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【国際税務のプロが解説】米国IRAとは?種類・税金を駐在員向けに徹底解説

「アメリカでの生活にも慣れてきたけど、将来のお金のことはどうしよう…」

「会社の401(k)には入っているけど、それだけで十分なのかな?」

米国に駐在されている方や、米国での資産運用にご興味がある方の中には、このような漠然とした不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

こんにちは。私たち税理士法人ネイチャーは、国際税務を専門とし、多くの駐在員や海外に資産をお持ちの方のサポートをさせていただいております。その中で、非常によくご質問いただくのが、アメリカの個人年金制度IRA(Individual Retirement Account)についてです。

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海外確定申告

「IRAって何?」という方へ。日本のiDeCoに似た制度です

IRAをひと言で説明すると、税金の優遇を受けながら、個人で老後資金を準備できる制度です。日本のiDeCo(個人型確定拠出年金)のアメリカ版、とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

ご自身で金融機関に専用の口座を開設し、掛金を拠出して、株式や投資信託などで運用します。そして、原則59.5歳以降に引き出すことで、税制上の大きなメリットを受けられる仕組みです。

この記事を読めば、あなたに最適なIRAの活用法が分かります

この記事では、国際税務のプロである税理士の視点から、特に米国駐在員や将来日本へ帰国する方が押さえておくべきポイントに絞って、以下の内容を分かりやすく解説します。

  • Traditional IRAとRoth IRAの根本的な違いと、どちらを選ぶべきか
  • 日米両国での税金の取り扱いと、損をしないための確定申告の知識
  • 日本へ帰国する際の注意点や、万が一相続した場合の対応方法

専門用語はかみ砕いて説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。この記事を読み終える頃には、ご自身の状況に合ったIRAの活用法が見え、将来の資産形成への不安が解消されているはずです。

IRAの基本!「Traditional IRA」と「Roth IRA」の違いを徹底比較

IRAにはいくつか種類がありますが、個人で加入する際に中心となるのはTraditional IRAとRoth IRAの2つです。

この2つの最大の違いは、税制優遇を受けるタイミングです。つまり、今の税金を安くするかそれとも将来の税金をゼロにするかという違いになります。

【税金先送り型】Traditional IRA:今の所得税を安くしたい方向け

Traditional IRAは、拠出した掛金が所得控除の対象となるのが最大の特徴です。

例えば、年収10万ドルの方が7,000ドルをTraditional IRAに拠出した場合、その年の課税所得は9万3,000ドル(10万ドル – 7,000ドル)として計算されます。つまり、拠出した分だけその年の所得税が安くなるのです。

ただし、これは税金の免除ではなく先送り(繰延べ)です。運用期間中の利益には税金がかかりませんが、将来お金を引き出す際には、拠出金と運用益の両方に対して所得税が課税されます。

<メリット>

  • 拠出額が所得控除され、その年の所得税が安くなる。
  • 現在の収入が高い人ほど、節税効果が大きい。

<デメリット>

  • 将来引き出す際に、元本+運用益に所得税がかかる。
  • 将来の税率が現在より高い場合、税負担が重くなる可能性がある。

【将来非課税型】Roth IRA:将来の税負担をなくしたい方向け

一方、Roth IRAは、拠出時の所得控除がありません。拠出するお金は、すでに所得税を支払った後のものになります。

その代わり、将来引き出す際に、元本も運用益もすべて非課税になるという、非常に大きなメリットがあります。運用でどれだけ資産が増えても、将来受け取る時には一銭も税金がかからないのです。

<メリット>

  • 将来引き出す際、元本も運用益も非課税。
  • 将来、税率が上がっていても影響を受けない。
  • 一定の条件を満たせば、元本部分はいつでもペナルティなしで引き出せる。

<デメリット>

  • 拠出時に所得控除がないため、その年の節税効果はない。
  • 加入には所得制限があり、高所得者は利用できない場合がある。

一目でわかる比較表|あなたに合うのはどっち?

