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不動産投資で法人化しない理由!税理士が失敗事例を紹介

不動産投資の規模が拡大するにつれて、周囲から法人化を推奨されて悩む方は多いです。税金が安くなると聞いて設立を検討したものの、費用対効果や手続きの煩雑さに不安を感じる投資家は少なくありません。

税理士法人ネイチャーは、数多くの富裕層の税務や資産運用をサポートしてきた実績があります。この記事では、不動産投資においてあえて法人化を選択しない理由や、具体的な失敗事例を税理士の視点で解説します。

最後まで読むことで、自身の投資スタイルに本当に法人化が必要かどうかが明確になり、手元に残る資金を最大化する選択ができるようになるでしょう。目先の節税だけに惑わされず、総合的なコストと将来の出口戦略を見据えて判断することが重要です。

資産運用・富裕層

不動産投資で法人化しない理由

不動産投資において、法人化が最適な選択肢とは限りません。法人を設立すると、個人経営時には発生しなかった費用や制限が数多く生じるためです。

まずは法人化との主な違いを表で比較してみましょう。

個人経営法人経営
設立費用0円(不要)約7万円〜25万円程度
赤字のときの税金(法人住民税均等割)法人住民税の均等割はなし毎年最低7万円の均等割が発生
社会保険の加入条件を満たせば加入不要役員報酬を出すなら原則加入
売却時の税率5年超の保有で約20%約30%〜34%(法人実効税率)
お金の移動個人の口座間で自由に移動可能役員報酬等で給与として課税されたもののみ個人のお金として自由に使える

上記の比較内容を踏まえ、個人経営のメリットを活かすためにあえて法人化を選択しない、具体的な理由を解説します。

設立や維持の費用がかさむから

法人化を選択しない大きな理由は、会社を設立する費用や毎年の維持費が実質的なコスト負担になるためです。株式会社を設立するには登録免許税や公証役場の手数料などで約25万円、合同会社でも約7万円の法定費用が必要です。

さらに法人の場合は、経営が赤字であっても毎年最低7万円の法人住民税の均等割(会社の規模に応じて一律でかかる税金)を支払わなければなりません。日々の会計業務を税理士に依頼する費用も個人より高額になるため、規模が小さいうちは維持費が利益を圧迫します。

社会保険料の負担が増加するから

法人化によって社会保険料の負担が急増することも、会社を作らない理由に挙げられます。法人から役員に給与を支払う場合は、原則として健康保険や厚生年金などの社会保険に加入しなければなりません。

社会保険料は会社と個人で折半して支払いますが、実質的な原資はすべて不動産投資の利益から算出されます。役員報酬の金額によっては、所得税の軽減効果を社会保険料の負担が上回り、手元のキャッシュが減少します。

売却時の税金が割高になるから

個人の不動産投資であれば、譲渡した年の1月1日時点で保有期間が5年を超えている物件を売却した際、約20%の優遇税率が適用されます。

一方で、法人の場合は物件の保有期間に関わらず特例の対象外となり、一律で約30%から34%の法人税等が課せられる仕組みです。長期保有後に売却する場合は、個人の長期譲渡所得の税率が有利になることがあります。一方、短期売却を前提とする場合は、個人の短期譲渡税率が高いため、法人の方が有利になるケースもあります。 

法人の資金を自由に使えないから

不動産投資の家賃収入が積み上がっても、個人の生活費などには自由に使えません。法人資金を個人で使うには、役員報酬、配当、退職金、貸付金返済、実費精算など、法的・税務上適切な方法を取る必要があります。私的に引き出すと役員貸付金、役員給与認定、源泉徴収漏れなどの問題が生じる可能性があります 。

役員報酬は定期同額給与などの要件を満たす必要があり、自由に増減できるわけではありません。通常改定は事業年度開始から3か月以内に行うなど、税務上のルールに沿う必要があります。 

これを超えて資金を引き出すと役員貸付金(会社から役員への貸付金)として扱われ、役員から法人に利息(認定利息と呼ばれます)を支払う必要が生じます。手元資金の自由度を重視する投資家にとって、法人化は制限の多い仕組みです。

