「日本で太陽光発電がなかなか普及していないのはなぜ?」
「現状抱えている課題や普及の状況を知りたい」
太陽光発電を始めたいけど、なかなか普及していない現状を見ると不安がある……このように感じているのではないでしょうか。
そこで本記事では、太陽光発電が普及しない7つの理由を解説します。国内外の普及率や高めるためにできることなども紹介しますので、ぜひご覧ください。
太陽光発電が普及しない7つの理由
太陽光発電が普及しない理由には、大きく以下の7つが考えられます。
- 初期投資が高いから
- メンテナンスが大変そうだから
- 利益が出るまでに時間がかかるから
- 売電価格が安くなったから
- 立地・住居環境で設置が難しいから
- 自然災害のリスクに不安があるから
- 出力抑制の範囲が拡大したから
1.初期投資が高いから
日本で太陽光発電が普及しない大きな理由の一つに、初期投資の高さが挙げられます。本体費用と設置費用を合わせて200万円を超えるケースも多く、他の投資と比べると始めるハードルが高い方法です。
初期投資が高い割にすぐに資金を回収できない、メンテナンスに費用がかかるなど即金性が低いことも普及しにくい理由の一つと考えられます。
2.メンテナンスが大変そうだから
太陽光発電はメンテナンスが大変そう、という声も多く耳にします。実際、自分で取り組もうとすると事故のリスクもあり大変な作業です。
多くの太陽光発電事業者はメンテナンス業者に依頼し、太陽光パネルやパワーコンディショナーの修理・交換をしてもらいますが、メンテナンス費用がかかります。
4年に一度ほどメンテナンスが必要なため、ランニングコストと手間がかかることが普及の妨げとなり得る要因の一つです。
3.利益が出るまでに時間がかかるから
太陽光発電は性質上、利益が出るまでに時間がかかります。
残FIT期間があれば安定した売電収入を得られますが、卒FIT後は通常FIT価格よりも買取値段が安いケースがほとんどです。そのため、初期投資の回収から利益が出るまで時間がかかりやすい投資といわれます。
4.売電価格が安くなったから
売電価格は以前に比べ安くなっています。FIT制度開始時は1kWhあたり48円でしたが、2024年では1kWhあたり10円前後になりました。
しかし、2024年には屋根タイプのFIT買取価格が12円/1kWhと割高になり、一部の野立てタイプも価格が引き上げになります。FIT制度が開始した当時よりは価格が安いものの、売電収益を得られる可能性は十分あります。
また、卒FIT後は売電でなく、自家消費する方も増えているのが現状です。
5.立地・住居環境で設置が難しいから
立地・住居環境で設置が難しいのも普及しない理由の一つです。歴史的建造物が多い地域では、景観を損ねるという理由で太陽光発電を設置できない可能性もあります。
また、都会であればあるほど隣家とのスペースが少なく、日影規制の関係で屋根に太陽光パネルを取り付けられないこともあります。
6.自然災害のリスクに不安があるから
日本は地震や台風など自然災害が多い国です。太陽光発電は自然災害の影響を受けやすいため、地域によってはリスクの高い投資です。
例えば、水はけの悪い地域ですと大雨による洪水でパワーコンディショナーが故障することがあります。
また、台風が通りやすい地域では飛来物によって太陽光パネルが割れることもあるでしょう。
故障するとその都度修繕費がかかるため、地域の特性と自然災害のリスクは重要な要素です。
7.出力抑制の範囲が拡大したから
出力抑制は、電力会社の要請により一時的に電気を売却できない状態になります。
元々、出力抑制は九州エリアでのみ行われていましたが、現在では全国的に検討・実施されています。
出力抑制の範囲や期間は地方により異なりますが、太陽光発電で安定した収入を得たい方にとってはデメリットの一つです。
日本の太陽光発電普及率
2022年発表の資料によると、日本国内の発電方式の中で太陽光発電は3番目に多い現状です。発電量は全体の約9%です。再生可能エネルギーの中では最も多い発電量となっています。
詳しくは後述しますが、日本の太陽光発電における発電量は全世界で見てもトップ5に入るほどの発電量です。世界規模かつ事業を含めて見ると、日本の太陽光発電普及率は高いといえます。
この背景にはカーボンニュートラルに対する取り組みや、FIT制度・FIP制度などがあります。
世界の太陽光発電普及率
IEA発表の資料(2023年)によると、世界的な発電量は以下の通りです。
- 中国:414.5GW
- EU:210GW
- アメリカ:142GW
- 日本:85GW
- インド:79GW
参照:Snapshot of Global PV Markets – 2023
中国がEUの倍近い数値となり、次点でヨーロッパ圏が太陽光発電に力を入れています。
特にドイツでは急速に導入が進んでおり、世界的にも太陽光発電が注目・普及しつつある現状です。
日本で太陽光発電を普及させるためにできること
日本で太陽光発電を普及させるためには、次のようなポイントをおさえての運用が重要です。
- 売電よりも自家消費をメインにする
- 蓄電池との併用を検討する
