交際費の損金不算入とは?法人税額への影響や計算方法をわかりやすく解説

決算の打ち合わせで「交際費の一部が損金になりません」と説明された方も多いのではないでしょうか。交際費等は原則として損金不算入ですが、法人の資本金の額または出資金の額、支出内容に応じて、一定額を損金に算入できる特例があります。

交際費は、実際に会社から資金が出ていく支出です。損金にならない部分があれば課税所得が増えるため、法人税等の負担にも影響します。そのため、税負担だけでなく、支出後にどれだけ資金が残るかという資金繰りの視点も必要です。

この記事では、交際費の損金不算入について、対象となる支出や計算方法、申告書への反映を解説します。法人税額と会社の資金への影響もあわせて確認していきます。

法人税

交際費の損金不算入とは?

交際費の損金不算入とは、会社が交際費を支出して会計上は費用として計上しても、法人税の計算上は損金に算入できない部分が生じることです。

損金不算入額が生じた場合は、法人税の申告書で所得金額を調整します。会社から資金が出ていることに変わりはないため、交際費の支出額と税務上の取扱いを分けて考えることがポイントです。

申告までの流れを整理すると、次のようになります。

段階確認・処理すること
会計支出内容に応じて費用を計上する
申告書(別表十五)交際費等の損金不算入額を算出する
申告書(別表四)算出した損金不算入額を所得金額に反映する
税額調整後の所得金額をもとに税額を計算する
資金支出と納税を踏まえて手元資金を確認する

交際費の損金不算入の判断基準

帳簿に「交際費」と記載されているかどうかだけで、税務上の取扱いが決まるわけではありません。確認したいのは、支払先や支出した目的です。

例えば、取引先などとの会食やゴルフ、お中元・お歳暮、得意先への慶弔費などは、交際費等に該当する代表的な支出です。

一方、一定の要件を満たす次の費用は、交際費等に含まれません。

  • 1人当たり1万円以下の社外飲食費で、必要事項を記載した書類を保存しているもの
  • 従業員の慰安を目的とした一定の運動会や旅行などの費用
  • カレンダーや手帳などを贈答するために通常要する費用

会議費や旅費交通費などの科目で処理した支出でも、内容によっては交際費等として扱います。決算時は勘定科目だけを集計するのではなく、取引の内容まで確認することが大切です。

法人税

交際費の損金不算入額の計算方法

800万円の定額控除を利用できる中小法人で、事業年度が12か月の場合を例に計算します。

  • 交際費等から除く費用を集計する
  • 800万円の定額控除額を求める
  • 接待飲食費の50%を求める
  • 損金算入額が大きい方式を選ぶ

交際費等から除く費用を集計する

当期に支出した交際費等の総額が1,260万円あり、そのうち1人当たり1万円以下の飲食費が60万円含まれている場合、まずはこの60万円を交際費等から切り離します。令和6年4月1日以後の社外飲食費は、1人当たり1万円以下で所定の記録を保存している場合、交際費等から除外できます。

したがって、今回の例における交際費等の損金不算入の算定対象額は「1,260万円 – 60万円 = 1,200万円」です。

なお、1人当たりの飲食費が1万円を超えた場合、超過分のみならず支出金額の全額が交際費等に含まれる点に注意が必要です。また、社内の役員・従業員のみで行われる社内飲食費については1万円基準の適用対象外となるため、書類には飲食の年月日、参加者の氏名や取引先との関係性などを正確に記録・保存しておく必要があります。

会議費や福利厚生費との細かい区分はこちらで解説しています。

800万円の定額控除額を求める

次に、1,200万円の交際費等へ定額控除を当てはめます。今回の法人は12か月決算のため、定額控除限度額は800万円です。

したがって、「1,200万円 – 800万円 = 400万円」となり、400万円が損金不算入額です。

事業年度が12か月に満たない法人では、800万円をそのまま使わず、月数に応じた限度額を計算します。未使用分を翌年度へ持ち越すこともできません。

接待飲食費の50%を求める

同じ1,200万円について、今度は接待飲食費を使って計算します。今回の接待飲食費は600万円です。

損金に算入できる金額は、「600万円 × 50% = 300万円」です。交際費等1,200万円から300万円を差し引くため、損金不算入額は900万円になります。

なお、最初の段階で1万円基準により除外した60万円は、この600万円には含めません。社内だけの飲食費も50%計算の対象外です。

損金算入額が大きい方式を選ぶ

ここまでの計算結果を並べると、どちらを選ぶと損金算入額が大きくなるか確認できます。

方式損金算入額損金不算入額
800万円の定額控除800万円400万円
接待飲食費の50%300万円900万円

今回の条件では、定額控除を選んだ場合の損金算入額が500万円多くなります。

一方、接待飲食費が1,600万円なら、その50%は800万円です。12か月決算で両方式を利用できる法人では、接待飲食費が1,600万円の場合、両方式の損金算入額は800万円で並びます。

交際費の損金不算入を申告する方法

損金不算入額は、別表十五で計算し、別表四で所得金額に加算します。会計処理から申告までの流れを3段階に分けて確認します。

  • 別表十五へ交際費等を記載する
  • 別表四で所得へ加算する
  • 会計上の仕訳を追加しない

別表十五へ交際費等を記載する

別表十五は、交際費等の損金算入に関する明細書です。支出した交際費等や接待飲食費などをもとに、損金不算入額を計算します。

集計の対象は、交際費という勘定科目だけではありません。会議費や旅費交通費、雑費などに交際費等に該当する支出が含まれていれば、あわせて集計します。勘定科目だけで判断せず、支出の内容を確認することが重要です。

