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中小企業が利益を出さないのは正解か?税理士が語る節税と融資の新常識

「今期このままだと3,000万円も利益が出てしまう…。どうにかして減らせないか?」
決算が近づくと多くの中小企業経営者様がこのような悩みを抱えます。

努力して稼いだお金が税金として3割以上消えていくのは忍びないものです。しかし「中小企業が利益を出さない」という選択には、薬になる場合もあれば、状況によっては毒になる場合もあります。

本記事では数多くの富裕層・経営者様の資産を守ってきた私たちの視点から、利益を出すべき時と出すべきではない時の判断基準をどこよりも詳しく解説します。

中小企業が利益を出さないことの税務メリットと節税の本質

会社は本来は利益を追求するための組織です。しかしあえて利益を出さない(ゼロに近づける)という選択が、結果として会社を守る盾になることがあります。 帳簿上の利益を圧縮すると得られる具体的な税務メリットや節税の本質について解説します。

法人税負担の軽減と節税と脱税の境界線

中小企業が利益を出さない最大のメリットは「キャッシュアウト(納税)」の阻止です。中小企業の法人税率は、年800万円以下の利益に対しては軽減税率が適用されます。全体の実効税率は利益額に応じて約25%〜34%の間です。

例えば利益が1,000万円であれば約250万円、1億円であれば3,000万円強の税金がかかります。利益を出さないように損金を計上して所得を圧縮すれば、現金は会社(あるいは関係先)に留まります。

ただし無駄遣いにはならないようにしましょう。「税金を払うのが嫌だから」という理由で、不要な高級車を買ったり、必要のない備品を揃えたりするのは効率が悪いです。300万円の税金を払うのが嫌で、1,000万円の現金を使うのは本末転倒といえます。将来利益を生む投資や資産性の高い出費など、正しく積極投資を行うことが会社を守ることにつながります。

欠損金の繰越控除を貯金として活用する

もう1つの大きなメリットは欠損金の繰越控除です。 青色申告を行っている中小企業であれば、赤字(欠損金)を最大10年間繰り越せます。「今年はあえて大きな投資をして利益を出さず(赤字にし)、来年以降の大きな利益と相殺する」という戦略は、長期的なキャッシュフローの最適化に有効です。「将来税金を減らすための貯金」として赤字を捉える考え方です。ただし、基本的には法人経営において赤字を出すことは得策ではありません。

あえて中小企業が利益を出さない経営を続けることで生じる致命的なリスク

節税目的で利益を出さない(赤字やトントンにする)状態を何年も続けると、会社の寿命を縮めかねません。目先の税金は減らせても、ビジネスの生命線である社会的信用と財務の体力を自ら削ぎ落としてしまうためです。

過度な利益圧縮が会社に引き起こす2つのリスクについて解説します。

  1. 銀行融資のストップと格付けへの深刻な影響
  2. 自己資本の過小化と債務超過の恐怖

1. 銀行融資のストップと格付けへの深刻な影響

経営者様に注視してほしいのは税務署ではなく銀行の評価です。 中小企業が利益を出さない状態が2期、3期…と続くと、銀行内部の格付けは確実に下がります

銀行は債務償還年数(あと何年で借金を返せるか)を重視しています。債務償還年数の計算には利益が含まれるため、利益がゼロに近い会社は「返済能力なし」と判定されるのです。

  • 格付けの下落
    融資が受けられなくなるだけではなく、既存融資の金利上昇を招く
  • プロパー融資の停止
    保証協会付きの融資しか受けられず、資金調達の柔軟性が失われる

銀行の審査担当者に「節税のために利益を消した」という事情は考慮してもらえないことが多く、銀行側も赤字決算だけは回避してもらいたいと通常、考えています。

2. 自己資本の過小化と債務超過の恐怖

利益を出さないということは、会社に「利益剰余金」が貯まらないことを意味します。 

会社が倒産する大きな原因は、赤字ではなくキャッシュ不足です。自己資本はキャッシュを守る砦となります。 利益を出し続け自己資本を厚くしておかないと、少しの赤字で簡単に債務超過に陥りかねません。

