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個人所有不動産を法人化する目安とは?メリット・デメリットと手順を税理士が解説

アパートやマンションの賃貸経営が軌道に乗り、税金の負担が重いと悩んでいませんか。個人の名義で所有を続けるか、新しく会社を作るべきか判断に迷うオーナーは少なくありません。

税理士法人ネイチャーは、これまで数多くの富裕層オーナーへ向けて、不動産を活用した税務コンサルティングや資産承継を成功に導いてきた実績があります。この記事では、会社設立の最適なタイミングから具体的な移行手順までをわかりやすく解説しました。

この記事を読めば、状況に応じた節税対策が明確になります。所得が900万円を超えた段階で会社組織へ移行すれば、税負担を軽減して一族に優良な財産を残す一歩となります。

目次 非表示

資産運用・富裕層

個人所有不動産の法人化とは?

不動産を会社名義で運用する基礎知識を解説します。個人と法人で何が変わるのか、まずは以下の表で全体像を把握しましょう。

項目個人で所有する場合会社で所有する場合
税金の種類所得税(累進課税で最大55%)法人税(一定税率で約33%)
経費の範囲不動産経営に直接関係する費用のみ(所有者に給与を支払い経費化することはできない)生命保険や役員報酬なども経費計上可能
相続の対象不動産自体(分割し共有で所有することがリスクになる)会社の株式(柔軟に分割可能)

表の通り、会社組織にすると税率や経費の面で有利に働きます。

個人の賃貸用不動産を法人へ移転させる

個人事業として行っている賃貸経営を、新しく設立した会社へ引き継ぐ手法です。アパートやマンションの家屋部分の所有権を会社に移すか、管理業務のみを会社に任せるかを選択可能です。現在の収益規模に合わせて、有利な事業形態を決定します。

資産管理会社として不動産を運用する

富裕層の間で一般的なのが、資産管理会社と呼ばれるプライベートカンパニーの設立です。外部の株主を入れず、家族だけで株式を保有して不動産を運用します。一族の財産を会社に集約し、世代を超えた資産防衛を実現します。資産管理会社で不動産を所有するため、収益等は法人に帰属するとなります。

個人所有不動産を法人化する目安とは?

会社組織へ切り替えるべきタイミングは、税率、売上、資産承継の3つの軸で判断します。

  • 課税所得が900万円を超えたとき
  • 売上が1,000万円を超えたとき
  • 複数世代へ財産を継承したいとき

課税所得が900万円を超えたとき

不動産の収入から経費と各種控除を引いた「課税所得」が900万円を超えると、会社設立を検討するべきタイミングです。個人の所得税は利益が増えるほど課税率が上がり、900万円を超えると33%に達します。法人の実効税率は約30%から33%の間に収まるため、支払う税金の総額が逆転します。

売上が1,000万円を超えたとき

店舗や事務所、駐車場など「課税売上となる家賃収入」が年間1,000万円を超えたタイミングも重要な判断基準です。個人の課税売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の納税義務が発生します。

個人で売上が1,000万円を超える前に、資本金1,000万円未満などの要件を満たして会社を設立すれば、原則として設立から最大2年間は消費税の納税が免除される特例を活用できます(※2期目の免税には上半期の給与総額などの判定が伴います)。

複数世代へ財産を継承したいとき

子どもや孫の世代へ資産をスムーズに引き継ぎたいと考えた段階も、法人化を検討すべき時期です。高齢の地主様が複数の土地や建物を所有した状態で亡くなると、高額な相続税が発生します。早い段階で会社組織へ切り替えれば、納税資金の準備や遺産分割トラブルの防止につながります。

資産運用・富裕層

個人所有不動産を法人化する5つのメリット

会社を設立して不動産を運用する大きな利点を5つ紹介します。

  • 所得税よりも法人税が安くなる
  • 家族へ役員報酬を支給できる
  • 経費にできる範囲が広がる
  • 発生した赤字を最長10年間繰り越せる
  • 不動産を株式化して遺産分割を容易にする

所得税よりも法人税が安くなる

個人の所得税は累進課税により最大55%(住民税含む)に達します。一方で法人の税金は、利益が増えても最大で約33%前後と一定です。

たとえば、年間2,000万円の不動産所得がある勤務医の場合、税率が約50%から約33%に下がり、年間300万円以上の税金削減に成功した事例もあります。本業の給与所得等とあわせて課税所得が900万円を超える方は、会社組織への移行によって数百万円単位の税負担軽減が見込めます。

