「太陽光発電のメンテナンスは何をすればいいのかわからない」
「太陽光発電のメンテナンス費用はいくら?」
太陽光発電は、常時外にあるため、砂埃や雨によるサビなどでパフォーマンスが低下する恐れがあります。そうしたケースを防ぐために、こまめなメンテナンスは欠かせません。
そこで本記事では、太陽光発電の必要なメンテナンスや費用などを解説します。
誤ったメンテナンスを行ってしまうと、故障を招くだけでなく、最悪の場合事故発生にもつながりかねません。正しい知識をつけて適切なメンテナンスをしましょう。
太陽光発電でメンテナンスが必要な3つの理由
まず、なぜ太陽光発電でメンテナンスが必要なのか、その理由を3つ紹介します。
- 電気事業法と改正FIT法の法律で義務化されているため
- 安全性を担保するため
- 発電効率の低下・故障を防止するため
理由1.電気事業法と改正FIT法の法律で義務化されているため
最大の理由として、下記条件を満たす太陽光発電のメンテナンスが法律で義務化されています。
- FITで50KW以上の太陽光発電所
- FITで50KW未満の太陽光発電所
- 非FITで50KW以上の太陽光発電所
参照:改正FIT法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)
参照:電気事業法
例外として、50kW未満かつFIT認定を受けていない太陽光発電所は義務ではありません。
もしメンテナンスを怠っている場合、認定取消の措置が下される可能性があります。
ご自身が運用している太陽光発電が、メンテナンス義務化の対象であるかを必ず確認しておいてください。
理由2.安全性を担保するため
太陽光発電のメンテナンスが十分でなく、劣化していると災害でのダメージも大きくなります。
例えば、屋根上に設置した太陽光パネルの架台が錆びたまま放置しており、台風で破損した場合、パネルだけでなく周辺にも被害が及びます。
最悪の場合、死亡事故につながる可能性もありますので、安全性を担保するためにメンテナンスは重要です。
理由3.発電効率の低下・故障を防止するため
太陽光パネルが汚れていると、発電効率が低下します。また、サビ汚れを放置すると他の箇所にサビが移り故障する原因にもなります。
発電効率が悪くなれば、売電価格が低下する上に購入する電気量も増加します。
なお、詳しくは後述しますが、故障した後の修理・交換はメンテナンス以上に費用がかかります。売電収益を減らさず、安定した運用をするためにもメンテナンスが重要です。
太陽光発電のメンテナンス
メンテナンスの頻度としては設置後から1年、それ以降は4年に1回が目安として推奨されています。
特に、設置後は初期不良が起こる可能性があり、安定して稼働させるためにも一度メンテナンスを行っておきましょう。
目視での定期点検
目視での定期点検は最も基礎的なメンテナンスです。太陽光パネルの割れや汚れの状態、架台の腐食や配線の固定などを確認します。
また、太陽光発電の装置だけでなく草の伸び具合、フェンスが破れていないかなど周辺の環境にも気を配り点検をしていきます。
太陽光パネルの清掃
鳥のフンや花粉などで太陽光パネルが汚れている場合、清掃を行います。太陽光パネルの汚れは発電量に直結しますので、売電・自家消費問わずメンテナンスが重要なポイントです。
太陽光パネルはメーカー推奨の洗浄方法があるため、業者に頼めば効率よく実施してもらえます。
パワーコンディショナーの交換
パワーコンディショナーは太陽光パネルに比べ寿命が短く、壊れやすい部位になります。一般的な寿命は10年といわれていますが、精密機械のため部品が一つ壊れただけで正常に動作しないケースもあるものです。
パワーコンディショナーの整備は特に感電の危険性が高く、専門の業者が行う必要性の高い部分です。メンテナンスをせずに放置してしまうと、部品交換だけでは修理できず、丸ごと交換になり高い費用がかかります。
太陽光発電のメンテナンス費用目安|規模別
規模別にメンテナンス費用について見ていきましょう。あくまで目安なため、業者により前後します。
住宅用太陽光発電:5〜10万円
