資産形成はなぜ必要?貯金だけでよいか資産運用・投資まで解説

「資産形成はなぜ必要なのだろう」と感じる方は少なくありません。しかし「収入は十分あるのに、思うほど資産が増えない」と悩む方もいます。

資産形成とは、将来のライフプランに備えて、貯蓄や投資で資産を築いていく取り組みです。収入が多くても、支出が多ければ十分な資産が残るとは限りません。

この記事では、資産形成が必要な理由をわかりやすく解説します。貯金だけでよいのか、資産運用として投資を取り入れるべきかも整理します。自分に合った資産形成の考え方と必要な資産を準備する方法を確認していきましょう。

資産運用・富裕層

資産形成が必要な3つの理由

資産形成が必要な理由は、大きく3つに整理できます。将来の支出・老後の収入減少・インフレという3つの視点で確認していきましょう。

  1. 将来の支出に備えるため
  2. 老後の収入減少に備えるため
  3. インフレによる購買力低下に備えるため

1. 将来の支出に備えるため

住宅の購入、子どもの教育、親の介護、自分の老後など、人生ではまとまった支出が発生します。毎月の収入だけで対応するのは容易ではありません。大きな支出は、事前に準備することで選択肢が広がります。

たとえば、教育資金や住宅資金は必要になる時期をある程度予測できます。時期に合わせて計画的に資産を準備すれば、一時的な家計負担を抑えやすくなるでしょう。突発的な出費に備えるためにも、日々の収入とは別に資産を持つことが重要です。

まずは将来の支出を書き出し、必要な金額と時期を整理しましょう。

2. 老後の収入減少に備えるため

退職後は、現役期より給与収入が減る可能性があります。厚生労働省の調査では、高齢者世帯の所得のうち、公的年金・恩給が平均63.5%を占めています。

老後の生活水準を保つには、公的年金や退職金などを確認し、不足する資金を準備する視点が大切です。必要額は、企業年金の有無や生活費によって異なります。同じ目標額を積み立てる場合、早く始めるほど準備期間を長く取れるため、1回あたりの積立額を抑えやすくなります。

3. インフレによる購買力低下に備えるため

物価が上がると、同じ金額で購入できる商品やサービスは減ります。総務省によると、2026年7月の消費者物価指数は総合で前年同月比1.9%上昇しました。資産形成では、金額だけでなく将来の購買力を意識することが重要です。

仮に銀行の普通預金金利が年0.1〜0.2%程度にとどまる中で、年2%前後の物価上昇が続いた場合、預金残高の数字は減らなくとも、実質的に購入できるモノやサービスの量は毎年目減りしていくことになります。

すなわち、「現金を銀行に預けておくだけでも、インフレ下では実質的な資産の目減り(隠れた損失)が発生している」という状態です。こうしたインフレ局面において資産の実質的な価値を防衛・保全するためにも、預貯金だけでなく、物価上昇に強い株式や投資信託などの成長性資産を適切に組み入れることが有力な選択肢となります。

資産形成が高収入でも必要な理由

年収が高い方でも、資産形成が不要とは限りません。高収入でも、手取りと支出の差額を資産として残さなければ、資産は増えにくくなります。

理由を3つに分けて整理します。

  • 収入の多さは資産の多さを意味しないため
  • 生活支出が増えると純資産は増えにくいため
  • 税負担で資産形成に回せる額は変わるため

収入の多さは資産の多さを意味しないため

年収はあくまで1年間に流入する「フロー(流量)」の指標であり、資産はこれまでに手元へ蓄積された「ストック(残高)」の指標です。この両者は明確に異なる概念であり、いくら年収が高くても、その分が支出や税金で消えてしまえば資産が積み上がることはありません。

健全な資産形成を評価する基準は年収の多寡ではなく、金融資産や不動産などの総資産から住宅ローン等の負債を差し引いた「純資産(自己資本)が年間でどれだけ増加したか」にあります。表面的な年収の高さに安心せず、自社の決算を組むように個人のバランスシート(純資産の推移)を定期的にモニタリングすることが不可欠です。

生活支出が増えると純資産は増えにくいため

所得が増えても、住宅費や教育費、車、旅行などへの支出が増えれば、資産形成に回せる資金は少なくなります。支出が収入と同じペースで増えると、高収入でも十分な資産が残るとは限りません。

年間の手取り額、支出額、純資産の増減を確認し、現在の生活水準と将来に向けた資産形成のバランスを考えることが大切です。

税負担で資産形成に回せる額は変わるため

日本の所得税は、課税所得が高くなるほど税率が最大45%まで上昇する超過累進税率を採用しており、一律10%の住民税と合わせると最高税率は55%に達します。さらに社会保険料の負担も加わるため、額面年収が増加しても手取り額は同じペースでは増えません。

そのため、資産形成の計画を立てる際は、額面年収を基準にするのではなく、所得税・住民税・社会保険料を控除した後の実質な「可処分所得(手取りキャッシュフロー)」を正確に把握する必要があります。

