「プライベートカンパニーで節税できるって聞いたけど、具体的に知りたい」
「プライベートカンパニーの設立手順が分からない……」
プライベートカンパニーとは、株式投資や不動産投資による個人の資産や副業収入を管理するための会社です。
プライベートカンパニーを上手に活用すれば、節税効果が見込めるでしょう。
そこで本記事では、プライベートカンパニーでの節税について解説していきます。メリット・デメリットや設立方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
プライベートカンパニーで節税ができる仕組み
プライベートカンパニーを作ると、個人から法人に切り替わります。
個人と法人では、税金においてもさまざまな違いがありますが、中でも所得税から法人税に変わることが大きな変化でしょう。
詳しくは後述しますが、所得税は累進課税(金額に応じて税率が上がる)であり、法人税は一定の割合になります。ある金額を超えると法人税の方が税率が低くなるタイミングがあるのです。
さらに、経費計上できるものが増えて、結果として課税所得が減るなど節税対策の選択肢が広がります。その点もプライベートカンパニーで節税ができるとされる要因です。
サラリーマンや個人事業主がプライベートカンパニーを開設するタイミング
サラリーマンであれば副業の収入が、個人事業主であれば事業収入が(課税所得で)1,000万円を目安にプライベートカンパニーを設立される方が多いです。
理由は2つあります。一つは法人税の方が税率が低くなること。もう一つは、消費税の課税事業者になる直前に会社を設立することで、1期分の免税期間を得られることです。
ただし、インボイス制度ですでに消費税の課税事業者となっている場合は、この限りではありませんのでご注意ください。
すでに課税事業者の場合は、目安として課税所得が800〜900万円でプライベートカンパニーを設立すると節税になる可能性が高いです。
プライベートカンパニーで節税をする3つのメリット
プライベートカンパニーで節税をするメリットは、3つあります。
- 経費計上できるものの幅が広がる
- 累進課税でない法人税で所得税よりも有利になる可能性がある
- 相続対策に活用できる
1.経費計上できるものの幅が広がる
法人化すると、経費計上できるものの幅が広がるおかげで、節税がしやすくなります。
特に大きな違いは給与を経費計上できること。法人化すると、役員報酬として自分に報酬を支払うことになるため、給与所得控除が使用可能になります。
また、社会保険料や健康診断の費用などを経費計上可能です。
2.累進課税でない法人税で所得税よりも有利になる可能性がある
副業や個人事業主に課される所得税は累進課税であり、稼げば稼ぐほど税率が増えていきます。これに対し、会社でかかる法人税は一定の割合で定められているため、あるラインを超えると法人化した方が税額が少なくなることがあります。
所得税と法人税の税率について、それぞれ下記の表にまとめました。
所得税率 | 法人税率(中小法人) |
23%(695万〜899.9万) | 15%(800万以下の部分) |
33%(900万〜1799.9万) | 23.2%(800万超えの部分) |
上記のように、800万円前後で法人税の方が税率が低くなるケースが多いです。しかし、これはあくまで単純計算した結果であり、控除額などによっては変わる場合もあります。
さらに、「法人化すると社会保険料が必要になる」「法人住民税がかかる」など出ていくお金も増えるためトータルバランスで考えることが大切です。
3.相続対策に活用できる
プライベートカンパニーの設立は、相続対策にもつながります。
具体的には、相続税の節税につなげられるケースがあります。相続税は、資産額により高い税率が課せられ、最大55%になります。
プライベートカンパニーを活用することで、「ご子息への資産を役員報酬といった形で移転させる」「相続税の財産評価を下げる」といった方法で相続税の税額を節税できることがあります。
ケースバイケースで異なる部分でもありますので、細部は税の専門家と相談しながら進めていく必要がある点には注意してください。
プライベートカンパニーを作る3つのデメリット
一方、プライベートカンパニーを作るデメリットもあります。
- 法人住民税の均等割りは赤字でも課税される
- 会社の設立に20万円程度のコストがかかる
- 会社のお金は自由に使えない
1.法人住民税の均等割りは赤字でも課税される
個人の住民税であれば、赤字になった場合課税されません。
しかし、法人住民税になってしまうと、赤字であっても最低7万円程の住民税が発生します。
不動産投資や株式投資で赤字が出た場合も、法人住民税を支払うだけの余裕を持っておくことが大切です。
2.会社の設立に20万円程度のコストがかかる
会社の設立にもお金がかかります。会社の形式にもよりますが、株式会社であれば20万円程度かかることが多いです。
また、一度法人化してしまうと、廃業するにも最低7〜8万円のコストがかかります。
全体では、30万円近いお金がかかりますので、決断は慎重に行いましょう。
3.会社のお金は自由に使えない
また、会社のお金は自由に使えません。
副業や個人事業主であれば、手元に入ってきたお金は自分の意思で使用できます。