- 初期費用・メンテナンス費用を確保する
売電よりも自家消費をメインにする
売電よりも自家消費をメインにすると、売電価格に影響されず太陽光発電が運用可能です。
近年では、ZEHと呼ばれる太陽光発電のエネルギーをメインとして使用する住宅の規格があります。
高断熱の壁や高効率設備など、太陽光発電を前提とした家を建てることで、光熱費を安く抑えたまま生活できます。
蓄電池との併用を検討する
蓄電池がある場合、災害などで一時的な停電になったとしても安心して普段の生活を送れます。オール電化の家庭などで電気は生命線になるため、太陽光発電を導入するなら併用したい装置です。
近年では、電気自動車から家に電気を送るV2Hという方式もあります。蓄電池を兼ねたスタンドを用意しておくことで、ガソリン代を浮かせた上で緊急時にも対応できるため近年人気の方式です。
初期費用・メンテナンス費用を確保する
太陽光発電は屋根タイプ、野立てタイプ問わず初期費用とメンテナンス費用がかかります。メンテナンスは規模により5万〜200万円程度かかるケースが多いです。
一部を除き定期的なメンテナンスは義務であり、点検しないまま運用し続けると最悪の場合、死亡事故につながります。太陽光発電におけるメンテナンスは非常に重要です。
メンテナンスの内容や具体的な費用については以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
太陽光発電のメンテナンス費用相場!なぜ必要?自分でできるのかも解説
太陽光発電を運用するメリット
ここでは太陽光発電を運用するメリットを紹介します。
環境に配慮できる
太陽光発電はエネルギーが枯渇する心配がありません。環境問題が話題に上がる今、太陽光発電を主としたエネルギーとして利用するのは重要なことです。
企業であればSDGsに貢献しているなどクリーンなイメージを持たれやすく、住居であれば安心・安全なエネルギーでの生活を継続できます。
売電できる
自家消費をしても余剰電力が出る場合は各電気会社に売電も可能です。以前は大手電気会社でしか売電できませんでした。しかし、近年は新電力会社の登場により様々なプランが用意されています。
例えば、その新電力会社と契約していれば+1円/kWhやポイント付与などお得なサービスを受けられる所もあります。
電気代を節約した上で収益を得られる可能性もある点は大きなメリットです。
補助金を活用できる
一定の条件を満たせば、太陽光発電を設置する際に補助金を活用できます。
条件や対象となる太陽光発電は地域ごとに異なるため、一例を見てみましょう。
地域名 | 対象設備 | 補助金額 | 条件 |
---|---|---|---|
北海道札幌市 | 住宅用太陽光発電 | 2万3千円/kW(上限16万円) | 購入で2023年2月11日以降に設置完了したものリースで補助対象機器を住宅に設置したものなど |
東京都国分寺市 | 住宅用太陽光発電 | 2万円/kW(上限8万円) | 購入し設置したかつ未使用のもの |
東京都小平市 | 住宅用蓄電池(後付け) | 6万円/件 | 太陽光発電システムが設置されていること |
沖縄県名護市 | 住宅用太陽光発電 | 1万円/kW | 購入で、住宅屋根に設置した未使用品であること |
上記のように、自治体ごと金額や条件に差があります。地域によっては機器の交換も補助金の対象となるものもありますので、必ず設置予定の自治体のホームページをご確認のうえ、申し込みをご検討ください。
電気代を節約できる
発電した電力を自家消費に回すことで、電気代を節約できます。出力が10kW以上のものであれば、1kWにつき11〜17万円節約できることも多いです。
電気代が高騰している今だからこそ、太陽光発電で生み出したエネルギーを自宅や会社などで自家消費すると売電以上のプラスになります。
断熱性が上がる
屋根タイプの場合、断熱性の向上も期待できます。
一般的には、太陽光パネルを屋根に取り付けると夏場で表面温度を約10℃抑えられる可能性があるといわれています。室内の温度で3℃前後抑えられるため、クーラーの稼働時間を短くでき、より節電につながります。
また、冬季でも屋根からの放射冷却を抑えられるため、家の中から熱が逃げる現象を防げます。
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まとめ:太陽光発電の普及にはメリットがたくさんある
太陽光発電の普及には売電収入以外にも多くのメリットがあります。企業であればイメージアップや自家消費の使用により電気代を浮かせられます。
住居であっても自家消費可能で、枯渇しない安全なエネルギーを使える点や断熱性の向上も期待できるなどメリットが多いです。さらに、住宅をZEHなどにすればより効果的に太陽光発電を利用できます。
太陽光発電に関する多くの不安は、知識をつけて専門家を頼ることで払拭できます。資産運用としても有効な手段の一つですので、この機会にぜひご検討ください。
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