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資産管理会社を合同会社にするメリットとは?相続を見据えた注意点も解説 

「資産管理会社を作るなら、株式会社と合同会社のどちらが良いのだろう」と悩む方は少なくありません 。資産管理会社は、不動産や株式などの資産を法人で管理し、将来の資産承継や相続対策を検討する際に活用されることがあります。

その一方で、会社形態の選び方や定款の内容によって、設立後の運営や将来の承継手続きに影響が出る場合があります。 

特に合同会社は、株式会社に比べて設立費用を抑えやすく、意思決定の自由度が高いというメリットがあります。ただし、社員の地位や持分の承継については、定款でどのように定めるかが重要です。事前に設計しておかないと、相続発生時に承継手続きや親族間の調整で問題が生じる可能性があります。 

私たちは、資産税対策や資産運用を専門とする税理士法人として、これまでに数多くの資産管理会社の設立と運営をサポートしてきました。この記事では、資産管理会社を合同会社にするメリットや、株式会社との違い、相続を見据えて定款で確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。 

最後まで読んでいただくことで、合同会社が持つコスト面や相続面の本当の強みが明確になります。合同会社を設立する場合は、初期費用の低さだけでなく、将来の相続を見据えて定款を設計する必要があります。

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資産管理会社を合同会社で設立するメリット

資産管理会社を設立する際、合同会社を選ぶことで得られる具体的なメリットについて解説します。まずは、株式会社と合同会社の主な違いを確認しましょう。 

合同会社株式会社
設立時の登録免許税最低6万円最低15万円
定款の認証実費不要(0円)約3万〜5万円
決算公告の掲載義務不要(0円)必要(年約3万円)
役員の任期制限原則なし原則2年。非公開会社では定款で最長10年まで伸長可能 
定期的な役員変更登記 原則不要 任期満了時に重任登記が必要 

設立時の登録免許税を抑えやすい 

合同会社で資産管理会社を設立するメリットの一つは、設立時の登録免許税を抑えやすい点です。 

会社を設立する際には、法務局で設立登記を行い、登録免許税を納める必要があります。株式会社の設立登記では、登録免許税は資本金の額に1,000分の7を乗じた金額で、最低額は15万円です。

一方、合同会社の設立登記も同じく資本金の額に1,000分の7を乗じて計算しますが、最低額は6万円です。そのため、小規模な資産管理会社を設立する場合、合同会社の方が設立時の登録免許税を抑えやすくなります。

定款認証の手続きが不要 

株式会社を設立する場合、原則として公証役場で定款認証を受ける必要があります。定款認証手数料は、資本金等の額や一定要件によって変わります。 

一方、合同会社では定款認証が不要です。そのため、株式会社と比べて、設立手続きにかかる費用や手間を抑えやすい点がメリットです。

ただし、合同会社でも定款の作成自体は必要です。特に資産管理会社として活用する場合は、社員の地位や持分の承継、相続時の取扱いなどを定款でどのように定めるかが重要になります。

決算公告の掲載義務がない 

合同会社には、株式会社のような決算公告義務がありません。

株式会社の場合、会社法上は、定時株主総会の終結後に貸借対照表などを公告する必要があります。公告方法によっては、官報掲載費用などが発生することがあります。

もっとも、実務上は、中小企業や同族会社では決算公告が十分に行われていないケースも見られます。ただし、公告していない会社が多いからといって、株式会社の決算公告義務そのものがなくなるわけではありません。

その点、合同会社はそもそも決算公告義務がないため、毎年の公告手続きや掲載費用を気にせず運営しやすい会社形態といえます

特に、家族や親族だけで運営する資産管理会社では、外部株主への情報開示を前提としないケースも多くあります。合同会社を選ぶことで、株式会社に比べて情報開示や公告に関する事務負担を抑えやすくなります。

ただし、合同会社であっても、税務申告や会計帳簿の作成・保存は必要です。決算公告が不要だからといって、会計管理や税務申告が不要になるわけではありません。

定期的な役員更新登記が不要 

株式会社では、取締役などの役員に任期があります。取締役の任期は原則2年ですが、非公開会社では定款で最長10年まで伸長できます。

任期が満了した場合、同じ人が引き続き役員になる場合でも、重任登記が必要です。役員変更登記を怠ると、過料の対象になる可能性があります。

一方、合同会社には株式会社の取締役のような役員任期がありません。そのため、社員や業務執行社員に変更がない限り、株式会社のように定期的な役員更新登記を行う必要はありません。