家族へ役員報酬を支給できる

設立した会社の役員に配偶者や子どもを就任させると、会社の利益から役員報酬を支払えます。不動産の利益を家族へ分散させれば、経営者一人の所得が下がり、世帯全体で支払う税金を抑えられます。

ただし報酬を支払うには、物件の巡回や記帳代行など「実際の勤務実態」が絶対条件です。業務内容に見合わない高額な報酬は、税務調査で経費(損金)として否認されるため注意が必要です。

週に数時間の稼働実態があれば、年間100万円前後の役員報酬は妥当な範囲として認められやすくなります。配偶者自身の基礎控除や給与所得控除の枠内に収まるため所得税がかからず 、世帯全体で高い節税効果を得られます。 

経費にできる範囲が広がる

会社組織へ移行すれば、個人の賃貸経営では認められない多くの支出を経費として計上可能です。経営者の生命保険料の一部や将来受け取る退職金も、会社の経費に含められます。

発生した赤字を最長10年間繰り越せる

大規模修繕などで不動産経営が大きな赤字になった場合、個人の青色申告では3年間しか赤字を繰り越せません。一方、法人でも青色申告の承認を受けていれば、発生した赤字(欠損金)を最長10年間も繰り越して将来の黒字と相殺できます。

不動産を株式化して遺産分割を容易にする

複数の不動産を子どもたちへ公平に分ける作業は難航しがちです。会社組織にして不動産を法人の所有にすれば、子どもたちは会社の「株式」を分けるだけで済みます。その際、株式の所有割合に重みをつけ、特定の方が全株式の2/3を所有する形を取れば、株主間の意見対立で意思決定が滞ってしまうことも回避することができます。

現物の不動産自体を共有することで発生するリスクについて回避することができ、兄弟間の相続トラブルを未然に防げます。

個人所有不動産を法人化する3つのデメリット

事前に必ず知っておくべき3つのリスクと負担について解説します。

  • 不動産の移転に多額の税金が絡む
  • 会社の設立費用や維持費が発生する
  • 融資の引き継ぎで銀行交渉を伴う

不動産の移転に多額の税金が絡む

個人から法人へ不動産の所有権を移す際、高額な初期費用が発生します。国に納める登録免許税や、都道府県に納める不動産取得税が課税されます。物件の固定資産税評価額によっては、数百万円単位の税金を支払わなくてはなりません。節税効果と初期費用を比較する厳密なシミュレーションが不可欠です。

会社の設立費用や維持費が発生する

株式会社の設立には約25万円、合同会社の設立には約10万円の初期費用がかかります。加えて会社が赤字であっても毎年約7万円の法人住民税均等割を納めなければなりません。決算手続きも複雑化するため、税理士へ支払う顧問料などの維持費をあらかじめ織り込む必要があります。

融資の引き継ぎで銀行交渉を伴う

アパート建築の際に個人名義で借り入れたローンを、新しく設立した会社へ引き継ぐ手続きは容易ではありません。金融機関は個人の信用力をもとに融資を行っているため、実績のない新設法人へのローン借り換えを渋る傾向にあります。そのためオーナー自身が事前に窓口へ相談し、プロの専門家を交えて交渉を進める段取りが不可欠です。

個人所有不動産を法人化する3つの方法

不動産の収益を会社に移すための代表的な3つの手法を解説します。

  • 管理委託方式で会社を設立
  • サブリース方式で一括借上
  • 不動産所有方式で建物を移転

管理委託方式で会社を設立

個人が不動産を所有した状態で、清掃や入居者対応などの管理業務のみを会社に任せる手法です。会社へ管理手数料を支払うことで、個人の利益を圧縮します。不動産の所有権は移動しないため多額の税金はかかりませんが、支払える手数料は家賃収入の5%から8%程度が上限となり、大きな節税効果は見込めません。

サブリース方式で一括借上

オーナー個人が、新しく設立した会社へ物件を一括して貸し出し、その会社から一般の入居者へ転貸(また貸し)する手法です。会社が入居者から家賃を受け取り、そこから10%から15%程度の管理・運営手数料を差し引いた金額を、オーナー個人へ「保証家賃」として支払います。

