今まで力を注いで育ててきた会社の株式や、大切に保有してきた資産を売却する際に、避けて通れないのが税金の問題です。「売却額が大きいほど手元に残る金額も増える」と考えられがちですが、戦略なしに売却を進めてしまうと想定外の税負担になり、驚くケースは少なくありません。
大事な資産を知識不足で目減りさせてしまうのはもったいないと感じませんか。数多くの富裕層や経営者の出口戦略をサポートしてきた私たちには、税務署との見解の相違を防ぎつつ、手残りを最大化する独自のノウハウがあります。
本記事では、株式譲渡にかかる税金の基礎知識から、税負担を抑えるための戦略まで分かりやすく解説します。記事を読み終える頃には、税金への不安が減り自信を持って次の行動を選択できるでしょう。
株式譲渡の税金はどう決まる?確定申告と分離課税の基礎知識
株式を譲渡して利益が出ると税金が課されます。税金の種類やどの程度の負担が生じるのか全体像を確認しましょう。
所得の種類と税率の基本
株式譲渡で得た利益は所得税法上の「譲渡所得」に分類されます。給与所得など他の所得とは合算しない「申告分離課税」である点が特徴です。
株式譲渡の税率は一律20.315%です。税率の内訳は所得税が15.315%(復興特別所得税を含む)、住民税が5%となっています。総合課税のように所得額に応じて税率が上がることはありません。しかし数億円単位の譲渡であれば、納税額も数千万円規模となるため事前の準備が必須といえます。
また2026年の税制改正により、2027年以降に譲渡する株式については、基準所得金額が3億円(※)を超えるあたりから税負担が2026年以前に比べると重くなる傾向にございます。
※総合課税の対象となる所得が無い場合。
上場株式と非上場株式で異なる扱い
同じ株式譲渡でも証券取引所で売買される「上場株式」と、中小企業のオーナー株のような「非上場株式」では、税金の取り扱いが異なります。注意が必要なのは損益通算の範囲です。
上場株式の譲渡損益は、同じ上場株式の配当金などと相殺できます。非上場株式の譲渡損益は、原則として他の非上場株式の譲渡所得としか相殺できません。非上場株式を売却して損失が出たとしても、上場株式の利益から差し引けないため、売却のタイミングや順番を慎重に検討する必要があります。
手残りを最大化する株式譲渡の税金計算式
納税額を正確に把握するためには、計算式を理解するところから始めましょう。シンプルに見えますが、各項目の定義を誤ると税額が跳ね上がるかもしれません。
譲渡所得を算出する基本式
以下の数式によって課税対象となる金額が算出されます。
譲渡価格 -(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得(利益)
譲渡所得に20.315%を掛けたものが納税額です。取得費と譲渡費用を漏れなく正しく計上することが、手残りを増やすことにつながります。
取得費の5%ルール
非上場株式の譲渡の際、取得費は資本金として拠出した金額が基本となります。相続などで非上場株式を取得した場合は、先代(被相続人)の取得費を引き継いで計算します。ただ、実は【譲渡代金の5%相当額】を取得費とすることも認められています。そのため、実際の取得費と譲渡代金の5%のいずれか高い方を取得費として計算することで、所得税を抑えることが可能です。
【保存版】株式譲渡の税金をケース別シミュレーションで比較
具体的なイメージを持っていただくために、非上場株式を1億円で売却した場合の税額を比較表にまとめました。
| 項目 | 取得費が明確な場合 (100万円) | 取得費が不明な場合 (5%適用) |
| 譲渡価格 | 1億円 | 1億円 |
| 取得費 | 100万円 | 500万円 |
| 譲渡費用 | 200万円 | 200万円 |
| 譲渡所得 | 9,700万円 | 9,300万円 |
| 納税額(20.315%) | 1970万5,550円 | 1,889万2,950円 |
| 手残り金額 | 7,829万4,450円 | 7,910万7,050円 |
取得費を譲渡所得の5%とするだけで約100万円もの差が出るのです。 高額な取引になればなるほど、差額は大きくなります。
株式譲渡の税金を軽減する控除と特例の賢い活用法
株式譲渡の税金計算において、利益から直接差し引く「控除」や、特定の条件で税負担を軽くする「特例」の存在は非常に重要です。活用できる制度を知っているかどうかが、最終的な手残り金額を大きく左右します。
相続した株式を売却する際に強力な味方となるのが「取得費加算の特例」です。相続税の申告期限から3年以内に株式を譲渡した場合、支払った相続税のうち一定額を取得費に上乗せできます。課税対象となる利益を大きく圧縮し、納税額を減らせるのです。
