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不動産取得税は法人なら安くなる?計算方法と賢い節税のコツ

「法人で投資用一棟マンションを買うけれど、不動産取得税って個人より安くなるの?」と疑問に思っていませんか。高額な物件であるほど、購入直後に届く納税通知書の金額を見て驚く経営者の方は多いです。手残りを増やすために法人で動いているなか、税金でキャッシュが削られる事態は避けたいものです。

数多くの富裕層やビジネスオーナーの資産運用・税務コンサルティングを手掛けてきた税理士法人ネイチャーが、法人の不動産取得税の基本から実践的な節税ノウハウまで分かりやすく紐解きます。

この記事を読めば、法人ならではの経費処理の手法や軽減措置の使い方が一目で理解できるようになります。あらかじめ納税額や経費化の仕組みを把握しておくことで、購入直後のキャッシュフローを大幅に改善して手残りの現金の最大化が可能です。

資産運用・富裕層

法人が支払う不動産取得税の仕組み

不動産を法人名義で購入した際に、どのようなスケジュールで、どれくらいの税率がかかるのか、基本となる全体像を解説します。

不動産取得税の法人の納税時期

不動産取得税は、物件を購入して登記を完了してから数ヶ月が経過したあとに課税される税金です。不動産を取得してから3ヵ月〜6ヵ月ほどの間に、都道府県から納税通知書が届きます。

法人の場合、決算期とは関係ないタイミングでまとまった支払いを求められるため、資金繰りに影響が出やすい性質を持っています。通知書が届いたらすぐに納税できるように、購入時点で税額分の現金をあらかじめプールしておかなくてはなりません。

不動産取得税の法人の標準税率

不動産取得税の計算に使われる本則の税率は4%ですが、土地や住宅用の建物に関しては特例による軽減が適用されています。2026年現在、土地および住宅用の建物にかかる不動産取得税の税率は3%に軽減されています。

一方で、オフィスビルや店舗、ホテルといった「住宅用ではない建物」を取得した場合は、一律で4%の標準税率が適用される仕組みです。法人の事業用として一棟ビルを丸ごと購入するようなケースでは、建物の種類によって税率が異なるため事前の確認が欠かせません。

法人による不動産取得税の計算方法

実際に法人が支払う不動産取得税がいくらになるのか、具体的な計算のステップと新築・中古ごとの計算事例を紹介します。

課税標準額の算出方法

不動産取得税を計算する際、実際の「購入価格」や「建築費」にそのまま税率をかけるわけではありません。税金計算のベースとなる、役所が公的に決めた「課税標準額」に対して税率を掛け合わせます。

課税標準額は購入価格より低く設定される性質を持つため、実際の取引価格とは別物として捉える必要があります。具体的な計算式は「課税標準額(固定資産税評価額) × 税率(3%または4%)」というシンプルな構造です。

固定資産税評価額の確認

課税標準額の元となるのが「固定資産税評価額」であり、各市町村(東京23区は都)の資産税課が管理している不動産の価値です。すでに完成している中古物件であれば、売り主から固定資産税課税明細書を見せてもらうと事前に正確な数字を確認できます。

まだ建物が建っていない更地や新築物件の場合は、引き渡し後に家屋調査が行われてから評価額が決定するため、事前の予測が必要です。建物の固定資産税評価額は建築費の50%〜70%、土地は公示地価の70%が目安です。

新築物件のケース

都内に一棟賃貸マンションを新築し、建物の固定資産税評価額が2億円、土地の評価額が3億円(特例適用前)だった事例で計算してみます。新築の住宅用建物は3%の税率となり、土地に関しても2026年現在は評価額を2分の1にする特例が適用されます。

建物は2億円 × 3%で600万円、土地は3億円の2分の1である1億5,000万円 × 3%で450万円となり、合計の税額は1,050万円です。さらに後述の軽減措置が重なることで、実際の負担額は数百万円単位で下がります。

