貯金や投資へお金を配分する際は、多くても少なくても何かしら支障が出ます。
たとえば、配分するお金が多すぎると生活に困り、少なすぎるとうまく資産を増やせないといった問題が発生します。
しかし、貯金や投資の適切な割合は、家族構成や年代など個人の置かれている状況により異なります。
そのため、貯金や投資をしないといけないことはわかっていても、どのくらい貯金や投資をすればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、貯金と投資の割合について詳しく解説していきます。貯金と投資の割合を決めるためのポイントも紹介しますので、どのくらい貯金や投資をすればいいのかわからない方はぜひ参考にしてください。
日本の現金・預金の割合は54.2%
まずは、日本の現状を把握しておきましょう。
日本の現金および預金の割合は、54.2%です。これは、日本人の多くが金融資産の半分程度を現金と預金で保有していることを意味しています。
欧米といったほかの先進国と比べると、日本の現金および預金の割合は非常に高いことがわかります。
現金・預金の割合 | |
---|---|
日本 | 54.2% |
アメリカ | 12.6% |
ユーロエリア | 35.5% |
では、なぜ日本の現金および預金の割合は高いのでしょうか。これは、日本人が年代を問わずリスクを回避する傾向にあることが影響しています。
株式や投資信託といったリスクがある資産よりも、リスクが低いと考えられている現金や預金で持っておきたいと考える方が欧米より多く見られます。
また、欧米諸国と比較して老後形成の手段としての投資が普及しきっていないことも、日本の現金および預金の割合が高い理由の一つです。
資産所得倍増プランの策定や、資産運用立国実現プランなど、具体的な取り組みにより日本政府も貯金から投資へのシフトを促していますが、現状はまだ欧米ほど浸透していません。
貯金と投資の割合|世帯別
日本の現状がわかったところで、貯金と投資の割合を世帯別に見ていきましょう。
自分の世帯は世間と比べてどうなのか、確認しながら読み進めてみてください。
単身世帯の割合
単身世帯の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 43.4%程度 |
保険 | 13.7%程度 |
有価証券 | 39.6%程度 |
その他金融資産 | 3.3%程度 |
参考:「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(単身世帯調査)
単身世帯では、預貯金の割合が最も高くなっており、次に有価証券の割合が高くなっています。
また、金融商品をいずれも保有していない単身世帯の割合は、4.9%でした。
2人以上世帯の割合
2人以上世帯の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 43.1%程度 |
保険 | 19.7%程度 |
有価証券 | 32.7%程度 |
その他金融資産 | 4.5%程度 |
参考:「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(二人以上世帯調査)
預貯金と有価証券の割合が高いのは単身世帯と同様ですが、いずれも割合は低下しています。一方で、単身世帯とは異なり、保険の割合が大きくなっています。
これは、2人以上の世帯の方が配偶者や子どもといった家族のことを考えて保険に入る方が多い傾向にあるからでしょう。
一般的に、家族構成で金融資産の割合は変わるのです。
また、金融商品をいずれも保有していない2人以上世帯の割合は、3.1%でした。
貯金と投資の割合|年代別
世帯別の貯金と投資の割合がわかったところで、貯金と投資の割合を年代別に見ていきましょう。
自分の年齢と照らし合わせて確認していきましょう。
20代の割合
20代の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 49.2%程度 |
金銭信託※ | 1.5%程度 |
生命保険 | 9.4%程度 |
損害保険 | 5.6%程度 |
個人年金保険 | 3%程度 |
債券 | 1.1%程度 |
株式 | 12.8%程度 |
投資信託 | 15.4%程度 |
財形貯蓄 | 1.1%程度 |
その他金融商品 | 0.4%程度 |
参考:(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果
※:信託銀行などが利用者にかわり、お金を管理および運用する金融商品
20代は、すべての年代のなかで最も預貯金の割合が高いのが特徴です。
収入をいきなり保険や投資などにすべて使うことはせず、貯金を基本としてほかの金融資産にお金を配分していることがわかります。
また、投資信託の割合が高いことも20代の特徴の一つです。
20代は、年齢が若く時間をかけて資産を築けます。長期的な運用が推奨される投資信託と20代の相性の良さが調査結果に影響していると考えられます。
30代の割合
30代の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 47.9%程度 |
金銭信託 | 1.5%程度 |
生命保険 | 7.4%程度 |
損害保険 | 0.8%程度 |
個人年金保険 | 3.5%程度 |
債券 | 1.6%程度 |
