「利益は出ているのに、税金と社会保険料で手元に現金が残らない」と悩む経営者は少なくありません。日本は累進課税制度を採用しており、個人の所得が増えるほど税率は上がります。多くの富裕層が実践しているのが会社を2つ経営する戦略です。
本記事では法人を分離して所得を分散し、社会保険料を最適化する仕組みを、富裕層の資産防衛に特化した専門的な知見を用いてわかりやすく解説します。会社を2つに分けることは合法的に資産を守り、攻めの経営を行うための強みになるのです。
会社2つ経営(複数社経営)で享受できる5つのメリット
複数の法人を使い分ける戦略は節税だけにとどまらず、経営の柔軟性を高めるための強い武器になります。それぞれの法人の特性を活かせば、個人の手残りを最大化しつつ、将来的なリスクにも備えられるのです。
- 法人税の軽減税率を二重に活用できる
- 消費税の免税期間を新しく得られる
- 社会保険料の総額を適正にコントロールできる
- 退職金の非課税枠を最大限に利用できる
- 事業ごとの法的リスクを完全に分離できる
1. 法人税の軽減税率を二重に活用できる
法人税の負担を大幅に抑えられます。 年間の利益が800万円以下の部分は、通常よりも低い税率です。 1つの会社で1,600万円の利益を出すよりも、2つの会社に800万円ずつ利益を分散させるほうが、低い税率を適用できる範囲が広がります。 納税額を最小化する上で効率的な手法です。
2. 消費税の免税期間を新しく得られる
新設した会社において消費税の支払いを免除される期間を作れます。 資本金などの要件を満たせば、設立から最大2年間は消費税の納税義務が免除される仕組みです。 特定の事業を別法人として切り出すことで、売上にかかる税負担を実質的にゼロにする期間を確保できます。 手元に残る現金を増やすための強力な手段になります。
3. 社会保険料の総額を適正にコントロールできる
社会保険料の支払額を最適化できる余地が生まれます。 複数の会社から報酬を得る場合、それぞれの勤務実態に合わせて保険料を按分する仕組みの利用が可能です。 一方の会社を非常勤扱いにするなど、報酬のバランスを整えれば、過度な保険料負担を避ける設計ができます。 会社と個人の両方で支出を減らせることは大きな利点です。
4. 退職金の非課税枠を最大限に利用できる
将来受け取る退職金の節税効果を飛躍的に高められます。 役員退職金は会社ごとに支払いができ、それぞれの支給時に退職所得控除を適用できるためです。 1つの会社からまとめて受け取るよりも、複数の会社から時期をずらして受け取るほうが、税金がかからない枠を効率的に活用できます。 老後の資産を形成する上で有利な制度といえるでしょう。
5. 事業ごとの法的リスクを完全に分離できる
不測の事態から大切な資産を守れるかもしれません。 法人を分けることで、一方の事業でトラブルや負債が発生しても、もう一方の会社の資産には影響が及ばない仕組みの構築が可能です。 ハイリスクな新規事業と安定した不動産賃貸業などを別法人にすれば、共倒れを防げます。 経営の安定性を長期的に確保するために守りの戦略は不可欠です。
会社2つ経営による社会保険料と所得税の具体的な削減方法
会社を2つ経営する経営者が大きなメリットを感じるのが社会保険料の最適化です。以下の表で1社経営と2社経営の違いを整理しました。
【比較表】1社経営 vs 2社経営(年商・利益が同等の場合)
| 1社経営(利益集中) | 2社経営(利益・報酬分散) | |
| 社会保険料 | 報酬額に比例して最大額まで上昇 | 報酬設定により負担を最小化可能 |
| 法人税(軽減税率) | 800万円までの1枠のみ | 800万円 × 2枠の活用が可能 |
| 経費枠 | 1社分の交際費等 | 2社分の交際費等が設定可能 |
| 事業リスク | 全ての資産が同一法人にある | 会社間でリスクが隔離される |
社会保険料の二以上事業所勤務届
2つの会社から役員報酬を受け取る場合、年金事務所に「二以上事業所勤務届」の提出が必要です。社会保険料は2社からの報酬を合算して決定されます。
例えば、メインの会社からは役員報酬を多く取って社会保険の上限に達している場合、2社目からいくら報酬を取っても(合算して上限に当たるため)社会保険料の負担は上がりません。
逆に、1社を社会保険加入義務のない範囲(非常勤など)に設定して無駄な二重加入を防ぐなど、報酬の配分を調整することで、保障を維持しながら負担額を合法的にコントロールできるのです。
会社2つ経営で注意すべき3つの税務リスクと実務上の注意点
会社を2つ経営することは大きなメリットがありますが、安易な設立は税務署の指摘を受ける原因になります。特に実態がないと判断されることは避けなければなりません。
- 実態のない会社は否認される
- 事務負担と維持コストの増加
- 同族会社の行為計算否認
1. 実態のない会社は否認される
