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法人税は累進課税?税率や計算方法をシミュレーションで解説 

個人の所得税や住民税の負担が重く、手元に残る資金が少ないとお悩みの方は多いはずです。「法人税も所得が増加すると税率が上がるのか」「法人化すれば税金は安くなるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。所得税の最高税率は非常に高く、資産防衛には早めの対策が求められるものです。

この記事では、国内外の税務や資産運用を数多くサポートしてきた税理士法人ネイチャーが、法人税と所得税の仕組みの違いをわかりやすく解説します。

記事を読むと、法人税の仕組みと有利になる基準が明確になります。法人を活用して税負担を適正化し、大切な一族の資産をより多く残すための具体的な対策を把握しましょう。

法人税

法人税は累進課税ではない

個人の税金と法人の税金では、計算の仕組みが全く異なるものです。まずは法人税の基本的な性質を解説します。

個人の所得税には、利益が増えるほど税率も段階的に高くなる仕組みが採用されています。最高税率は45%に達し、住民税の10%と合わせると所得の高い部分では利益の半分以上が税金として徴収されるといったように所得が増加するほど税負担の割合が高まる構造です。

一方で、法人税は基本的には2段階の税率です。一定の税率が適用される仕組みになっています。個人のように稼げば稼ぐほど税率が上がる心配が不要です。

したがって、利益規模が大きくなるほど法人を活用するメリットが大きくなります。手元に資金を残すためには法人活用が欠かせません。

法人税が累進課税ではないのはなぜ?

個人の税金と法人の税金で仕組みが違う理由を解説します。

個人の税金に超過累進課税が採用されている理由は、生活に余裕がある人から多く税金を集め、富を再分配するためです。人間には最低限の生活を営む権利があり、日々の生活費を圧迫しないよう税率に配慮がなされています。

一方で、法人には個人のような生活費という概念が存在しません。法人は事業を行うための組織であり、個人のような生存権を保障する必要がないからです。

企業の成長を後押しし、雇用や投資を生み出すために、利益を上げても税率が一定に保たれる仕組みが採用されています。利益を事業に再投資しやすい環境を作るためです。

法人税

法人税は2段階の比例税率

法人税の具体的な税率構造と、個人の税率との違いを比較表を交えて解説します。

大企業の法人税は、利益の金額にかかわらず一律の税率を掛ける「比例税率(23.2%)」が基本です。ただし、資本金1億円以下の中小企業(資産管理会社など)には、年800万円以下の利益に対して15%の軽減税率が適用される特例が用意されており、実質的に2段階の税率構造となっています。

個人の所得税法人税(資本金1億円以下)
税率の仕組み超過累進課税2段階の比例税率
最低税率5%15%(年800万円以下の部分)
最高税率45%23.2%(年800万円超の部分)
地方税等の追加一律10%(住民税)地方税を含め実効税率は約30%〜34%

比較表からわかるように、個人の税率が最大55%(住民税含む)に達するのに対し、法人の税率は地方税を合わせても30%台に収まります。

利益が数千万円単位に達する場合、法人のほうが手元に資金を残しやすくなります。

法人税の税率と計算方法

実際に法人税を算出する際の基本的な計算式を解説します。

法人税の金額は、「課税所得×法人税率」というシンプルな計算式で求められます。課税所得とは、法人の収入から経費を差し引いた利益をベースに、税務上の調整を加えた金額です。

個人のように細かな所得控除を積み上げる必要はありません。資本金1億円以下の法人が1,000万円の課税所得を出した場合をシミュレーションしてみましょう。

まずは800万円以下の部分に15%を掛けて120万円を求めます。次に残りの200万円の部分に23.2%を掛けて46万4,000円を算出します。2つの金額を合計した166万4,000円が法人税額です。

累進課税より法人税が有利になる基準

個人のままでいるべきか、法人を活用すべきか、判断の分かれ目となる具体的な基準を解説します。

年800万円が大きな目安

法人を活用するタイミングは、課税所得が年間800万円から900万円を超えるあたりが目安になります。資本金1億円以下の法人の場合、所得800万円以下の部分には15%の軽減税率が適用されるためです。

個人の所得が900万円を超えると、所得税の税率は33%に上がります。住民税の10%を加えると43%になり、法人税の実効税率を逆転します。

個人の税負担が法人税の実効税率を上回るタイミングで法人化を検討すると、手取り額を最大化可能です。

税率推移を表で比較

税率の推移を表で比較すると、有利になる分岐点がより明確に把握できます。以下の表は、課税所得に応じた税率変化の目安です。

課税所得の目安個人の最高税率
(所得税 + 住民税)
法人の実効税率
(資本金1億円以下)
500万円30%約24%
900万円以上43%約34%
1,800万円以上50%約34%
4,000万円以上55%約34%

個人の税率は利益の増加に伴い段階的に上昇し、最大55%に達します。一方の法人税率は、800万円を境に一度上がるのみで、その後は利益が数千万円規模に拡大しても30%台のまま変わりません。

