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【令和4年度税制改正】富裕層の所得税負担が増える?資産を守るには?

昨年12月に公表された令和4年度税制改正大綱において、富裕層に対する課税強化の方針が示されました。「税制改正によって富裕層にどのような影響があるのか知りたい」という方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では令和4年度税制改正大綱について、富裕層を対象とする今後の課税方針に焦点を当てて解説します。また、実際に改正が決定した金融所得増税のポイントも分かるような内容にまとめました。

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令和4年度税制改正で富裕層向けの課税方針が示された


令和4年度税制改正大綱において富裕層向けに示された課税方針は、「金融所得に対する課税強化」と「相続税と贈与税の一体化」の2点です。いずれも税負担の公平性の観点から、所得税や相続税・贈与税の課税制度について今後検討が進められます。

金融所得に対する課税強化

現行の制度では、株式の配当や売却益といった金融所得に対して、所得税と住民税を合わせ一律20.315%の税率が分離課税されています。

これに対し総合課税される事業所得や給与所得などには、超過累進税率により所得金額が大きいほど高い税率が課される仕組みです。所得税と住民税を合わせた最高税率は55.945%であり、同じ所得金額でも所得の種類によって税負担に偏りが生じます。

これを受け、令和4年度税制改正大綱において高所得者層に対し、「所得に占める金融所得等の割合が高いことにより、所得税負担率が低下する状況がみられるため、これを是正し、税負担の公平性を確保する観点から、金融所得に対する課税のあり方について検討する必要がある」との文言がありました。

金融所得に対する課税が強化される場合、これまでの20.315%よりも高い税率で課税されるケースが発生する可能性も考えられます。

相続税と贈与税を一体化

令和4年度税制改正大綱では、「相続税と贈与税の一体化」ついて検討されています。近年、高齢世代が保有する資産が若年世代に再分配されづらくなっている現状に対し、税制改正大綱は「資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である」としました。

また税制改正大綱では、資産が世代間で移転される際に適切な税負担を伴うことなく次世代に引き継がれることで、「格差の固定化につながりかねない」と危惧しています。

こうした観点から相続時精算課税制度や暦年贈与制度を見直す方針を示しており、検討が進むことで贈与税の非課税枠が廃止されたり、より長い期間の生前贈与が相続税の対象とされたりすることも考えられるでしょう。

生前贈与について現行の日本の制度では、相続開始前3年以内の贈与が相続財産に加算されますが、これは諸外国と比べて短い期間であり、アメリカは生涯、ドイツは10年、フランスは15年をさかのぼった贈与が相続財産と見なされます。

これは相続開始前の長い期間の贈与を相続財産に加えることで、次の世代への資産移転時期にかかわらず税負担を一定にする効果が期待できるためです。諸外国の制度も参考にしながら、今後本格的な検討が進められます。

令和4年度税制改正による金融所得増税のポイント

令和4年度税制改正大綱では、生前贈与や、金融所得に対する課税強化の方針が示されたことに注目が集まっています。その一方で金融所得増税に関する改正も行われていますので、こちらも漏らさず確認しましょう。ここでは、令和4年度税制改正大綱における金融所得増税のポイントについて解説します。

上場株式等の配当所得等において課税方式が一致される

上場株式等の配当所得等について、現行の制度では所得税と住民税で異なる課税方法の選択が可能です。所得税と住民税で異なる課税方法を選択することで、一定の所得層の税負担を抑えるメリットがあります。

しかし所得税では総合課税、住民税では申告不要を選択した場合、課税所得金額によっては健康保険料などにまで影響してしまうという公平性の面での課題がありました。このような影響を考慮し、令和4年度税制改正によって、所得税と住民税の課税方式が一致されます。

大口株主等の要件見直しにより総合課税の対象が広がる

現行制度では、持株割合が3%以上である大口の個人株主が上場株式等の配当等を受け取る場合、総合課税による確定申告が必要です。一方、持株割合3%未満の個人株主は「申告不要を選択できる」「上場株式等の譲渡損失を損益通算できる」など、税制上のメリットが設けられています。

