「太陽光発電の利回りが高いって聞いたけど、実際はどれくらいか知りたい」
「現実的に高い利回りでの運用は可能なの？」
投資を行う際に、利回りはまず気になるところでしょう。
太陽光発電は、一般的に低リスクで高い利回りを実現できるといわれています。しかし、地域や制度の特性をおさえておかなければ、高い利回りを実現できないものでもあります。
そこで本記事では、太陽光発電の利回りについて解説するとともに、高い利回りで運用するためのポイントを解説します。
これから太陽光発電投資を始めたい方にとって、必要な情報を詰め込んだ記事になっていますので、ぜひご覧ください。
太陽光発電の利回りは平均7〜10%
太陽光発電の利回りは、平均7〜10%です。投資の中では比較的高い利回り率を持ちます。
太陽光発電で利益を生み出すものは太陽光です。よほどの異常気象が起こらない限り、太陽エネルギーでの発電を継続可能で、利回り約10%を達成するのも珍しくありません。
また、トラブルが起きにくい低リスクな資産運用であることもポイントです。不動産投資のように空室や入居者トラブルはなく、株価のように急激な暴落もありません。
ただし、高い利回りを達成するためには、後述する自然災害のリスクや出力制限について知っておく必要があるため、そちらもご覧ください。
太陽光発電の利回りは大きく2種類
太陽光発電の利回りを算出する際、2種類のものがある点にご注意ください。
- 想定表面利回り
- 実質利回り
1.想定表面利回り
想定表面利回りとは、購入価格に対して、どの程度の年間収益が得られるかをざっくり計算したものです。好条件下で問題なく、運用できることを前提として計算します。
計算式は以下の通りです。
| 年間収益÷初期投資費用×100 |
例えば、2,000万円で購入し、売電収入が200万円の場合、表面利回りは10%です。
| 200÷2,000×100=10% |
2.実質利回り
実質利回りとは、表面利回りから税金・管理費などのコストを差し引いた、より現実的な利回りです。
計算式は以下の通りです。想定利回りとの違いとして、年間支出を差し引きます。
| （年間収益-年間支出）÷初期費用×100 |
2,000万円で購入、売電収入が200万円あり、メンテナンスや修理で100万円かかった場合、実質利回りは5%です。
| （200-100）÷2,000×100=5% |
年間の利回りをざっくり出したい場合は表面想定利回り、現実的な利回りを出したい場合は実質利回りを使用しましょう。
太陽光発電の利回りは今と昔で違いはある？
太陽光発電の利回りは、昔に取得したものの方が高い傾向にあります。これは、FIT制度が関係しているためです。
FIT制度とは、一定期間（主に20年間）、太陽光発電で生み出した電力を固定価格で買い取る仕組みのことです。
FIT制度開始時は、売電価格が高く「40円」ほどの価格でした。現在は「10円」ほどであるため、およそ4倍の違いがあります。そのため、中古の太陽光発電の方が利回りが高いケースがあります。※10kW以上50kW未満の場合、1kWあたりの金額
しかし、中古であれば全て利回りが高いわけではありません。次の項目でコツを紹介します。
利回りが良い太陽光発電の投資先を見つける5つの秘訣
利回りが良い太陽光発電の投資先を見つけるには、以下の5つの点に注意しましょう。
- 自然災害が多い地域に設置しない
- 日照時間が短い場所を選ばない
- 定期メンテナンスで故障箇所は修理する
- 過去に出力制限がどれほどあったかを調査する
- 設置・ランニングコストの相場を把握しておく
1.自然災害が多い地域に設置しない
太陽光発電の設置予定場所が自然災害が多い地域なら、再度検討してください。というのも、台風や地震などの災害で太陽光パネルをはじめとする設備に損害を被る恐れがあるからです。
また、大雨が降る地域かつ、水はけが悪い場所であれば洪水となり、パワーコンディショナーが致命的な故障をする可能性もあります。
自然災害は特に地域差が多いため、事前に確認してリスクを低減しましょう。
2.日照時間が短い場所を選ばない
地域によっては日照時間が短い地域もあります。
例えば、周囲に建物がある場合や森林がある場合などは、日陰になる時間を算出しておきましょう。
さらに、「梅雨の季節が長い」「冬は豪雪地帯である」など天候も大きく関係します。過去のデータから、地域の天候状況を確認しましょう。
3.定期メンテナンスで故障箇所は修理する
パワーコンディショナーの故障など、重要な設備の不具合は発電量に直結します。故障に気づかず運用し続けてしまうと、発電量が減少した状態で稼働し、損失が大きくなります。
損失を防ぐためにも、定期メンテナンスを行い、故障箇所は速やかに修理しましょう。
4.過去に出力制限がどれほどあったかを調査する
地域によっては出力制限が多い場合もあります。出力制限とは、電力会社の要請により電力の買取を一時停止する制度です。
太陽光発電事業者は、年間360時間まで、無償で対応しなければなりません。出力制限が多い地域かつ、自家消費も行わないのであれば発電量が丸々損失になります。
