勤務医こそ資産形成が重要ですが、まだ必要性を感じていない方もいるのではないでしょうか。
一般的に勤務医は給与が高く「わざわざ資産形成をする必要はないのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、勤務医だからといって資産形成をしないのは、長期的な視点で考えるとおすすめしません。
そこで本記事では、勤務医こそ資産形成が重要である理由や、おすすめの投資先などを詳しく解説します。
「わざわざ資産形成する必要があるの?」「投資先がよくわからない」と考える勤務医の方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事の記載内容は2024年9月現在のものです。
勤務医に資産形成が重要な理由
早速ですが、なぜ勤務医にも資産形成が重要なのかについて紹介します。
- 退職後・老後からの資産運用はリスクが高い
- 長期の資産形成は成功しやすい
- 医師の給与水準が将来的に低下する恐れがある
資産形成をしないまま過ごすことは、将来の自分を困らせる可能性があります。理由を細かく見ていきましょう。
退職後・老後からの資産運用はリスクが高い
退職後や老後からの資産運用は、リスクが高くなる傾向にあります。
今まで資産運用をした経験のない方が急に始めても知識や経験が少なく、適切な投資先がわからずに失敗する可能性があります。
たとえば、退職金をすべて資産運用に使ってしまい、大きくお金を失ってしまったというケースもあります。
そのため、退職後や老後から資産運用を始めるのはリスクが高いです。今この瞬間から資産形成に取り組み、知識や経験を蓄積していく必要があるでしょう。
長期の資産形成は成功しやすい
一般的に、長期の資産形成は成功しやすい傾向にあります。
短期間で一気に資産を増やそうとすると、リスクの高い金融商品を選ばざるを得ません。リスクの高い投資先がすべて悪いわけではありませんが、大切な資産を失う可能性が高くなります。
その点、長期間の資産形成であればリスクの低い投資先を選び、着実に資産を増やしていけるでしょう。正しい投資先を選べるのであれば、短期間で資産を形成するよりも安全です。
資産形成を安全に進め、かつ成功させたいのであれば、長期的に取り組む必要があります。
医師の給与水準が将来的に低下する恐れがある
医師は、一般的に給与水準が高い傾向にありますが、将来的には低下する恐れがあります。
現在、少子高齢化の影響で労働人口に対して高齢者の人口が増加し、日本全体の医療費が増えています。そこで、少しでも医療費の圧迫を避けるために診療報酬の改定がおこなわれています。
結果、診療報酬が下がり、医療機関の収益に影響が出る可能性があります。診療報酬が下がって収益が減少すれば経費削減を図らざるを得ません。医療機関でかかる経費の多くは人件費です。
つまり、診療報酬が減ると経費の多くを占める人件費が見直されることは必至で、将来的に医師の給与が下がる可能性は否定できません。将来的な給与の低下に備えたいのであれば、資産形成は必須です。
勤務医の年代別給与は?
勤務医には資産形成が重要であるとわかったところで、勤務医の年代別給与を確認していきましょう。
年齢 | 平均年収(男性) | 平均年収(女性) |
---|---|---|
20歳から24歳まで | 626万300円 | 575万7,700円 |
25歳から29歳まで | 776万3,900円 | 724万6,900円 |
30歳から34歳まで | 1,089万6,500円 | 852万400円 |
35歳から39歳まで | 1,270万4,500円 | 1,206万2,400円 |
40歳から44歳まで | 1,587万5,900円 | 1,366万5,500円 |
45歳から49歳まで | 1,699万2,700円 | 1,538万8,900円 |
50歳から54歳まで | 1,934万9,900円 | 1,585万9,400円 |
55歳から59歳まで | 1,873万900円 | 1,446万1,500円 |
60歳から64歳まで | 1,846万8,400円 | 1,521万700円 |
65歳から69歳まで | 1,972万7,900円 | 1,692万6,000円 |
70歳以上 | 1,678万1,700円 | 694万6,800円 |
※平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」にて算出しています。
参照:厚生労働省「令和5年度賃金構造基本統計調査」
勤務医の平均年収は男女ともに65〜69歳がピークで、基本的には右肩上がりに上昇していきます。
とくに男性の場合は、50歳を超えると大きく年収が増加しますが、50代を超えると管理職につく方が増えることが理由です。
院長や副院長になる方も出てくるため、50代以降の平均年収は高くなります。
勤務医の資産形成を始めるタイミング
勤務医の年代別給与はわかりましたが、資産形成はどのタイミングで始めればいいのでしょうか?