どちらのIRAがご自身に合っているかは、現在の収入、将来の収入見込み、そしてご自身の税金に対する考え方によって変わります。

項目 Traditional IRA Roth IRA
税制優遇 拠出時(所得控除) 引出時(非課税)
掛金 税引き前の所得から拠出(結果的に) 税引き後の所得から拠出
引出時の課税 元本+運用益に所得税がかかる 元本も運用益も非課税
おすすめな人 現在の収入が高く、節税したい人
将来は収入が下がる(税率が下がる)と予想する人
将来の税負担をなくしたい人
現在は若く、収入がそれほど高くない人
将来、税率が上がると予想する人
所得制限 拠出自体にはなし(所得控除の適用には制限あり) あり(高所得者は拠出できない)

【税理士からのワンポイントアドバイス】

米国駐在員の方で、将来日本へ帰国する可能性が高い場合、日本で年金を受領することになりますが、引き出す際にはどのような課税になるのかを事前に確認してから手続きを進めることをおすすめします。

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IRAの税金はどうなる?国際税務のプロが日米のルールを解説

IRAを検討する上で最も重要なのが、税金の扱いです。特に、日米をまたいで生活する可能性がある方にとっては、両国のルールを理解しておくことが不可欠です。

拠出時:Traditional IRAなら所得控除で節税に

前述の通り、Traditional IRAに拠出した掛金は、その年の課税所得から差し引くことができます(所得制限などの一定の条件あり)。これにより、アメリカでの確定申告(Tax Return)の際に、納税額を抑えることが可能です。

運用時:運用益は非課税。複利効果を最大化!

IRA口座内で得られた配当、利子、売却益などの運用益には、引き出すまで税金がかかりません。通常、投資で利益が出るとその都度課税されますが、IRAではその課税が繰り延べられるため、利益が利益を生む複利効果を最大限に活かして、効率的に資産を成長させることができます。

引出時:課税のタイミングが運命の分かれ道

  • Traditional IRA: 引き出し時に、その年の所得として通常の所得税率で課税されます。
  • Roth IRA: 拠出から5年以上経過しており、かつ年齢が59.5歳以上などの条件を満たせば、引き出し額は完全に非課税です。

【駐在員・帰国者必見】日本の確定申告と外国税額控除の注意点

ここが国際税務の専門家として最もお伝えしたいポイントです。

日本に帰国後、居住者となってからIRAを引き出す場合、その所得は日本の所得税の課税対象となります。

【ケーススタディ】帰国後にTraditional IRAを引き出すAさんの場合

  • Aさんは帰国後、日本の居住者としてIRAから2万ドルを引き出した。
  • この引き出し額は、米国でも課税対象となり、源泉徴収される場合があります。
  • 同時に、日本では雑所得として確定申告が必要です。
  • このままでは、日米両方で二重に税金を支払うことになってしまいます。

この二重課税を避けるために活用するのが外国税額控除という制度です。米国で支払った税金を、日本の所得税額から差し引くことができる仕組みですが、適用には複雑な計算と確定申告が必要です。

【税理士からの警告】

外国税額控除の適用を忘れたり、計算を間違えたりして、本来払う必要のない税金を納めてしまっているケースは後を絶ちません。特に、IRAのような退職年金に関する所得の区分は判断が難しく、専門知識が不可欠です。

失敗しないIRAの始め方|口座開設から投資までの3ステップ

IRAを始めること自体は、それほど難しくありません。大まかな流れを3つのステップでご紹介します。

Step1:加入資格を確認しよう(所得制限に注意!)

IRAに拠出するためには、働いて得た収入(Earned Income)があることが原則です。また、特にRoth IRAには、収入が多いと拠出額が制限されたり、拠出できなくなったりする所得制限(Income Limitation)が設けられています。毎年金額が見直されるため、IRS(米国内国歳入庁)のウェブサイトなどで最新の情報を確認しましょう。

Step2:金融機関を選ぶポイント

IRA口座は、証券会社や銀行、投資信託会社などで開設できます。金融機関を選ぶ際は、以下の点を比較検討すると良いでしょう。

  • 手数料の安さ: 口座維持手数料や取引手数料が低いところを選びましょう。
  • 投資商品の豊富さ: ご自身の投資方針に合った商品(投資信託、ETFなど)が揃っているか確認しましょう。

Step3:拠出額を決めて投資先を選ぶ

口座が開設できたら、次に入金(拠出)し、どの金融商品で運用するかを決定します。年間で拠出できる上限額が定められているため、その範囲内で計画的に拠出しましょう。

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税理士が回答!IRAに関する「よくある質問」

ここでは、私たちがお客様からよくいただくご質問にお答えします。

Q1. 401(k)とIRAは併用できますか?

