長年築き上げてきた会社を次世代へ引き継ぐ事業承継は、経営者にとって最後の大仕事です。しかし多額の相続税負担や親族間の利害調整、円滑な経営権維持のための自社株集約など、解決すべき課題は多岐にわたります。
事業承継の成否を分けるのは対策を開始する時期と、パートナーとなる税理士の専門性です。日常的な税務申告を担う顧問税理士と、資産税・承継実務に特化した税理士では、必要とされる知見が根本から異なります。
本記事では、事業承継に特化した税理士が提供する価値と、経営者のリスク解消法について解説します。大切な資産と経営権を守り抜き、円満な承継を実現するための指針として活用してください。
事業承継を税理士に相談すべき理由
会社を引き継ぐ際に最大のリスクとなるのは、客観的な市場価格が存在しない非上場株式の評価額の不透明性と、それに伴う過大な税負担です。税理士へ相談すれば、現状の正確な把握と将来の税負担を最小限に抑える対策が可能となります。
非上場株式の評価引き下げと相続税対策
非上場企業の株式(自社株)は内部留保の蓄積により、オーナーの予想を大きく上回る評価額となったり、数億円単位の評価となったりするケースも珍しくありません。利益が出ている会社ほど、相続時に多額の税金が発生し、後継者が納税資金に困窮する恐れがあるので注意が必要です。
税理士は純資産価額方式や類似業種比準方式といった専門的な手法を用いて、株価を算出します。その上で配当政策の見直しや役員退職金の活用などにより、税法上の正当性を担保しつつ、最適な株価算定のタイミングを見極めた贈与や譲渡の実行を支援します。
また直近では非上場株の評価方法について有識者会議の立ち上げが行われ、今後の評価方法が大きく変わるのではないかといわれています。最新の情報を拾いながら、その時点での最適解を出すのが、資産税に精通した税理士の仕事です。
親族内承継と経営権の安定化
後継者に経営権を集中させたい一方で、他の相続人への配慮も欠かせません。特定の人物に株を集中させると、遺留分(最低限保障される相続財産)の侵害による紛争に発展するリスクがあります。
税理士は議決権制限付株式の活用や家族信託など、会社法や民法をも見据えた構造を構築し、経営権の安定化を支援します。経営権の安定と親族間の公平性を両立させることは、承継後のトラブルを未然に防ぐための有効な手段です。
事業承継で税理士に依頼できること
税理士は経営者の想いを形にする伴走者として、以下のような専門的な実務を依頼できます。
現状分析と正確な株価の算定
現在の会社の価値がいくらなのか、将来的にどれほどの相続税がかかるのかを試算します。自社株の評価は、会社の資産状況や利益だけでなく、経営者の保有割合や親族関係によっても複雑に変化します。正確な現状把握こそが、全ての対策の出発点です。
納税負担を抑えるための具体的な提案
税負担を軽減するための環境作りや、特例制度の活用案を作成します。例えば役員退職金の支払いによる株価の引き下げや、贈与を行うタイミングの調整など、法律で認められた手段を組み合わせて、納税額を抑えるための計画を策定できます。
複雑な行政手続きと税務申告の代行
「事業承継税制」などの特例を利用する場合、都道府県への申請や税務署への報告が必要です。事業承継税制の手続きには厳格な期限や要件があり、一度のミスが大きな損失につながる恐れもあります。専門家へ依頼すれば確実な手続きを行い、将来の税務調査のリスクを最小限に抑えられます。
事業承継に強い税理士の選び方
税理士であれば誰でも事業承継を任せられるわけではありません。企業会計を主とする顧問税理士と、相続・贈与という資産の移転を専門とする税理士では、求められる知見の領域が根本から異なります。自社の課題や目的に適した強みを持つ専門家を選び抜く必要があります。
資産税(相続・贈与)の豊富な実務経験
事業承継は法人税だけでなく、相続税や贈与税といった資産税の知識が勝負を分けます。 日々の記帳を行う顧問税理士は法人税のプロですが、一生に一度の承継対策は、複雑な株価評価や特例の適用に慣れた資産税のプロでなければ対応しきれません。
経営者の想いや家族関係に寄り添う聞く力
事業承継は数字だけの問題ではなく、親族間の感情や後継者教育、経営者の引退後の生活など、デリケートな問題が絡み合います。 一方的に定型の対策を押し付けるのではなく、一族の人間関係や将来のビジョンを丁寧に聞き取り、最適な着地点を模索してくれるかが重要です。話しやすさやこちらの意図を汲み取るスピード感も判断基準になります。
専門家ネットワークの広さとワンストップ体制
事業承継には登記変更を行う司法書士や遺留分などの法的トラブルを防ぐ弁護士、不動産の売却や活用を担う不動産鑑定士など、他業種との連携が欠かせません。 税理士一人の知識に頼るのではなく、各分野の専門家と強固なネットワークを持ち、窓口を一本化してトータルサポートできる体制があるかどうかは、経営者の負担を減らす大きなポイントです。
リスクを恐れず選択肢を提示する提案力
言われたことだけをやる税理士では最適な承継は実現できません。 最新の法改正や他社の成功・失敗事例を踏まえ「A案なら税金は抑えられるがリスクがある、B案なら確実性は高いが手間がかかる」といった多角的な選択肢を、経営者のメリットを第一に考えて提示してくれる姿勢があるかを見極めてください。
事業承継を税理士に依頼するとかかる費用相場
税理士への報酬は、会社の規模や資産額、サポートの範囲によって大きく変動します。主な業務と費用の目安を整理しました。
株価試算と承継計画策定の報酬目安
まずは現状を知るための株価試算から始まります。
- 現状の株価試算: 10万円〜50万円程度