経営者の方に特におすすめしたいのが「退職所得控除」を組み込んだ出口戦略です。株式の売却代金の一部を退職金として受け取ると、多額の控除を受けられたり課税対象額が半分になる優遇を受けられたりします。複数の制度を組み合わせると、合法的に最大の節税効果を生み出せます。
富裕層が実践する株式譲渡の税金を抑える節税戦略
税率が決まっている以上、節税は不可能と思われがちですが、実は出口のデザイン次第で負担は劇的に変わります。プロが提案する手法の一部をご紹介します。
役員退職金との組み合わせによる圧縮
オーナー経営者が自社株を売却(M&A)する場合、譲渡対価の一部を「役員退職金」として受け取る手法が一般的です。退職金は「退職所得控除」がある上、課税対象が2分の1になるなど、税務上の優遇措置が非常に大きくなります。
株価を適正に下げてから譲渡を行うことで、譲渡所得税を抑えつつ、所得税の低い退職金で資金を回収できるのです。バランスを緻密に計算することで、トータルの納税額を数百万円から数千万円単位で削減できる可能性があります。ただし不当に低い価格での譲渡は「みなし贈与」のリスクがあるため、注意が必要です。
資産管理会社の活用と国際税務
継続的に投資を行う富裕層であれば、個人で株式を持つのではなく、資産管理会社を通じて保有する選択肢もあります。メリットは法人であれば他の事業損益との相殺や、経費計上の範囲が広がることです。ただし、法人税の実効税率は上述した20.315%の分離課税の所得よりも高くなりますので、単純な税負担だけでみると重くなる可能性もあります。
海外居住者(非居住者)が日本の株式を譲渡する場合などは、租税条約の適用によって日本での課税が免除されるケースもあります。しかし近年は国外転出時課税等により規制が厳しくなっているため、あくまで現在日本の非居住者の方が、日本に帰国する前に株式を売却するべきか、帰国後に売却するべきかという観点からの検討になります。
非上場株式の株式譲渡の税金で陥りやすいトラブルと回避策
実務の現場では、理論通りにはいかないトラブルが頻発します。よくある失敗例を知り、事前に対策を講じましょう。
みなし贈与という恐怖
親族間などの個人同士で時価よりも著しく低い価格で株式を譲り渡すと、買い手側に高額な贈与税が課せられます(みなし贈与)。贈与税の最高税率は最大55%と非常に高く、安易な価格設定は禁物です。また、個人と法人間の取引で安く譲り渡した場合はさらに複雑です。安く譲渡した個人側に時価で売ったものとして多額の所得税(みなし譲渡課税)がかかったり、買い手側の法人に法人税(受贈益)が課せられたりするリスクがあります。
確定申告の失念と加算税のリスク
上場株式を特定口座(源泉徴収あり)で運用している場合は申告不要ですが、非上場株式の譲渡や、特定口座以外での取引は、原則として確定申告が必要です。
申告を忘れて税務署から指摘を受けると、本来の税金に加えて無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されます。利益が出た翌年の2月から3月にかけて、確実に手続きを完了させましょう。
R9年以降の譲渡時に起こりうる大きな税負担の差
R9年以降は超富裕層への課税が強化され、分離課税の所得が多い方は税負担がかなり重くなる予定です。例えば10億円の株式の譲渡所得がある場合、R9年以降の譲渡では約1億円ほど税負担が重くなる制度に改正されます。これは非上場株式の譲渡だけでなく、その年の上場株式の譲渡や配当、不動産の長期譲渡所得なども影響してまいります。
株式譲渡の税金対策を成功させるなら税理士法人ネイチャーへご相談を
株式譲渡の税金は譲渡する年分などで、手残りが億単位で変わることも珍しくありません。しかし独力での判断は複雑な税務リスクを伴い、結果的に損をするケースも多いのが実情です。
税理士法人ネイチャーは、国際税務や富裕層の資産防衛に特化した専門集団として、お客様の利益を最大化する最適な出口戦略を提案します。後悔しない売却を実現するために、まずは経験豊富な私たちに、顧問税理士様に対するセカンドオピニオンとして相談してみませんか。
まとめ:株式譲渡の税金を最適化する出口戦略を
株式譲渡にかかる税金は、一律の税率に見えても実態は非常に奥が深いものです。取得費の精査や退職金の活用、戦略立案など、準備を怠れば本来残せたはずの資産がこぼれ落ちてしまいます。
特に数億円単位の資産を動かす際には、税金の計算だけではなく、資産全体の最適化という視点が欠かせません。どのタイミングで、誰に、どのような形で譲渡するのがベストなのか、答えは一人ひとり異なります。
「自分の場合はいくら税金がかかるのか」「もっと良い譲渡の方法はないか」「譲渡後の相続税対策はどうしたらいいのか」と少しでもお考えであれば、まずは一度、弊社へご相談ください。税務のプロフェッショナルとして資産を次世代へ、あるいは次の事業へと繋ぐための架け橋となります。
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