「太陽光発電が売電できなくなるって聞いたんだけど本当?」
「FIT期間が終了した後はどうなるの?」
上記のようなお悩みは、太陽光発電を行っている方から多く寄せられる質問です。
結論からお伝えすると、太陽光発電は現状、売電できなくなるということはありません。しかし、FIT期間終了後は売電価格が下がることや出力抑制などで一時的に売電できないというケースはあります。
そこで本記事では、太陽光発電における売電の仕組みから現状と今後の展望、黒字化できない時の対処法まで解説します。ぜひ参考にしてください。
太陽光発電は売電できなくなるわけではない
太陽光発電は、売電できなくなるわけではありません。
ただし、FIT価格はかつてに比べ下落しています。具体的には以下のような推移です。
年度 | 売電価格 |
---|---|
2012年度(高かった時代) | 42円/kWh |
2021年度 | 19円/kWh |
2022年度 | 17円/kWh |
2023年度 | 16円/kWh |
このように、FIT価格が年々下がっていることから「売電できなくなるので無いか?」と言われることもあります。
しかし、FIT価格は設置後から10年、その金額で固定されるというものです。そのため、FIT期間内に売電できなくなるということはありません。
太陽光発電は売電できなくなると言われる理由
では、太陽光発電は売電できなくなると言われる理由について紹介します。
2019年からFITの買取期間が終了した設備が現れたため
2019年に多くの設備でFITの買取期間が終了しました。この時に「FIT期間を終了した電気は買い取ってもらえないのでは?」という誤解がありました。
FIT制度は2009年から始まったため、制度開始と同時に太陽光発電を導入した方の間で誤った認識が広まってしまったという経緯があります。
FIT制度は売電価格を10年間固定する制度なので売電は可能
FIT制度は、売電価格を10年間固定する制度であるため、売電価格は保証されます。
また、FIT期間終了後(卒FIT)も、電力会社が定めた価格での売電が可能です。
一般的にはFIT時よりもFIT期間が終了した後の方が売電価格は低くなりやすい傾向がありますが、全く売れないというわけではありません。
太陽光発電の売電の仕組み
太陽光発電は1kWhあたり決められた価格で電力会社に買い取ってもらいます。FIT制度期間内は、そのFIT開始時の価格のまま10年間固定で買い取ってもらえる仕組みです。
売電先も一つではなく、昔からある大手の電力会社や、電力自由化によって参入してきた新電力会社などさまざまな選択が可能です。
ただし、全ての電力を売電できるというわけではなく、30%以上は自家消費し、残りの70%以下が余剰電力として売電して良いという決まりになっています。
一見デメリットのように見えますが、自家消費できるということは電気代を抑えられるということなので損にはなりません。
今後は太陽光発電が売電できなくなる可能性はある?
ここでは、今後太陽光発電が売電できなくなる可能性について解説します。
売電廃止は現状なし
今のところ、売電が廃止されるという動きはありません。ただし、出力抑制により一時的に売電量が減ることはあります。
出力抑制とは、電力会社が太陽光発電の電力買取をコントロールすることで、電力会社は年間360時間まで無償で出力抑制できます。つまり、売り手側に保証がつかない損失時間が360時間あるということです。
売電に関するルールが変更される可能性はある
先ほど紹介した出力抑制は、全国的な制度であったものの、現実的に行われていたのは九州方面だけでした。しかし、近年は北海道〜四国地方の広い範囲で出力抑制が行われたことがあります。
このように、適用されていなかったルールが適用されたり、新たなルールが設けられたりと売電に関するルールが変更される可能性は十分にあります。
FIT期間内はよほどのことが無い限り安心ですが、FIT期間終了後は収入に直結しますので新たな制度の情報は仕入れておきましょう。
FITが終了した後の売電価格一覧表
FITが終了した後の売電価格は、電力会社によります。ここでは一例を紹介しましょう。
電力会社 | 1kWhあたりの売電価格 |
---|---|
北海道電力 | 8円 |
東北電力 | 9円 |
東京電力エナジーパートナー | 8.5円 |
関西電力 | 8円 |
四国電力 | 7円 |