- 承継計画(ロードマップ)の策定: 30万円〜100万円程度
保有不動産の数や関連会社の有無によって工数が変動するため、資産規模に応じた費用設定となっています。将来の納税予測を立て、最適な対策を練るための基本データとなるため、事業承継においてこの株価試算は極めて重要な工程です。
成功報酬とコストパフォーマンスの判断基準
実際に自社株を贈与・売却したり、組織再編を行ったりする場合、実行支援として成功報酬が発生することが一般的です。
| 支援内容 | 費用の目安 | 備考 |
| 実行支援(贈与・売却) | 資産価値の1%〜 | 手続きの複雑さに応じる |
| 納税猶予制度の適用申請 | 50万円〜 | 都道府県への申請代行含む |
| 顧問契約(月額) | 5万円〜 | 継続的なフォローと進捗管理 |
報酬額は高額に感じられますが、対策によって数億円の節税が可能になるケースも多く、「どれだけの税務リスクを回避できたか」という視点で価値を判断しましょう。数億円単位の相続税が発生するケースでは、対策によって数千万円以上の圧縮が可能です。そのため、報酬はコストではなく、資産を守るための投資として捉えます。
事業承継を税理士に依頼する前の注意点
スムーズに支援を受けるためには、税理士に任せきりにするのではなく、経営者自身があらかじめ整理しておくべきポイントがあります。
親族や後継者との意思疎通を済ませておく
どれほど優れた税務対策も、家族や親族の同意がなければ実行できません。後継者に誰を選ぶのか、他の相続人への資産配分をどうするのかといった経営者自身の意志を固めておきましょう。方向性が決まっていないと、対策の提案が何度も白紙に戻り、貴重な時間を無駄にしてしまいます。
顧問税理士との役割分担を明確にする
すでに顧問税理士がいる場合、新しく依頼する事業承継の専門家との関係性に配慮が必要です。日常の経理は今の顧問税理士に、一生に一度の承継対策は専門の税理士法人に、というようにそれぞれの役割をはっきりさせておくことで、無用なトラブルを防ぎ、円滑な連携を進められます。
事業承継の相談を税理士にする最適なタイミング
準備が遅れるほど、選択できる対策の幅は狭まります。理想的なのは、経営者が心身ともに健康で、会社に活力がある時期です。
引退を見据えた10年スパンの承継グランドデザイン
事業承継は単発の手続きではなく数年、数十年かけて行うプロジェクトです。早期に対策を始めれば、毎年の持分贈与による税負担の分散や、計画的な株価対策が可能になります。
引退予定の10年前から相談を開始し、5年前には具体的な実行に移るのが、最も負担の少ない進め方です。
経営者の健康リスクと突発的な相続への備え
万が一、対策の途中で経営者が倒れるようなことがあれば、未対策のまま膨大な相続税が課されることになります。
元気なうちに「もしもの時」の遺言書作成や、納税資金の確保を税理士と進めておくことは、残される家族や従業員への責任でもあります。
【富裕層の事例】資産管理会社の設立と不動産の組み換え
あるオーナー経営者Bさんは、評価額8億円の自社株と、相続評価額が高い遊休地を所有していました。このままでは相続税が3億円を超え、手元の現金だけでは納税できない状況でした。
専門の税理士によるアドバイスのもと、資産管理会社の設立による自社株集約に加え、遊休地への賃貸物件建築に伴う貸家建付地評価の適用により、今後数十年にわたって一族を支えるインカムゲインの創出を行いました。その副作用として、相続税評価額が結果的に大きく引き下がりました。
結果、全体の相続税が約1.2億円となり、現金の流出を抑えつつ安定投資でキャッシュフローを生み出しながらスムーズに長男へ経営権を移すことに成功しました。
また、建築した建物のうち2部屋は、オーナー様ご自身とその息子夫婦がお住まいになり、また息子と一緒の場所で暮らせると喜ばれていました。税金のことだけで考えると、すべてを第三者に貸してしまった方が評価額は引き下がります。しかし税金対策だけを考えるのではなく、最後は人生をどのように楽しみながら計画を作っていくのか、というところがポイントになるのだと思います。
事業承継の依頼をするなら税理士法人ネイチャー
富裕層に特化した税理士法人ネイチャーは、これまで数多くの経営者様の資産を守り、次世代へ繋いできました。不動産や投資、国内外の税制を組み合わせ、一族の資産価値を最大化するためのトータルな提案を行います。
「顧問税理士には話しにくい」「今の対策が最適かセカンドオピニオンが欲しい」といったご相談も、専門チームが秘密厳守で承ります。お客様一人ひとりの想いに寄り添い、最適な出口戦略を共に描きます。
まとめ:事業承継は実績豊富な税理士と早期の準備を
事業承継の成否は、適切なパートナー選びと時間の使い方で決まります。複雑な税務リスクを回避し、大切な会社と家族を守るためには、資産税に強い税理士による早期の診断が不可欠です。
まずは自社の正確な価値を把握し、選択可能な手段を確認することから着手しましょう。早期の準備こそが、経営者としての最後の責務を果たすための鍵となります。事業承継に関する不安や、具体的な節税額の試算については、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。専門家チームが、一族の資産を守るための最適な承継戦略をご提案します。
資産運用や税金対策についてどんな不安や疑問もコンサルタントが丁寧にお答えします。
お客様の保有資産をさらに増やすための最適な提案を数多くの選択肢からご提供します。
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