ファミリーオフィスが、今日本で注目を集めています。
しかし「そもそもファミリーオフィスって何?」「なぜ今日本で注目されているの?」といった疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ファミリーオフィスとは何か、今日本で注目されている理由を詳しく解説します。また、設立方法および運営するポイントも解説するため、ぜひ最後までご覧ください。
ファミリーオフィスとは?
ファミリーオフィスとは、資産が一定以上ある富裕層をターゲットとして、資産管理や運用サービスを提供する組織のことです。資産額に明確な定めはありませんが、一般的には100億円以上の資産を持つ一族がターゲットです。
また、ファミリーオフィスが管理や運用できるのは、現金や有価証券といった形のある資産だけではありません。一族の価値観や目指すべきビジョン、人脈といった形のない資産も該当します。
ファミリーオフィスと資産管理会社との違い
両者は、管理および運用する対象物に違いがあります。資産管理会社は、株式や不動産といった形のある資産の管理に特化しています。
一方でファミリーオフィスは、形のある資産に加え、一族の使命や信頼、評判といった形のない資産も管理および運用の対象です。そのため、大きな無形資産を持っていて、その重要性を理解する一族はファミリーオフィスがおすすめです。
しかし、無形資産が必要ない、もしくは持っていても影響力が小さい場合は、資産管理会社の方が向いている可能性があります。
ファミリーオフィスが日本で普及しなかった背景
ファミリーオフィスが普及しなかったのは、日本のビジネスの規模が影響しています。日本のファミリービジネスは長期間続いていたとしても、規模が大きくなるどころか、現状維持もしくは衰退をたどっているところが多い傾向にあります。
したがって、一般的に100億円以上の資産を持つ一族がターゲットとなるファミリーオフィスの仕組みが、欧米ほどメジャーになりませんでした。
また、日本人の預金中心の考え方が、資産運用への意識を低下させていることも背景にあるでしょう。
ファミリーオフィスが今日本で注目されている理由
以前はあまり目立つことはありませんでしたが、アルケゴス問題が表に出てきたタイミングで日本でも注目を集めるようになりました。
アルケゴス問題は、欧米および日本の金融機関がかなりの損失が発生する可能性があることを発表した事件のことです。
この非常に大きな損失が発生するトラブルを引き起こしたのが、ファミリーオフィスであったため、結果として注目が集まるようになりました。
その後は、相続対策、事業承継といった資産を守りたい富裕層の間で話題となり、現在にいたります。
ファミリーオフィスの種類
ファミリーオフィスの種類は、3種類あります。
- シングルファミリーオフィス
- マルチクライアント・ファミリーオフィス
- コマーシャル・ファミリーオフィス
それぞれの特徴や資産の規模を見ていきましょう。
シングル・ファミリーオフィス
シングル・ファミリーオフィスは、超富裕層に該当する一族が財産の管理および運用を目的として設立する組織です。資産額の目安は、100億円以上です。
運用成果のチェックや会見の記録、税務申告といったことを包括的にサポートします。また、一族の価値観を次世代にもつなげていくため、慈善活動、子どもの教育などさまざまなサービスを提供します。
マルチクライアント・ファミリーオフィス
マルチクライアント・ファミリーオフィスは、資産額が50億〜100億円ほどの複数の一族の資産を管理および運用する組織です。
業務は、シングル・ファミリーオフィスとそれほど変わりませんが、知識と経験に秀でたスタッフを半永久的に雇うので、運営コストは高い傾向にあります。
そのため、資産額が50億円を下回る一族にとってはややハードルの高い形態です。
コマーシャル・ファミリーオフィス
コマーシャル・ファミリーオフィスは、3つの中で最も資産額の小さい10億〜50億円ほどの一族をターゲットとする組織です。具体的には、プライベートバンク、金融機関の担当者が、資産運用などを行います。
法人の実態があるわけではないので、厳密にいえばファミリーオフィスではないといえます。しかし、コマーシャル・ファミリーオフィスが簡易的なファミリーオフィスとして、近年人気になりつつあるのも事実です。
ファミリーオフィスの対象資産
