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法人の固定資産税とは?全額経費になる?対象や節税対策をわかりやすく

個人名義の不動産を法人へ移すべきか、固定資産税の経理処理をどうすべきかなど、実務手順に悩む場面は多いのではないでしょうか。仕訳を間違えると税務調査で指摘を受けるリスクがあり、事前の計算なしに法人化の手順を進めると想定外のコストが発生しかねません。

この記事では、累計1万件以上の相談実績を持つ税理士法人ネイチャーが、法人税務の専門家の視点で固定資産税の仕組みを解説しました。

この記事を読むと、正しい会計処理から一族全体の資産防衛の手法までが網羅的に理解できます。法人の固定資産税は、原則として全額を経費に計上できます。メリットや注意点を深く把握して、次世代へつなぐ資産管理を最適化しましょう。

資産運用・富裕層

法人の固定資産税とは?

法人にかかる固定資産税の基本ルールと、個人で不動産を所有する場合の違いを解説します。まずは、全体像を以下の表で比較して、ざっくりと仕組みを理解しましょう。

個人の固定資産税法人の固定資産税
経費化の範囲事業用割合のみ(家事按分)原則全額が経費(損金)
税額の計算方法課税標準額 × 1.4%課税標準額 × 1.4%(個人と基本同じ)
損益通算給与など他の所得と損益通算可能(※一部制限あり)全事業の赤字と相殺可能

設備などの償却資産にも課税される

固定資産税は、土地や建物といった不動産だけにかかる税金ではありません。個人が投資目的で所有する太陽光発電設備や、事業用の大型機械なども「償却資産」として課税の対象になります。

償却資産にかかる税金は、自治体から自動的に納付書が送られてくるわけではありません。所有者自身が毎年申告を行なう必要があります。申告の手続きを忘れてしまうとペナルティが発生する恐れもあるため、担当者はスケジュール管理を徹底してください。

税額の計算方法は個人と同じ

税金の金額を決める計算式は、個人も法人も変わりません。各自治体が物件ごとに定める「課税標準額」に対して、標準税率である1.4%を掛けて算出します。計算式自体に違いはないため、法人化によって請求される金額が安くなるわけではありません。

金額が変わらないにもかかわらず、法人化を選ぶ資産家が多い理由は、後述する経費化の仕組みに決定的な違いがあるからです。

全額を経費にできる点が個人と違う

個人と法人における決定的な違いは、税金を支払った際に経費として認められる範囲です。個人事業主が自宅兼事務所を所有する場合、生活空間と事業空間が混ざっているため、「家事按分」という面倒な計算を行います。

結果として、事業に使っている面積の割合しか経費にできません。法人が所有する不動産は事業用とみなされるため、そこにかかる固定資産税も全額が事業経費として扱われます。

したがって、法人が支払う固定資産税は原則として全額を法人の経費として処理できます。全額を経費にして会社の利益を圧縮できる点は、法人化における大きな利点です。

ただし、法人が所有する物件に対して、一切の賃料の負担なく居住すると、家賃相当額が役員報酬等として課税されるリスクがあることには留意が必要です。

毎年の申告後に年4回納付する

税務処理のスケジュールも明確に決まっています。前項で解説した償却資産については、毎年1月31日までに管轄の自治体へ申告を行います。土地や建物の固定資産税については事前の申告は不要です。

申告を経た後、毎年4月から6月頃にかけて自治体から法人のもとへ納付書が届きます。届いた納付書を基に、年4回に分けて税金を納付します。資金繰りに余裕がある場合は、4回分を一括で納付できます。

法人の固定資産税は全額経費になる

経理担当者が実務で行うべき具体的な仕訳のルールや、節税につながる決算期のテクニックを解説します。

仕訳は租税公課で処理を行う

自治体から納付書が届いて固定資産税を支払ったときは、「租税公課(そぜいこうか)」という勘定科目を使って仕訳を行います。租税公課は、国や地方に納める税金や公的な負担金を会計処理するための専用の科目です。