九州電力 | 7円 |
※2023年1月のデータ
FIT価格は参入時期によりますが1kWhあたり10円以上の価格が保証されることが多いため、FIT期間終了後は買取価格が下がります。
産業用太陽光発電の売電で黒字化できない時の解決策
続いて、産業用の太陽光発電の売電で黒字化できない時の解決策を紹介します。
パネルなどの変更をする
発電量が少ない場合、太陽光パネルなど施設そのものに問題がある可能性があります。太陽光パネルは汚れや経年劣化により発電量が低下するものです。
設置から10年近く経っている設備は経年劣化で発電量が大きく低下しているケースが多いため、導入時と比較し発電量の差を見て判断しましょう。
屋根設置型の場合、階数によっては工費が高額になる可能性があるため、見積もりを取った上で検討することが重要です。
太陽光発電の売却を検討する
立地的に日陰になりやすい、FIT期間が終了してしまったなど、今後も利益を生み出せない可能性が高い場合は、太陽光発電の売却を検討しましょう。
太陽光発電は現在買取手も多く、仲介業者を使えばスムーズに売却できるケースが多いです。
また、廃棄になると、撤去費用と廃棄費用合わせて数十万〜数百万円かかることも珍しくありません。
売電が望めない太陽光発電はランニングコストがかかるだけですので、まずは売却を検討し、どうしても買い手が見つからない場合は廃棄の選択をしましょう。
ただし、屋根設置型の太陽光パネルの場合は売却に成功しても、屋根の修繕費が必要になる点に注意が必要です。
家庭用太陽光発電の売電で黒字化できない時の解決策
では、家庭用の太陽光発電の売電で黒字化できない時の解決策を紹介します。
家庭用蓄電池を導入する
FIT期間が終了するなど、売電価格が下がった場合は自家消費に切り替えることも最近のトレンドです。
家庭用蓄電池を導入すれば、発電した電力を貯められるため家庭内の電気や電気自動車の充電に使用できます。
さらに、災害時にも緊急用の電力として作動できるため、スマホの充電が無く情報を仕入れられないなどの問題を避けられます。
エコキュートを設置する
太陽光発電とエコキュートは実は相性抜群の組み合わせです。エコキュートは電力と空気の熱でお湯を沸かすシステムでガスを使用するよりランニングコストが安いことで有名です。
太陽光発電で自家消費する場合、その電気代すら削減できるため非常に安価な給湯器として役立ちます。
毎日浴槽に浸かりたい、お湯を多く使う料理を頻繁にするなど給湯器を稼働させる時間が長い人ほど、エコキュートと太陽光発電の組み合わせはお得になります。
ZEH住宅にする
ZEH住宅もおすすめできる方法の一つです。ZEH住宅は簡単に言えば、太陽光発電の発電量で生活できる家のことで、電力会社から電気を購入することなく生活できます。
断熱性が高いため夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる快適な家であり、電気代も浮くことから近年人気の高い住宅でもあります。
政府のエネルギー基本計画にも記載されていることから、補助金が出るケースが多く今ならお得に導入できるチャンスです。
V2Hを導入する
V2Hを導入するのも一つの手です。V2Hとは電気自動車から家へ電力を送ることで、家庭用の充電スタンドを設置することが一般的です。
かつては給電のみでした。しかし、近年では昼間に太陽光発電で生み出した電力を貯蓄して、夜間に充電できるといった蓄電池機能を搭載した製品も販売されています。
既に太陽光発電と電気自動車をお持ちなら、導入するだけでお得になる方法です。
ハイブリッド型パワコンに変更する
太陽光発電のパワーコンディショナーをハイブリッド型に変更することで、より自家消費の効率を上げられます。
一般的には太陽光発電と蓄電池それぞれにパワーコンディショナーが必要になりますが、ハイブリッド型であれば一台で両方の制御を行えます。
通常時は売電可能な分は電力会社に売り、できない分は貯蓄して自家消費で利用する。非常時は自宅に使用する分を給電しつつ、今後のために電気を貯蓄するといった、通常時非常時両方で役に立ってくれるシステムです。
売電から自家消費に切り替える時のメリット3つ
太陽光発電の売電価格が下がった場合、自家消費に切り替える方がメリットになる場合があります。ここでは、3つのメリットを紹介しましょう。
- 自然災害時の非常用電源として活用できる
