飲食店が相談すべき税理士の特徴は?選び方をわかりやすく解説

飲食店の経営は、日々の食材仕入れやアルバイトの人件費など、変動費のコントロールが利益を大きく左右します。多店舗展開が軌道に乗り「手元にしっかりと資金を残したい」「事業拡大や将来の承継に備えたい」と考えても、日々の現場オペレーションや人材採用に追われ、中長期的な財務戦略が後回しになるオーナーは少なくありません。

この記事では、飲食業界特有のキャッシュフローを理解し、経営を支える飲食店に強い税理士を選ぶポイントを解説します。

本記事を読むことで、出店や運転資金に必要な資金を確保しながら、法人と経営者個人の税引後キャッシュフローや資産運用、事業承継を一体的に検討するための考え方がわかるでしょう。

法人税

飲食店が節税対策で選択すべき税理士の特徴

飲食店経営では、税額を減らすことだけでなく、納税後も運転資金や出店資金を確保できるかが重要です。特に多店舗展開を目指す場合は、店舗別の損益や資金繰りを把握し、法人と経営者個人の税務まで横断的に相談できる税理士を選びましょう。

  • FL比率・店舗別損益・消費税の区分を把握できる
  • 出店資金と余剰資金を区分し、資金繰りまで相談できる

FL比率・店舗別損益・消費税の区分を把握できる

飲食店では、食材費(Food)と人件費(Labor)が売上高に占める割合を示すFL比率が、店舗の収益性を確認する際の管理指標の一つとして用いられます。ただし、適正なFL比率は業態や客単価、立地、サービス形態などによって異なるため、一律の数値だけで良し悪しを判断するのではなく、店舗ごとの推移や同業態の実績と比較することが重要です。

POSレジの売上、現金、キャッシュレス決済、デリバリーサービスの入金を照合し、店舗別の損益を適時に把握できる税理士を選びましょう。また、店内飲食・酒類の10%と、酒類を除くテイクアウトの8%を区分し、POSレジの設定、インボイス、仕入税額控除まで確認できることも重要です。

出店資金と余剰資金を区分し、資金繰りまで相談できる

会社に現預金が蓄積していても、その全額を資産運用に回せるとは限りません。飲食店では、食材費や人件費などの日常的な支払いに加え、納税、借入金の返済、厨房設備の更新、店舗改装、新規出店などにまとまった資金が必要になることがあります。

そのため、まずは日々の運転資金や納税資金、今後の出店計画に必要な資金を確保し、そのうえで当面事業に使用する予定のない余剰資金がどの程度あるのかを整理することが重要です。

運用先には金融資産や不動産、あるいは今期全額損金計上が可能な投資対象などがありますが、それぞれリスクとリターンのバランスがあります。これらについては、顧問税理士の方に加えて、運用や税対策の分野に精通した、セカンドオピニオンとしての専門家に相談することを推奨しています。

飲食店が税理士へ依頼する際にかかる費用相場

飲食店が税理士に支払う報酬は、店舗数や売上規模、記帳代行の有無、面談頻度、依頼する業務の専門性などによって異なります。多店舗経営では、店舗別損益の管理やPOSデータとの連携など、依頼する業務範囲によっても税理士費用が変わるため、月額顧問料だけでなく年間の総額で比較することが重要です。

依頼内容費用の目安主な業務内容
月次税務顧問3万〜10万円/月※会計・税務相談、POS・決済データを踏まえた経理処理の確認、店舗別損益やFL比率の確認、納税見込みの把握
財務・資金活用に関するコンサルティング個別見積もり余剰資金を活用した本業以外の収益の構築
事業承継・相続個別見積もり非上場株式の相続税・贈与税上の評価、株式承継に伴う税負担の検討、後継者への事業承継に関する税務支援

※上記は一般的な料金例をもとにした目安であり、税理士法人ネイチャーの料金表ではありません。

月次の会計・税務相談に加え、POSデータや現金・キャッシュレス決済の確認、月次試算表や店舗別損益資料の作成まで顧問料に含まれるかは、税理士事務所によって異なります。

特に飲食店では、記帳代行、給与計算、年末調整、決算・法人税申告、消費税申告などを追加で依頼すると、別料金が発生する場合があります。見積もりを比較する際は、月額顧問料だけを見るのではなく、年間に必要となる業務と費用の総額を確認しましょう。

新規出店や店舗・事業の売却、法人資金の活用に伴う税務上の検討、経営者個人の相続・事業承継対策など、通常の税務顧問を超える支援を依頼する場合は、個別見積もりとなることがあります。

またそれぞれの税理士の専門領域が異なるため、月次顧問や出店戦略は顧問税理士に、資産運用や相続・事業承継はスポット型のセカンドオピニオン税理士に相談するなど、複数の専門家とお付き合いをすることが経営を安定させます。

法人税

飲食店が税理士に依頼するメリット

飲食店の会計・税務と資金計画を専門家に相談することで、オーナーの業務負担を軽減し、納税、出店、本業への再投資、資産運用に振り向ける資金を整理しやすくなります。経営状況を数字で把握できる体制を整えることは、適切な節税対策と中長期的な店舗経営の両面でメリットがあります。

