失敗しないための注意点

資産管理会社の設立には「所得税」と「相続税」の節税効果があります。税金対策のために設立を検討している方もいるのではないでしょうか。

とはいえ「資産管理会社を設立すれば節税になる」とは一概にいえません。節税の仕組みを理解した上で、慎重に検討しましょう。ここでは、資産管理会社による税金対策の仕組みや注意点について解説します。

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資産管理会社の2つの節税効果とは?

資産管理会社とは、株式や不動産といった資産を法人として管理するために設立する会社です。「資産管理会社」という種類の会社ではなく、株式会社や合同会社といった一般的な法人を設立します。ただし、あくまでも資産の管理が目的となるため、一般企業のような事業は行いません。

資産管理会社を設立すると、主に以下2つの効果を得られます。

  • 設立した本人や世帯の所得税の節税効果
  • 設立した本人が亡くなった際の相続税の節税効果

所得税のメリット

年収の高い個人事業主や副収入がある会社員・公務員が法人を設立した場合、所得税の節税効果を期待できます。

例えば、本業の収入と不動産投資による家賃収入がある場合、法人と個人にかかる税額計算の違いを利用します。法人と個人とでは、税率や損失発生時の取り扱いなど税制上のルールが異なるため、上手に活用することで期待通りの節税効果を得られるでしょう。

相続税のメリット

多額の資産を保有する方が資産管理会社を設立すると、相続時の税金対策として効果的です。相続税は超過累進課税が採用されているため、相続した財産が高額なほど納税の負担が重くなります。資産管理会社を設立し、生前に少しずつ資産を移転しておけば、相続税の負担を抑えられるでしょう。

ただし、相続税には基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や各種特例があるため、納税義務が生じないこともあります。資産管理会社を設立する前に、相続時のシミュレーションをしておくとよいでしょう。

(参考:『国税庁 No.4152相続税の計算』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

資産管理会社の設立で所得税を節税できる理由

資産管理会社の設立で所得税を節税できる理由は、法人と個人とでは税制上のルールが異なるためです。法人設立後は、法人にかかる税金と個人にかかる税金の両方を納めますが、両者では税率や所得の考え方、損失時の決まりなど多くの点が異なります。

法人化で税率を下げられる

個人・法人問わず、所得が生じると税金がかかります。個人にかかる税金は所得税、法人にかかる税金は法人税です。所得税は所得が増えるほど高い税率が適用される超過累進税率(最高税率45%)ですが、法人税は一律の比例税率です(23.2%)。

所得税や法人税以外にも複数の税金がかかるため一概にはいえませんが、目安として、年収900万円を超える場合は法人のほうが節税のメリットを得られます。

(参考:『国税庁 No.2260所得税の税率』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
(参考:『国税庁 No.5759法人税の税率』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

所得を分散できる

資産管理会社を設立すると、「法人格」として自分とは別の人格が形成されます。法人格が形成されることによって、「法人名義で契約を結ぶ」「税金を納める」「資産を購入する」など個人と同様の権利・義務が生じます。この仕組みを利用して、法人から自分や家族へ役員報酬を支払うと、所得の分散が可能です。

例えば、不動産投資の家賃収入を資産管理会社が受け取り、その収入を役員報酬として自分や家族に支払います。個人として収入を得るよりも所得が下がり、税率が低くなるという理屈です。

損益通算の対象が拡大する

個人と法人とでは損益通算の対象も異なり、法人のほうがより広範囲で損益通算できます。損益通算とは、ある所得で生じた「赤字」と他の所得で生じた「黒字」を相殺できる制度です。

例えば、所得Aが100万円の赤字、所得Bが500万円の黒字であれば、相殺して所得400万円に圧縮できます。所得が圧縮されて課税対象が下がり、節税できる仕組みです。

個人の所得は10種類に分類されますが、その中で損益通算できる所得は限られています(以下4種類のみです)。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
    ※所得の発生原因によっては、損益通算が認められない場合があります