しかし、プライベートカンパニーは会社となるため、役員報酬という形で自分に報酬を払わねばなりません。
その役員報酬で定めた額以外のお金は言わば会社の持ち物であり、代表であるあなたでも事業に関すること以外では使用できない点に注意してください。
プライベートカンパニーの作り方7ステップ
では、プライベートカンパニーの設立手順を7つのステップで解説します。
- 会社の形態を決定する
- 会社の基本事項を決定する
- 資本金と決済日を決定する
- 定款を作成する
- 定款の認証を受ける
- 登記書類を作成する
- 設立登記の申請をする
ステップ1.会社の形態を決定する
まず、会社の形態を決める必要があります。現在の形態は、大きく以下の2種類です。
- 株式会社
- 合同会社
両者の違いはいくつかありますが、大きな違いは意思決定のスピードにあります。
株式会社では一般的に株主と経営者は分かれており、意思決定には株主の同意が必要なため株主総会を開く必要があります。一方、合同会社は出資者も経営者も同一であるため意思決定を素早く行えることが特徴です。
また、「株式会社は信用が高い」「合同会社は設立費用が10万円程度で済む」といったメリットがそれぞれにあります。
ステップ2.会社の基本事項を決定する
会社の形態が決まったら、次は基本事項の決定です。
ここで示す基本事項とは、大きく以下のものを指します。
【会社の基本事項】
- 社名
- 所在地
- 設立日
- 会計年度
- 事業目的
- 株主の構成
- 役員の構成
基本事項が決まったら、会社で使用する法人用の実印を作成することも忘れてはいけません。
2週間程度時間がかかるケースもありますので、早めの段階で作成しましょう。
ステップ3.資本金と決済日を決定する
資本金と決済日を決定します。資本金は1円から可能ですが、社会的な信用に影響する部分でもありますので複合的に検討しましょう。
さらに、「1期目の決算期が7ヶ月を超えるかつ資本金が1,000万円以上の場合」だと消費税の免税が受けられません。節税効果を得られない点にも注意が必要です。
ステップ4.定款を作成する
会社の設立には、定款が必要です。
定款とは、会社の憲法とも呼ばれるもので会社のルールを示したものになります。
記載内容については会社ごと異なりますが、絶対的記載事項という定款作成時に必ず記載しなければいけない内容があります。
具体的には、以下の通りです。
【絶対的記載事項】
- 事業の目的
- 商号
- 本社所在地
- 資本金額(出資財産額)
- 発起人の氏名と住所
上記の記載を漏れなく行い、定款を作成しましょう。
ステップ5.定款の認証を受ける
定款を完成させ、提出し認証を受ける必要があります。
電子定款であれば、本来かかる収入印紙代の4万円が必要ありません。収入印紙代をかけずに提出できます。
ステップ6.登記書類を作成する
登記書類の作成も必要です。
会社設立時に必要な登記書類は、以下の10種類があります。
登記申請書 | 登記を申請するための書類 |
---|---|
登録免許税納付用台紙 | 収入印紙を貼り付けた用紙 |
定款 | ステップ4で作成した定款 |
発起人の決定書 | 本店の住所が決定された証明書 |
取締役の就任承諾書 | 取締役に就任した証明書 |
代表取締役の就任承諾書 | 代表取締役に就任した証明書 |
設立時取締役の印鑑証明書 | 取締役全員の印鑑の証明書 |
資本金の払込みがあったことを証する書面 | 資本金の支払い証明(振込証明書など) |
印鑑届出書 | 会社で使用する印鑑の証明書 |
「登記すべき事項」を記載した書面 もしくは 保存したCD-R |
登記簿に登録するための情報を記載した書類またはPDFなどを保存したCD-R |
上記書類を事前に全て記載しておく必要があります。
ステップ7.設立登記の申請をする
完成した登記書類は法務局に提出し、設立登記の申請をする必要があります。
書類に不備があれば修正となり、不備が無ければめでたく会社設立完了です。設立後は法人税が適用されます。
その他必要な手続き
会社設立後は、税金関係の手続きとして都道府県税事務所、市町村役場、税務署に届出が必要です。
また、社会保険関係については年金事務所に届出をしなければいけません。従業員を雇う場合は労働保険関係の手続きが必要になることも覚えておきましょう。
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まとめ:プライベートカンパニーの設立は節税対策に有効
プライベートカンパニーの設立は、20万円程度のコストがかかるものの、長期的に見ると節税効果が高い場合があります。
収入の高さに応じて節税効果も高くなりますので、年間1,000万円近い所得がある方は設立をご検討ください。
ただし、課税所得や相続税対策などは個人により大きく異なる部分です。「節税しようと思っていたら、本来より多くの金額を払うことになってしまった」というケースもありますので、必ず専門家に相談しながら行っていきましょう。
一度会社を設立すると、畳む時にも金銭コストがかかるため、慎重に検討してください。
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