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法人税の外国税額控除とは?限度額の計算や手続きを税理士がわかりやすく解説

Wooden blocks spell TAX on a desk beside a calculator and notebook.

海外不動産や米国株式で利益が出たのに、海外と日本の両方で税金を引かれて手元にお金が残らない。海外投資を行う法人経営者様は、同じ悩みを抱えていませんか。

税理士法人ネイチャーは国内外の資産運用と国際税務で1万件以上の相談実績があります。本記事では国際税務のプロが、外国税額控除の計算方法や確定申告の手続きをわかりやすく解説します。

この記事を読めば、払いすぎた税金を取り戻し、会社の手残りキャッシュを最大化することが可能です。外国税額控除は計算が複雑な反面、正しく活用すれば資産管理法人の利益を守る有用な手段になります。

法人税

法人税の外国税額控除とは?

外国税額控除という言葉の基本的な意味と、国際投資においてなぜ外国税額控除が重要になるのかを解説します。

外国税額控除とは、海外で発生した利益に対して現地の国で支払った税金を、日本の法人税から引き算できるルールです。海外でビジネスを行ったり海外の不動産を売却したりすると、現地の法律で税金を取られます。

しかし、日本にある法人は、世界中どこで稼いだ利益であっても日本の法人税がかかってしまいます。

二つの国で二重に税金を取られる状態を防ぐために、海外で払った税金を日本の税金からマイナスしてくれる仕組みが外国税額控除です。海外へ投資する富裕層の資産管理法人が、手元資金を残すために知っておくべき必須の知識です。

法人税の外国税額控除の目的

国がなぜ外国税額控除という有利なルールを用意しているのか、ルールの根底にある目的を解説します。

外国税額控除の主な目的は「国際的な二重課税の排除」です。二重課税とは、同じ一つの利益に対して二つの国が重ねて税金をかけてしまう状態を指します。

もし二重課税を放置すると税金が高くなりすぎてしまい、海外でビジネスをする日本企業が減ってしまうでしょう。

企業が海外進出をためらわないように、国は二重課税を排除するルールを用意して法人の負担を減らしています。グローバルに資産を分散させる富裕層が増える中、国境を越えた投資を後押しする役割を持っています。

法人税

法人税の外国税額控除の控除限度額

海外で払った税金が全額そのまま日本の税金から引けるわけではない、という重要な上限のルールを解説します。

外国税額控除には上限があり、税金から引ける上限の金額を「控除限度額」と呼びます。控除限度額の計算式は「全世界の所得に対する日本の法人税額 ×(海外で稼いだ所得÷全世界の所得)」です。全世界の所得とは、日本国内の利益と海外の利益をすべて足し合わせた合計金額を意味します。

日本の法人税率よりも海外の税率が高い場合、海外で払った税金の一部が上限に引っかかり翌年に繰り越されてしまうため、事前の税務シミュレーションが重要になります。

法人税の外国税額控除の繰越控除

控除の枠が余った場合や引ききれなかった場合に、枠を来年以降に持ち越せる「繰越控除」のルールを解説します。

外国税額控除には3年間の繰越期間が用意されています。海外での納税のタイミングと、日本での納税のタイミングがずれる現象は実務上よく起こるものです。3年間の猶予を上手く使えば、控除漏れを防ぎやすくなります。

1. 控除限度超過額の繰越

海外で支払った税金が日本の限度額をオーバーしてしまった場合のルールです。日本の限度額をオーバーして引ききれなかった税金の部分を「控除限度超過額」と呼びます。

控除限度超過額は翌年以降3年間にわたって金額の記録を残し、日本の限度額に余裕ができたタイミングで日本の法人税から引き算することが可能です。海外の税率が高い国に投資している法人で発生しやすい事象です。

2. 控除余裕額の繰越

日本の限度額にまだ余裕があるのに、海外で支払った税金が少なかった場合のルールです。余った日本の限度枠の部分を「控除余裕額」と呼びます。

翌年以降に海外で多額の税金を支払って限度額をオーバーした場合でも、過去3年以内に残しておいた控除余裕額の枠を使って税額をマイナスできます。税率の低い国と高い国の投資を組み合わせる際に関係してくる仕組みです。

法人税の外国税額控除と外国法人税の損金算入はどちらを選ぶべき?

海外で払った税金の処理方法について、外国税額控除と損金算入という2つの選択肢の違いと選び方の基準を解説します。

海外で払った税金の処理には「税額から直接引く(外国税額控除)」と「会社の経費にする(損金算入)」の2つの方法があり、法人は毎年有利なほうを自由に選べます。まずは以下の比較表で、外国税額控除と損金算入の主な違いを確認してください。

外国税額控除(税額控除方式)外国法人税の損金算入(経費化)
節税の仕組み日本の法人税から直接控除する会社の経費にして日本の利益を減らす
手残りを増やす効果損金算入より効果が高くなりやすい効果は限定的
適用の上限ルール限度額の計算がある限度額はなく、原則として全額を経費にできる
選ぶべき法人の状態日本でしっかり黒字が出ている法人日本側が赤字で税金が発生しない法人

手元に残るキャッシュを最大化したい黒字の法人であれば、税金から直接引き算する「外国税額控除」を選ぶ方が有利になりやすいです。しかし日本国内で大きな赤字が出ている法人の場合は日本の法人税がゼロになるため、外国税額控除を選んでも引き算する相手がいません。

赤字法人の場合は損金算入を選んで法人の欠損金を増やし、将来の黒字と相殺するために繰り越す運用が適しています。事業年度ごとにシミュレーションを行い、法人の経営状況に合わせて有利な方法を選ぶ必要があります。