一方、法人の所得には分類がなく、各事業年度の所得をまとめて計算します。そのため、資産管理会社で生じた損失は、全て損益通算可能です。

(参考:『国税庁 No.2250損益通算』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm

損失の繰り越し控除期間を延長できる

1年間の損失額が大きくなると、損益通算をしても控除しきれない損失が生じることもあります。個人・法人のどちらにおいても、青色申告をすると損失分の繰越控除が認められます。繰越控除の期間は、個人が最長3年、法人が最長10年になるため法人が有利です。

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資産管理会社の設立で相続税をより節税できる理由

資産管理会社を設立すると、相続税の節税効果も期待できます。資産の抑制効果や、相続財産の評価額の引き下げ効果があるためです。特に、多額の財産を保有する方の相続対策は、時間をかけて少しずつ行うことが大切です。相続時の負担を軽減させるために、仕組みを確認しておきましょう。

資産の増加を抑えられる

相続税は、相続財産が高額なほど負担が増える税金です。多額の資産を保有する方が亡くなった場合、相続人は高額な税金を納めなければなりません。相続時の負担を軽くするために、「生前に資産を増やさない」という選択肢があります。そこで役立つのが資産管理会社です。

家族や親族を資産管理会社の役員にして、会社から役員報酬を支払います。ひとりで収入を得ていれば、その分、資産が増えてしまいますが、所得を分散することで相続時点の財産を減らせる仕組みです。

相続財産の評価を引き下げる効果がある

相続発生時に、相続財産の所有者が個人・法人のどちらかによって、相続税の課税対象が異なります。仮に土地・建物・株式の3種類だった場合、個人の財産であればそれぞれが課税対象、資産管理会社の財産であれば「資産管理会社の株式」が課税対象です。

相続財産の評価額は、個人の財産よりも資産管理会社の株式のほうが低く評価される傾向にあり、相続税の負担軽減につながります。

「争続対策」としても効果的

仲の良い親族同士でも、相続財産をめぐって争いが生じることもあります。現金のように容易に分割できる財産であればよいのですが、不動産など分割しにくい財産はトラブルに発展するかもしれません。また、ひとつの不動産を複数の相続人で相続すると、将来の建て替えや売却といった管理が面倒です。

そこで、不動産を法人名義にして一括で管理します。不動産の名義が資産管理会社であれば、相続の対象は株式です。不動産よりも平等に分割しやすく、共有での相続を回避できます。

不動産のための資産管理会社は3種類

収益物件のために、資産管理会社の設立を検討している方もいるのではないでしょうか。不動産向けの資産管理会社には、3つの種類があります。種類によって名義や入居者との契約形態などが異なるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

所有型

所有型は、資産管理会社の名義で所有する方法です。すでに個人で所有している不動産が対象の場合は、資産管理会社へ譲渡(売却)します。所有者が法人のため、入居者から得られる家賃収入は法人の収入です。収入の全額を法人に移転できることから、資産増加を抑える効果が大きくなります。

不動産の名義資産管理会社
契約形態資産管理会社と入居者間の賃貸借契約
お金の流れ1.入居者が資産管理会社へ家賃を支払う
2.資産管理会社から個人へ役員報酬を支払う

※資産管理会社=不動産の所有者=貸主

管理委託型

管理委託型は、個人名義の不動産の管理を資産管理会社へ委託する方法です。入居者から支払われる家賃収入は個人の収入になります。個人が受け取った家賃収入の一部を、管理業務に対する手数料として資産管理会社へ支払う仕組みです。

個人から資産管理会社へ手数料を支払うことで、個人の収入を減らせます。ただし、手数料を高く設定し過ぎると税務署から否認される可能性がある点に注意が必要です。

不動産の名義個人
契約形態・個人から資産管理会社への管理業務委託
・個人と入居者間の賃貸借契約
お金の流れ1.入居者が個人へ家賃を支払う
2.個人から資産管理会社へ管理委託手数料(家賃収入の一部のみ)を支払う