資産形成を始めるおすすめのタイミングは、「医師臨床研修制度が終了して勤務が安定する時」と「資金に余裕ができた時」です。それぞれの詳細を確認しましょう。
医師臨床研修制度が終了して勤務が安定する時
医師臨床研修制度が終わり、勤務が安定したときは、資産形成を始めるタイミングとしておすすめです。
医師臨床研修制度中は学ばなければならないことが多く、医師としてのキャリアのベースを整えることに集中する必要があります。そのため、資産形成に割く時間がありません。
また勤務医は給与水準が高いですが、研修中は給与を抑えられているため、資金に余裕があるとはいいにくい状況です。
したがって、資産形成を始めるのは、医師臨床研修制度が終わってからの方がいいでしょう。
資金に余裕ができた時
勤務医に限らず、資金に余裕ができた時は資産形成を始めるいいタイミングだといえるでしょう。
余裕資金がない中で、焦って資産形成を始める方もいますがおすすめできません。生活に必要な資金を資産形成にまわしてしまうと、生活を圧迫してしまいます。
まずは、何かあった時のためにお金を残すところから始めましょう。ある程度蓄えができたら、生活費や今後のライフイベントで必要になるお金などを除いた余裕資金から、資産形成を始めるのがおすすめです。
勤務医の資産形成3ステップ
では、勤務医が具体的に資産形成をするにはどうすればいいのでしょうか。
勤務医が資産形成をするための手順は、大きく3つのステップに分けられます。
- ライフプランを計画する
- 保有資産の全体像を掴む
- 資産をどう運用するか検討する
資産形成を検討している勤務医の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ライフプランを計画する
まずは、ライフプランを計画しましょう。
具体的には、今後のライフイベントを書き出し、必要な金額を計算して将来どの程度のお金が必要になるのかを把握してください。
ライフイベントのイメージがつきにくい方は、人生の三大支出である「住宅資金」「教育費」「老後資金」を軸に考えるといいでしょう。
現時点で細かな金額がわからない場合は、かかるであろう金額の最大値で計算します。
保有資産の全体像を掴む
ライフプランの計画が終わったら、現時点で保有している資産の全体像を掴みます。
たとえば、現預金や有価証券、不動産などです。住宅ローンといった負債がある場合は、負債も計上します。
全体像がわかれば、「現時点での資産が将来予定していることに対して十分足りているのか」「それとも不足しているのか」を確認でき、今後どうしていくかを検討できます。
資産をどう運用するか検討する
保有資産の全体像を掴めたら、資産をどう運用するのか検討します。
運用する期間や目的に合わせて、どのように資産運用するか決めるといいでしょう。具体的には、どの程度リスクを取れるのか、どのくらい資産を増やしたいのかといったことを考えます。
資産をどう運用するのかという点は、非常に重要です。慎重に考えるのはもちろんのこと、必要に応じて専門家へ相談するのがおすすめです。
勤務医におすすめの資産形成の手段7選
資産形成の手順がわかったところで、最も重要な部分である資産形成の手段を紹介します。
おすすめの資産形成の手段は、7つあります。
- iDeCo
- つみたてNISA
- 株式投資
- 国債
- 純金・プラチナなどの貴金属積立投資
- 不動産投資
- 太陽光発電投資
自分にはどの資産形成の手段が合っているのかを踏まえて、読み進めてみてください。
iDeCo
掛け金と運用益の合計額をベースに給付が受けられるiDeCoは、勤務医の資産形成におすすめです。好きなだけ掛け金を拠出できるわけではなく、最低5,000円からで、職業によって上限が決まっています。
職業 | 上限金額 |
---|---|
自営業など | 月額68,000円 |
専業主(主夫)など | 月額23,000円 |
会社員(勤務先に企業年金等がない場合) | 月額23,000円 |
会社員(企業年金等があり企業型DCのみに加入している場合) | 月額20,000円 |