法人税の外国税額控除の適用要件

どのような種類の海外の税金であれば外国税額控除の対象として認められるのか、具体的な条件を解説します。対象となるのは、外国の法令に基づき、法人の所得を課税標準として課される税金や、利子・配当などについて収入金額等を基準に源泉徴収される税金などです。

たとえば、日本の資産管理法人で米国ハワイの不動産を所有している場合に、現地で不動産収入に対して課される所得税などが該当します。 富裕層に多い事例として、資産管理会社で米国株式の配当を受け取る際に現地で源泉徴収される税金も対象になります。

ただし、罰金にあたる税金や、租税条約で定められた上限税率を超えて支払った現地の税金は、外国税額控除の対象外となるため注意が必要です。租税条約の規定を無視して現地の高い税率のまま納付した場合、超過部分は外国税額控除の対象外となります。

なお、ケースによっては損金算入や現地での還付請求の対象となる場合があるため、租税条約上の限度税率を事前に確認することが重要です。 

法人税の外国税額控除を算出する流れ・計算方法

確定申告に向けて控除額を計算する際の、具体的な3つのステップを順番に解説します。

  1. 控除限度額を算出する
  2. 外国税額控除を決定する
  3. 控除限度超過額・控除余裕額を管理する 

1. 控除限度額を算出する

最初に日本の法人税額をベースにして、海外で払った税金のうちいくらまでなら引いてよいかの上限額を計算します。全世界で稼いだ利益のうち、海外で稼いだ利益の割合を日本の法人税額に掛け算して上限額を出します。

法人の所得計算には複雑な税務調整が加わるため、会計上の利益ではなく税務上の所得を正確に割り出す専門知識が必須のステップです。

2. 外国税額控除を決定する

次に、海外で実際に支払った税金と、算出した控除限度額を比較します。控除対象となる外国法人税額が控除限度額の範囲内であれば、原則としてその金額を日本の法人税額から控除できます。 

海外の税率が高く上限額をオーバーしてしまった場合は、上限額までしかマイナスできません。外貨で納付した外国法人税は、原則として円換算が必要です。換算レートや換算時期については、税額の確定時期・納付時期・会計処理との関係を確認する必要があります。 

3. 控除限度超過額・控除余裕額を管理する 

引ききれずに余った税金や、使い切れなかった上限枠の残りがある場合、翌年以降のために金額の記録を残します。

3年間の繰越ルールを適用するためには、毎年の確定申告で専用の明細書を税務署に提出し続けなければなりません。一度でも提出を忘れると過去の繰越額が適用できなくなるおそれがある、経理担当者の徹底した書類管理が求められます。

法人税の外国税額控除を受ける手続きの流れ

外国税額控除を確定申告で実際に使うための具体的な手続き方法と必要書類、適用のタイミングを解説します。

申告の必要書類

外国税額控除を受けるためには、確定申告書に別表六(二)など、外国税額控除に関する明細書式を添付して提出する義務があります。別表六(二)に加えて、現地の納税証明書、申告書の控え、源泉徴収票、支払通知書など、外国法人税を課されたことを確認できる書類を添付または保存します。 

現地の税務署が発行した納税証明書や、申告書の控えなどを日本の税務署に提出しなければなりません。書類が外国語で書かれている場合は、日本語の翻訳文を添付するよう税務署から求められることもあります。

外国税額控除の申告手続き方法

通常の法人税の確定申告と同じように、原則として法人の決算日から2ヶ月以内に日本の税務署へ別表6を含めた書類一式を提出します。

海外の税務申告が終わっていないと現地の納税証明書が手に入らないため、日本の申告期限までに海外の書類が間に合うかどうか、国際間のスケジュール管理が重要です。

外国税額控除が適用される時期はいつ?

外国税額控除は、対象となる事業年度の日本の確定申告を行うタイミングで適用されます。外国税額控除は、原則として、外国法人税を納付することとなる日の属する事業年度に適用されます。 

現地での納税証明書の取得が日本の申告期限に間に合わない場合は、いったん外国税額控除を含めずに日本の確定申告を終わらせます。後から海外の書類が揃い、外国税額控除を追加で適用することにより納付税額が減少する場合には、原則として更正の請求により税金の還付を受ける手続を検討します。 

法人税における外国税額控除の別表の書き方

税務署に提出する「別表六(二)など 」の具体的な記載内容と、作成時の注意点を解説します。

別表六には、海外のどの国で、いつ、どのような種類の税金を、現地通貨と日本円でいくら支払ったのかを細かく記載しましょう。繰越枠を使うための別表や、地方法人税に係る外国税額控除を計算するための明細書も同時に複数枚作成する必要があります。

別表の記入は複数の書類間で数字が連動するため複雑です。国際税務に慣れていないと計算ミスを起こしやすく、控除額の過大計上や繰越額の誤りにつながるおそれがあります。 

まとめ:法人税の外国税額控除はまず仕組みを理解しよう

外国税額控除は国際的な二重課税を防ぎ、法人に手元資金を残すための重要な制度です。損金算入との有利不利の判定や3年間の繰越ルールを正しく理解し、自社の状況に最適な方法を選択する必要があります。

海外不動産の売却や外国株式の運用などで利益を出している資産管理法人にとって、正確な申告手続きは欠かせません。誤った計算は不要な損失や追徴課税につながる恐れがあります。ご自身の法人のケースでどのような対策ができるのか、まずは専門家へ相談することをおすすめします。

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