日本では、1億円以上の金融資産を保有する人が富裕層に分類されます。十分な余剰資金により複利効果を得やすい富裕層こそ、資産運用がおすすめです。
しかし、資産運用をしたほうがよいとわかっているものの、最適な投資先やポートフォリオの組み方がわからない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、富裕層が選ぶべきおすすめの資産運用先を紹介します。富裕層のポートフォリオ例や資産運用のコツなども紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
富裕層の資産運用は十分な余剰資金で複利効果を得やすい
富裕層の資産運用は、十分な余剰資金から複利効果を得やすく、非常におすすめです。
たとえば、年利5%の商品を選んで100万円投資した場合、1年後は5万円ですが、1,000万円を投資したなら1年後は50万円になります。
さらに、そのまま複利で運用するとなると、元金にプラスできる金額が5万円よりも50万円の方が資産の増えるスピードは速く、数年も経つと大きな差がつくでしょう。
十分な余剰資金で最初からまとまった金額を運用できる富裕層は、資産を大きく増やしやすいのです。
富裕層に共通した資産運用の戦略
富裕層に共通した資産運用の戦略は、大きく3つあります。
- 分散投資する
- 資産を残すための運用をする
- アクティブ運用とパッシブ運用のバランスを考える
戦略を理解しておくことで、資産運用をうまく進められます。それぞれの詳細を見ていきましょう。
分散投資する
富裕層が資産運用をするなら、分散投資という戦略をとります。
投資の有名な格言に「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があります。これは、一つのカゴにすべての卵を盛ると、カゴが落ちたときにすべての卵が割れてしまうので、複数のカゴに分けて卵を管理すべきという意味です。
卵を複数のカゴにわけて管理することで、仮に一つのカゴを落としたとしても卵がすべて割れてしまうことはありません。
これを投資に置き換えて考えてみましょう。
一つの投資先(カゴ)にすべての資金(卵)を投入した場合、その商品の価値が大きく下がった(カゴを落とした)ときにすべての資産(卵)を失う可能性があることを示唆しています。
しかし、投資先をいくつかに分散しておけば、もし一つの商品の価値が大きく下落したとしても資産の大半を失うといった事態を防げます。
資産を残すための運用をする
富裕層が資産運用をするなら、資産を残すための運用も選択肢の一つです。
大きな資産を持つ富裕層だからこそ、資産を大きく減らすことなく残すための運用も考えるべきなのです。
資産運用と聞くと資産を大きく増やしていくイメージがあるかもしれませんが、資産を「守る」「残す」目的でも活用できます。
なかには、相続税対策として活用できる資産運用もあるので、必要に応じて取り入れるとよいでしょう。
アクティブ運用とパッシブ運用のバランスを考える
富裕層が資産運用する際は、アクティブ運用とパッシブ運用のバランスを考えてください。
アクティブ運用 | 目標とする指数または指標などを上回る成果を目指す運用スタイル |
---|---|
パッシブ運用 | S&P・日経平均株価といった指数をベンチマークにし、それらと連動するような成果を目指す運用スタイル |
アクティブ運用には、大きな利益を得られるメリットがあります。しかし、コストがかかりやすく、ハイリスクハイリターンな投資になる可能性があるというデメリットがあります。
一方でパッシブ運用は、アクティブ運用と比較するとコストを抑えやすいという魅力はありますが、大きな利益を得るためには時間がかかるという短所があります。
どちらか一方がいいとは言い切れず、富裕層には投資目的に合わせて両者をバランスよく取り入れるのがおすすめです。
富裕層の資産運用先おすすめ9選
富裕層におすすめの資産運用は、以下の9つです。
- 債券投資
- 不動産投資
- 株式投資
- 太陽光発電投資
- 投資信託
- コモディティ
- PE・VC
- プライベートバンク
- 暗号資産
どの資産運用が自分に最適なのか比べながら読み進めてみてください。
債券投資
債券投資は、国や企業などが資金調達を目的に発行する証書を購入して行う資産運用です。元本保証や定期的に利子を受け取れるというメリットがあります。
ただし、大きなリターンを期待できない点には注意が必要です。