家族で長期的に資産管理会社を運営する場合、合同会社は登記手続きの負担を抑えやすい会社形態といえます。

資産管理会社を合同会社にして相続対策を行う方法

合同会社は、設立費用を抑えやすいだけでなく、定款設計によって会社の運営方法や持分の承継ルールを柔軟に定めやすい会社形態です。

そのため、資産管理会社を合同会社で設立する場合は、将来の相続や資産承継を見据えて、出資持分の移転方法や利益配分、社員の地位の承継について事前に検討しておくことが重要です。

ただし、合同会社を設立すれば必ず相続税を減らせるわけではありません。持分の評価、贈与税、相続税、所得税、会社法上の定款規定などを総合的に確認する必要があります。

  • 会社の持分を子どもへ生前贈与する
  • 利益配分のルールを定款で定める 

会社の持分を子どもへ生前贈与する

合同会社の出資者が持つ権利は「持分」と呼ばれ、資産管理会社の承継を考える際には、この持分を誰に、いつ、どのように移転するかが重要になります。 

たとえば、設立初期など会社の純資産価額が比較的低い段階で、持分の一部を子どもへ贈与する方法が検討されることがあります。将来、会社が保有する不動産や株式の価値が上がる前に後継者へ持分を移転できれば、将来の相続財産の増加を抑えられる可能性があります。 

ただし、持分の贈与には贈与税がかかる場合があります。また、資産管理会社の持分評価は、会社が保有する不動産、株式、現預金、借入金などの内容によって変わります。

そのため、持分を子どもや孫へ移転する場合は、贈与時点の評価額、贈与税の負担、将来の相続税への影響、定款上の承継ルールを確認したうえで進めることが重要です。

利益配分のルールを定款で定める 

合同会社では、定款の定め方によって、出資割合とは異なる利益配分を設計できる場合があります。 

株式会社の場合、「出資した金額の割合(株数の多さ)」に応じて平等に配当金などの利益を配分しなければなりません。しかし、合同会社では出資比率に関わらず、定款の定めによって利益を渡せる可能性があります

この柔軟性は合同会社の特徴の一つですが、親族間で極端に偏った利益配分を行う場合は注意が必要です。実態や合理的な理由がないまま、親から子どもへ利益を移転する目的で配分割合を設定すると、税務上問題になる可能性があります。 

たとえば、親が大部分を出資しているにもかかわらず、子どもへ大部分の利益を配分するような設計を行う場合は、その理由や業務への貢献、出資関係、定款の定め、税務上の取扱いを慎重に確認する必要があります。

合同会社の利益配分を相続対策に活用する場合は、「自由に変えられるから有利」と考えるのではなく、会社法上の定款設計と税務上の妥当性をセットで検討しましょう。

法人税

資産管理会社を合同会社にする場合の注意点

合同会社は、設立費用や運営コストを抑えやすく、定款設計の自由度が高い会社形態です。一方で、株式会社とは異なるルールがあるため、資産管理会社として活用する場合は、相続時の持分承継や会社の意思決定方法を事前に確認しておく必要があります。

特に、家族や親族で合同会社を運営する場合は、相続発生後に会社の運営が滞らないよう、定款の内容を慎重に設計しておくことが重要です。 

  • 持分を相続人が承継できる定款規定を検討する 
  • 会社の意思決定方法を定款で整理する 

持分を相続人が承継できる定款規定を検討する 

合同会社で資産管理会社を設立する場合、社員が死亡したときに、その持分をどのように扱うかを確認しておく必要があります。 

合同会社などの持分会社では、社員が死亡した場合、原則としてその社員は退社します。そのため、株式会社の株式のように、社員としての地位が当然に相続人へ承継されるわけではありません。 

ただし、会社法では、社員が死亡した場合に、その相続人などが持分を承継する旨を定款で定めることができます。このような定款規定を置いておくことで、相続発生時に相続人が社員として会社に参加できるように設計できます。 

資産管理会社では、不動産や株式などの資産を法人で保有していることが多いため、代表者や主要な社員に相続が発生した際の承継ルールをあらかじめ定めておくことが重要です。 

ただし、定款に承継規定を入れれば、すべての相続トラブルを防げるわけではありません。誰に持分を承継させるのか、相続人が複数いる場合に誰が権利を行使するのか、遺言や遺産分割協議との関係をどう整理するのかもあわせて検討しましょう。 

会社の意思決定方法を定款で整理する 

合同会社では、定款に別段の定めがない場合、原則として社員が業務を執行します。また、社員が複数いる場合、業務に関する決定は社員の過半数で行うのが原則です。 

そのため、相続対策や資産承継の一環として子どもや親族を社員にする場合、会社の意思決定方法を事前に整理しておくことが重要です。社員が増えることで、物件の売却、借入れ、追加投資、利益配分などの重要な判断について、親族間で意見が分かれる可能性があります。 

