「資産形成って重要なの?」「銀行に預けるじゃだめ?」といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。年収1,000万以上でも、将来の社会保障制度が十分に機能するか分からない、老後に不自由なく暮らすためにも、資産形成をすることが大切です。
この記事では、年収1,000万以上の人が知っておきたい資産形成のポイントを紹介します。資産運用の方法や節税方法についても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
年収1,000万以上でも資産形成が必要な理由
高所得者はお金に困ることが少なく、資産形成の必要性が分からない人もいるかも知れません。確実な資産形成には、何のために資産を増やすのかという理由を明確にすることが大切です。ここでは、年収1,000万円以上の人でも資産形成が必要な理由を3つ紹介します。
老後に不自由なく暮らすため
老後や将来のライフイベントに備えるには資産形成が大切です。年収1,000万円以上でも資産として残さなければ、将来への備えが十分とはいえません。
また、金融庁が発表した「老後2,000万円問題」が話題になりました。人生100年時代ともいわれ、昔よりも日本人の寿命が延びたことにより、老後に必要な資金が2,000万円といわれている背景からきています。老後に不自由なく暮らすためにも、きちんと資産形成をしましょう。
社会保障制度が変わっても対応するため
一般的に、退職後は形成した年金や資産を取り崩して生活します。しかし、現在の日本は少子高齢化や不況が続いているため、将来的に社会保障制度が十分機能するとは限りません。現状、年金受給年齢や高齢者の医療費負担の引き上げといった社会変化も起きています。
今後、日本の社会保障制度はより厳しくなるかもしれません。老後の年金受給だけに頼らず、自ら資産を形成することが大切です。
所得が多いほど所得税率が上がるため
日本は課税所得が多いほど所得税率が段階的に上がる「累進課税」を採用しています。課税所得が200万円の場合は所得税率10%ですが、1,000万円の場合は33%です。さらに、4,000万円以上になれば、45%まで負担は増えます。年収が高い人ほど多額の税金が課されるため、資産形成や節税が重要といえるでしょう。
資産形成には「資産運用」と「節税」がセット
老後に必要な資産を着実に形成するには、「資産運用」と「節税」を併用することがポイントです。ここでは、資産運用と節税が資産形成につながる理由を紹介します。また、双方を併用する大切さも解説するため、参考にしてみてください。
資産運用で効率的な資産形成ができる
資産運用とは、自分の保有資産を株式や投資信託のような金融商品へ投資し、効率的に資産を増やすことです。銀行の預貯金も利息が得られる金融商品のひとつですが、超低金利の環境下において預貯金だけで資産を増やすのはほぼ不可能といえます。
金利の高い金融商品に投資し、将来的に大きく資産を増やすことが重要です。投資には損をするリスクもありますが、分散投資や長期投資といったポイントを押さえることでリスクを軽減できます。
節税すれば資産運用の原資を確保できる
資産運用には金融商品に投資する運用資金が必要です。手元にお金が残らずに悩んでいる人も、節税をすることで資産運用に必要な資金を確保できます。高所得者ほど多額の税金を納めなければなりませんが、少しでも納税額を抑えれば十分な運用資金を生み出せるでしょう。
年収1,000万以上の人におすすめの資産運用
資産運用には株式投資や投資信託といったさまざまな方法があります。大切なのは、金融商品の特徴を知り、リスクやリターンがどの程度か知ることです。投資の知識がない人は無理のない範囲で少しずつ始めてみるとよいでしょう。ここでは、年収1,000万以上の人におすすめの資産運用を紹介します。
株式投資
株式を購入し、配当金を得たり売却したりして収益を上げるのが株式投資です。主に、「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」「株主優待」の3つの利益があります。キャピタルゲインは、株式の購入時と売却時の差額より得られる収益で、株式を購入・売却するタイミングの見極めが大切です。
インカムゲインは、株式を保有することで得られる収益のことで、配当金とも呼ばれます。株式会社の業績によって左右されるため、必ずもらえるわけではありません。株主優待は、持株数に応じて企業から自社製品や優待券をもらえるシステムです。レストランのチケットや地域の名産品など、発行元によって異なります。
不動産投資
