「役員報酬を増やしても、税金と社会保険料で半分近く持っていかれる」と嘆く経営者の方は少なくありません。額面の給与を上げるのではなく、会社が家賃を負担する「借り上げ社宅」を活用すれば、実質的な手取り額を増やせるのです。
本記事では、税理士の視点から、借り上げ社宅による節税の仕組みや、税務署に指摘されないための計算ルールを詳しく解説します。この記事を読むことで、安全かつ効果的に会社の経費を増やし、個人の可処分所得を最大化する具体的な道筋が見えてきます。
借り上げ社宅が節税対策になる理由とは?
節税を考える際、最初に理解すべきは現金支給と現物給付の差です。多くの企業で導入されている住宅手当は、給与の一部として扱われます。所得税や住民税の課税対象となり、社会保険料の算定基礎にも含まれます。額面で10万円の住宅手当を支給しても、本人の手元に残るのは税金などが引かれた後の7万円程というケースは珍しくありません。
借り上げ社宅制度は、会社が大家と契約して家賃を支払い、役員や従業員から賃料相当額を受け取る形式をとります。会社が支払う家賃と本人から受け取る賃料の差額は、給与として課税されません。税金がかからない形で住居費のサポートを受けられます。
役員が借り上げ社宅を利用する3つのメリットと節税効果
借り上げ社宅の導入は、会社と個人の双方に大きな恩恵をもたらします。詳細について詳しく見ていきましょう。
- 所得税・住民税の負担軽減
- 社会保険料の適正化
- 法人税の圧縮
1. 所得税・住民税の負担軽減
役員報酬として現金を受け取ると、累進課税によって高い税率が適用されます。借り上げ社宅によって報酬の中身を家賃に置き換えれば、帳簿上の所得を下げつつ、生活水準を維持することが可能です。
2. 社会保険料の適正化
社会保険料は標準報酬月額に基づいて決定されます。住宅手当を廃止して借り上げ社宅に切り替えることで、標準報酬月額が下がり、労使折半で負担している社会保険料の総額を抑える効果が期待できます。
3. 法人税の圧縮
会社が支払う家賃は全額が地代家賃として経費(損金)に算入されます。利益が出ている会社で役員の住居費を経費化できることは、非常に有効な法人税対策となります。
借り上げ社宅の節税効果を左右する賃料相当額と計算ルール
借り上げ社宅を導入する際、役員は会社に対して「賃料相当額」を支払う必要があります。支払いがゼロだったり、基準よりも少なかったりすると、差額が役員賞与とみなされて課税対象になるため注意が必要です。
役員が支払う賃料相当額は、住宅の床面積によって「小規模住宅」と「それ以外の住宅」に分けられ、以下の計算式で算出します。
| 住宅の区分 | 床面積の基準 | 賃料相当額の計算式 |
| 小規模住宅 | 木造や軽量鉄骨造等は132平方メートル以下、重量鉄骨造やRC造は99㎡以下 | (その年度の家屋の固定資産税評価額) × 0.2% + 12円 × (家屋の総床面積 / 3.3平方メートル) + (その年度の敷地の固定資産税評価額) × 0.22% |
| それ以外の住宅 | 木造や軽量鉄骨造は132平方メートル超、重量鉄骨造やRC造は99㎡超 | 自社所有物件か借り上げ物件かにより異なるが、借り上げ物件の場合は実際の家賃の50% ※ただし賃料が一般的な水準を下回る場合は注意が必要 |
小規模住宅に該当すれば、実際の家賃の10%〜20%程度の支払いで済むことが多いです。計算根拠となる固定資産税評価額は、大家から課税明細書の写しを入手するか、借家人である場合には市役所で閲覧することで確認できます。
豪華社宅判定を避けて借り上げ社宅で節税するための条件
都心のタワーマンションや、プール付きの邸宅などを社宅にする場合は慎重な判断が求められます。税務上、豪華社宅と判定される可能性があるのは、床面積が240平方メートルを超えるような物件や、内装が著しく贅沢な物件です。豪華社宅とみなされると、上記のような有利な計算式は使えず、通常支払うべき家賃の全額を会社に支払わなければなりません。
役員の個人的な嗜好が強すぎる物件も、税務調査で否認されるリスクが高まります。規程を作成し、どの役員にも平等に適用されるルールとして運用することが、重要です。
【シミュレーション】借り上げ社宅による節税で手取り額はどう変わる?
具体的なシミュレーションで効果を見てみましょう。
例えば、年収2000万円の役員が、個人で月額30万円(年間360万円)の家賃を支払っているとします。所得税・住民税の税率は非常に高く、所得900万超で所得税・住民税が約43%課税されます。逆算すると、家賃を払うために360万円を稼ぐには、額面で約800万円以上の報酬が必要です。
会社が家賃30万円の物件を借り上げ、役員が賃料相当額として5万円を会社に支払う形式に変更したとします。
- 個人の支出:30万円(家賃) → 5万円(共益費等除く賃料相当額)
- 会社の経費:25万円(家賃差額)
差額の25万円分、役員報酬を減額設定すれば、個人の手取り額は年間で100万円単位で増える計算になります。会社負担の社会保険料も軽減されるため、法人全体のキャッシュフローは大きく改善します。
借り上げ社宅を節税に活用する際のデメリットと実務上の注意点
メリットの大きい制度ですがハードルも存在します。注意点は以下の3点です。
- 法人名義での契約が必要
- 社宅管理規程の整備
- 住宅ローン控除との併用不可
1. 法人名義での契約が必要
法人契約は拒否されるケースもあります。法人契約が可能かを事前に確認しておきましょう。また現在住んでいる家を法人名義に契約し直す場合は、住宅手当とみなされてしまい課税されるリスクが生じます。
2. 社宅管理規程の整備
特定の役員だけを優遇するような運用は、税務署から実質的な給与と指摘される原因になります。全社的なルールとして規程を明文化し、計算根拠となる資料を保存しておく事務作業は欠かせません。
3. 住宅ローン控除との併用不可
持ち家の場合は住宅ローン控除により大きなメリットを受けられる可能性があります。社宅の場合は住宅ローン控除の適用は受けられませんので、どちらが有理かの比較検討が重要です。
まとめ:借り上げ社宅を正しく運用して賢く節税する方法
借り上げ社宅は、経営者の手取りを合法的に増やすための非常に強力なツールです。しかし、効果を最大化しつつリスクをゼロに抑えるには、緻密な計算と正確な規程の設定が不可欠です。
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