合同会社では、定款によって業務執行社員を定めたり、一定の重要事項について決議方法を定めたりすることができます。たとえば、日常的な業務は代表社員が行い、重要な資産の売却や多額の借入れについては社員の同意を必要とするなど、会社の実態に合ったルールを設計することが考えられます。 

ただし、親にすべての意思決定権を集中させる設計が常に適切とは限りません。後継者への承継、相続人間の公平性、将来の認知症リスク、利益相反の可能性なども踏まえて、司法書士や弁護士、税理士などの専門家と相談しながら定款を設計することが大切です。 

資産管理会社に合同会社を選ぶと融資で不利になるか

結論として、合同会社であることだけを理由に、必ず融資で不利になるとは限りません。不動産融資では、会社形態だけでなく、物件の収益性や担保価値、自己資金、借入状況、オーナー個人の信用力、既存の資産背景などが総合的に確認されます。

ただし、金融機関によって審査方針は異なるため、合同会社での借入を検討する場合は、事前に取引予定の金融機関へ確認しておくと安心です。

融資審査では物件の収益性やオーナーの信用力が重視される 

金融機関がアパートローンや不動産融資の審査を行う際、会社が株式会社か合同会社かだけで判断するわけではありません。 

一般的には、購入予定の不動産の収益性、担保評価、返済計画、自己資金、法人の財務状況、代表者や出資者であるオーナー個人の資産状況・信用力などが確認されます。 

そのため、合同会社だからといって、必ず金利が高くなる、融資額が減る、融資を受けられないというわけではありません。 

一方で、金融機関によっては、株式会社を前提とした審査実務に慣れている場合や、合同会社の定款・出資者構成・代表社員の権限などを追加で確認する場合もあります。資産管理会社で不動産融資を受ける場合は、会社形態だけでなく、事業計画や資金計画、返済原資を説明できるようにしておきましょう。 

必要に応じて株式会社へ組織変更することもできる 

合同会社として設立した後でも、必要に応じて株式会社へ組織変更することは可能です。 

たとえば、将来的に金融機関や取引先との関係で株式会社の方が説明しやすい場合、外部株主を受け入れる場合、事業規模を拡大する場合などには、株式会社への組織変更を検討することがあります。 

ただし、組織変更には、総社員の同意、組織変更計画の作成、債権者保護手続き、登記手続きなどが必要です。登録免許税や官報公告費用、司法書士報酬などの費用も発生します。 

そのため、最初は設立費用や運営コストを抑えやすい合同会社で始め、将来の状況に応じて株式会社への組織変更を検討する、という考え方も選択肢になります。 

資産管理会社の設立なら税理士法人ネイチャー

資産管理会社を合同会社で設立する場合は、設立費用の安さだけで判断せず、将来の相続や資産承継を見据えて定款内容を検討することが重要です。 

合同会社では、社員の死亡時に相続人が持分を承継できるかどうか、会社の意思決定を誰が行うか、利益配分をどのように定めるかなど、株式会社とは異なる論点があります。一般的なひな形や自動作成ツールで作成した定款では、資産管理会社として必要な承継ルールが十分に整理されていない場合もあるため注意が必要です。 

税理士法人ネイチャーでは、富裕層・オーナー経営者の方に向けて、資産管理会社の設立、相続税対策、資産承継に関するご相談を承っています。

単に会社を設立するだけでなく、お客様の保有資産、ご家族の状況、将来の承継方針を踏まえ、税務面から資産管理会社の活用方法を検討いたします。また、登記の専門家である司法書士などの専門家とも連携しながら、定款内容や承継スキームを確認するサポートをいたします。

資産管理会社を合同会社で設立すべきか、株式会社にすべきか迷っている方は、まずは現在の資産状況や将来のご希望をお聞かせください。

まとめ:資産管理会社を合同会社で設立するなら定款設計が重要 

資産管理会社を合同会社で設立する方法には、設立費用や運営コストを抑えやすい、定款設計の自由度が高いといったメリットがあります。 

一方で、合同会社は株式会社とは異なり、社員の死亡時の持分承継や、会社の意思決定方法について事前に定款で整理しておくことが重要です。相続発生時に相続人が社員として会社に参加できるようにする規定や、重要な資産の売却・借入れ・利益配分に関する決定方法などを検討しておく必要があります。 

ただし、定款をカスタマイズすれば、すべての相続トラブルを防げるわけではありません。相続人間の関係、遺言や遺産分割協議、持分評価、贈与税・相続税への影響なども含めて、総合的に設計することが大切です。

税理士法人ネイチャーでは、資産管理会社の設立や相続・資産承継に関するご相談を承っています。合同会社を活用した資産管理会社の設立を検討している方は、税務面・承継面の注意点を確認したうえで、自社に合った設計を進めましょう。

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