住宅用の太陽光発電はメンテナンス費が最も安く、5〜10万円の範囲で行われることが多いです。
汚れ(砂ぼこり、鳥のフン、花粉など)がある場合、清掃・洗浄に3〜6万円かかることもあります。住宅用の太陽光発電は小規模なため、比較的費用が安めです。
ただし、屋根上などに設置している場合、別途費用で足場代が必要になる場合があります。一般的には壁一面分で8万円前後が必要になるため注意しましょう。
産業用太陽光発電(50kW未満):10〜15万円
産業用太陽光発電でも、50kW未満の小規模なものであればメンテナンス費用が安く済みます。住宅用よりは枚数が増えるため10〜15万円前後が一般的な価格です。
こちらも屋根上であれば足場代が必要です。
オフィスの屋上に太陽光パネルがあり、作業スペースが確保できない場合は、追加の費用がかかります。
産業用太陽光発電(50kW以上):100〜200万円
産業用太陽光発電の中でも、50kW以上の大規模なものになるとメンテナンス費用が100万円を超えます。汚れの清掃も大規模になり、費用が多くかかります。
この規模になると通常、野立てで運用しているため足場代はかかりません。大規模の太陽光発電は故障した時のリスクが最も高いため、特にメンテナンスが重要です。
太陽光発電の修理・交換にかかる費用相場
メンテナンス時に破損箇所が発見された場合、修理・交換が必要になります。こちらの相場も見ていきましょう。
パネルの修理・交換費用は1枚10〜15万円
パネルの修理・交換は、1枚ごとに10〜15万円の金額がかかります。災害などで10枚以上の大規模な破損だと修理・交換で100万円を超えることも珍しくありません。
太陽光パネルは通常20年前後持つといわれています。しかし、日常のメンテナンスをし、破損箇所を修理・交換していけば30年近く使用できるケースもあります。
パワーコンディショナーの修理・交換費用は5〜40万円
パワーコンディショナーの修理・交換は5〜40万円と幅が広いです。と言うのも、破損箇所により金額が大きく異なるためです。
パワーコンディショナーは他の部分と比べ故障の可能性が高く、換気フィルターの目詰まりやヒューズ切れなど様々な原因で動かなくなります。
重大な故障であればあるほど金額が高くなりますので、日々のメンテナンスで小さい故障を修理すると継続して運用できます。ただし、パワーコンディショナーは10年を目安に交換が必要です。
太陽光パネルに比べて、寿命が短いことを念頭に運用してください。
太陽光発電のメンテナンス業者の選び方3つ
太陽光発電のメンテナンス業者を選ぶ際のポイントを3つご紹介します。
- PIA技術認定の資格を持っている業者を選ぶ
- メンテナンス内容に問題はないか確認する
- 全国対応している業者を選ぶ
1.PIA技術認定の資格を持っている業者を選ぶ
PIA技術認定の資格を持っている業者は安全性が高いです。太陽光発電検査協会から認定された資格であり、専門的な研修を受けた証でもあります。
また、この他にも民間の資格ではありますが「太陽光発電メンテナンス技士」や「PV施工技術者」などの資格を持っている業者は信頼度が高いです。太陽光発電について高い専門性を持ち整備してくれる業者を選ぶと、長い期間安定した運用ができます。
2.メンテナンス内容に問題はないか確認する
メンテナンス内容に問題はないかの確認も重要です。太陽光発電のメンテナンスは、大きく5つの項目を基に行われます。
- 定期点検(パネル、パワーコンディショナーなど)
- 駆けつけ対応(故障時に現地まで来てくれるか)
- パネル洗浄
- 雑草対策(草刈りなどの環境整備)
- 遠隔監視
購入したメーカーによっては定期点検まで行ってくれるメーカーもあります。メンテナンス業者を選ぶ場合は内容が十分かだけでなく、必要な内容かどうかまで見極めた上で依頼しましょう。
3.全国対応している業者を選ぶ
業者によっては特定の地域までしか出張対応していないケースがあります。いざという時に現地まで来てもらえない業者を選んでしまうと後々トラブルにつながりかねません。
業者を選ぶ際は全国対応しており、メンテナンスや故障時など現場に駆けつけてくれる業者を選びましょう。
