節税できる投資とは?所得税・法人税・相続税の仕組みから選び方まで解説

「投資すると節税になる」と聞いても、どのような投資をすればよいのか分かりにくいものです。NISAやiDeCo、不動産などは、それぞれ税務上の効果が異なります。

投資商品を購入しただけで税金が減るとは限りません。運用益が非課税になる制度もあれば、課税所得を減らすもの、課税時期が後になるものもあるのです。

この記事では、投資と節税の関係を所得税・法人税・相続税に分けて解説します。個人と法人の違いや投資を選ぶ際の基準も確認します。

税務上の効果だけでなく、売却・解約時の税金や資金の使いやすさも確認し、自分や会社の状況に合った節税対策を検討しましょう。

資産運用・富裕層

節税につながる投資とは?

投資に関係する税務上の効果は、主に5つに分けられます。同じ「節税」でも、税金が減る理由と時期は同じではありません。

税務上の効果主な方法対象税目効果が生じる時期主な確認事項
非課税NISA所得税・住民税運用中・売却時NISA内の損失は損益通算できない
所得控除iDeCo所得税・住民税掛金拠出時受取時の課税関係も確認する
損益通算・損金算入不動産・上場株式等所得税・法人税損失・費用の発生時所得区分や費用ごとに要件がある
減価償却による課税時期への影響不動産など所得税・法人税保有中・売却時売却時の税負担まで確認する
相続時の評価・非課税枠不動産・生命保険相続税相続時評価方法や契約関係で扱いが変わる

非課税は、対象となる利益に税金がかからない仕組みです。所得控除は、税額計算の基礎となる課税所得を減らします。

損益通算は、一定の所得の利益と損失を差し引く仕組みです。法人では、税務上認められる費用を損金に算入します。

減価償却費は、保有中の課税所得を計算する際の費用になります。一方、売却時には建物の取得費や帳簿価額が減っているため、個人の譲渡所得や法人の売却益が増える場合もあります。現在と将来の税負担を分けて考えることが重要です。

節税につながる投資を個人・法人で比較

個人と法人では、利益や損失の税務上の扱いが異なります。経営者は、投資商品だけでなく、個人と法人のどちらで保有するかも確認しましょう。

比較項目個人保有法人保有
投資資金個人の金融資産法人の余剰資金
運用益所得区分に応じて課税原則として益金算入の対象
損失通算できる範囲が限定される損失の内容や要件により損金算入
非課税制度NISA・iDeCoを利用できるNISA・iDeCoは利用できない
資金用途生活費や老後資金などに使える原則として法人に帰属する
相続への影響個人の相続財産になる自社株評価に影響する場合がある

たとえば、個人が課税口座で上場株式等から100万円の譲渡益を得た場合、税率は原則20.315%です。内訳は、所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%です。

法人の場合は、一律20.315%で課税されるわけではありません。他の収益や費用などと合わせて法人所得を計算します。法人の資金を将来個人へ移す場合は、役員報酬や配当などに伴う税負担も検討が必要です。

法人税だけを比べて、法人保有のほうが有利とは判断できません。個人側の税金や資金用途、自社株評価への影響も含めて比較します。

資産運用・富裕層

投資に関する所得税の節税方法

個人では、給与などにかかる税金を減らす方法と投資利益への課税を抑える方法があります。代表例を整理します。

  • NISAは運用益を非課税にする
  • iDeCoは課税所得を減らす
  • 上場株式等の損失は確定申告で通算する
  • 不動産所得の赤字は通算範囲を確認する

NISAは運用益を非課税にする

NISA口座で取得した対象商品の売却益や配当等は、一定の範囲で非課税となります。

ただし、NISAは給与所得にかかる税金を減らす制度ではありません。NISA口座で損失が生じても、課税口座の利益との損益通算や繰越控除はできません。

国内上場株式の配当をNISAで非課税にするには、株式数比例配分方式を選択する必要があります。

金融所得の課税や損益通算については、以下の記事で詳しく解説しています。

iDeCoは課税所得を減らす

iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象です。掛金を所得から差し引けるため、所得税や住民税の負担を抑えられます。

一方、課税所得がない場合や少ない場合は、所得控除による効果も小さくなります。原則として60歳以降の受給可能年齢に達するまで、資産を引き出せない点にも注意が必要です。受取時には、受取方法に応じた課税関係を確認します。