発行元の信用度が高ければ損をする可能性も低く、安定性を重視した投資を検討している場合には選択肢に入れておきたいところです。
不動産投資
不動産投資は、物件を購入して家賃収入を得たり、売却益を得たりします。毎月家賃収入が得られるので、収入の柱を増やしたいという場合におすすめです。
また、所得税や相続税の節税効果を期待できるというメリットがあります。ただし、初期費用がかかることや、物件選びに失敗して入居者がいないと赤字になる可能性がある点には注意が必要です。
株式投資
資産運用といえば、真っ先に浮かぶのが株式投資ではないでしょうか。株式投資は、株式会社が発行する有価証券を売り買いすることで売却差益を得られます。
さらに、保有している間に株主優待や配当金を受け取れるケースもあります。下落するリスクを受け入れなければなりませんが、大きなリターンも期待できる投資先です。
ただし、先行きを予測して取り組む必要があるので、初心者よりも投資中級者および上級者向きです。
太陽光発電投資
太陽光発電投資は、太陽の光で発電した電気を電力会社に買い取ってもらうことで収益を得る手法です。
太陽光発電のメリットは、7〜10%と平均利回りが高いことです。たとえば、1,000万円投資した際に利回りが10%であれば、10年で費用を回収できます。
さらに、法人や個人の節税対策としても活用可能です。中小企業経営強化税制や消費税還付などの制度をうまく活用することで税負担を軽減できます。
ただし、制度の活用には細かなルールがあるので、取り組みたいのであれば専門家へ相談した方がよいでしょう。
投資信託
投資信託は、投資家それぞれから集めた資金をもとにしてプロが資産運用してくれます。自分で銘柄を選定する必要がないので、資産運用初心者でも始めやすいのが特徴です。
分散投資をできるというメリットもあるので、ポートフォリオの一部に組み込むのもよいでしょう。
ただし、投資信託には販売手数料、信託報酬などのコストがかかります。コストの大きいものを選ぶと利益が減ってしまうので、投資先を選ぶ際は注意しましょう。
コモディティ
コモディティは、貴金属やエネルギー、穀物といった商品を購入して売却益を狙う手法です。商品先物市場で取引を行えば、現物がなくても投資はできます。
コモディティの最大の魅力は、インフレリスクに強いことです。さらに価格が変動する要因がほかの投資先とは異なるので、分散投資目的でポートフォリオに追加するのもおすすめです。
PE・VC
PEはプライベート・エクイティ、VCはベンチャーキャピタルのことです。
PE | 一定の規模または実績を持っている企業に投資し、経営改善、成長支援などを実施する |
---|---|
VC | スタートアップ企業や設立したばかりの企業に投資を行う |
PEは、成熟した企業の株式を過半数取得し、経営にも深く関わります。一方で、VCは株式の取得は少数にして、企業の成長にかけて投資します。
PEもVCも大きなリターンを得られるのが魅力です。ただし、いずれも上場していない企業への投資なので、リスクが高い点には注意しましょう。
プライベートバンク
プライベートバンクは、富裕層を対象にした金融サービスの一つです。
利用する人の要望をもとにカスタマイズされた資産運用サービスを受けられるうえ、一般的な銀行よりも利回りが高い傾向にあるというメリットがあります。
しかし、固定報酬や成功報酬といった手数料がかかる点、始める際に必要となる資金が大きい点には気をつけてください。
暗号資産
暗号資産での資産運用は、円、ドルといった法定通貨をもとに投資するわけではなく、インターネット上のデータ資産へ投資します。暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどがあります。
値動きが非常に大きく、一夜にして多額の利益を得られるといったこともありますが、その反面一気に価格が暴落することもあり、資産の大半を暗号資産にするのは危険です。
しかし、株式や債券とは違った値動きをするので、ポートフォリオの一部に組み込むのも一つの手です。もしポートフォリオに組み込むのであれば、全体の5%未満に抑えるといった工夫は必要でしょう。
富裕層の資産運用ポートフォリオ
富裕層が資産運用を行うときは、以下の3種類のポートフォリオのいずれかを選択してください。
- 安定型
- バランス型
- 積極型
どの型が自分に合っているのか考えながら、それぞれの特徴を確認していきましょう。
安定型
安定型は、比較的安定性の高い国内債券や先進国債券の占める割合を大きくし、資産を守ることを意識したポートフォリオです。