固定資産税は租税公課として処理すれば、全額が会社の経費である損金(そんきん)として認められます。例えば100万円の支払いをした場合、借方に租税公課100万円、貸方に現金預金100万円と記載して仕訳を完了してください。

取得時の精算は取得価額に含める

不動産を売買する際、売主と買主の間で固定資産税を日割計算して精算する取引がよくあります。不動産を取得した際に行なう精算金は、購入代金の一部とみなされます。支払った精算金は租税公課の経費にはなりません。経費ではなく、不動産の「取得価額」に含めて計上します。

取得価額に含めた金額は、家屋に対応する分については減価償却という手続きを通じて数年から数十年に分けて少しずつ経費化していきます。初年度に一括で経費にできない点に注意してください。

消費税は不課税として扱う

経理実務で間違えやすいポイントが消費税の扱いです。固定資産税は国や自治体に納める税金であり、何かしらの商品やサービスの提供に対する対価ではありません。対価性がないため、消費税はかかりません。会計ソフトに入力する際は、「不課税」として処理をしてください。

租税公課として処理すれば恐らくソフト側で自動で調整されると思われますが、消費税の区分を誤ると、決算書や消費税申告書の数字にズレが生じてしまい、税務調査で修正申告を求められる原因になります。

決算期に未払金として計上する

決算直前のタイミングで有効な経理処理が、未払金の活用です。固定資産税の納付書が届いた日(賦課決定日)の時点で、まだ手元から現金を支払っていなくても、納付書に記載された全額を「未払金」として計上できます。

納付書が届いた事業年度の経費を増やせるため、合法的に当期の利益を圧縮可能です。3月決算の会社では、4月以降に届く納付書は翌期の経費になります。しかし、決算期と納付書の到着時期が重なる法人は未払金計上を積極的に活用しましょう。

資産運用・富裕層

法人で固定資産税を支払うメリット

複数の不動産を所有するオーナーが、法人へ物件を移して固定資産税を支払う利点を解説します。

  • 役員報酬で所得を分散できる
  • 他の事業の赤字を損益通算できる

役員報酬で所得を分散できる

個人で多くの家賃収入を得ていると、所得税等の税率が最大で55%まで上がります。不動産を法人に移せば、法人から家族へ「役員報酬」という形で給与の支払いが可能です。個人に集中していた富を家族へ適切に分配できます。

所得を複数の家族へ分散させれば、一族全体が負担する税率を引き下げられます。給与所得控除という個人の非課税枠も家族の人数分だけ活用できるため、手元に残る現金を増やせる仕組みです。ただし、それぞれの方が事業にどのように関与しているか客観的に説明できる必要があります。

他の事業の赤字を損益通算できる

法人は個人よりも柔軟に赤字を活用できます。法人はすべての事業の損益を合算して税金計算を行います。たとえば、本業の事業で赤字が出ている場合、不動産事業で得た黒字から本業の赤字を差し引く「損益通算」が可能です。

固定資産税などの経費と赤字を組み合わせれば、法人全体の税負担を軽減できます。個人の場合、土地取得にかかる借入金利息の赤字は他所得と相殺できないといった複雑な制限がありますが、法人であれば特段の制限なく全事業の利益とスムーズに相殺できる点が強みです。

法人で固定資産税を支払うときの注意点

しかしメリットばかりではありません。資産管理の最適化を目指す上で、事前に知っておくべきリスクや余計なコストについて解説します。

  • 赤字でも法人住民税が発生する
  • 移転時に不動産取得税がかかる
  • クレカ手数料の赤字に注意する

赤字でも法人住民税が発生する

法人を設立して不動産を所有すると、たとえ赤字決算であっても発生する税金があります。法人住民税の「均等割」と呼ばれる税金で、法人が存在しているだけで最低でも年間約7万円の支払い義務が生じます。

固定資産税の経費化による恩恵が均等割の金額を下回らないか、事前のシミュレーションが必須です。特に規模の小さい不動産を一つだけ移転させるようなケースでは、均等割の負担のほうが大きくなる失敗事例も散見されます。

