「野立ての太陽光発電とはどのようなものか知りたい」
「野立てと住宅用にはどんな違いがあるのだろうか?」
2024年時点で投資先の候補として人気を集めているのが、野立ての太陽光発電です。
相続した土地や耕作放棄地の活用は検討しているものの、知見がなく思うように進められないと悩まれる方は多いです。実際、何もわからないままで購入して失敗するケースは少なくありません。
そこで本記事は、野立ての太陽光発電について紹介します。メリット・デメリットから具体的な設置費用やかかる税金、節税のポイントまで、実用的な内容を紹介しますので、ぜひお役立てください。
野立て太陽光発電とは?
野立ての太陽光発電とは、土地に設置した太陽光発電設備一式のことです。比較的多くの面積に設置可能で、発電量を大規模なものにできる特徴を持ちます。
その分「メンテナンス費用がかかる」「環境整備が必要になる」など、コストがかかる面もありますが、資産運用として見ると人気の部類です。
なお、野立て太陽光発電は、発電設備の出力容量によって下記の3種類に分類されます。
- 50kW未満:低圧
- 50kW以上2,000kW未満:高圧
- 2,000kW以上:特別高圧(メガソーラー)
2019年までは住宅用以外の太陽光発電は、電気が全量買取される仕組みが採用されていました。
とはいえ2020年以降は、固定価格買取制度を適用した50kW未満の野立て太陽光発電は、発電量の3割を自家消費が義務化されています。
よって、社内設備や工場に自己託送できる法人でない場合、低圧タイプの導入が困難になったといえるでしょう。
野立て太陽光発電を運用する6つのメリット
野立ての太陽光発電を運用するメリットは多くあります。
ここでは、特に大きな6つのメリットを紹介しましょう。
- 固定価格買取制度(FIT)で20年間安定収入が見込める
- 利回り年約10%を低リスクで見込める
- 土地を有効活用できる
- 住宅用よりも大きな出力を出せる
- 専用ローンで0円から始められる
- 法人なら自家消費で電気代を節約できる
1.固定価格買取制度(FIT)で20年間安定収入が見込める
固定価格買取制度(FIT制度)を利用すると、最大で20年間の安定収入が見込めます。
また、中古の太陽光発電を購入した場合も、前のオーナーがFIT制度を利用していた場合は引き継いで利用可能です。
一般的に、通常の売電価格よりもFIT制度を利用した方が価格が高くなる傾向にあり、ローンの返済や事業資金の獲得につながります。購入時には、FIT制度を利用可能か必ず確認しましょう。
2.利回り年約10%を低リスクで見込める
太陽光発電は、資産運用の中でもリスクの低い部類に入ります。
不動産投資の場合、空室や入居者のトラブルが発生する、株であれば思わぬ低下を招くなど高いリスクがつきものです。
しかし、太陽光発電で利益を生み出すものは太陽光です。よほどの異常気象が起こらない限り、太陽エネルギーでの発電を継続可能で、利回り約10%を達成するのも珍しくありません。
高い利回りを達成するためには、後述する自然災害のリスクや出力制限について知っておく必要があるため、そちらもご覧ください。
3.土地を有効活用できる
余った土地を有効活用できる点も魅力の一つです。相続した土地や、別の用途で使用し事業撤退した後の土地など、持て余しがちな土地を太陽光発電所として再利用できます。
特に地方などでは土地に買い手がつかず、固定資産税のみがかかり続けるケースもあります。そういった土地を太陽光発電所にし、利益を生み出せるのも太陽光発電のメリットです。
4.住宅用よりも大きな出力を出せる
住宅用の太陽光発電に比べ、大きな出力を出せるのもメリットの一つです。大きな出力を出せるということは、発電量が多くなり、売電収益が増えることを意味します。
また、自家消費の面でも多くの電力を利用可能になるため、電気代を浮かせたい場合にも嬉しいメリットです。
5.専用ローンで0円から始められる
太陽光発電には専用のローンがあり、実質0円から始められるメリットがあります。詳しい費用については後述しますが、1,500万円以上かかる初期費用を0円で始められるのは大きなメリットです。
FIT制度などを利用できれば、安定した売電収入を得られるため、ローンを利用し手元の金額を減らすことなく運用できるケースも多々あります。
6.法人なら自家消費で電気代を節約できる
自家消費で電気代を節約できるのもメリットの一つです。近年、電気代は特に値上がりしています。太陽光発電は売電だけでなく、自家消費も選択可能なため、電気代の節約で支出を減らすことも可能です。
FIT期間終了後は自家消費に切り替えるといったことも可能なため、選択肢の一つとしておさえておきましょう。
野立て太陽光発電のデメリット
野立ての太陽光発電には、デメリットもあります。
- 自然災害の影響を受けやすい
- 地域によって出力制限がある
- 近隣住民とのトラブルにつながる場合がある
- 住宅用よりも初期費用が高い