なお、申告書の様式は改正される場合があります。事業年度に対応した様式を使用しているか確認しましょう。

別表四で所得へ加算する

別表十五で計算した損金不算入額は、別表四で所得金額に加算します。別表四は、会計上の利益をもとに法人税の所得金額を計算する明細書です。

損金不算入額を加算すると税務上の所得金額が増え、法人税額等に影響する場合があります。交際費等の損金不算入額は、別表四では社外流出として処理します。

交際費等として支出され、会社の内部に留保されないためです。

会計上の仕訳を追加しない

交際費を支払ったときは、通常どおり交際費などの適切な勘定科目で費用に計上します。損金不算入額そのものについて、会計上の追加の仕訳は行いません。

損金不算入額は、法人税の申告書で税務上の調整をします。そのため、損金不算入を理由に決算書の交際費を減らしたり、取り消したりする処理は不要です。会計上の費用と税務上の損金が異なる場合は、申告書で調整します。

交際費の損金不算入で注意する4項目

計算結果に影響しやすいポイントが4つあります。前提を確認しないまま計算すると、損金不算入額が変わる場合があります。

  • 短期事業年度は上限を月割りする
  • 対象法人の要件を確認する
  • 消費税の経理方式を確認する
  • 損金不算入額は原則繰り越せない

短期事業年度は上限を月割りする

800万円の定額控除限度額は、12か月の事業年度を前提としています。事業年度が12か月より短い場合は、事業年度の月数に応じて計算します。

例えば、事業年度が6か月であれば上限は400万円です。月数は暦に従って計算し、1月未満の端数は切り上げます。設立初年度や決算期を変更した年度などでは、事業年度の月数も確認しておきましょう。

対象法人の要件を確認する

年800万円の定額控除は、単に自社の資本金の額が1億円以下であることのみをもって適用できるとは限りません。例えば、資本金の額が5億円以上の大法人による完全支配関係(100%子会社等)にある法人は、中小法人向けの特例措置の対象外です。

したがって、自社の資本金が少額であっても、親会社やグループ法人との資本関係によっては定額控除を選択できず、接待飲食費の50%損金算入しか適用できないケースが生じます。また、グループ通算制度を適用している法人については通算グループ全体で限度額を按分する特別な計算規定が設けられているため、資本関係の全体像を正確に把握しておく必要があります。

なお、現行制度は令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象です。

消費税の経理方式を確認する

判定に使う金額は、消費税の経理方式によって変わります。税込経理では税込金額、税抜経理では税抜金額を使用します。

1人当たり1万円の判定も同じ考え方です。同じ税込支払額でも、経理方式によって1万円基準の判定が異なる場合があります。

また、税抜経理を採用している場合であっても、交際費等の支出に係る控除対象外消費税額等が発生した際には、その金額を交際費等の額に加算して損金不算入額を計算することになります。判定にあたっては、自社が採用している消費税の経理方式(税込・税抜)を事前に確認しておくことが重要です。

損金不算入額は繰り越せない

当期に損金不算入となった交際費等を翌期以降に繰り越して損金に算入することはできません。翌期に800万円の定額控除限度額が余っていても、前期の交際費等には使えません。

減価償却超過額のように、一定の場合に翌期以降の損金算入につながる調整とは性質が異なります。

期の途中でも交際費等の累計額を把握しておくと、決算時の税額を見込む際に役立ちます。

交際費の損金不算入が法人税額へ与える影響

損金不算入額は、法人税の所得金額の計算上加算されます。税額への影響は「損金不算入額 × 実効税率」でおおよその目安を計算できます。実効税率とは、法人税や地方税などを考慮した税負担率です。

上記の例で、損金不算入額400万円、実効税率を仮に30%とします。この場合、全額を損金算入できる場合と比べた税負担の差は、概算で約120万円です。ただし、繰越欠損金や税額控除などがあれば、実際の納付額は変わります。

交際費を使う前の利益と手元資金をそれぞれ2,000万円、実効税率を30%と仮定し、交際費の支出後に会社へ残る資金を簡易的に比較します。なお、減価償却費などの非資金費用やその他の入出金は考慮していません。

ケース課税所得法人税等残る資金
支出なし2,000万円600万円1,400万円
1,200万円を全額損金算入(比較用の仮定)800万円240万円560万円
1,200万円のうち400万円が損金不算入1,200万円360万円440万円

交際費を支出することで一定の税負担軽減効果は得られるものの、会社から現金が流出することに変わりはありません。そのため、単に「損金に算入できるか否か」という表面的な税負担の増減にとらわれるのではなく、施策実行後に会社の手元に残る実質的なキャッシュフローまで検証したうえで、他の決算対策や設備投資との優先順位を判断することが重要です。

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交際費は、損金算入できる金額だけでなく、支出後の資金や法人全体の税負担まで踏まえて判断する必要があります。800万円の定額控除と接待飲食費50%の選択など、決算時に比較すべき項目も少なくありません。

交際費には上限があるため、法人の決算対策は様々な選択肢を知ることが重要です。税理士法人ネイチャーでは、法人経営者の皆様に、決算対策の方法を知っていただくため、活動しております。

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まとめ:交際費の損金不算入は法人税額への影響まで確認しよう

交際費の損金不算入額は、交際費等の合計から損金算入できる金額を差し引いて求めます。1人当たり1万円以下の一定の社外飲食費を除いたうえで、一定の中小法人は、800万円の定額控除と接待飲食費の50%損金算入のいずれかを選択することが可能です。

計算した損金不算入額は別表十五で整理し、別表四で所得金額へ加算します。損金不算入額そのものについて、会計上の仕訳を追加する必要はありません。

交際費については、損金算入額だけでなく、支出と納税後に会社へ残る資金まで確認することが重要です。

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