不動産投資は、不動産物件を購入して第三者に貸し出し、家賃を収益として得る投資方法です。マンションやアパートの一室を購入して貸し出す「ワンルーム投資」と、戸建てやマンションを丸ごと購入して貸し出す「一棟買い投資」の2種類があります。
不動産投資の利益は、不動産を売却して得るキャピタルゲインと、家賃収入のインカムゲインの2つです。不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの金融商品で、比較的安定して収益を得られるといわれています。ただし、空室が出れば家賃収益は入りません。物件の利便性を高めたり広告を出したりといった空室対策が大切です。
ヘッジファンド
ヘッジファンドは、さまざまな取引手法を駆使して絶対収益を目指す私募ファンドです。比較的自由な運用が可能で、ファンドマネージャーに運用を任せられます。
投資信託と似ていますが、投資信託の運用目標はベンチマークを上回る「相対収益」です。相場が下落して運用成績がマイナスでも、ベンチマークを上回っていれば評価されます。一方、ヘッジファンドの運用目標は、相場の変動に関係なくプラスの収益を目指す「絶対収益」です。
投資金額が数千万円以上、場合によっては数億円になるケースもあるため、一般的に機関投資家や富裕層を対象としています。投資に1,000万円回せる高所得者であれば、ヘッジファンドも検討できるでしょう。
年収1,000万以上の人におすすめの節税方法
十分な資産を形成するには、資産運用と同時に税金対策もするとよいでしょう。節税方法を知ることで、税負担の軽減が可能です。手元に残った資金は、資産運用に利用できます。ここでは、年収1,000万以上の人におすすめの節税方法を4つ紹介します。
確定拠出年金
確定拠出年金とは老後の資産形成を目的とした年金制度で、「個人型年金(iDeCo)」「企業型年金(企業型DC)」の2種類があります。iDeCoは個人で加入し、自ら掛け金を積み立てて運用するタイプ、企業型DCは事業主が拠出する企業年金のひとつです。
加入者自らが金融商品を選んで運用しますが、毎月支払う掛け金は所得控除の対象で、所得税や住民税を安く抑えられます。また、運用で得た収益は非課税です。給付金を受け取る際も税制優遇があるため、節税につながります。
NISA
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。NISA口座を開設し、運用して得た収益には税金がかかりません。NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、年間の非課税枠や非課税保有期間、投資可能な商品が異なります。
例えば、一般NISAは年間非課税枠が120万円、つみたてNISAは40万円です。それぞれ特徴があるため、目的に応じて選ぶとよいでしょう。また、ジュニアNISAの新規口座開設は2023年までです。
各種控除
国が用意している控除制度には、生命保険料控除や地震保険料控除、扶養控除などがあります。一定の要件がありますが、要件に当てはまる人は各種所得の合計額から各種控除の合計額を差し引いた金額に基づいて所得税額を求めます。所得税の節税になるため、各種控除を漏れなく利用することが重要です。
各種控除制度の詳細は国税庁のホームページで確認できます。自身が利用できる控除がないか、ご確認ください。
(参考: 『No.1100 所得控除のあらまし|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm)
ふるさと納税
ふるさと納税とは、自分の故郷や応援したい地方自治体に寄付することで、寄附金控除を受けられる制度です。寄附金の2,000円を超える部分に対して、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。
ただし、収入や家族構成によって控除上限額が決まっている点に注意が必要です。上限を超える多額の寄付をしても節税効果は得られない場合があります。ふるさと納税は税金の前払いともいえるため、寄付する金額は十分に検討しましょう。
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まとめ
年収1,000万以上の人でも、将来の備えとして資産形成は大切です。効率よく資産形成するには、資産運用と節税を併用するとよいでしょう。資産運用には、株式投資や不動産投資があります。投資の知識を身につけ、無理のない範囲から始めるのがおすすめです。
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