「シンガポールの確定申告のイメージがつかない」
「日本のやり方と何が違うの?」
海外での確定申告は、イメージがつきにくいかもしれません。
そこで本記事では、シンガポールで確定申告を行う方法を解説します。ステップごとに分けてわかりやすく説明するだけでなく、申告時に注意したいポイントについても触れていますので、申告前にぜひご覧ください。
特に、控除の部分は知らなければ損をしてしまう情報です。節税効果を得るために、積極的に活用していきましょう。
※本記事のレート並びに記載内容は2024年6月現在のものです。
シンガポールにおける確定申告の基本事項
まず、シンガポールで確定申告を行う際の基本事項について押さえておきましょう。
確定申告の期限
確定申告の期限は、毎年4月18日までです。日本と同様に、申請する前年度の1月1日〜12月31日までの所得について確定し、申告する必要があります。
申告方法
シンガポールの確定申告は、主に電子申請で行われます。
かつては紙ベースで行われていたため、現在でも紙での申請は不可能ではありません。ただし、提出期限が短い、郵送に時間がかかるなどのデメリットがあるため、可能であれば電子申請をおすすめします。
居住者と非居住者
シンガポールは、滞在・就労日数により居住者と非居住者に分けられます。
分類 | シンガポールでの滞在/就労日数 | 課税方法 |
---|---|---|
非居住者 | 60日以内 | 免税 |
61日〜182日 | 非居住者の税率で課税 (給与所得の場合、15%or累進課税のいずれか大きい方) |
|
居住者 | 183日以上 | 居住者の税率(累進課税)で課税 |
参考:シンガポールにおける 個人所得税の申告についてをもとに作成
居住者と非居住者では税率も異なるため、申告する際ご自身がどちらに区分されるのかの確認を行いましょう。
課税対象の所得
例えば、以下のようなものが課税対象の所得となります。
- シンガポール国内の仕事で得た収入
- シンガポールから得た収入
- 投資所得
- その他(年金、宝くじの当選金、投資信託の収入など)
反対に、シンガポール国外で得た収入は課税対象外です。さらに、シンガポールにはキャピタルゲイン税がないため、株式などの利益はそのまま受け取ることができます。
所得税率
シンガポールの所得税は、日本と同様、累進税率を採用しています。
所得額 | 累進税率(所得税率) |
---|---|
〜20,000Sドル | 0% |
20,001〜30,000Sドル | 2% |
30,001〜40,000Sドル | 3.5% |
40,001〜80,000Sドル | 7% |
80,001〜120,000Sドル | 11.5% |
120,001〜160,000Sドル | 15% |
160,001〜200,000Sドル | 18% |
200,001〜240,000Sドル | 19% |
240,001〜280,000Sドル | 19.5% |
280,001〜320,000Sドル | 20% |
320,001〜500,000Sドル | 22% |
500,001〜1,000,000Sドル | 23% |
1,000,001Sドル〜 | 24% |
計算方法
シンガポールでの個人所得税の計算方法は、一般的に以下の通りです。
課税所得×所得税率 課税所得=総所得-経費-寄付金-人的控除 |
所得税率は前述した表の通りです。20,000Sドル以下は0%で非課税になります。
シンガポールでの確定申告の手順3ステップ
次に、シンガポールでの確定申告のステップを解説します。具体的には、以下の3つのステップで申告を行います。
- 所得証明書を作成する
- IRASのWebサイトで申告する
- 賦課通知を受け取ってから1ヶ月以内に納税する
所得証明書を作成する
確定申告を行う準備として、所得証明書の作成が必要です。個人事業の場合、直接IRASのサイトにて申告が必要ですので、ご注意ください。
給与所得の場合は「IR8A」というフォームが従業員に配られます。この所得証明書をもとに確定申告を行う必要があります。こちらは日本でいう源泉徴収票のようなものです。ただし、駐在員の場合、所得の計算内容が複雑なため、所得証明書(IR8AやAppendix8A)の作成、申告手続きをまとめて会計事務所に依頼することが多いです。
IRASのWebサイトで申告する
IRASとは、シンガポール税務当局のことです。基本的にシンガポールでは、IRASのWebサイトから確定申告を行います。
日本でいうe-taxと同じようなイメージです。
賦課通知を受け取ってから1ヶ月以内に納税する
シンガポールの所得税支払いは、IRASからの賦課通知を受け取ってから、1ヶ月以内の納税を原則としています。
賦課通知は通常、確定申告の1〜2ヶ月後に発行されますが、半年以上かかるケースもあるため注意が必要です。
また、従来は紙面ベースでしたが、近年になりSMSでの通知、Webサイト上からダウンロードする方法に変わっています。
支払い忘れを防ぐためには、自動引き落としを設定する方法がおすすめです。
シンガポールで確定申告する3つの注意点
シンガポールで確定申告を行う際は、特に以下の3点に注意しましょう。
- 最新の税優遇措置を確認する
- 申告期限を確認する
- 日本で受け取った給与も課税対象となるケースがある
1.最新の税優遇措置を確認する
税制は、細部の変更がされることが多々あります。特に、税優遇措置においては情勢に応じて変化することが多いため、申告前には最新の税優遇措置を確認しましょう。
「数年前に専門家に相談したからそのまま申告した」「ネットでお得な節税方法を見かけてその通り申告したら古い税制であった」というのはよくある話です。
2.申告期限を確認する
申告期限の確認にも注意が必要です。先述した通り、オンラインで申告する場合は毎年4月18日までが申告期限です。
しかし、紙面での申告の場合4月15日と、3日ほど期限が短くなるためご注意ください。また、一般的には所得証明書の作成の手間も発生するため、早めの段階から準備しておくことが重要です。
3.日本で受け取った給与も課税対象となるケースがある
通常、国外での収入はシンガポールの所得税の課税対象外です。ただし、例外的に駐在員の給与は課税対象になることがあります。
例えば、シンガポール駐在員であっても、日本で受け取る給与所得については、シンガポールでの課税対象となることがあります。これは、シンガポールで就労し、発生した賃金であるためです。
シンガポールの確定申告で使える控除制度
2024年に、シンガポールの確定申告で使える代表的な控除制度は以下の通りです。
- 就労所得控除
- 配偶者控除
- 子供扶養控除
1.就労所得控除
シンガポールでは、年齢ごとに以下の所得控除が受けられます。
年齢 | 所得控除の額 (シンガポールドル) |
---|---|
55歳未満 | 1,000Sドル(約11.6万円) |
55〜60歳 | 6,000Sドル(約70万円) |
60歳以上 | 8,000Sドル(約93万円) |
※シンガポール居住者であることが条件です
2.配偶者控除
配偶者の年間所得が4,000Sドル(約46.5万円)以下の場合、2,000Sドル(約23.2万円)の控除が受けられます。
3.子供扶養控除
以下いずれかの条件を満たせば、4,000Sドル(約46.5万円)の控除を受けられます。
- 子供が16歳であり、年間所得が4,000Sドル以下
- 子供がフルタイムの学生であり、年間所得が4,000Sドル以下
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まとめ:シンガポールの確定申告は知識を身につけてスムーズに済ませよう
シンガポールの確定申告は、日本と比較し、計算方法はおおむね似ていますが、控除の内容など異なる部分も多いため、事前の準備と確認が必要です。
日本と比べ、所得税が低いシンガポールで、最大限節税効果を得ながら確定申告を行うには、専門的な知識が必要です。
また、時間的なリソースが足りない、安心して手続きを進めたいという方もプロへ相談しながら進めることをおすすめします。
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