「海外にある資産は、申告しなくても大丈夫だろうか…?」
もしそう考えているなら、それはとても危険なサインかもしれません。近年、国際的な情報のやりとりが活発になり、海外資産の申告義務は他人事ではなくなっています。
この記事では、国際資産税に特化した税理士である私たちが、海外資産の申告義務についてわかりやすく解説します。最後まで読んでいただければ、漠然とした不安が解消され、次に何をすべきかがきっと見えてくるはずです。
あなたの海外資産、申告義務はありますか?
海外資産の申告義務があるのは、保有する海外資産の合計額が5,000万円を超える人です。 この金額は、1つの資産ではなく、すべての海外資産の合計額です。
申告が必要な人は、毎年12月31日時点の海外資産について、翌年6月30日までに国外財産調書という書類を税務署に提出しなければなりません。
もし「私は5,000万円も持っていないから大丈夫」と思った方も、少しお待ちください。思わぬところに隠れ海外資産が潜んでいることもあります。
申告義務の対象となる人:誰が国外財産調書を提出するの?
国外財産調書を提出する義務があるのは、以下の条件をすべて満たす方です。
- 対象者:日本国内に住所がある、または1年以上居所がある非永住者以外の居住者
- 判定日:その年の12月31日時点
- 基準額:国外財産の合計額が5,000万円超
申告義務の対象となる財産:どんな海外資産が当てはまる?
国外財産には、一般的に想像されるものだけでなく、以下のように非常に幅広い資産が含まれます。
- 預金
- 不動産(土地、建物など)
- 有価証券(株式、債券、投資信託など)
- 生命保険
- 貴金属、宝石、骨とう品、美術品
相続で取得した海外資産や、何十年も前に作ったまま忘れていた海外銀行口座なども合計額に含まれます。「もう使っていないから大丈夫」と放置せず、一度すべての資産を確認することが重要です。
海外資産の申告が必要になる3つのケーススタディ
ここでは、実際に私たちのお客様からご相談いただくことの多い、3つのケースをご紹介します。
ケース1:海外にいる親から資産を相続した場合
長年、海外で暮らしていた親が亡くなり、その方が保有していた海外の不動産や銀行預金を相続したケースです。「日本の税務署に報告する義務があることを知らなかった」という方が非常に多くいらっしゃいます。
ケース2:海外勤務時代の銀行口座がそのままになっている場合
海外赴任中に開設した銀行口座を、帰国後もそのままにしていませんか? 合計額が5,000万円を超えれば申告義務が発生します。
ケース3:海外の株式や不動産に投資している場合
日本国内の証券会社を通じて海外の株式に投資している場合は、一般的に証券会社が源泉徴収していますが、海外の証券会社に直接口座を開設している場合や、海外の不動産を賃貸に出して利益を得ている場合は、ご自身で申告する必要が出てきます。
なぜ海外資産は申告しないと「バレる」のか?【隠し通せない理由を解説】
「正直、申告しなくても税務署にバレないのでは…?」
そう考える気持ちはよくわかります。しかし、現代において、海外資産を税務署から隠し通すのは、もはや不可能に近いのが現状です。その背景には、国際的な情報のやりとりが劇的に進化していることがあります。
CRS(共通報告基準)とFATCA:国際的な情報交換ネットワーク
CRS(共通報告基準)とは、世界の国・地域が非居住者の金融口座情報を自動的に交換する国際的な枠組みです。日本もこのネットワークに参加しており、あなたが海外の銀行に持っている口座情報が自動的に日本の税務当局に報告されます。
これは世界中の国と国が巨大なインターネット回線でつながり、お互いの国の金融情報をリアルタイムで共有しているようなものです。
タレコミや税務調査:思わぬところから情報が漏れることも
税務当局が情報を得るルートは、国際的な情報交換だけではありません。
例えば、税務署は申告漏れに関する情報提供制度(いわゆるタレコミ)を設けており、第三者からの通報を広く受け付けています。また、日本国内の財産について税務調査を受けた際に、海外への送金履歴などが調査官の目に留まり、そこから海外資産の存在が発覚するケースも少なくありません。
申告を怠った場合のペナルティ(罰則)と時効
もし国外財産調書の提出義務を怠ったり、内容を偽ったりした場合、2種類の重いペナルティが科される可能性があります。
1つは、調書を提出しないこと自体への罰則です。正当な理由なく期限内に調書を提出しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰の対象となる可能性があります。
もう1つは、その海外資産から生じた所得の申告漏れ(脱税)に対する罰則です。調書に記載すべき資産から得た利益を申告していなかった場合、本来の税金に加え、過少申告加算税や無申告加算税、意図的な隠蔽と判断されればさらに重い重加算税といった追徴課税が課されます。
税金の時効は原則5年ですが、意図的な申告漏れと判断された場合は7年に延長されることもあります。
もし申告を忘れていた・漏れがあったらどうする?【今すぐできる3つの対処法】
「この記事を読んで自分も申告が必要だったことに気づいた…」「もう期限を過ぎているけどどうすればいいんだろう…」
今そう思っていても、決して慌てる必要はありません。大切なのは、問題を放置せずに今から正しいステップで対処することです。
この章では、申告を忘れていたことに気づいた方がペナルティを最小限に抑えるために今すぐできることを3つのステップで解説します。
ステップ1:まずは現状を正確に把握する
まずは、あなたの海外資産がどのくらいあるのか、正確に把握することから始めましょう。
- どの国に、どんな資産があるのか?