A.はい、併用できます。

勤務先の401(k)に加入しながら、個人でIRAに拠出することは可能です。401(k)のマッチング(会社が掛金を上乗せしてくれる制度)を最大限活用し、さらに余裕資金でIRAを利用することで、より強力に老後資金を準備できます。ただし、勤務先で退職プランに加入している場合、Traditional IRAの所得控除が受けられる所得の上限が低くなる点には注意が必要です。

Q2. 年間の拠出限度額はいくらですか?(2025年最新情報)

A.拠出限度額は毎年見直されます。

2025年の拠出限度額は、7,000ドルです(50歳以上の方は、追加で1,000ドルのキャッチアップ拠出が可能)。この金額はTraditional IRAとRoth IRAの合計額です。必ずIRSの公式情報で最新の金額をご確認ください。

Q3. 59.5歳より前に引き出すとどうなりますか?

A.原則として、10%のペナルティ税が課されます。

IRAは老後資金のための制度なので、59.5歳より前に引き出す早期引き出しには、通常の所得税に加えて10%の追徴課税がペナルティとして課されます。ただし、初回住宅購入費用や高額医療費、障害など、特定の理由がある場合はペナルティが免除される例外規定もあります。

Q4. 日本に完全帰国する場合、IRAはどうすれば良いですか?

A.口座を維持したまま運用を続けるのが一般的です。

日本に帰国した後、米国の非居住者となっても、IRA口座を閉鎖する必要はありません。そのまま運用を続け、59.5歳以降に引き出すのが基本です。ただし、帰国後は追加の拠出はできなくなります。また、前述の通り、引き出す際の税務申告には十分な注意が必要です。

【要注意】IRAを相続した場合の手続きと税金

万が一、IRAを保有するご家族が亡くなり、ご自身が相続人(受益者)となった場合、手続きは非常に複雑になります。

まずは「受益者指定(Beneficiary Designation)」の確認を

IRAは、口座開設時に受益者(亡くなった場合に資産を受け取る人)を指定します。まずはだれが受益者として正式に指定されているかを確認することが第一歩です。

相続人が受け取る場合の税金(日米の課税関係)

IRAの相続は、日米両国で税金が関わってきます。

  • アメリカの税金:
    • 相続財産全体が高額な場合、米国の遺産税(Estate Tax)の対象となる可能性があります。
    • 相続したIRAを引き出す際には、相続人が所得税を支払う必要があります(Roth IRAで非課税要件を満たしている場合を除く)。
  • 日本の税金:
    • 日本の相続税法に基づき、相続財産として相続税の課税対象となります。
    • IRAを引き出した際には、日本の所得税の対象にもなります。

ここでも、日米間での二重課税の問題が発生し、外国税額控除の適用を検討する必要があります。また、いつ、どのような方法で引き出すかによって税金の額が大きく変わるため、慎重な判断が求められます。また、解約手続きには非常に時間がかかるため、早めに専門家にご相談いただくことをおすすめします。

まとめ:IRAを賢く活用し、グローバルな視点で資産形成を

今回は、アメリカの個人年金制度「IRA」について、特に米国駐在員や日本在住の方が知っておくべき税務上のポイントを中心に解説しました。

【本記事の重要ポイント】

  • IRAには今の税金が安くなるTraditional IRAと将来の引き出しが非課税になるRoth IRAがある。
  • 日米をまたぐ場合、両国での税金の取り扱いを正しく理解しないと損をする可能性がある。
  • 特に日本帰国後の引き出しや、相続が発生した場合は、二重課税を避けるための外国税額控除が鍵となる。
  • 手続きに不安があれば、国際税務のプロフェッショナルに相談することが賢明。

IRAは、正しく活用すれば、あなたの将来を支える強力なツールとなります。しかし、そのルールは複雑で、特に国際的な視点が欠けると、せっかくのメリットを活かせないばかりか、思わぬ税負担を強いられることにもなりかねません。

税理士法人ネイチャーでは、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、日米の税制を考慮した最適な資産形成プランをご提案しています。IRAに関するご不明点や、ご自身の状況に合わせた具体的なアドバイスをご希望の場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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