所得額が分岐点を超えるほど、税率差による手取り増加のメリットを享受できます。

法人税にして累進課税を回避する方法

法人税を活用した具体的な資産防衛の手法を解説します。

  • 役員報酬で所得分散を図る
  • 資産管理会社の設立を検討する
  • 相続を見据え資産を移転する

役員報酬で所得分散を図る

法人の利益をすべて会社に残さず、役員報酬として個人へ支給すれば、法人と個人で所得を分散可能です。以下のシミュレーション数値を参考にしてください。

  • 利益2,000万円をすべて個人で申告: 税率約50%(所得税 + 住民税)
  • 利益2,000万円をすべて法人に残す: 税率約34%(法人実効税率)
  • 法人に1,000万円、役員報酬1,000万円: 税率をそれぞれ低く抑えられる

法人の低い比例税率と、個人の低い階層の累進税率を組み合わせるのが、全体的な税負担を下げるコツです。

資産管理会社の設立を検討する

年間所得が数千万円から億単位にのぼる方の事例では、個人の資産運用を目的とした資産管理会社を設立するケースが多く見られます。個人名義の不動産投資の利益などを、法人名義に移し替えるのが一般的です。

法人の枠組みを活用すれば個人の最高税率55%を回避し、税率を30%台に抑えられます。法人であれば経費にできる範囲も広がり、生命保険を活用した退職金準備など、個人では難しい多彩な対策が可能です。

相続を見据え資産を移転する

法人化のメリットは、単年の税負担軽減にとどまりません。将来の相続を見据えた一族の資産移転にも高い効果を発揮します。法人の株式を子どもに持たせておき、法人で利益を出し続ければ、個人の財産を直接増やすことなく次世代へ資産を構築できます。

累進課税の回避で法人化するときの注意点

メリットの多い法人化ですが、事前に把握しておくべき注意点を解説します。

  • 資本金1億円超は軽減税率が外れる
  • 地方税を含む実効税率で負担を計算する
  • 赤字でも均等割の負担が発生する

資本金1億円超は軽減税率が外れる

年800万円以下の所得に対する15%の軽減税率は、すべての法人が使えるわけではありません。原則として「資本金が1億円以下の法人」に限定されています。

見落としがちな事例として、親会社にあたる法人の資本金が5億円以上ある場合、100%子会社として設立した法人は資本金1億円以下でも特例を使えません。

資本金の設定や株主の構成によっては、最初から23.2%の高い税率が適用されるため注意が必要です。

地方税を含む実効税率で負担を計算する

法人税率が23.2%だからといって、税金負担が23.2%だけで済むわけではありません。法人税のほかに、地方法人税、法人住民税、法人事業税など複数の地方税が加算されます。

すべての税金を合計し、実際に負担する割合を「実効税率」と呼びます。地域や法人の規模によって変動しますが、おおむね30%〜34%になるのが一般的です。

表面的な法人税率だけを見て個人の税率と比較すると、事前のシミュレーションが狂う原因になります。

赤字でも均等割の負担が発生する

個人の場合、事業が赤字になれば所得税は発生しません。しかし、法人の場合は赤字であっても納付義務のある税金が存在します。

法人住民税の「均等割」と呼ばれるもので、資本金と従業員数に応じて金額が決まります。一番小規模な法人でも、年間約7万円の均等割を必ず納めなければなりません。

資産管理会社を立ち上げて不動産の減価償却で意図的に赤字を作ったとしても、法人の維持コストとして毎年約7万円の支払いが発生します。

法人税と累進課税に関するよくある質問

お客様から日頃よくいただく、法人税の仕組みに関する疑問にお答えします。

法人税に累進課税が導入される予定はある?

現在のところ、法人税を個人のような完全な累進課税に変更する具体的な予定はありません。法人税率は国際的な競争力を保つために、長年引き下げられてきた歴史があります。

法人税を極端に高く設定すると、優良な企業が海外へ流出するリスクがあるためです。中小規模の法人に対して急激に累進課税を適用する可能性は低いと考えられます。

法人税の納付期限はいつ?

法人税の納付期限は、原則として法人が定めた「事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内」です。3月決算の法人であれば、5月末日が申告と納付の期限です。

前年度の税額が一定額を超えた場合、事業年度の途中で税金を前払いする「中間申告」が必要になります。資金繰りの計画を立てる際は、決算時の支払いだけでなく、半年後の中間納付の時期も考慮する必要があります。

法人税の対策・相談なら税理士法人ネイチャー

法人を活用した税負担の適正化や、資産管理会社の設立をご検討中の方は、税理士法人ネイチャーにお任せください。

弊社は高度な資産運用で、これまで数多くのサポート実績を積み上げてまいりました。単年の表面的な税額計算にとどまらず、相続まで見据えた長期的かつ多角的な視点で、一族の大切な資産を確実に次世代へつなぐご提案をいたします。

個別の状況に合わせたシミュレーションなども承りますので、ぜひ一度お問い合わせください。

まとめ:法人税と累進課税の違いを活かして最適な資産防衛を

個人の所得税とは異なり、法人税は2段階の比例税率が適用される仕組みです。個人にかかる高い累進税率と法人の実効税率の差を適切に組み合わせれば、手元に残る資金を最大化できます。

最適な役員報酬のバランスや資産管理会社の設計は、ご自身の資産状況によって正解が異なります。判断を誤ると不要な税金を納める事態になりかねません。

少しでも税負担に悩まれている場合は、お気軽に税理士法人ネイチャーの無料相談をご活用いただき、専門家による精緻なシミュレーションをお試しください。

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