安定型のポートフォリオにしたい場合は、以下の表を参考にしてください。
金融商品 | 割合 |
---|---|
国内債券 | 35% |
先進国債券 | 25% |
国内株式 | 15% |
先進国株式 | 15% |
不動産 | 10% |
国内債券と先進国債券の割合が大きいので守り重視ですが、国内株式と先進国株式を組み込むことで安定して利益も狙っていきます。
不動産についてはほかの金融商品よりも割合が低いですが、リスクの軽減を期待できます。
バランス型
バランス型は安定型よりもややリスクを取り、資産を守るだけではなく増やすことも意識したポートフォリオです。
バランス型のポートフォリオを希望するなら、以下の表を参考にしてください。
金融商品 | 割合 |
---|---|
国内株式 | 20% |
先進国株式 | 20% |
不動産 | 20% |
国内債券 | 15% |
先進国債券 | 15% |
コモディティ | 10% |
国内株式と先進国株式、不動産を合わせて60%の割合とし、ややリスクを取りながら利益を狙い、債券も30%組み込むことで守りの面も充実させています。
また、難易度は高いですが、コモディティを入れることでインフレ対策も実現しています。
積極型
積極型は、文字通り積極的に利益を狙っていくポートフォリオです。
積極型のポートフォリオにしたいなら、以下の表を参考にしてください。
金融商品 | 割合 |
---|---|
不動産 | 25% |
コモディティ | 25% |
国内株式 | 20% |
先進国株式 | 20% |
PE・VC | 5% |
暗号資産 | 5% |
安定型やバランス型と異なるのは、比較的リスクの低い債券が入っておらず、リスクが高いといわれるPEやVC、暗号資産が組み込まれていることです。
また、不動産やコモディティの割合も高め、大きな利益を狙っていきます。
富裕層の資産運用ポートフォリオ例
より具体的に富裕層の資産運用ポートフォリオの例を紹介します。
相続に伴い富裕層になったある専業主婦の人のポートフォリオです。
金融商品 | 割合 | 金額 |
---|---|---|
預金 | 約14.5% | 2,000万円 |
株式 | 約6% | 800万円 |
投資信託 | 約29% | 4,000万円 |
不動産 | 約29% | 4,000万円 |
債券(仕組債) | 約14.5% | 2,000万円 |
債券(社債) | 約7% | 1,000万円 |
合計 | 100% | 1億3,800万円 |
株式の割合が低く、一見すると安定型のポートフォリオのように見えますが、投資信託と不動産の割合が高く、安定した利益を狙っていることがわかります。
債券の割合も高いとはいえないので、バランス型のポートフォリオに近いといえるでしょう。
以下の表は、60歳で医師をセミリタイアした人のポートフォリオです。
金融商品 | 割合 | 金額 |
---|---|---|
預金 | 約3.5% | 1,000万円 |
株式 | 約3.5% | 1,000万円 |
投資信託 | 約12% | 3,000万円 |
債券(社債) | 約23% | 6,000万円 |
不動産 | 約58% | 1億5,000万円 |
合計 | 100% | 2億6,000万円 |
こちらも先ほどと同様株式の割合は低いですが、不動産が半分以上の割合を占めています。つまり、バランス型ではあるものの、節税対策も兼ねているのではないかと推測できます。
同じ富裕層でもその人の状況や投資目的によってポートフォリオは異なり、安定型にしていればいい、バランス型にすればいいというわけではないので気をつけましょう。
富裕層における資産運用のコツ
富裕層における資産運用のコツは、以下の通りです。
- お金の使い方をシビアに考える
- 環境の変化があっても方針を変えない
- 富裕層に強いアドバイザーに相談する
資産運用に失敗したくないと考えるなら、事前にコツを把握しておきましょう。
お金の使い方をシビアに考える
富裕層における資産運用のコツは、お金の使い方をシビアに考えることです。お金の使い方が雑では、いくら資産運用をしてもお金は増えていきません。
この商品を買うと自分にどの程度の利益があるのか、費用対効果を考えてお金を使うようにしましょう。利益のないもの、自己満足にしかならないような支出は控えるのがおすすめです。
環境の変化があっても方針を変えない
資産運用に失敗したくないのであれば、環境の変化があっても方針を変えてはいけません。