不動産投資で法人化しないほうがいいケース

不動産投資の規模や投資家の属性によっては、法人化を見送りを検討すべきです。自身の現状を正しく把握することで、不要な支出を回避できます。

  • 課税所得が900万円を下回るとき
  • 個人の融資枠に悪影響が出るとき

課税所得が900万円を下回るとき

個人の課税所得(所得全体の金額から各種控除を引いた金額)が900万円を下回っている間は、法人化をしないほうが賢明です。

日本の所得税は累進課税制度です。課税所得が900万円未満であれば、所得税と住民税を合わせた税率は法人実効税率よりも低く抑えられます。課税所得が低い段階での法人設立は、維持費用や税理士の手数料が重い負担になりかねません。結果として損失を生むため、個人のまま運用すべきです。

個人の融資枠に悪影響が出るとき

新設法人には実績がないため、金融機関は個人の資産状況を厳しく審査します。法人設立直後に経費がかさんで決算が赤字となった場合、金融機関によっては、赤字決算や法人設立直後の実績不足が審査上マイナスに働く可能性があります。 

個人のサラリーマン属性を活かした融資枠がダイレクトに使えなくなるリスクを避けるため、法人化をあえて避ける選択が賢明です。

資産運用・富裕層

不動産投資で法人化するときの判断基準

個人経営から法人経営へ切り替えるべきタイミングを測るために、重要な6つの判断基準を解説します。

  1. 事業拡大を計画するとき
  2. 短期売却か長期保有かのとき
  3. 相続対策を見据えるとき
  4. 家族へ所得を分散するとき
  5. 物件が事業規模に達したとき
  6. 本業の給与所得が高いとき

1. 事業拡大を計画するとき

複数のアパートやマンションを購入し、本格的な不動産賃貸業として事業を拡大していく計画がある場合は、法人化の適正なタイミングです。

不動産所得の拡大に伴い個人の所得税・住民税の最高税率は55%に達しますが、法人であれば実効税率約34%で頭打ちとなります。法人化により、社用車の減価償却費や役員社宅の活用など、個人経営では認められない幅広い経費を計上できる可能性が広がります。ただし、自動車費用は個人でも業務使用部分を必要経費にでき、法人でも私的利用部分は問題になります。 

2. 短期売却か長期保有かのとき

購入した不動産の出口戦略(売却時期や想定価格)を明確に描けているか否かも重要な基準です。物件を短期で転売して利益を狙う場合は、個人だと短期譲渡所得として約39%の重い税金がかかりますが、法人であれば保有期間に関係なく約34%の法人税率で済みます。

逆に、10年以上の長期にわたって保有し続け、最終的に個人で売却して約20%の低い税率の恩恵を受けたいのであれば、最初から法人化をせずに個人の名義で購入すべきです。

3. 相続対策を見据えるとき

自身の保有する総資産が大きく、将来の家族への遺産相続を真剣に見据えるときは、法人の活用が極めて有効な判断基準となります。不動産そのものを個人で所有していると、相続が発生した際に遺産分割が難しくなり、親族間でのトラブルに発展しがちです。

一方で、不動産を法人の所有にしておけば、資産を会社の「株式」という細かい単位に変えられます。子どもの世代へ法人の株式を生前贈与すれば、毎年の贈与税の基礎控除を活かしながら、将来の相続税負担を軽減できます。また議決権についても工夫をすれば集約化することが可能です。

4. 家族へ所得を分散するとき

専業主婦の配偶者や成人した子どもが家族におり、世帯全体の税負担を抑えたい場合は法人化を検討する余地があります。個人経営に比べて、法人であれば家族を「役員」に就任させることで、毎月の役員報酬を支払いやすくなる仕組みです。

ただし、税務調査で否認されないためには、法人の管理業務など「実際の勤務実態」が不可欠となります。この実態を伴った形で高い所得を家族へ分散できれば、世帯全体の税率が下がり、手元に残る資金の最大化につながります。

※ただし個人においても5棟10室基準を満たし青色申告専従者給与の要件を満たすなどの場合には、一定の活用が可能なケースがあります。

5. 物件が事業規模に達したとき

個人で5棟10室以上を保有すると、青色申告特別控除(最大65万円)などのメリットを享受できます。

一方で、規模の拡大に伴い税務調査の対象となるリスクも上昇しかねません。この規模を超えるような優良な物件群を運用していくのであれば、法人で実績を積み、財務内容が整ってくれば、金融機関との取引上有利に働く可能性があります。 