会社員(企業年金等があり企業型DCと確定給付企業年金に加入している場合、確定給付企業年金のみに加入している場合) | 月額12,000円 |
公務員 | 月額12,000円 |
iDeCoの特徴は、加入するかどうかを自分で決定でき、毎月の掛け金の全額が所得控除の対象になることです。
60歳まで原則引き出せない点には注意が必要ですが、少額からスタートできるため、気軽に始めやすいというメリットがあります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、少額からスタートできる資産形成の手段です。
2018年に導入された制度ですが、2024年に新制度がスタートしました。旧つみたてNISAと新つみたて投資枠との違いは、以下のとおりです。
旧つみたてNISA | 新つみたて投資枠 | |
---|---|---|
年間投資上限額 | 40万円 | 120万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 無制限 |
非課税保有限度額 | 800万円 | 1,800万円 |
新しい制度であるつみたて投資枠は、旧つみたてNISAと比べて、年間投資上限額や非課税保有期間、非課税保有限度額、いずれも大幅に増加しました。
旧NISAでは毎月33,333円ほどしか積み立てできませんでしたが、新しい制度では毎月10万円まで積み立てられます。
また、新制度と旧制度は別枠としてみなされるため、すでに旧制度を利用している方も不利になるようなことはなく、問題なく始められるでしょう。
株式投資
資産形成と聞くと、真っ先に株式投資が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。実際、株式投資も勤務医の資産形成の手段としておすすめです。
株式投資は、企業の株を購入して資産形成をする方法ですが、利益を得る方法が2つあります。
- 株価が安いときに購入し、価格が上昇したタイミングで売って利益を得る
- 権利確定日まで株式を保有して、配当金や株主優待を得る
1の場合は大きな利益を得られる可能性があり、2の場合は定期的に利益を得られるのが魅力です。どちらがいいのかは、自分の投資目的や運用期間などによって異なります。
また、どちらかのみではなく、どちらも併用しながら資産形成するのもいいでしょう。
国債
国債は国が発行する債券のことで、預貯金よりも金利が高い傾向にあるのが魅力です。
特に、個人向け国債は元本割れすることがないため、リスクを取らないで資産形成をしたい方におすすめです。
また、個人向け国債は、3年、5年、10年のなかから運用期間を選べるため、自分の都合に合わせて運用期間を選べます。
純金・プラチナなどの貴金属積立投資
純金・プラチナなどの貴金属積立投資も、勤務医におすすめの資産形成手段の一つです。
純金やプラチナなどの貴金属投資は、株式や債券とは異なり、「発行元の状況に左右されない」「世界共通で価値が認められている」という特徴があります。
「安全資産に投資をしたい」「現物で資産を保有したい」といった場合には、純金・プラチナなどの貴金属積立投資も選択肢に入れておきましょう。
不動産投資
勤務医の方には、不動産投資もおすすめです。不動産投資は、毎月の家賃収入や売却などで利益を得られます。
また、不動産投資はただ収入を増やすだけではなく、下記項目を経費計上でき、節税対策としても効果的です。
- 減価償却費
- ローン金利
- 保険料
- 管理委託料
- 修繕費など
家賃収入で資産形成をしながら節税もできるため、給与水準の高い勤務医の方に向いています。
太陽光発電投資
太陽光発電も不動産投資同様、資産形成におすすめの手段の一つです。
太陽光発電は、太陽光パネルによって発電された電気を買い取ってもらうことで収入を増やせます。さらに、不動産投資同様、下記項目を経費計上できるため、節税対策としても有効です。
- 減価償却費
- 点検費用
- メンテナンス費用など