そのうえで、iDeCoや各種所得控除などの税制メリットを活用し、税負担と向き合いながら投資余力を最大化していく視点が重要です。

資産運用・富裕層

資産形成で資産運用を検討する理由

資産形成、資産運用、投資は近い言葉ですが、意味は異なります。まずは3つの位置付けを整理してから、資産運用を検討する理由を見ていきます。

用語記事内での位置付け
資産形成将来必要な資産を準備すること
資産運用保有する資産を目的に応じて管理・活用すること
投資資産運用に用いる選肢の一つ

預貯金だけでは購買力が下がる場合があるため

預貯金は、必要なときに使いやすく、一般的に投資商品より元本の安全性が高い特徴があります。生活資金や緊急時の備えにも適しています。

一方、物価上昇率が預金金利を上回ると、実質的な購買力は低下するので注意が必要です。預貯金だけに資産が偏ると、インフレによる購買力の低下に対応しにくい場合があります。

余裕資金の一部を投資に回すことも選択肢です。資金の使用時期や目的に応じて、預貯金と投資商品を配分することが重要です。

使う予定のない資金を活用できるため

生活費や近い将来使う予定のある資金は、預貯金などで確保することが基本です。一方、当面使う予定のない余裕資金は、運用に充てる選択肢があります。長期・積立・分散投資は、リスクを抑えながら安定的な資産形成を目指す方法の一つです。

ただし、長期間運用しても元本割れの可能性がなくなるわけではありません。

資産形成で投資は本当に必要?

資産形成において、すべての資金を投資に振り向ける必要は決してありません。生活防衛資金や数年以内に使う予定が決まっている教育費・住宅資金などは、元本保証と流動性に優れた預貯金で確保しておくのが鉄則です。

一方で、長期にわたり引き出す予定のない余剰資金については、預貯金だけに滞留させておくとインフレによって実質的な購買力が損なわれるリスクがあります。

したがって、「守るための預貯金」と「増やす・価値を守るための投資」を明確に棲み分け、ご自身のリスク許容度や目的に応じて両者をバランスよく組み合わせることが、持続可能な資産形成の基本姿勢となります。

資産形成はいくら必要?考え方を解説

必要額は人によって異なるため、決まった正解はありません。将来使う資金、現在の純資産、毎年積み上げられる資金の3つを軸に考えます。順に確認します。

  • 将来必要になる資金
  • 現在保有している純資産
  • 毎年資産形成に回せる資金

将来必要になる資金

住宅、教育、介護、老後など、将来発生する支出を時期ごとに書き出します。一般的な平均額を参考にしつつ、自分や家族の希望に合わせて調整することが大切です。「いつ・いくら必要か」を時系列で整理すると、必要額から逆算して準備できます。

高齢期の生活費は、内閣府の高齢社会白書や総務省の家計調査なども参考になります。必要額は固定せず、ライフプランの変化に応じて定期的に見直しましょう。

現在保有している純資産

預貯金、株式、投資信託、不動産などの資産から、住宅ローンや借入金などの負債を差し引いた金額が純資産です。年収だけでなく純資産を確認することで、資産形成の現在地を把握できます。 

年収が高くても、住宅ローンなどの負債や支出の状況によっては、純資産が十分に増えていない場合があります。資産と負債を定期的に一覧にして、純資産の増減を確認することが重要です。

毎年資産形成に回せる資金

年間の手取り収入から、生活費や住居費などの支出を差し引き、資産形成に充てられる金額を確認します。この金額と将来必要な資金を比較し、準備期間や資産運用の方針を検討します。 

手取り額は所得や家族構成、税金、社会保険料などによって異なるため、額面年収だけでは判断できません。

経営者の方向けの視点はこちらもご参照ください。

資産形成の相談なら税理士法人ネイチャー

資産形成では、運用による収益だけでなく、所得税や運用益への課税、将来の相続まで含めて考えることが重要です。資産運用と税務を別々に判断すると、資産全体で見たときに適切な選択にならない場合があります。

税理士法人ネイチャーでは、資産運用と税金対策を一体で考え、所得税や相続税などを踏まえた資産形成についてご相談いただけます。現在の資産状況や今後の目標に合わせて資産形成を見直したい方は、無料相談をご利用ください。

まとめ:資産形成が必要な理由は将来使える資産を準備するため

資産形成は投資そのものではなく、将来必要な資産を準備する取り組みです。収入が高くても資産形成が不要とは限らず、純資産を確認して現在の状況を把握することが重要です。

将来必要な資金、現在の純資産、毎年資産形成に回せる資金を整理し、必要に応じて預貯金や資産運用を組み合わせます。

税理士法人ネイチャーでは、税務面を踏まえた資産形成について相談できます。資産運用と税務を一体的に検討したい方は、お気軽にお問い合わせください。

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