  • 出店余力と収益源の分散を検討できる
  • 税務・経理の負担を軽減し、店舗運営や人材育成に集中しやすくなる

出店余力と収益源の分散を検討できる

飲食店は、原材料価格や人件費、客数、立地環境などによって利益や資金繰りが変動することがあります。そのため、新規出店や設備更新を検討する際は、現在の利益だけでなく、納税予定額や借入金の返済、日々の運転資金まで含めて資金余力を把握することが重要です。 

顧問税理士などの専門家に相談すれば、どの程度の余剰資金があるかが明らかになるでしょう。飲食業は市場の変化により大きく利益が増減するリスクがある事業です。そのため、本業に大きな変動があった場合でも、紐づいて落ち込みにくい副収入を確保することも重要になります。そのような対策は、別途専門税理士に依頼することも一案です。

税務・経理の負担を軽減し、店舗運営や人材育成に集中しやすくなる

POSレジや会計データの整理、月次試算表の作成・確認、決算や納税予定額の把握などを税理士と分担することで、経営者の税務・経理にかかる負担を軽減できます。

その分、メニュー開発やサービス品質の向上、店長候補の採用・育成、店舗オペレーションの改善、新規出店の検討など、本業の経営課題に時間を配分しやすくなります。

ただし、税理士へ依頼しても、価格設定や仕入れ、人員配置、出店判断などの経営判断はオーナーが行います。税理士から提供される数値やシミュレーションを、現場の状況と照らし合わせて活用することが重要です。

飲食店が税理士に依頼する際の注意点

飲食店の節税対策では、法人税の減少額だけでなく、消費税の納税資金や次の出店に必要な資金が残るかを確認する必要があります。また、多店舗展開に伴う法人分けについても、税額以外の負担を含めて判断しましょう。

  • 節税のために手元資金を減らしすぎない
  • 節税だけを目的に安易に法人を分けない

節税のために手元資金を減らしすぎない

利益が出ているからといって、税金を減らすことだけを目的に不要な店舗改装を行ったり、必要性の低い設備を購入したりすると、節税額以上に現預金が減り、資金繰りを悪化させるおそれがあります。

特に飲食店では、食材費や人件費、家賃などの日常的な支払いに加え、消費税などの納税、厨房設備の修繕・更新、新規出店などにも資金が必要です。決算対策を行う際は、税負担の軽減額だけでなく、実行後にどの程度の運転資金が残るのかまで確認しましょう。

節税だけを目的に安易に法人を分けない

多店舗展開に伴い、店舗やブランドごとに法人を分ける方法を検討することがあります。しかし、法人を増やせば必ず税負担が軽くなるわけではありません。

別法人を設立すれば、それぞれについて法人税等の申告が必要となり、原則として法人住民税の均等割などの負担も生じます。また、複数法人の間で従業員の出向、食材や設備の売買、資金の貸し借りなどを行う場合は、法人間取引として契約関係や会計・税務処理を整理する必要があります。

さらに、法人を分けることで、金融機関との借入契約、店舗の賃貸借契約、雇用契約、社会保険、飲食店営業許可等に関する名義・承継手続など、管理すべき事項が増える可能性があります。

法人を分ける際は、法人税・消費税だけでなく、法人住民税、社会保険の負担や手続、税理士等への申告費用、資金調達や管理コスト、将来の店舗・事業の売却や事業承継まで含めて比較し、複数のケースを試算したうえで判断することが重要です。

飲食店の節税対策なら税理士法人ネイチャー

トレンドやコストの変化が大きい飲食業界では、店舗拡大に必要な資金を確保しながら、法人と経営者個人の資産規模の拡大と、収益源の分散を進めていく視点が重要になります。

税理士法人ネイチャーでは、飲食店の会計顧問業務は承っておりません。日常の会計・申告は現在の顧問税理士へ依頼しながら、決算対策、法人・個人の資金配分、余剰資金の運用、相続・事業承継などのセカンドオピニオンとしてご活用ください。

もし今期の決算対策や、将来の相続税対策などを検討したい場合は、セカンドオピニオンのコンサルティングに特化した税理士法人ネイチャーへご相談ください。

まとめ:飲食店の節税は税理士に相談しよう

飲食店経営では、食材費・人件費の管理や消費税の複数税率への対応、現金・キャッシュレス売上の照合、出店資金の確保など、業界特有の会計・税務上の論点があります。節税対策を検討する際も、税額だけでなく、納税後に運転資金と成長投資のための資金が残るかを確認することが重要です。

日々の店舗経理や申告は現在の顧問税理士に依頼しながら、法人・経営者個人の資産運用や事業承継など、契約範囲外の課題について別の専門家へ相談する方法もあります。その際は、双方の役割と責任の所在を明確にしましょう。

税理士法人ネイチャーでは、法人税対策や資産運用・事業承継などに関する相談窓口を設けています。現在の資産状況、将来の事業承継などを整理し、税務と資産運用を一体的に検討したい方はぜひお問い合わせください。

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