※個人=不動産の所有者=貸主

サブリース型

サブリース型は、個人が所有する不動産を資産管理会社が一括で借り上げ、第三者へ転貸(又貸し)する方法です。

入居者からすると資産管理会社が貸主になり、資産管理会社へ賃料を支払います。資産管理会社は、受け取った収入×一定割合(目安80%)を個人へ支払います。この差額分が、個人から法人への資産移転分となる仕組みです。

不動産の名義個人
契約形態・資産管理会社による一括借り上げ※1
・資産管理会社と入居者間の転貸借契約※2
お金の流れ1.入居者が資産管理会社へ家賃(100%)を支払う
2.資産管理会社から個人へ家賃(目安80%)を支払う

※1個人=不動産の所有者=貸主、資産管理会社=借主
※2資産管理会社=貸主、入居者=借主

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資産管理会社を設立する際の注意点

資産管理会社の設立には、維持費や手間がかかります。それに見合った節税効果を得られるかどうか、慎重に検討することが大切です。また、資産管理会社による節税は、一定のルールの下で行う必要があります。「知らなかった」ことでルール違反をしないように、注意点を確認しておきましょう。

各種コストがかかる

資産管理会社は、設立・維持に各種費用がかかります。例えば、設立時には法人登録のために登録免許税がかかり、手続きを専門家へ依頼する場合は司法書士報酬も必要です。

また、会社が赤字であっても、住民税の均等割(最低7万円)を納めなければなりません。個人よりも確定申告の負担が重いため、税理士報酬もかかります。資産管理会社を設立すると得られるメリットと各種費用について、しっかりと比較・検討しておきましょう。

個人のほうが得するケースもある

「資産管理会社を設立すると税金対策になる」とは、一概にいえません。個人のほうが得するケースもあるためです。

例えば、所得税を節税したい場合、個人の所得税率が法人税率よりも低いと法人化のメリットを享受できません。相続税対策の場合、法人化すると小規模宅地の特例(土地の評価額を一定金額まで減額できる制度)を利用できない点にも注意が必要です。

法人化すべきかどうかお悩みの方は、目的を明確にした上で専門家へ相談しましょう。税金対策のために資産管理会社の設立を検討している場合は、税理士への相談がベストです。

資産管理会社と個人の財産は別物

「法人と個人の財産は別物」であるため、資産管理会社の収入を自由に利用することはできません。資産管理会社のお金を個人が使いたい場合は、法人から個人へ役員報酬や配当として支払います。その際には、所得税がかかる点に注意が必要です。余計な税金を納めることのないように、資産の移転は慎重に行いましょう。

過度な節税は認められない

資産管理会社の設立には、個人の所得を抑える効果があります。ただし、自由に好きなだけ節税できる訳ではありません。

「法人から個人への役員報酬を適切な金額に設定する」「役員報酬を支払う親族が名ばかりでない」など一定のルールがあり、過度な節税をすると税務署から否認される可能性があります。全てを把握して適切に対応するには高い専門知識が必要です。資産管理会社を用いた節税を検討している方は、必ず専門家へ相談しましょう。

節税でお悩みですか?資産管理会社の設立前にネイチャーグループへご相談ください!

資産管理会社を設立しても、全ての方が節税効果を得られるとは断言できません。資産管理会社には費用や手間がかかるためです。どのような対策が効果的かは、個人で異なります。税金対策を検討中の方は、正しい知識を持った専門家へ相談しましょう。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)へご相談いただければ、最適な税金対策をご提案します。節税だけでなく、保有資産の増額をご希望の方には、節税効果と投資効果の双方を意識したコンサルティングをしています。実績豊富な税理士がていねいにお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

資産管理会社は、税金対策として有効的な手段のひとつです。「所得税の負担を軽くしたい」「相続対策をしたい」という方は、検討してみてはいかがでしょうか。ただし、場合によっては資産管理会社を設立しないほうがよいケースもあります。専門家へ相談の上、慎重に判断しましょう。

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