ファミリーオフィスの対象となる資産は、大きく2種類にわけられます。
- 有形資産
- 無形資産
それぞれの詳細をしっかりと確認しておきましょう。
有形資産
有形資産は、わかりやすくいうと現金や有価証券、不動産といった形のある資産のことです。一族事業も、有形資産といえます。さらに、ファミリーオフィスの有形資産は単なる資産ではなく、一族の精神的な拠り所としての役割もあります。
また、有形資産は一族事業の危機に対しての備え、事業の発展のための投資の源泉にもなるのが特徴です。
無形資産
無形資産には、以下のようなものがあります。
- 一族の価値観
- 目指すべきビジョン
- 人脈
- 知識
- スキルなど
形のない資産のことを無形資産と表現します。無形資産は、一族の持続的な成長や難しい局面を乗り越えるためには欠かせません。
無形資産は引き継ぐごとに失われていくケースがあり、そのような事態を防ぐこともファミリーオフィスの役割です。
ファミリーオフィスの設立方法
ファミリーオフィスの設立方法は、大きく2種類あります。
- 持ち株会社へファミリーオフィスの機能を担わせる
- 各企業が提供のファミリーオフィスサービスを活用する
それぞれの詳細を確認しましょう。
持ち株会社へファミリーオフィスの機能を担わせる
持ち株会社へファミリーオフィスの機能を担わせる方法があります。この場合、持ち株会社の株主に一族と一族事業に対する方針の決定権があります。
そのため、ファミリーオフィスの考え方に同意するメンバーに対して、株式を所有するよう依頼するのがおすすめです。
また、株式を持っていない一族のメンバーに対しても、逐一事業報告、活動の成果を共有するとよいでしょう。結果、ビジョン、思想などの無形資産を、信頼によってより強固なものにできることがあります。
各企業が提供のファミリーオフィスサービスを活用する
それぞれの企業が提供しているファミリーオフィスサービスを活用するのも一つの手です。
シングル・ファミリーオフィスは簡単には設立できないので、日本版のファミリーオフィスサービスを活用するところから始めるのもよいでしょう。
サービスを出している企業は増えているので、ピッタリのものが見つかるかもしれません。
ファミリーオフィスを運営するポイント
ファミリーオフィスを運営するポイントは、以下の3つです。
- 一族メンバーへのメリットの共有
- 一族メンバーの選定
- アドバイザーの適切な活用
運営を継続的に行い、活発に活動するためにはポイントを押さえておく必要があります。
一族メンバーへのメリットの共有
一族のメンバーへ、もたらされるメリットを共有しておいてください。
一族を構成する全員が、金銭的なものだけではなく、ファミリーオフィスの精神的なメリットについても自覚している状態が望ましいでしょう。
メリットを共有するためには、一族同士の積極的なコミュニケーションが欠かせません。
一族メンバーの選定
一族メンバーの選定も大切です。
ファミリーオフィスを運営する一族のメンバーは、その意義や目的をしっかりと理解していなければなりません。最初はよく理解できていないメンバーもいますが、活動を経て意義や目的を把握するメンバーもいます。
時間をかけてもよいので、ファミリーオフィスの価値を理解してもらうとよいでしょう。
アドバイザーの適切な活用
ファミリーオフィスを運営する際に、アドバイザーの活用は欠かせません。それぞれの分野の専門家を参加させることで、客観的な判断を可能にします。
一族のみでは意見が偏る恐れもあり、客観的かつ適切な助言をしてくれるアドバイザーの存在は大きいでしょう。
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まとめ:大切な資産を守るならファミリーオフィスの活用も視野に
ファミリーオフィスは、資産が一定以上ある富裕層を対象に資産管理などを行う組織のことです。資産管理会社とは異なり、人脈や経験、スキルといった無形資産も管理および運用してくれます。
そのため、大切な資産を守りたいなら、ファミリーオフィスの活用も視野に入れておいてください。ただし、設立および運営は簡単ではありません。いずれにしても、専門家への相談は検討した方がよいでしょう。
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