たとえば、相場の上下に一喜一憂してその都度売買を行うのは悪手です。
絶対に方針を変えるなというわけではありませんが、環境の変化に動揺することなく、一度決めた方針を貫くことで成果を高められます。
富裕層に強いアドバイザーに相談する
富裕層に強いアドバイザーに相談するのもおすすめです。
資産運用は、一人で行っていると冷静な判断ができずに大きな損失をする取引をしてしまうケースがあります。もしアドバイザーに相談できれば、冷静さを取り戻し、適切な対応を取れるでしょう。
また、富裕層を専門にしているアドバイザーであれば、富裕層に向けた最適な助言をもらえます。
富裕層の資産運用でおすすめの相談先
富裕層の資産運用でおすすめの相談先は、以下の通りです。
- 税理士法人
- 独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)
- 銀行
- 証券会社
それぞれの詳細を見ていきましょう。
税理士法人
富裕層の資産運用で最もおすすめの相談先は、税理士法人です。
税理士法人に相談するメリットは、以下のとおりです。
- 無料で相談できる
- 資産を守る観点から提案してもらえる
- 税金対策も同時にできる
税理士法人には、無料で相談できるところがあります。費用がかからずに専門家からアドバイスをもらえるのは非常に魅力的です。
さらに、資産運用に強い税理士法人であれば、資産を守るという観点で最適な助言を受けられます。
また、富裕層の資産運用は資金が大きく、税負担が大きくなることも考えられます。その点、税理士法人は税務の専門家であるため、資産運用と同時に税金対策もできるでしょう。
独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)
独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)は、資産運用に特化した金融商品を提案する人のことです。
特定の銀行、証券会社に属していないので、顧客の利益を最優先した提案を期待できます。客観的なアドバイスをもらいたいという場合は、相談を検討してもよいでしょう。
銀行
銀行は身近な金融機関であり、相談しやすいという人も多いでしょう。住宅や車の購入といった資産運用以外のことも相談できるのが強みです。
ただし、利益を上げるために特定の金融商品しか紹介してくれない悪質な営業もいるので、注意が必要です。
証券会社
証券会社は、扱っている金融商品が多いというメリットがあります。ローリターンからハイリターンまで幅広く商品が用意されているので、商品の豊富さに魅力を感じるなら選択肢に入れてもよいでしょう。
また、営業時間は平日の日中に限られることが多いので、相談する際は気をつけてください。
そもそも日本の富裕層の割合はどれくらい?
結論からお伝えすると、純金融資産が1億円以上の富裕層は全体の2%程度です。数にすると148万5,000世帯あることが、野村総合研究所の調査でわかっています。
参照:野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計
また、富裕層は増加傾向にはありますが、日本全体で考えるとまだ少数だということがわかります。ちなみに、資産が5億円以上の超富裕層は0.2%程度です。
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十分な余剰資金がある富裕層こそ、資産運用が向いています。富裕層の資産運用は複利効果も得やすく、効率よく資産を増やしていけるでしょう。
ただし、富裕層ならこのポートフォリオにしておけばいいというほど、資産運用は簡単なものではありません。最適なポートフォリオはそれぞれ異なるため、誤った組み方をしてしまうと損をすることもあるでしょう。
自分で最適なポートフォリオを組めるか不安な人は、専門家に相談してください。
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まとめ:富裕層の資産運用はポートフォリオが大事
富裕層の資産運用は、ポートフォリオが非常に重要です。安全型やバランス型、積極型とありますが、どの型にするかは状況や投資目的に合わせて選びましょう。
また、本記事ではおすすめの相談先を紹介しました。資産運用は一人で行うと、冷静さを欠く可能性があります。心配な人は、あらかじめ専門家へ相談しましょう。
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