太陽光発電は自分でのメンテナンスは危険!起こりうる3つの事故
太陽光発電のメンテナンス費を節約しようと、自分で整備してしまうと事故につながる危険があります。ここでは、具体的な3つの事故を紹介します。
- 感電
- 転落事故
- 故障・破損
1.感電
太陽光発電は常時発電をしている設備です。ケーブルなどに触ってしまうと感電の恐れがあります。触ってはいけない部分を完全に把握していない状態でのメンテナンスは非常に危険です。
また、雨の日や水害の後などは特に危険性が増します。軽い感電であれば火傷で済みますが、100mA以上の電流を受けると死亡する可能性もあるため、無闇に触れないようにしましょう。
2.転落事故
高所でのメンテナンスは転落事故のリスクがあります。屋根タイプの太陽光パネルは地上3階以上に設置されていることが多く、死亡事故や後遺症につながるおそれがあります。
従業員やご自身の人生のためにも、高所でのメンテナンスは業者に依頼しましょう。
3.故障・破損
専門的な知識がない状態でのメンテナンスは機械の故障・破損を招きます。
特にパワーコンディショナーは精密機械なため、誤った整備をすると修理できず丸ごと交換になるケースもあります。
また、保証面でも自分でメンテナンスすると故障した際のデメリットが大きいです。例えば、太陽光パネルを自分で洗浄し傷をつけてしまった場合、メーカー保証の対象外となる場合があります。
上記のようなリスクがあるため、一部を除き太陽光発電のメンテナンスは業者に任せることをおすすめします。
自分でも安全にできる太陽光発電のメンテナンス
メンテナンスする範囲を絞り、ポイントをおさえておけば安全にメンテナンスが可能です。費用を抑えられる部分ですので、それぞれ見ていきましょう。
1.太陽光パネルの日常点検
太陽光パネルに汚れや破損がないか目視での確認が重要です。また、モニターも確認し発電量が大きく減少していないかのチェックも効果的です。
ただし、太陽光パネルが高所にある場合や大規模の場合、外注した方が事故のリスクなく、人件費も安く済むケースがあります。
小規模なら自分で点検し、大規模ならかかる時間と人件費を計算して外注するかを判断しましょう。
2.パワーコンディショナーの日常点検
パワーコンディショナーは特に故障しやすいため、日常点検は欠かせません。
具体的には、以下の項目を点検しましょう。
- 本体に汚れやサビがないか
- フィルターの目詰まりはないか
- 作動音に異音はないか
- 通常以上に大きく振動していないか
- 異臭はないか
- ケーブルに破損箇所はないか
- モニターにエラー表示は出ていないか
パワーコンディショナーの安全確認も長持ちさせるうえで大切です。
3.草刈りなどの環境整備
草刈りなどの環境整備は、自分でできるメンテナンスの一つです。ホームセンターなどで草刈機を購入すれば費用を安く整備できます。
草刈機は小石が飛びやすく、太陽光パネルに直撃すると破損の原因にもなります。太陽光パネル付近の草刈りは、2名1組で片方がブルーシートを持ち防ぐなど工夫をして草刈りをしましょう。
日頃から草刈りをしておくことで、破損箇所の発見や売却する際に高額になりやすいなどのメリットがあります。
まとめ:太陽光発電のメンテナンスは専門業者にお任せしよう
太陽光発電のメンテナンスは、運用する上で非常に重要です。規模によって5〜200万円と大きな金額がかかりますが、メンテナンスしなければ義務違反になる、安全性が下がるなど大きなデメリットになります。
また、太陽光発電は発電所のためメンテナンスの危険度が高いです。感電・落下・故障などのリスクがあるため、基本的には業者に依頼しメンテナンスしてもらうことをおすすめします。
自分でできるメンテナンスとしては日常の目視点検、草刈りなどの環境整備が挙げられます。人件費や社内リソースと相談しながら取捨選択しましょう。
業者を選ぶ際は資格を持っているか、メンテナンス内容に問題はないか、全国対応しているかの視点から優良な業者を選びましょう。
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