事前に知っておくことで、失敗を防げる面も多々ありますので確認してください。
1.自然災害の影響を受けやすい
最大のデメリットは、自然災害の影響を受けやすい点です。野立ての太陽光発電所を儲けた場合、自然災害による破損も起こり得ます。
具体的には、台風により物が飛ばされてきた場合、太陽光パネルが割れるなどです。津波や大雨により浸水した場合は、パワーコンディショナーが破損するなど、予期せぬ災害で修理費がかさむ可能性もあります。
地域により自然災害の起こりやすさは異なるため、年間通しての気象状況は事前にチェックしておきましょう。
2.地域によって出力制限がある
地域によっては出力制限がある点もデメリットです。「出力抑制」とも呼ばれ、電気会社が発令した場合は従わなければなりません。
元々は、九州地方のみに適用されていた制度ですが、現在は全国的に行われています。太陽光発電を設置する地方に、過去どれほどの出力制限がされていたかを事前に調べておきましょう。
3.近隣住民とのトラブルにつながる場合がある
近隣住民とのトラブルにつながる場合がある点にも注意が必要です。
例えば、太陽光パネルの反射が窓から室内に入ってくる、草が伸びていて庭に入ってきているなどがよくあるトラブルです。
また、パワーコンディショナーの騒音や、子どもが入り込んでしまうなどもトラブルの原因になり得ます。事前に周囲にお住まいの方とコミュニケーションを取り、理解を得たうえでの設置が必要な場合もありますのでご注意ください。
4.住宅用よりも初期費用が高い
野立ての太陽光発電設備は、住宅用よりも初期費用が高くなる傾向にあります。これは、太陽光パネルを設置する数が多いことや、周囲にフェンス、防犯カメラなどを設置する必要があるためです。
では、具体的にどれくらいの初期費用がかかるのか、次の項目で見ていきましょう。
野立て太陽光発電にかかる設置費用の目安
ここでは、野立ての太陽光発電にかかる費用の目安を紹介します。
初期費用は1,500〜2,000万円
野立てで太陽光発電を設置する場合、約1,500〜2,000万円の初期費用がかかります。具体的には、設備費用と工事費用がかかるため、高額になります。
初期費用の内容 | かかる金額 |
---|---|
設備費用(設備の購入) | 1,200〜1,500万円 |
工事費用(設置に関わる必要) | 300〜500万円 |
設備そのものに多額の費用がかかり、工事もコンクリートを敷く、架台を設置するなど大掛かりな工事になるため費用が高くなります。
メンテナンス・修繕費用は10〜200万円
メンテナンス・修繕には10〜200万円かかることがあります。金額の幅が広いのは、メンテナンスや故障箇所によってかかる金額が異なるためです。
メンテナンスや修繕には一例として、以下のような金額がかかります。
メンテナンス・修繕内容 | かかる金額 |
---|---|
定期メンテナンス・保守点検 ※(4年に1回) | 2万円~/回 |
太陽光パネルなどの清掃 | 10万円~ |
パワーコンディショナーの交換 | 30万円〜(台数による) |
太陽光パネルの修理 | 1万円~/枚 |
草刈り ※ | 7万円〜/回 |
※年間メンテナンスプランに組み込まれることが多いメニューです。
年間契約することで費用を節約できるケースがあります。
金額としては大きくなりますが、これらの費用は経費計上可能なことが多く、税金面では節税になります。
野立て太陽光発電にかかる主な税金
野立ての太陽光発電には、以下の3つの税金がかかることが多いです。
- 固定資産税
- 所得税(法人税)
- 住民税(法人住民税)
1.固定資産税
10kW以上の太陽光発電は、産業用(事業用)とみなされ、固定資産税が発生します。特に、会社や自宅とは別に野立ての太陽光発電を設置している場合は土地にも固定資産税がかかるため注意しましょう。
太陽光発電の固定資産税について、詳しくは以下の記事で解説しています。
太陽光発電に固定資産税はかかる?3つのケースと計算方法を紹介
2.所得税(法人税)
売電収益による課税所得が、20万円を超える場合は所得税(法人税)がかかります。純粋な売上ではなく、経費を差し引いた上での金額であるためご注意ください。
個人の方で、太陽光発電以外にも副業を行っている方は、副業の課税所得と合わせて20万円を超える場合、所得税がかかり確定申告の義務が発生します。
3.住民税(法人住民税)
売電収益の課税所得により、住民税の金額が増えることがあります。法人の場合は、課税所得が低くとも最低7万円の法人住民税がかかるため注意しましょう。
確定申告を行っている場合は、手続き不要ですが、課税所得が20万円以下などの場合、住民税の申告が必要になります。
住民税は地方税になるため、各市区町村に申告します。詳しくは自治体のホームページをご確認ください。
野立て太陽光発電を設置する前に知っておきたい3つのポイント
野立ての太陽光発電を設置する前に、以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 太陽光パネルを設置できる面積に制限がある