6. 本業の給与所得が高いとき

本業での年収や別事業での役員報酬がすでに高く、個人の税率が高い状態にある富裕層の方は、不動産投資を始める最初の一歩から法人化を検討すべきです。個人の不動産投資の利益は本業の給与と合算されて税金が計算されます。

そのため本業年収が2,000万円を超えるような方が個人で不動産を買うと、家賃収入から諸々の諸経費や控除を引いた残額に対して即座に50%を超える税金が課されてしまいます。本業の所得が高い投資家ほど、個人の総合課税から切り離して一律の法人税率を適用できる法人のメリットを享受しやすいです。

不動産投資で安易に法人化して失敗したケース 

周囲の勧めによって安易に法人化を選択し、後に後悔する富裕層は少なくありません。ここでは、実際の失敗事例を紹介します。

維持費が節税額を上回った例

本業年収が2,000万円を超える投資家が、都内の区分マンションを1室購入した段階で法人を設立した事例です。

物件が1室のみの場合、年間の家賃収入から経費を差し引いた純利益は数十万円程度に留まります。しかし税理士への顧問料や確定申告費用に30万円、さらに赤字でも発生する法人住民税の均等割7万円の支払いが維持費として重くのしかかりました。

個人経営では不要だった維持費の総額が、法人化による節税額を上回ったのです。さらに、個人名義であれば「不動産投資の初期赤字」と「本業の高い給与所得」を相殺して所得税の還付を受けられた(損益通算)はずが、法人化したことでその権利も失ってしまいました。手元のキャッシュが毎年減少する形となり、法人化が裏目に出た典型例です。

長期保有を予定していた物件を法人名義で取得したため、個人の長期譲渡所得の低税率を使えず、法人段階の税負担が重くなった例

投資家が、地方の一棟アパートを早期に利益確定させる目的で法人名義のまま売却した事例です。

結果として、保有期間に関わらず売却益に対して約34%の法人税等が課税されました。仮に個人名義のまま保有し、譲渡年の1月1日時点で保有期間が5年を超えてから売却していれば、長期譲渡所得の適用により税率は約20%に抑えられました。

売却時の出口戦略を考慮せずに法人化したことで、数百万円の税負担が生じる形となった例です。

不動産投資の法人化の相談なら税理士法人ネイチャー

不動産投資における法人化の選択は、単純な税率の比較だけで判断できません。設立費用や税理士報酬、社会保険料の増減、売却時の出口戦略までを精緻にシミュレーションして初めて、最適な選択が可能となります。

税理士法人ネイチャーは、富裕層向けの税務・資産運用に特化した専門家集団として、これまで数多くの不動産オーナー様の資産防衛をサポートしてまいりました。

お客様の現在の本業収入やご家族の状況、今後の事業拡大のロードマップを丁寧にヒアリングし、目先の節税効果に捉われない「手元資金を最大化するための最適なプラン」をご提示します。安易な法人化によるコスト負けや失敗を防ぎたい方は、ぜひ一度、私どもの専門的な現状分析と個別シミュレーションをご活用ください。

まとめ:不動産投資で法人化しない理由は目先の節税による損を防ぐため

不動産投資で法人化をあえて避ける理由は、表面的な税金の安さに惑わされ、トータルでの出費を増やして損失を被る事態を防ぐことです。法人設立によって所得税を抑えられるケースがある一方で、設立費用や均等割の発生、税理士報酬の増加など、コストや制約が伴います。

自身の投資規模がまだ小さい場合や、数年以内での売却を視野に入れている場合は、個人の名義のままで運用を続けた方が手元に残ります。インターネット上の画一的な情報や、業者の言葉を鵜呑みにせず、自身の状況に合わせた精緻な判断が必要です。

不動産投資の法人化タイミングや、最適な税務戦略に疑問をお持ちの方は、税理士法人ネイチャーの無料面談をご活用ください。お客様の資産を安全に守り抜くための具体的な解決策をお伝えいたします。

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