なお、2026年12月1日から、iDeCoなどの拠出限度額の引き上げが予定されています。

iDeCoの注意点はこちらをご覧ください。

上場株式等の損失は確定申告で通算する

一定の上場株式等の売却損は、確定申告により、上場株式等の売却益や申告分離課税を選択した一定の配当所得等と損益通算できます。控除しきれない損失は、要件を満たせば翌年以後3年間の繰越控除が可能です。

ただし、一般株式等やNISA内の損失とは扱いが異なります。FXや暗号資産も同じ枠では通算できません。投資で生じた損失をすべての投資利益と相殺できるわけではありません。

詳しい適用範囲は以下の記事をご確認ください。

不動産所得の赤字は通算範囲を確認する

賃貸不動産から不動産所得の赤字が生じた場合、一定の範囲で給与所得などとの損益通算ができます。

ただし、土地等を取得するための借入金利子に対応する一定額は対象外です。国外中古建物では、一定の減価償却費に相当する損失が生じなかったものとみなされ、損益通算できない場合があります。

また、建物の減価償却費を計上して保有中の課税所得を減らした場合、その分だけ税務上の帳簿価額(取得費)が減少するため、将来の売却時に譲渡所得(課税対象額)が大きく跳ね上がることになるのです。

さらに、元金返済が進んで減価償却費を上回ると「帳簿上は黒字で税金が生じるのに手元キャッシュが残らない(いわゆるデッドクロス)」状態に陥るリスクもあります。そのため、目先の節税額だけでなく、保有期間中のキャッシュフロー推移や売却時の譲渡所得税まで通算した出口戦略を検証しておくことが重要です。

投資に関する法人税の節税方法

法人では、投資額を支払っただけで全額が損金になるとは限りません。保有中と売却・解約時を通して確認することが重要です。

  • 法人の投資信託は購入だけでは節税にならない
  • 法人の不動産投資は減価償却費を計上する
  • 課税の繰り延べは将来の税額も試算する

法人の投資信託は購入だけでは節税にならない

法人が投資信託を購入した場合、取得額を支払っただけで、その全額を直ちに損金算入できるわけではありません。

保有する商品の性質などに応じて、分配金や売却損益、期末評価の税務処理を確認します。含み損が生じていても、一定の要件を満たさなければ評価損を損金算入できません。購入時だけでなく、保有中と売却時の法人所得への影響を確認してください。

法人が投資信託を保有する際の税務はこちらで解説しています。

法人の不動産投資は減価償却費を計上する

法人が賃貸事業などに使用する建物を取得した場合、取得価額を耐用年数などに応じて減価償却します。土地は減価償却できません。

また、事業年度の途中から使用を始めた場合は、使用した月数に応じて償却額を計算します。売却時には、売却価額と帳簿価額との差額などが法人所得に影響します。

法人の不動産投資に関する税務については、以下の記事をご確認ください。

課税の繰り延べは将来の税額も試算する

組合型の投資商品や法人保険などは、契約内容や税務上の要件によって、支出額の一部が当期の損金に算入される場合があります。ただし、支出額の全額が損金になるとは限りません。

また、当期の所得を減らせても、将来の分配、売却、解約などによって益金が生じる場合があります。節税対策として利用する際は、当期の損金算入額だけでなく、資産計上額、資金の回収時期、受取時の税額まで年度別に試算することが重要です。

投資に関する相続税の節税方法

相続税では、現在の所得を減らす考え方とは異なります。生命保険は投資商品とは異なりますが、相続時の納税資金や財産の引き継ぎを考えるうえで、あわせて検討されることがあります。次に相続時の財産評価や非課税枠、納税資金への影響を確認しておきましょう。

  • 不動産は相続税評価額を確認する
  • 生命保険は契約関係で課税が変わる

不動産は相続税評価額を確認する

現預金は、原則として相続開始時の残高などを基に評価します。一方、土地や建物には、それぞれ相続税評価の方法があるのです。

土地は路線価方式や倍率方式、建物は原則として固定資産税評価額を基に評価され、賃貸に供している場合は借地権割合や借家権割合、賃貸割合等に応じた減額調整(貸家建付地・貸家の評価減)が適用されます。これにより、現預金を不動産へ組み替えることで相続税評価額が現預金より低くなる場合があります。