株式 | 23.3%程度 |
投資信託 | 10.6%程度 |
財形貯蓄 | 1.5%程度 |
その他金融商品 | 1.7%程度 |
参考:(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果
30代も20代同様、預貯金の割合が最も大きいですが、株式の割合がグッと大きくなるのが特徴です。
これは、30代の方が20代よりも年収が高くなることや、ある程度預貯金ができて株式に配分するお金を増やせることが影響していると考えられます。
40代の割合
40代の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 42%程度 |
金銭信託 | 1.7%程度 |
生命保険 | 12.1%程度 |
損害保険 | 3%程度 |
個人年金保険 | 5.8%程度 |
債券 | 1.9%程度 |
株式 | 18.5%程度 |
投資信託 | 10.7%程度 |
財形貯蓄 | 2.9%程度 |
その他金融商品 | 1.4%程度 |
参考:(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果
40代は、ほかの年代と比べて生命保険の割合が高いのが特徴です。
働き盛りとなる40代は、もしものことがあると自分だけではなく家族にも大きな影響を与えます。年齢的にも体調面を考慮しなければならず、万が一のことを考えて備えをする方が多いと予想されます。
50代の割合
50代の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 39.8%程度 |
金銭信託 | 1.1%程度 |
生命保険 | 11.6%程度 |
損害保険 | 1.4%程度 |
個人年金保険 | 7.3%程度 |
債券 | 2.5%程度 |
株式 | 21.8%程度 |
投資信託 | 8.5%程度 |
財形貯蓄 | 4.4%程度 |
その他金融商品 | 1.6%程度 |
参考:(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果
50代は、40代同様生命保険の割合がほかの年代と比較して高く、個人年金の割合については全世代のなかで最も高いという特徴があります。
これは、50代に入り老後への準備をはじめる方が増加するからだと考えられます。
60代の割合
60代の金融資産の割合は、次の表のとおりです。
金融資産 | 割合 |
---|---|
預貯金 | 43.6%程度 |
金銭信託 | 0.6%程度 |
生命保険 | 9.3%程度 |
損害保険 | 1.4%程度 |
個人年金保険 | 7.3%程度 |
債券 | 4.9%程度 |
株式 | 20.2%程度 |
投資信託 | 9.9%程度 |
財形貯蓄 | 1.1%程度 |
その他金融商品 | 1.6%程度 |
参考:(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果
60代は、50代同様に個人年金保険の割合が大きいのが特徴です。理由についても50代と同じく老後への準備という意味合いが強いでしょう。
また、ローリスクローリターンの金融商品である債券の割合が大きくなるのも60代の特徴の一つです。60代になると大きなリスクを取るよりも、少しのリスクで安定した資産運用を考える方が多い傾向にあるため、割合が増加していると考えられます。
投資額は資産の何パーセントが一般的?
日本銀行が発表した「資金循環の日米欧比較」によると、家計が投資に配分している金額は金融資産の16.7%です。
つまり、投資額は金融資産の4分の1程度が一般的だといえます。
また、大手ネット証券である楽天証券は、資産の10%以上を投資に配分している方は62.2%、30%以上配分している方は34.2%いると公表しています。
投資額は家族構成や家計の状況により個人差がありますが、まずは資産の15%から16%程度を目安にするとよいでしょう。
貯金と投資の割合を決める5つのポイント
貯金と投資の割合を決めるポイントは、大きく5つあります。
- 投資の目的と時期を決める
- 投資の目標金額を決める
- リスクをどれだけ取るかを決める
- 投資に回せるお金を把握する
- 用途に合わせてお金を分類する
自分に適した貯金と投資の割合を決められるように、詳細を確認していきましょう。
投資の目的と時期を決める
貯金と投資の割合を決める際は、投資の目的と時期を決めましょう。
投資の目的が定まっていないと、投資に配分するはずだったお金をほかの用途で消費してしまったり、最悪の場合止めてしまったりする可能性があります。
目的は、「子どもの学費に充てたい」「老後の資金を作りたい」など、目的はなんでもかまいません。
また、目的とあわせていつまで貯金や投資をするのか決めてください。
時期が決まっていないのは、ゴールのないマラソンと同じです。いつまで続ければいいのかわからないといった状況は、不安を煽ります。
漠然とした不安を解消するためにも、まずは目的と時期を明確に定めましょう。
投資の目標金額を決める
投資の目標金額を決めることも、貯金と投資の割合を決めるときの重要なポイントです。
たとえば、老後資金を投資で蓄えたいと考えたときに目標金額が決まっていなければ、投資にどれくらいのお金を配分すればいいのかわかりません。
適当に投資していた結果、目標金額に到達せず、後悔することもあるでしょう。