これまでの制度では持分割合を個人株主としてのみで判断するため、同族会社である法人を通して株式を保有するケースなど、実際には持株割合が3%以上であっても大口株主とは判断されない問題がありました。

そこで令和4年度税制改正によって、個人株主が保有する株式と同族会社が保有する株式との合計割合が3%以上の場合に総合課税の対象となります。これまで受けられていた税制上のメリットが、利用できなくなるケースに注意しましょう。

財産債務調書制度の提出義務者が追加される

財産債務調書制度とは、一定以上の資産を持つ人に対し、保有財産や債務を記載する書類の提出を義務付ける制度をいいます。

現行制度での提出義務者は「その年の所得金額が2,000万円を超え、かつ年末時点での財産価額が3億円以上または有価証券など1億円以上を保有する者」です。令和4年度税制改正によって、この提出義務者に「総資産10億円以上を保有する者」が加えられました。

改正は適正な課税を確保する目的で行われ、現行の「所得金額2,000万円」という所得基準に該当しなくとも、著しく高額な資産を保有する場合には財産債務調書の提出が必要になります。

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富裕層が資産を守るための3つの方法

令和4年度税制改正大綱を受け、今後、富裕層への影響が懸念されます。これから富裕層が資産を守るためには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。ここでは、富裕層が資産を守るための3つの方法について解説します。

1.資産管理会社を設立する

資産管理会社とは、資産管理をするために設立された法人です。資産管理会社の設立によって、個人で保有する株式などの資産を法人に移転できます。

法人にした場合、上場株式の配当や売却益に法人税が課税されるなど、税制面で優遇される点がメリットです。所得税の最高税率が45%であるのに対し法人税の最高税率は23.20%であり、課税所得によっては大きな節税効果が期待できるでしょう。

資産管理会社から親族に役員報酬を支払えば、報酬として資産を徐々に渡すことで相続税対策としても利用できます。

2.贈与税の法改正が行われる前に生前贈与する

今回の税制改正大綱で示されたのは今後の方針であり、具体的な改正内容や施行日はまだ決定していません。現行の制度を利用できるうちに、贈与税の非課税枠110万円を利用して親族へ生前贈与を行うのもひとつの方法でしょう。

また教育や、結婚・子育てといった一定の要件を満たす資金であれば、贈与税が非課税になる制度もあります。

・教育資金の贈与税非課税制度:30歳未満の人が、教育資金として父母や祖父母などの直系尊属から金銭を受け取った場合に、1,500万円まで贈与税が非課税です。
・結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度:20歳以上50歳未満の人が、結婚・子育て資金として父母や祖父母などの直系尊属から金銭を受け取った場合に、1,000万円まで贈与税が非課税になります。

(参考: 『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm)
(参考: 『直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm)

3.節税効果の高い資産運用を行う

税制改正大綱では金融所得に対して課税強化の方針が示されましたが、資産運用は株式など金融商品への投資だけではありません。資産運用は不動産やリース、太陽光発電など多岐にわたり、節税効果を発揮できる資産運用の手法は、ひとりひとりの状況によって異なるものです。

税制改正による資産への影響が心配であれば、富裕層の資産運用に強い税理士に相談することをおすすめします。

富裕層の資産運用はお任せください!

富裕層に対する課税強化に備え、より節税効果の高い資産運用を検討される方は、ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)にお任せください。富裕層の資産運用に特化した税理士が、ひとりひとりに合わせたご提案をします。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、税務面でのアドバイスや運用の方法など、さまざまな視点からのご提案が可能です。多くの運用方法の中からお客さまに適したものをご提案しますので、お気軽にご相談ください。

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まとめ


令和4年度税制改正大綱において「金融所得に対する課税強化」と「相続税と贈与税の一体化」の方針が示され、富裕層への課税制度を強化する方向性が明らかになりました。また、実際に金融所得増税に関する改正もいくつか行われています。

今後、富裕層が資産を守るためには、資産管理会社の設立や早めの生前贈与、金融商品以外での資産運用を検討してはいかがでしょうか。ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)は、富裕層の資産運用を専門とした税理士グループです。資産運用にお悩みの方は、この機会にぜひご相談ください。

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