課税対象となる所得金額を減らして、税の負担を軽減できるのは大きな魅力です。
ただし、どの項目が経費に該当するのかを判断するためには、専門的な知識が必要です。わからない場合は、税務の専門家へ相談することをおすすめします。
勤務医が資産形成で失敗しないためのポイント
「おすすめの資産形成手段もわかったし、すぐにでも取り組もう」と思われた方、少しお待ちください。
勢いで投資してしまうと、大きな失敗を招く恐れがあります。
勤務医が資産形成で失敗しないためのポイントは、以下のとおりです。
- 短期間での資産形成は難しいと理解する
- 担当者の言葉を全て鵜呑みにしない
- 客観的なアドバイスを受ける
- 分散投資でリスクを軽減する
あらかじめポイントに目を通し、着実に資産を形成できるようにしましょう。
短期間での資産形成は難しいと理解する
まず、短期間での資産形成は難しいと理解してください。
短期間で資産を形成する場合、資産を形成する方法としてデイトレードやスイングトレードといった短期間で結果の出るものを採用することが多い傾向にあります。毎年数%の利回りをゆっくりと得ている時間がないからです。
いずれも、安く買って高く売るという作業を繰り返さなければなりません。常に値動きを把握してデータを分析しなければいけないため、かなりのテクニックや知識が必要です。
一方で長期間での資産形成は、長期的に資産を増やせればいいため、目の前の一時的な値動きなどはあまり気にしません。あくまで、長期的に資産を増やせるかどうかが重要で、コツコツと資産を積み上げていきます。目の前の結果に一喜一憂する必要がないため、精神的にも疲労は少ないでしょう。
短期間が悪いわけではありませんが、長期間の資産形成と比べるとハードルが高くなると理解しておいてください。
担当者の言葉を全て鵜呑みにしない
資産形成で失敗したくない方は、担当者の言葉を全て鵜呑みにしてはいけません。
資産形成をする場合、銀行や証券会社、保険会社などを利用する選択肢もあるでしょう。
しかし、担当者が全員あなたの味方であるとは限りません。自分の営業成績を上げたいために、自分にとって利益のある商品しか紹介してくれないケースもあります。
仮に魅力的だと感じても、すぐに判断せずに自らも情報を調べたり、信頼できる第三者に相談したりしましょう。
客観的なアドバイスを受ける
客観的なアドバイスを受けることも、資産形成に失敗しないための重要なポイントです。
魅力的な商品を紹介されると、どうしてもその商品がいいと考えてしまうでしょう。しかし、その商品は本当にあなたの現状や思い描く将来に対して適切な商品か、自分では判断できません。
当事者や知識が少ない方には見えていない部分もあります。客観的なアドバイスを受けることで、自分には見えていなかったリスクやメリットがわかります。よって、より自分に適した資産形成の手段を見つけられるでしょう。
資産形成を成功させたいのであれば、客観的なアドバイスは欠かせません。客観的なアドバイスを受けたいのであれば、友達や家族ではなく、知識が豊富な資産運用のプロに相談することをおすすめします。
分散投資でリスクを軽減する
分散投資でリスクを軽減することも、資産形成に失敗しないためには重要です。
資産運用の世界には、「卵は1つのカゴに盛るな」という言葉があります。これは、特定の商品だけに投資すると、何らかの事情によりその商品の価値が急激に低下したときに、資産を多く減らすから危険という意味です。
日本を含め、世界の情勢は目まぐるしく変化しているため、1つの手段に固執すると深刻なダメージを負いかねません。資産形成で失敗したくないのであれば、分散投資をしてリスクを減らしましょう。
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退職後や老後からの資産形成はリスクが高く、医師の給与水準は将来的に低下する可能性があります。今給料が高いからといって何も準備しないままでいると、後悔するかもしれません。
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