中古物件のケース

同じく都内の中古一棟オフィスビルを総額5億円で購入し、建物の評価額が1億5,000万円、土地の評価額が2億5,000万円だった事例です。オフィスビルは住宅ではないため、建物にかかる税率は4%になり、土地は住宅用と同様に2分の1の特例が使えます。

建物は1億5,000万円 × 4%で600万円、土地は2億5,000万円の2分の1である1億2,500万円 × 3%で375万円です。合計で975万円の不動産取得税が発生することになり、住宅用と比べて建物の税率が1%高い分だけ税負担が重くなります。

資産運用・富裕層

不動産取得税の法人と個人の比較

不動産を取得するにあたって、法人名義で買う場合と個人名義で買う場合とで、どのような違いや損得があるのかを比較します。

法人名義個人名義
不動産取得税の税率3%〜4%(個人と同条件)3%〜4%(法人と同条件)
支払った税金の扱い全額をその期の経費(損金)にできる
(資産計上を選択することも可能)
不動産所得の必要経費になる
他事業との損益通算本業の利益など、全ての利益と相殺可能給与など他の所得と損益通算可能(※一部制限あり) 
適用される最大税率法人実効税率(約30%〜34%)所得税・住民税(最高約55%)

個人所有との税負担の差

不動産取得税の税率や計算方法、軽減措置のルール自体は、法人と個人で法律上の違いはありません。同じ物件を同じ条件で購入する場合、請求される不動産取得税の金額自体は同額になります。

しかし、支払った後の税務上の取り扱いにおける「他の所得との相殺(損益通算)のしやすさ」において、両者の税効果は大きく異なります。個人の場合でも給与所得などとの損益通算は可能ですが、土地取得にかかる借入金利息による赤字は通算できないといった複雑な制限があるのです。

一方、法人であれば特段の制限なく、会社の全事業の利益とスムーズに相殺して法人税を圧縮できる点が強みです。

法人化によるキャッシュフローの変化

法人が不動産取得税を支払う最大のメリットは、支払った税金をその期の「経費」として一括で処理し、法人税を減らせる点にあります。個人の場合は所得税と住民税を合わせて最高税率が約55%に達する一方で、法人の実効税率は30%〜34%台で頭打ちになります。

不動産取得税という初期コストを支払った年度に、法人全体の利益を大きく圧縮できるため、結果として法人税の支払いを抑えられます。手元に残るキャッシュの総量を比較すると、個人で所有し続けるよりも、法人化して運用した方が資金効率が良くなるでしょう。

法人における不動産取得税の軽減措置

法人が不動産を取得した場合でも、一定の要件を満たすことで税金が劇的に安くなる軽減措置について解説します。

  • 住宅用建物の特例要件
  • 土地の減額申請
  • 新築住宅の控除額

住宅用建物の特例要件

法人が賃貸用としてマンションやアパートの一棟を取得した場合、各部屋の床面積が一定の基準を満たしていれば軽減措置が使えます。具体的には、1戸あたりの床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であることが条件です。

床面積の要件をクリアすると、新築の場合1戸につき1,200万円(2026年現在)が建物の評価額から直接控除されます。例えば、10戸並んだ一棟マンションであれば総額1億2,000万円分も評価額が引き下げられるため、建物分の税金がほぼゼロになる事例も珍しくありません。

土地の減額申請

建物が上記の住宅用要件を満たしている場合、その建物が建っている土地の不動産取得税についても、大幅な減額を受けられます。具体的には、「4万5,000円」または「土地1平方メートルあたりの価格(※) × 床面積の2倍(最大200平方メートル) × 3%」のいずれか高い方の金額が差し引かれます。

※宅地又は宅地比準土地に係る課税標準の特例が適用されている場合は、この特例を適用した後の土地1平方メートル当たりの価格

この減額を受けるためには、物件の引き渡し後に自動で処理されるわけではなく、都道府県税事務所へ自ら申請書を提出しなくてはなりません。基本的には不動産取得してから60日以内などの期限が設けられているため、購入後は速やかに手続きを進めてください(ただし、60日を過ぎてしまい納税をしてしまったとしても、一定期間内であれば還付請求をすることが可能です)。