ただし、時価と相続税評価額の乖離を利用した過度な節税手法に対しては、国税庁による評価見直し(財産評価基本通達総則6項の適用等)のリスクが存在します。また、空室リスクや修繕コスト、流動性の低さも伴うため、単なる評価減の幅だけでなく、資産全体の健全性や遺産分割のしやすさまで考慮した設計が不可欠です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

生命保険は契約関係で課税が変わる

死亡保険金にかかる税金は、被保険者だけでは決まりません。保険料を負担した人と受取人の関係により、相続税・所得税・贈与税のいずれかの対象になります。

被相続人が被保険者かつ保険料負担者で、相続人が死亡保険金を受け取る場合、一定額まで相続税が非課税となります。

非課税限度額は「500万円 × 法定相続人の数」です。ただし、相続人以外が受け取る死亡保険金には、この非課税枠は適用されません。

生命保険を使う場合は、被保険者、保険料負担者、受取人の関係を確認してください。

節税目的で投資を選ぶ際の3つの基準

まず対象となる税金を特定します。そのうえで、節税額ではなく、投資後に残る資産と使える資金を比較します。

  1. 節税額より税引後資産を比べる
  2. 売却時の税金まで試算する
  3. 必要資金を投資へ回さない

1. 節税額より税引後資産を比べる

投資の効果を比べる際は、減った税金だけを見るべきではありません。

運用収益から、投資損失、手数料、借入利息、維持費、売却費用、税金などを差し引き、最終的に残る資産で比較します。
たとえば、税負担が100万円減っても、税効果を反映した後の投資損失や費用負担が150万円生じれば、差し引き50万円分の資産が減ります。

節税額が大きい投資と、最終的に資産が多く残る投資は同じとは限りません。

2. 売却時の税金まで試算する

不動産の減価償却費は、保有中の課税所得を減らすことがあります。一方で、将来の売却損益にも影響するため、売却時まで含めた試算が必要です。

法人向け商品でも、分配や解約の時期によって所得が増える可能性があります。

予定する保有期間、帳簿価額、売却価額、解約返戻金、売却費用を確認しましょう。投資時だけでなく、売却や解約後まで含めて比べることが重要です。

3. 必要資金を投資へ回さない

節税効果が見込めても、必要な現金まで投資するのは避けるべきです。

個人なら生活費や近い将来の支出、納税資金を確保します。法人なら運転資金や納税資金、借入金の返済予定も確認します。

iDeCoは原則として60歳以降の受給可能年齢に達するまで、資産を引き出せません。不動産も、希望する時期や価格で売却できるとは限りません。

税務上の効果とあわせて、必要なときに現金化できるかも確認してください。

投資を活用した節税対策なら税理士法人ネイチャー

税理士法人ネイチャーでは、投資を税金の面から比べる際に、所得税・法人税・相続税を横断して検討しています。

投資後の税額だけでなく、法人と個人の保有方法、売却・解約時の税負担、相続や自社株評価への影響まで含めてご相談いただけます。

原則として法人の顧問契約を前提としていないため、顧問税理士との関係を維持したまま、投資や資産形成の税務面についてセカンドオピニオンとしてご相談いただけます。ぜひ初回無料相談をご利用ください。

まとめ:投資の税務上の効果を節税対策に活かそう

投資を活用した節税対策には、NISAによる運用益の非課税、iDeCoの所得控除、上場株式等の損益通算、不動産の減価償却、相続時の財産評価や生命保険の非課税枠などがあります。

ただし、投資商品を購入しただけで税金が減るとは限りません。個人の所得税・住民税、法人の法人税等、資産承継時の相続税など、どの税金に対する効果なのかを明確にし、適用要件や効果が生じる時期を確認することが重要です。

また、保有期間中に一定の税負担が軽減されたとしても、売却や解約の段階で課税所得が膨らみ、トータルで見ると十分な手残り資金が確保できないケースも少なくありません。目先の節税額という単一の指標にとらわれず、投資に伴うコストや運用リスク、換金性の高低、そして将来手元に残る実質的なキャッシュフローまで総合的に検証したうえで意思決定を行いましょう。

法人と個人のどちらで保有するか、どの方法を節税対策に取り入れるかは、所得や資産状況、投資目的によって異なります。自分や会社に合った節税対策を検討したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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