5.設置・ランニングコストの相場を把握しておく
設置時に一時的にかかる費用や、定期メンテナンスなどのランニングコストの相場を把握しておきましょう。一般的には、以下の金額が相場といわれています。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 設備費用 | 1,200〜1,500万円 |
| 工事費用 | 300〜500万円 |
| メンテナンス費用 | 10〜20万円/年 |
| パネル交換 | 10〜15万円/枚 |
| パワーコンディショナーの修理・交換 | 5〜40万円/回 ※故障箇所による |
※10kW以上50kW未満のもの
ただし、施工業者や太陽光発電の状況により金額が左右する点にご注意ください。
利回り以外で太陽光発電が人気な5つの理由
利回り以外にも、太陽光発電を行うにはメリットがあります。人気の理由を見ていきましょう。
- FIT終了後も自家消費で利用できて節電になるから
- 節税になるから
- 土地を再利用できるから
- 専用ローンで0円から始められるから
- 中古市場が活発で売買しやすいから
1.FIT終了後も自家消費で利用できて節電になるから
FIT期間終了後は、電力会社の言い値で売電を続けるか、自家消費を行うかを選択できます。一般的には、FIT価格より大きく売電価格が下がる傾向にあるため、自家消費の方がお得になりやすいです。
事務所の電気代をカットできるため、その分他の業務にリソースを回せます。発電量と消費電力を事前に調べておくと、現実的な運用が可能です。
2.節税になるから
太陽光発電の設備は償却資産として節税可能です。
さらに、運用にかかるランニングコストやメンテナンス費用も経費計上可能なため、法人税の節税ができる特徴を持ちます。
3.土地を再利用できるから
土地の再利用ができる点も魅力の一つです。所有しているものの活用できず、固定資産税のみがかかり続けている土地で、収益を生み出せるようになります。
ただし、農地を転用する場合は追加費用がかかる場合や、手続きが複雑化する可能性もありますのでご注意ください。
4.専用ローンで0円から始められるから
太陽光発電には専用ローンがあり、0円から投資を始めることも可能です。FIT制度を併用できれば、安定した売電収入を得られるため現実的な返済ができます。
ローンは多くの金融機関・信販会社が提供しています。銀行・会社ごとに金利や返済期間、上限額が異なるため、導入前に一度比較検討しましょう。
5.中古市場が活発で売買しやすいから
太陽光発電は中古市場も活発であり、想定通りの売電収入が得られなかった場合でも売却しやすい特徴を持ちます。
始める際も、中古の太陽光発電でFIT価格が高い時期のものであれば高い利回りで運用できる場合もあり、低リスクで始められる点が魅力です。
中古で太陽光発電を購入する時の3つの注意点
中古で太陽光発電を購入する際は、以下3つの点にご注意ください。
- 業者は必ず比較検討する
- 残りFIT期間を確認する
- 設置地域の特性を確認する
1.業者は必ず比較検討する
販売業者は必ず比較検討しましょう。太陽光発電の売却価格は業者により大きく異なる上に、施工料金やオプション料金は業者によりさまざまです。
業者の価格が相場より逸脱していないかを知るためにも、比較検討が重要です。
2.残りFIT期間を確認する
中古で購入する際は、FIT期間もご確認ください。高いFIT価格を優先して選んでしまうと、残りFIT期間がわずかで損をしてしまうこともあります。
FIT価格と期間を掛け合わせて、利回りを算出し、現実的に運用可能かを確認しましょう。
3.設置地域の特性を確認する
太陽光発電を設置する地域の特性も確認しましょう。日照時間や台風などの自然災害が多いかどうか、近隣住民とのトラブルに発展する可能性がないかなどの確認が重要です。
自然災害が起こりやすい地域の太陽光発電を購入してしまうと、売却しにくくなるため、購入前の調査が重要です。
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まとめ：太陽光発電の利回りは平均7〜10％と把握しておこう
太陽光発電は、低リスクで平均7〜10%の利回りを継続できる資産運用です。利回りの計算時は、概算したい場合は「想定表面利回り」、現実的な金額を知りたい場合は「実質利回り」で算出しましょう。
FIT価格が安くなっている太陽光発電ですが、発電量を確保できれば安定した売電収入を得られます。自然災害や日照時間、出力制限の頻度などが関わるため、事前に調査しておきましょう。
FIT期間終了後も、自家消費で電気代を浮かせられる、節税になるなどメリットの多い太陽光発電を、ぜひご検討ください。
（本記事掲載内容は2024年7月時点の内容です。最新の情報については、公式サイトや最新のニュースをご確認ください。）
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