- 電気料金の節約につながる
- 電気自動車の充電に活用できる
自然災害時の非常用電源として活用できる
最も恩恵を受けられるのが、自然災害時の非常用電源です。日本は特に地震や台風の影響で停電となることも多く、現代の生活のほとんどが電気を必要としています。
スマホが充電できなくて家族の安否がわからない、情報を得られないといった状況を防げるほか、ケトルや電子レンジの一時利用も可能になります。
電気料金の節約につながる
近年、大手企業、中小企業問わず電気会社の電気料金が値上がりしています。オール電化の家庭では特に出費が大きくなり、5000円〜1万円上がったケースも珍しくありません。
自家消費に切り替えられている場合は、こういった電気会社の値上げによる影響を最小限にできます。
安定して電気を使い続けたい、電気料金を節約してお金を別の所に使いたい方は自家消費への切り替えも大きなメリットとなるでしょう。
電気自動車の充電に活用できる
電気自動車の充電に活用できる点も、自家消費の強みです。
従来であればガソリン代が必要だった車が、電気で動くようになり、その電気代さえも自家消費で賄えればランニングコストが非常に安くなります。
太陽光発電の売却を検討する時の5つのポイント
太陽光発電の売却を検討するときは5つのポイントに注意しましょう。
- 太陽光発電システムの売電実績を確認しておく
- 売却により税負担が増える可能性がある
- 発電所の立地が人気かどうか確認する
- 売却前にメンテナンスをする
- シミュレーションをリアルな数値で算出し直す
1.太陽光発電システムの売電実績を確認しておく
太陽光発電は、売却する際今までの売電実績が価格に影響します。そのため、太陽光発電システムの売電実績を事前に確認、まとめておくことでスムーズに手続きが可能です。
また、あわせて残りFIT期間についてもまとめておくことをおすすめします。
2.売却により税負担が増える可能性がある
売却をする場合、法人ですと法人税と法人事業税の、個人ですと所得税の税負担が増える可能性があります。
太陽光発電の売却は非常に高額になりやすいものです。節税の知識が無い状態で売却してしまうと、手元に残る金額が多く削られてしまいます。
事前に税金のシミュレーションも忘れずに行っておきましょう。
3.発電所の立地が人気かどうか確認する
発電所の立地が人気かどうかを確認しておくことも重要です。
例えば、地域的に日照時間が長いなどであれば人気が高くなります。
反対に、近隣トラブルが発生した過去がある、毎年台風が通過するなど破損の可能性が高い地域であれば人気が低下する例も珍しくありません。
現在設置している発電所の地域や気候の特徴を踏まえた上で、人気の判断をすることで売却価格を相談できます。
4.売却前にメンテナンスをする
太陽光発電は特に売却前のメンテナンスが重要です。汚れや破損がある状態で売却してしまうと、最悪の場合契約が見送られ売却に失敗するケースもあります。
メンテナンス費用はかかりますが、定期メンテナンス以上に全体の状態を把握し問題が無いことを確認した上で売却を進めましょう。
5.シミュレーションをリアルな数値で算出し直す
シミュレーションでリアルな数値の算出をすることも大切です。インターネット上でできるシミュレーションは、あくまで概算であることが多く、実際の値段とかけ離れることも少なくありません。
税金も絡んでくるため税理士や太陽光発電売却の専門家に相談しつつ、リアルな金額を出すことで損益を明確にしながら売却を進められます。
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まとめ:太陽光発電で売電できなくなることは現状ない
太陽光発電で全く売電できなくなるということは現状ありません。
しかし、FIT期間終了後は売電価格が下がること、出力抑制が全国的に実施され一時的に売電できないといったケースはあります。
また、地域や太陽光パネルの状態によっては思うような発電量が得られず、売電の収益と支出が見合わないこともあるでしょう。支出が大きい太陽光発電はランニングコストが多くかかり、破損のリスクも抱え続けるだけなため手放すことをおすすめします。
ただし、廃棄は数十万〜数百万円かかることが多いため、専門家と相談しつつ売却を検討しましょう。
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