- 農地転用の場合は追加費用がかかる
- 補助金制度の対象になるかどうか確認しておく
1.太陽光パネルを設置できる面積に制限がある
土地に野立ての太陽光発電を設置する場合、土地全てに太陽光パネルを設置できるわけではありません。
太陽光パネルなど設備の周りにはフェンスが必要であり、メンテナンス用の通路の確保も必要です。また、パワーコンディショナーをはじめ、機器の状況を確認するために、モニターなどを設置する場所も必要な点に注意しましょう。
具体的な発電量と必要面積は、以下の表をご覧ください。
発電量 | 必要面積 |
---|---|
10kW | 約100〜150㎡ |
20kW | 約200〜300㎡ |
30kW | 約300〜450㎡ |
50kW | 約500〜750㎡ |
100kW | 約1,000〜1,500㎡ |
通路や設備、フェンスの幅も含めると、以上のような面積が必要になります。
2.農地転用の場合は追加費用がかかる
農地転用の場合、追加費用がかかる点にもご注意ください。農地転用とは、元々農地として指定されていた土地を、太陽光発電の設置など別の目的に使用する手続き・制度のことです。
具体的には、農地転用を行う場合は5〜40万円前後の金額がかかります。また、農地を太陽光発電用に整備する必要がある場合、600万円以上かかるケースもあるためご注意ください。
3.補助金制度の対象になるかどうか確認しておく
補助金制度の対象になるかも確認しておきましょう。
自治体毎に補助金の制度を用意している場合も多いため、野立ての太陽光発電を設置する予定の市区町村に一度ご確認ください。
補助金を受けられれば、負担を少なくできるため、利益を生み出すまでの期間が短くなります。
野立て太陽光発電で節税する3つのポイント
野立ての太陽光発電で節税するには、3つのポイントをおさえましょう。
- 減価償却できる
- 消費税還付を受けることができる
- ランニングコストを経費計上できる
1.減価償却できる
まず重要なのは、減価償却できる点です。減価償却とは、設備投資などの費用を一定期間に配分する会計処理のことで、費用計上する計上することができます。
減価償却の方法は、一般的に定額法もしくは定率法が採用されます。。太陽光発電は機械装置に該当するので、定率法を採用することになります。但し、個人で定率法を採用する場合、『所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続』を期日までに管轄税務署に提出しなければなりません。また、償却期間は法定耐用年数により決まり、新設の太陽光発電の場合17年間の減価償却が可能です。
2.消費税還付を受けることができる場合がある
事業として野立ての太陽光発電投資をする場合、消費税の還付を受けることができる場合があります。。消費税は間接税であり、税金を負担する人(消費者)と納税者(事業者)が異なる税です。そのため、、支払った消費税額が受け取った消費税額よりも多い場合、申告をすること還付金を受けとることができます。
太陽光発電では、投資年度に設備投資などで支払う消費税額が大きくなることが多く、売電の売上分の受け取った消費税を差し引いても、受け取った消費税額を上回るケースが多々あることが特徴です。
例えば、売上に課せられる消費税額が100万円、支払った消費税額が300万円の場合、200万円の還付が受けられるということです。※実際に申告する際に様々な要因を加味するので、金額が少し調整される場合があります。
3.ランニングコストを経費計上できる
ランニングコストを経費計上可能な点も、節税において重要なポイントです。
例えば、太陽光パネルの清掃費やパワーコンディショナーのメンテナンス・交換費用、環境整備としての草刈りなどの費用が経費になります。
経費計上することで、課税所得が減るため、結果として払う税額が少なくなるケースが多いです。
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まとめ:野立て太陽光発電の開始は早めに検討しよう
野立ての太陽光発電は他の資産運用に比べるとリスクが低く、多くのメリットを得られる運用法です。
FIT制度を利用できる間は、安定した売電収益を得られ、FIT期間終了後も自家消費で支出を減らせます。専用ローンで0円から始められるため、手元の資金が少ない状態で開始できるのも見逃せないポイントです。
ただし、自然災害の影響を受けやすい、地域によっては出力制限があるなどのデメリットもあるため、事前調査は必ず行いましょう。また、農地転用する場合は通常よりも高額になるため注意が必要です。
上手に活用すれば、売電収益だけでなく高い節税効果が得られ、手元に残る資金を増やせます。損をしないためにも、専門家に相談しながら検討していきましょう。
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