新築住宅の控除額

法人が社宅や賃貸マンションとして新築物件を取得した際の控除額は、前述の通り1戸あたり1,200万円の控除が基本です。ただし、認定長期優良住宅に該当するハイグレードな建物を新築した場合には、特例によって控除額が1,300万円に拡大されます。

一棟投資を行う富裕層にとって、この1戸あたりの控除額の差は、全体の部屋数を掛け合わせると数百万円単位の税額差に直結します。企画段階から軽減措置の枠組みを意識して設計しておくことが、購入時のコストを極限まで引き下げる鍵です。

法人における不動産取得税の勘定科目

支払った不動産取得税を会社の帳簿にどのように記録し、経費化していくのかという実務的な処理方法を解説します。

  • 租税公課での費用処理
  • 資産計上を避けるメリット
  • 取得費算入の判断基準

租税公課での費用処理

不動産を取得した際にかかる税金のうち、不動産取得税や登録免許税は、会計上「租税公課(そぜいこうか)」という勘定科目を使用します。両税金は不動産自体の本体価格(資産)に含める必要はなく、支払った事業年度の経費としての一括処理が認められています。

購入初年度は登記費用や不動産取得税が重なるため、帳簿上の利益が一時的に大きく下がることになりますが、これが法人税の節税に直結するのです。税金の通知書が届いて支払いを完了した日付で、速やかに租税公課の科目で仕訳を起こすようにしてください。

資産計上を避けるメリット

不動産取得税を建物の本体価格に含めて「資産」として処理してしまうと、その金額は数十年にわたる減価償却を通じて少しずつしか経費化できません。あえて資産計上を避けて「租税公課」として一括経費にすることで、購入初年度のキャッシュアウトを税金の軽減という形で即座に回収できます。

富裕層の資産管理において、現金をいかに早く手元に回収して次の投資に回せるかという資金効率のスピード感が重要です。不動産取得税を最初の年に一気に吐き出させて経費化することは、会社の資金効率を高める上で大きなメリットとなります。

取得費算入の判断基準

基本的には租税公課として即時経費にするのが有利ですが、会社の経営戦略によっては、あえて物件の「取得価額(資産)」に含める選択肢もあります。例えば、今期は本業が大幅な赤字であり、これ以上経費を増やしても税金が減るメリットがないような特殊なケースです。

取得価額に含めてしまえば、将来その不動産を売却する際の「帳簿上の原価」が高くなるため、売却時の譲渡益を圧縮する効果に繋がります。今期の法人税を減らすべきか、将来の売却益に備えるべきか、会社の損益状況を見極めて判断を使い分ける必要があります。

法人における不動産取得税の節税事例

実際に富裕層や経営者の方が、法人名義を使ってどのように不動産取得税の負担を抑え、資産防衛を行っているのか事例を紹介します。

都内マンション一棟購入の事例

都内で年商8億円のIT会社を経営するオーナーが、個人所得の分散と節税を目的に、新設した資産管理法人で2億円の一棟賃貸マンションを購入した事例です。各部屋の面積をすべて45平方メートルで設計していたため、住宅用の軽減措置が全12戸分適用されました。

建物分の評価額から1億4,400万円が控除された結果、建物にかかる不動産取得税は数十万円にまで圧縮されました。さらに、支払ったわずかな税金もすべて法人の租税公課として当期の利益と相殺し、法人の納税額をきれいに抑えることに成功しています。

個人から法人への名義変更の事例

すでに個人名義で複数の収益不動産を所有している資産家が、所得税の累進課税を嫌って、自身の資産管理法人へ物件を売買形式で移転した事例です。この場合、身内同士の名義変更であっても、税務上は「新たな不動産の取得」とみなされるため、法人側にしっかり不動産取得税が課税されます。