管理委託方式よりも多くのまとまった利益を会社へ移せますが、実態に見合わない高い手数料率を設定すると、税務調査で否認されるリスクがあるため注意が必要です。

不動産所有方式で建物を移転

個人の不動産(主に建物のみ)を会社に売却し、家賃収入の100%を会社へ帰属させる手法です。管理委託やサブリースとは異なり、家賃収入の全額と建物の減価償却費(経費枠)をすべて個人の所得から切り離せます。

土地と建物の両方を会社に移転させる方法と比較して、建物の名義のみを動かすこの手法は、初期の税金コストを低く抑えられる点が大きな利点です。最も高い節税効果を得られるため多くの富裕層が採用する方法です。

ただし、名義変更を一切伴わない管理委託などの方法に比べると、建物の売買に伴う登録免許税や不動産取得税といった手出しの現金が数十万〜数百万円単位で先行して発生します。個人名義のローンを会社へ借り換えるための銀行交渉や、土地と建物の名義が異なることによる複雑な税務処理を伴うため、実行には専門家の緻密なサポートが不可欠です。

 また一定の地代の設定は必要となることや、無償返還の届け出の提出が必要となるためご留意ください(詳細は専門家にご相談ください)。

個人所有不動産を法人化する手順

実際に会社を設立して運用を開始するまでの具体的な流れを解説します。

  • 法人を設立して専用の口座を開設する
  • 金融機関と借入金の引き継ぎを交渉する
  • 不動産の名義や賃貸借契約を変更する

法人を設立して専用の口座を開設する

最初に定款を作成し、公証役場で認証を受けます。法務局で設立登記を行うと正式に会社が誕生します。登記完了後、家賃の受け皿となる法人名義の銀行口座を開設するという流れです。近年は金融機関の口座開設審査が厳しいため、事業の目的を明確に記した事業計画書を用意しておくとスムーズです。

金融機関と借入金の引き継ぎを交渉する

不動産所有方式を採用する場合、物件の売却代金を準備するため金融機関へ相談します。個人の既存ローンを法人の新規ローンで借り換えて清算する形が一般的です。融資の審査には数週間から数ヶ月かかるため、会社設立の前から担当の銀行員と綿密に打ち合わせを進めておきます。

不動産の名義や賃貸借契約を変更する

建物の売買代金を決済し、法務局で所有権移転登記を行います。同時に入居者へ手紙を送り、家賃の振込先口座が個人から法人へ変わる旨を通知しましょう。火災保険の名義変更や、税務署への法人設立届出書、青色申告承認申請書等の提出も忘れずに完了させます。

個人所有不動産の法人化で相続対策

将来の相続税負担を減らす、プロ視点の活用法を解説します。

  • 株式の生前贈与で財産を少しずつ渡す
  • 納税資金を法人保険で計画的に準備する
  • 納税資金を法人保険で計画的に準備する

株式の生前贈与で財産を少しずつ渡す

不動産所有方式で建物を会社に移すと、家賃収入は会社に貯まります。個人の預金が増えないため、相続税の負担も増えません。会社の株式を毎年少しずつ子どもへ生前贈与すれば、将来発生する相続税の負担を段階的に軽減できます。早い段階で実行するほど、長期的な節税効果が蓄積する対策です。

納税資金を法人保険で計画的に準備する

会社に貯まった利益を使って法人名義の生命保険に加入します。経営者に相続が発生した場合、会社に高額な死亡保険金が入金されます。会社は受け取った保険金を「死亡退職金」として遺族へ支給する流れです。遺族は死亡退職金の非課税枠を活用し、多額の現金を相続税の納税資金として確保できます。

個人所有不動産の相談なら税理士法人ネイチャー

弊社では、富裕層に特化した税務対策と資産運用のノウハウを有しております。100億円規模の資産承継や国際税務の実績をもとに、一族の大切な資産を守り抜く具体的な解決策をご提案します。不動産の移行に伴うシミュレーションから金融機関の交渉まで、全てを安心してお任せいただけますのでぜひご相談ください。

まとめ:個人所有不動産の法人化で大切な資産を次世代へ守り抜こう

家賃収入が増え続ける状況下では、早期の会社組織への移行と所得分散が、確実な資産防衛の第一歩です。目先の税金だけでなく、将来の相続を見据えて建物を移転し、株式化していく視点が不可欠です。

ご自身の資産状況でどれほど税金が軽減されるか、まずは税理士によるシミュレーションから始めてみてください。税理士法人ネイチャーでは、富裕層向けの個別無料相談を随時実施しております。無料相談窓口から、ぜひお気軽にご連絡ください。

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