一度、債務超過のラベルを貼られると、脱却には多大な時間と利益が必要になります。

【想定事例】利益を出しすぎた会社と出さなかった会社の末路

利益を出しすぎた会社と出さなかった会社で2つの想定されるケースを紹介します。

ケース1:節税の罠にハマった建築会社オーナー

 「とにかく税金は1円も払いたくない」と、毎年決算前に高額な保険加入や中古重機の購入を繰り返し、5年連続で利益をほぼゼロに。

ある日、大型案件を受注し1億円の運転資金が必要になったが、銀行の評価は連続利益ゼロの低格付け。融資を断られ、せっかくのビジネスチャンスを逃すことになりました。

ケース2:戦略的利益コントロールを行ったIT企業オーナー

 銀行融資を受けられるギリギリのライン(例:債務償還年数7年以内)で利益を残しつつ、余剰利益は法人名義の資産運用に回しました。

帳簿上の利益は抑えつつ、実際には解約返戻金や含み益のある資産を保有。5年後、事業承継のタイミングで相続税評価額が低い資産へ事業投資を行っていたことが功を奏し、低い税負担で後継者へのバトンタッチに成功しました。

2つのケースの違いは、中小企業が利益を出さないことの意味を「単なる支出」か「資産の移転」と考えているかの差にあります。

中小企業が利益を出さない代わりに資産の質を転換する技術

無駄な経費を使って帳簿上の利益をゼロにするのは浪費です。財務が強い会社の経営者は、利益を消すのではなく、会社の現金(課税対象)を別の価値ある資産へと置き換えています。

富裕層や優良企業のオーナー様に提案している、会社と社長個人の手残りを最大化しつつ資産の質を転換するテクニックをご紹介します。

役員報酬と社会保険料の黄金比率を見極める

利益を会社に残さずオーナー個人の手取りを最大化するには、役員報酬の設定がポイントになります。 報酬を上げすぎれば個人の所得税や住民税、社会保険料が重くなるので注意が必要です。 法人税(約30%)と個人の税率(最大約55%)の差を利用し、世帯全体のキャッシュが最も多くなる、利益の着地点を計算しましょう。

オペレーティングリースや不動産を活用した簿外資産を構築する

航空機やコンテナの「オペレーティングリース」などに投資をすれば、初年度に多額の減価償却費を計上し、利益を出さない状態が結果的に生じます。 お金がなくなるのではなく、数年後に戻ってくるお金を今の経費として処理する手法です。銀行評価に耐えうる実質的な純資産を保ちつつ、納税を将来に繰り延べられ、また分散投資によるリスクヘッジ効果がねらえます。

中小企業の対策なら税理士法人ネイチャー

税理士法人ネイチャーでは事業会社の顧問業務を行っておりません。顧問税理士の方がご提案をすることが難しい様々な対策手法を、当社がお客様にとってのセカンドオピニオン税理士となりご提案させていただくことで、お客様に付加価値を感じて頂いております。

国内外の複雑な税制や投資手法に精通し、銀行融資の維持と大幅な節税を両立する戦略をご提案いたします。経営者様の孤独な決断を確かなデータと豊富な実務経験で、強力にバックアップいたしますのでぜひご相談ください。

まとめ:中小企業が利益を出さない経営は出口から逆算しよう

中小企業が利益を出さないことは目的ではなく手段であるはずです。

  • 直近3年以内に大きな融資を受ける予定があるなら、利益はしっかり出しましょう。
  • 当面、融資の必要がなく法人の資産形成・将来投資を優先したいなら、利益を圧縮しましょう。

経営のフェーズによって正解は常に変化します。 「周りの経営者がやっているから」「税理士に勧められたから」といった理由で決めるのではなく、人生のゴールから逆算した利益コントロールを行いましょう。私たち税理士法人ネイチャーは税務と資産運用の両面から、会社と個人の資産を最大化するパートナーです。「今期、本当に利益を消していいのか?」疑問への答えを、一緒に導き出しましょう。

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