しかし、古い木造アパートなど建物評価額が十分に下がっている物件を選んだため、発生した不動産取得税自体はごくわずかで済みました。移転コストよりも、翌年以降に家賃収入を法人に帰属させて個人の所得税を抑える効果が上回り、世帯全体の税負担軽減に繋がりました。

法人活用による相続を見据えた防衛策

不動産を法人で取得する行為は、単発の不動産取得税の軽減だけでなく、将来の相続まで見据えた壮大な資産防衛戦略の一部となります。

資産管理法人を活用した節税

富裕層が個人で不動産を買い足していくと、将来亡くなった際にその不動産の価値がそのまま個人の相続財産となり、高額な相続税が課されます。一方、最初から法人名義で不動産を取得しておけば、不動産そのものは会社の資産となり、個人の財産にはカウントされません。

個人の財産になるのは「会社の株式」となるため、生前に子どもに株式を少しずつ生前贈与していくことで、不動産の価値を丸ごと次世代へ移転可能です。個人所有では難しい柔軟な財産移転となり、一族全体の相続税の負担の軽減に繋がります。

また不動産を生前贈与すると不動産取得税がかかりますが、法人が不動産を所有している状況であれば、株式を生前贈与する際には、不動産取得税はかかりません。結果として、将来にわたっての生前贈与や譲渡の際に、不動産取得税の発生を回避する効果があります。

長期的な相続税対策の視点

不動産を購入した際にかかる不動産取得税などの初期費用は、短期的には会社の利益を減らすコストに見えますが、事業承継からみれば法人の株価を抑える副作用があります。

また購入してから一定期間が経過すると、法人における不動産の評価額は路線価や固定資産税評価額をベースにして評価するため、実際の借入金のバランスによって、法人の株式価値が一時的に低く評価される傾向にあります。

法人の株価が下がったタイミングで次世代に株式を贈与すれば、将来の税負担を抑えて資産を引き継げます。目先の不動産取得税だけでなく、将来の数十億円規模の相続税を抑える長期的な視点での法人の活用が重要です。

相続対策や資産管理会社の活用の相談なら税理士法人ネイチャー

法人の不動産取得税は、軽減措置の活用や勘定科目の選択、将来の相続税対策まで視野に入れると、手残りの現金を大きく改善できる税金です。しかし、物件の構造や床面積のわずかな違いで特例が使えなくなったり、仕訳のタイミングを誤って損をしてしまったりするリスクも隣り合わせになります。

税理士法人ネイチャーは、富裕層の皆様に特化した、資産運用と税務のプロフェッショナル集団です。単なる目の前の税金計算にとどまらず、法人化のメリットを最大限に活かした一棟投資のシミュレーションから、相続を見据えた長期的な資産防衛まで一気通貫でサポートいたします。

複雑な特例の要件判定や、最もキャッシュフローが良くなる最適な税務戦略を知りたい方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

まとめ:法人こそ不動産取得税を把握して適切に準備する

法人が不動産を取得した際にかかる不動産取得税について、損をしないための重要ポイントを振り返ります。

  • 納税通知書は購入後3ヵ月〜6ヵ月後に届くため、事前の資金確保が必須
  • 基本的に法人と個人で不動産取得税の額は変わらない
  • 2026年現在、住宅用建物と土地の税率は特例により3%に軽減されている
  • 1戸あたり40㎡〜240㎡の要件を満たせば、1,200万円の建物控除が使える
  • 支払った不動産取得税は「租税公課」でその期の経費にして法人税を圧縮する
  • 法人名義での取得は、将来の相続を見据えた株価対策としても有効

不動産取得税は正しい知識を持って事前の準備をしておけば、適正にキャッシュアウトの負担を抑えられます。法人ならではの優遇措置と経費処理の強みをフルに活かして、大切な投資資金と手残りの現金をしっかりと守り抜きましょう。

法人を活用した具体的な不動産投資の税務や、最適な資産管理法人の運営について詳しく知りたい方は、税理士法人ネイチャーの無料相談をぜひご利用ください。プロの視点から、最適な防衛策をご提案いたします。

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