そのため、目標金額は明確に決めておく必要があります。
リスクをどれだけ取るかを決める
貯金と投資の割合を決める際は、リスクをどれだけ取るかを決める必要があります。
たとえば、リスクを大きく取れる場合は貯金の割合を減らし、投資の割合を増やします。一方でリスクを小さくしたい場合は貯金の割合を増やし、投資の割合を減らします。
上記のように、どれだけリスクを取るかで貯金と投資の割合が変わります。自分の年齢や家計の状況を考慮し、どれだけのリスクを取るか決めましょう。
投資に回せるお金を把握する
投資の目的や目標金額を定めることは重要ですが、そもそも投資に回せるお金がどの程度あるのか把握しなければ実行できるかわからないでしょう。
いくら目的や目標金額が良くても、実行できなければ意味がありません。
投資に回せるお金がどの程度なのか把握するためには、家計の収入と支出を把握する必要があります。
収入から支出を引いて残った余裕資金の一部を投資に回すといいでしょう。余裕資金の全額を投資に回すのは、急な出費に対応できなくなるため、おすすめできません。
また、余裕資金がなく投資に回せるお金がないのであれば、家計の見直しも検討した方がよいでしょう。
用途に合わせてお金を分類する
用途に合わせてお金を分類すると、貯金と投資の割合を決めやすくなります。
具体的には、以下の3つにお金を分類しましょう。
- 生活に必要なお金
- 将来使う予定のあるお金
- しばらく使う予定のないお金
将来使う予定のあるお金は、基本的には預貯金として残しておきます。投資に使うお金はしばらく使う予定のないお金で、先ほど説明した余裕資金のことです。
しばらく使う予定のないお金は、用途が定まっておらず自由度が高いため、生活に影響を与えることなく投資に回せます。
このようにお金を用途に合わせて分類しておくと、貯金や投資に回すお金が明確になり、生活を崩さずに着実に金融資産を増やせます。
貯金と投資の割合を決める年代別の考え方
貯金と投資の割合を決めるにあたって年代ごとに貯金と投資の割合を決めるための考え方は異なります。
貯金と投資に対してどのように考えていけばいいのかを年代別に確認しましょう。
20代
20代は年収が低い傾向にあり、生活も不安定であることが多いでしょう。さらに、結婚や出産などのライフイベントについても想像がつきにくい年代です。
そのため、まずは貯金を増やして不測の事態に備えましょう。貯金があれば急な出費にも問題なく対応でき、安定した生活につながります。
また、生活費の半年から1年分ほどの貯金ができたら、少しずつ投資にもお金を回しましょう。20代は長期的な運用ができるため、少額からはじめられる積立投資がおすすめです。
20代は貯金を基本に、余裕ができてきたら少しずつ投資の割合を増やしていくといいでしょう。
30〜40代
30代から40代になると、年収も高くなってきて生活に余裕が出てくるでしょう。そのため、積極的に投資の割合を増やしていくタイミングです。
老後まではまだ時間があるため、20代同様積立投資をしながら、投資の割合を増やしていきます。
ただし、30〜40代はライフイベントが数多く発生する時期であり、急な出費に対応するためにも余裕資金のすべてを投資に回すのは避けてください。
ライフイベントを考慮しながら、貯金と投資の割合を考えていくことが大切です。
50代〜
50代は、会社員であれば最も年収の多い年代で、ライフイベントも落ち着いてくるタイミングです。そのため、余裕資金も増加しやすい傾向があります。
ただし、余裕資金をすべてハイリスクハイリターンの金融商品に回すのは危険です。50代からは、老後も見据えて貯金と投資の割合を考えなければいけません。
現在ある資産を減らさないように、金融商品の見直しもおこないましょう。
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貯金と投資の割合は、家族構成や家計の状況によって異なります。一般的な割合がそのまま当てはまる方は少なく、個別で調整する必要があります。
しかし、専門的な知識がないと貯金と投資の割合が自分にとって適切なのかどうかわからない上、個別での調整もうまくいかないでしょう。
そのため、真剣に貯金と投資について考えている方は、プロに相談するのがおすすめです。
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まとめ:貯金と投資の割合は目的や目標金額などで決めよう
貯金と投資の割合は、目的や目標金額などで決めましょう。
適当に割合を決めてしまうと、想定より資産が増えなかったり、生活に支障が出たりします。
貯金と投資の割合をどうしていいかわからない場合は、まずは世代別、年代別の貯金と投資の割合を参考にしてください。
ただし、家族構成や家計の状況によって適切な割合は異なるため、参考にして真似をすればすべてがうまくいくわけではありません。
どうしても貯金と投資の割合がわからない場合は、資産運用のプロに相談しましょう。
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(本記事掲載内容は2024年8月時点の内容です。最新の情報については、公式サイトや最新のニュースをご確認くださいませ。)
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