節税のためだけに名前だけの会社(ペーパーカンパニー)を作っても、税務調査で否認される可能性が高いです。それぞれの会社に独自の事業目的やオフィス、売上、経費の実態が必要です。例えばコンサルティング会社と不動産賃貸会社のように、事業内容を明確に分けましょう。
2. 事務負担と維持コストの増加
会社が2つになれば決算業務も2回、法人住民税の均等割(最低でも年間約7万円)も2社分発生します。節税額が維持コストを上回らなければ意味がありません。 顧問税理士への報酬も増えるため、事前のシミュレーションが不可欠です。
3. 同族会社の行為計算否認
親族だけで経営する会社の場合、税務署は税金を逃れるための不自然な取引を厳しくチェックします。会社間の取引価格が適正か、不当な利益の移転がないかなど、専門家による論理的な裏付けが必要です。
会社を2つ経営することで税金対策になるケース
1つの会社ですべての利益を管理するのと、2つの会社に分散させるのとでは、手元に残る現金が驚くほど変わります。具体的な数字を比較して、複数社経営の圧倒的な優位性を確認しましょう。
法人税の800万円の壁を活かした大幅な節税
日本の法人税(会社が稼いだ利益にかかる税金)は、利益が800万円を超えると税率が高くなる仕組みのため、2社で分けると法人税の負担を減らせます。
利益が1,600万円ある場合、1社で経営すると800万円を超えた分に高い税率がかかりますが、2社に分けて800万円ずつにすれば、どちらも低い税率が適用されます。
年間で数十万円から数百万円単位の差が出るため、利益が出ている経営者ほど2社経営の恩恵は大きくなります。
以下の表は利益が1,600万円出た際の簡易的な税額比較です。
| 項目 | 1社で経営した場合 | 2社で経営(各800万円)した場合 |
| 年間の利益総額 | 1,600万円 | 1,600万円 |
| 適用される法人税率 | 800万円まで:約15% 800万円超:約23.2% | 全額:約15% (各社800万円以下のため) |
| 概算の法人税額 | 約305万円 | 約240万円(120万円×2社) |
| 節税できる金額 | – | 約65万円の節税 |
消費税の免税期間を実質的に延長できる
消費税の支払いを合法的に回避または先延ばしにできます。新しく会社を作ると、資本金の額などのルールを守れば、最初の2年間は消費税を納めなくてよい「免税事業者」になれる可能性があるためです。
大きな売上が見込まれる事業を新しい会社に持ち込むことで、本来納めるはずだった多額の消費税を手元に残せます。手元に残った資金を次の投資や事業拡大に回せるため、成長スピードを加速させたい経営者には最適な選択です。
会社2つ経営を成功させるための具体的なステップと事例
実際にどのような経営者が会社を2つ持っているのか具体的な事例を見ていきましょう。
ケース:年商3億円のIT企業経営者 A氏
【現状】
1社で全ての事業を運営。役員報酬5,000万円。税金と社会保険料で半分近くが消える。
【対策】
新たに資産管理・コンサルティング会社を設立。
- 第1会社(事業会社)
システム開発・運用。 - 第2会社(資産管理会社)
所有する不動産の管理、事業会社への経営アドバイザリー。
【結果】
役員報酬を2社に分散。第2会社で親族を雇用し、家族全体での所得分散を実現。法人税の軽減税率も2社分活用。年間で約800万円の手残りキャッシュ増加に成功。
成功するための3ステップ
- 事業目的の明確化
なぜ2つ目の会社が必要なのか事業内容を明確に分ける。 - 収益構造の設計
2社目が独立して利益を出せる仕組み(契約関係)を構築する。 - 専門家による監修
税務リスクを排除するため富裕層税務に精通した税理士に依頼する。
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会社を2つ経営する判断は節税の枠を超えた経営判断です。税理士法人ネイチャーは富裕層・経営者に特化した税理士法人として経営の仕組みを構築してきました。
国内外の税務に精通した専門家がお客様の資産状況、将来の承継プラン、現在のキャッシュフローを多角的に分析します。法的なリスクを排除しながら、1円でも多くの手残りを増やすための戦略を提案いたします。
まとめ:会社2つ経営で強固な資産基盤を築く
会社を2つ経営することは富裕層が資産を守り、増やすための有効な手段です。所得分散や社会保険料の最適化、リスク分散といったメリットは、経営者の手元に残る現金を変える力を持っています。
しかし形式的な会社設立は思わぬ税務リスクを招きます。大切なのは事業の実態を伴った戦略的な会社設立です。まずはご自身の状況でどれほどのメリットがあるのか、正確なシミュレーションから始めてみてはいかがでしょうか。
複数社経営による節税・資産運用について、より詳しく知りたい方は、ぜひ一度無料相談をお申し込みください。
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