移転時に不動産取得税がかかる

個人から法人へ不動産を移す際、法人は新たに不動産を取得したとみなされます。法人は毎年支払う固定資産税だけでなく、まとまった額の「不動産取得税」や登記にかかる登録免許税を一度だけ支払わなければなりません。数百万単位の初期費用が発生するケースもあります。

手元から多額の現金が流出するため、初期費用の負担を節税効果で回収できる期間をあらかじめ計算しておきましょう。目の前の税金にとらわれず、中長期の視点を持ちましょう。

クレカ手数料の赤字に注意する

固定資産税はクレジットカードで納付できますが、決済手数料には注意が必要です。自治体によって異なりますが、およそ1%近い決済手数料がかかる場合があります。カード払いの目的はポイント還元ですが、還元率の低いカードを使うと赤字になりかねません。

ポイント還元率が決済手数料を下回る場合、クレジットカードで支払うと逆に手出しの現金が増えてしまいます。事前のポイント還元率の確認と、現金納付との綿密な比較を怠らないようにしてください。

法人を活かした節税対策

資産規模が大きいオーナーが実践している、法人を活用した本質的な資産防衛の手法を解説します。

  • 個人不動産を法人へ移転させる
  • 資産管理会社で所得を抑える
  • 相続を見据えて資産を守る

個人不動産を法人へ移転させる

課税所得が900万円を超えるあたりから、個人の所得税率よりも法人税率のほうが低くなり始めます。個人で持っている収益不動産を法人へ売却して移転させるのは、王道の節税対策です。固定資産税を全額法人の経費にしつつ、個人の高い税率を回避できます。

売買にあたっては適正な時価での取引が求められるため、不動産鑑定士や税理士による厳密な価格算定が不可欠です。安易な価格で売却すると税務署から寄付金として扱われる恐れがあります。

資産管理会社で所得を抑える

多数の不動産を管理する専門の会社、いわゆる「資産管理会社」を設立する手法も有効です。物件の所有権は個人のままにしつつ、建物の管理業務だけを法人に委託して個人から管理料を支払います。

個人の不動産所得を法人へ移転させ、法人の経費枠を最大限に活用して一族全体の税金を圧縮します。実体のないペーパーカンパニーとみなされないよう、実際に清掃業務や入居者管理を法人が行なっている実績を残す対応が重要です。

相続を見据えて資産を守る

資産家の方の事例として、相続の際に不動産が細分化されるトラブルが多発しています。共有名義になった不動産は、売却も修繕も親族全員の同意が不可欠となるため、所有者自身の身動きが取れなくなりかねません。

不動産を法人の所有にしておけば、相続時には不動産そのものではなく法人の株式を分けるだけで済みます。株式であれば経営権の分散を防ぐ工夫も容易になり、次世代へ優良な不動産をそのままの形で円滑に承継できます。

法人や固定資産税の相談なら税理士法人ネイチャー

税理士法人ネイチャーは、資産規模が大きいオーナー様の不動産税務や資産管理会社の設立において、専門的な知見と累計1万件以上の相談実績を有しています。

法人を活用した高度な資産移転や、相続を見据えた複雑な税務シミュレーションも、専門チームが徹底的にサポートいたします。不動産の経費処理や高度な税務対策でお悩みの方は、税理士法人ネイチャーへお問い合わせください。

まとめ:法人における固定資産税の仕組みを理解して資産管理を最適化する

法人の固定資産税は、全額が経費になるという点で個人よりも有利です。適切な勘定科目での仕訳処理を行ない、未払金計上などのルールを活用すれば、会社の利益を適正に圧縮できます。

不動産の法人移転には初期費用などの注意点もあるため、プロの目線による綿密なシミュレーションが不可欠です。一族の資産を将来にわたって守り抜くために、まずは税理士法人ネイチャーの無料相談をぜひご活用ください。

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