「昔開設したアメリカの銀行口座を放置していたら、休眠口座になってしまった」
「州政府へ移管されたという通知が来たが、もう手遅れなのか?」
円安ドル高が進行する中、過去に保有していた外貨資産を見直し、解約や日本への送金を検討される方が増えています。しかし、長期間利用していなかった口座は休眠(Dormant)扱いとなったり、最悪の場合は州政府へ資産が移管されたりしているケースが少なくありません。
結論から申し上げますと、州政府に移管された後でも資金の回収は可能です。
今回は、アメリカの銀行口座が州政府へ移管される仕組み(Escheatment)と、そこから資産を取り戻すための具体的な手続きについて解説します。
一定期間放置すると資産は州政府へ移管される
アメリカでは、銀行口座などの金融資産が一定期間(州により異なりますが、カリフォルニア州などは通常3年間)取引されないまま放置されると、その資産は州政府へ移管される法律があります。これをEscheatment(エスチートメント)と呼びます。
移管されるといっても、資産が没収されるわけではありません。所有権は引き続き名義人にありますが、銀行側で所有者と連絡が取れないため、未請求資産(Unclaimed Property)として州政府が一時的に管理・保管している状態となります。
自身の資産が移管されているか確認する方法
多くの州では、州政府や関連機関が運営するウェブサイトでUnclaimed Propertyの検索が可能です。ご自身の名前を入力するだけで、銀行名、口座の種類、移管された金額、当時の登録住所などが表示されます。
州政府から口座残高を回収する手続き
ご自身の口座がUnclaimed Propertyとして州政府にあることが確認できた場合、所定の手続きを行うことで返還請求(Claim)が可能です。
日本に居住しながら手続きを行う場合、一般的には以下の書類が必要となります(※州や金額により異なります)。
- Claim Affirmation Form(請求権確認書):州所定の請求フォーム
- 本人確認書類:現在有効なパスポートのコピーなど
- 米国税務番号:SSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)、またはW-8BEN
- 住所証明書類:公共料金の請求書やクレジットカードの明細など(現在の日本住所の証明及び翻訳証明)
- 過去の取引明細:当時の口座所有権を証明するためのBank Statement原本など
公証手続きの壁と専門家の連携
特に重要となるのがClaim Affirmation Formへの署名です。ここには現地の公証人による公証(Notarization)が求められるケースが一般的です。
カリフォルニア州など一部の州では、オンライン公証の取り扱い規定が厳格であったり、正式に認められていなかったりする場合があり、手続きのハードルが高くなる傾向にあります。
日本に在住の場合は、アメリカ大使館や日本の公証役場での宣誓認証が代替として考えられますが、いずれが認められるのか予め確認されることをお勧めします。
まだ銀行に口座がある場合(休眠口座の復活)
資産が州政府へ移管される前段階、つまり単に銀行内で休眠(Dormant)扱いになっている場合は、銀行に対してReactivate(口座復活)の手続きを行うことで、通常の口座として再度利用したり、解約・送金したりすることが可能です。
この際、注意したいのが返金方法です。アメリカでは小切手(Check)での返金が一般的ですが、現在、日本の多くの銀行では外国小切手の換金・取立業務を終了しており、換金が極めて困難です。
解約や返還の請求をする際は、小切手での返金ではなく海外送金(Wire Transfer)で日本への直接入金が可能か、事前に州政府や銀行に粘り強く交渉する必要があります。
まとめ:円安の今こそ資産の棚卸しを
「手続きが面倒で放置していた」という外貨資産も、現在の為替レートを考慮すれば、手間をかけてでも回収するメリットは十分にあります。
ただし、州政府へ移管された資産の回収は、州ごとに法律や必要書類が異なり、英語での専門的なやり取りが必要です。回収への第一歩は、現地の公証手続きや英語での交渉といった「どの工程が自分にとって最大の障壁になるか」を洗い出し、自力で完結できるか否かを見極めることが重要です。
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