- その資産の価値はいくらなのか?
評価額の計算は複雑になりがちなので、不明な点があれば専門家に相談しましょう。
ステップ2:自ら修正申告・期限後申告を行う
税務署から指摘を受ける前に、自主的に修正申告や期限後申告を行うことで、ペナルティが軽減される可能性があります。この自主的という行動が非常に重要です。
ステップ3:専門家である税理士に相談する
海外資産の申告は非常に複雑です。書類の準備や評価額の計算を間違えれば、後でさらに大きなトラブルに発展する可能性があります。
国際税務に強い税理士に相談することで、状況に合わせた最適な対処法を提案してもらえるだけでなく、精神的な安心感も得られるでしょう。
自分でできる?税理士に依頼すべき?【国外財産調書作成のポイント】
国外財産調書の手続きについて、ご自身で申告するか、専門家である税理士に依頼するのかで迷われる方もいらっしゃるでしょう。
この章では、調書作成の基本的な内容と、税理士に依頼した場合における費用以上に得られるメリットについて解説します。
国外財産調書の書き方を簡単に解説
国外財産調書は、国税庁のウェブサイトから入手できます。記載内容は主に以下の通りです。
- 氏名、住所、マイナンバー
- 財産の種類、所在地
- 財産の数量、評価額
税理士に依頼するメリット:なぜ専門家が必要なのか?
「税理士に頼むと費用がかかるから、自分でやってみようかな…」そう考える方もいるかもしれません。しかし、海外資産の申告に関しては、税理士に依頼するメリットが費用をはるかに上回ります。
専門家である税理士に依頼することによって、海外の不動産や非上場株式などの評価が難しい資産の正確な評価額を算定でき、誤った申告によるトラブルを未然に防げるでしょう。また、ご自身では気づきにくい申告対象財産を漏れなく洗い出し、申告漏れのリスクを根本から回避できるだけでなく、複雑な書類作成や手続きをすべて任せられるため、手間と時間を大幅に削減できます。
そして何より、「これで大丈夫」という確信を持って手続きを終えられる精神的な安心感は、費用には代えがたい大きなメリットと言えるでしょう。
税理士法人ネイチャーが選ばれる理由とお客様の声
私たち税理士法人ネイチャーは、相続税や資産運用にも深く精通した国際税務のプロフェッショナル集団です。単に国外財産調書を作成するだけではなく、お客様の資産全体を見据えた最適なアドバイスを提供できるのが私たちの強みです。
国外財産調書の作成は、お客様の相続や贈与、将来の資産運用計画と密接に関わってきます。私たちは、これら複数の分野を横断する総合的な視点からお客様にとって最も有利な選択肢をご提案しています。これまで数多くの複雑な国際税務案件を解決に導いてきた豊富な実績に裏打ちされた質の高いサービスをお約束します。
また、資産に関するご相談は非常にデリケートなものです。私たちはお客様のプライバシーを最優先し、一人ひとりの状況に寄り添いながら、安心してご相談いただける環境を何よりも大切にしています。
海外資産の申告義務で迷ったら、まずは専門家へご相談を
海外資産の申告は、知らなかったでは済まされないのが現状です。
しかし、ご安心ください。専門家である私たちがお力になります。
まずは、あなたが抱えている疑問や不安を、私たちに一度お聞かせください。初回のご相談は無料です。
私たちは、お客様が海外資産の問題から完全に解放され、安心して未来を描けるようになるまで、全力でサポートいたします。
よくある質問:海外資産申告Q&A
Q1. 申告義務の5,000万円は、夫婦や家族で合算するのですか?
A1. いいえ、個人ごとの合計額で判断します。ただし、贈与などで所有者が変わる場合は注意が必要です。
Q2. 外貨建ての資産は、いつのレートで円換算するのですか?
A2. 原則として、その年の12月31日の最終の電信買相場(TTS)または電信売相場(TTB)の平均値で計算します。
Q3. 申告期限を過ぎてしまったのですが、どうすればいいですか?
A3. 一刻も早く税理士にご相談ください。自主的に期限後申告を行うことで、ペナルティを最小限に抑えられる可能性があります。
資産運用や税金対策についてどんな不安や疑問もコンサルタントが丁寧にお答えします。
お客様の保有資産をさらに増やすための最適な提案を数多くの選択肢からご提供します。
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