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中小企業の経営者保険の選び方は?税務メリットや注意点を税理士が解説

「自分がもし倒れたら、残された家族や社員はどうなるのだろう……?」

万が一への不安を抱えつつ、日々の経営に奔走している経営者は少なくありません。保険が節税に有効という話を聞いて検討し始めたものの、種類が多すぎて自社に最適な選択肢がわからない、という悩みも多くあります。

税理士法人ネイチャーは、これまで数多くの富裕層や経営者の資産防衛をサポートしてきました。経営者保険は選び方次第で、会社を守ることにも、キャッシュを圧迫することにも繋がります。

本記事を読めば、最適な保険の選び方や、税務上のメリットを最大限に活かす具体的な方法を把握できます 最適な出口戦略を描き、会社と家族の未来を盤石なものにしましょう。

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資産運用・富裕層

中小企業が入るべき経営者保険とは?

経営者保険とは、法人が契約者となり、社長や役員を被保険者(保障の対象となる人)に設定する保険の総称です。個人が契約する生命保険と大きく違うのは、保険料を会社の経費として処理できる可能性があるほか、受け取った保険金をそのまま事業資金に充てられる点です。 まずは代表的な3種類の保険を解説します

  • 不測の事態における事業保障を確保するための定期保険
  • 長期にわたる計画的な資産形成を目指す終身保険
  • 役員や従業員の福利厚生にも役立つ養老保険

不測の事態における事業保障を確保するための定期保険

定期保険は、契約時に設定した期間だけ保障が続く「掛け捨て型」の保険です。例えば「10年間」や「70歳まで」といった期間を設定します。

定期保険の特徴は、比較的安い保険料で高額な死亡保障を準備できる点です。経営者に万が一の事態が発生した際、銀行からの借入金を返済したり、当面の運転資金を確保したりするために有効な資金対策となります

保険は仕組み上、保険期間に高齢となった後の期間が含まれる方が、コストがかかります。そのため、80歳までの定期保険よりも60歳までの定期保険の方が保険会社側のコストが少なく、結果的に少ない保険料で多額の保険金を準備することができます。どのような状況に備えるかをシミュレーションして加入することが重要です。

長期にわたる計画的な資産形成を目指す終身保険

終身保険は、保障が一生涯続くタイプで、途中で解約しても「解約返戻金(かいやくへんれいきん:戻ってくるお金)」がある積立型です。生涯にわたり継続する死亡保障を確保しつつ、会社にお金を貯めておく役割も果たします。終身保険は解約返戻金が時間の経過とともに増えていくため、将来の役員退職金の原資として活用される傾向にあります

役員や従業員の福利厚生にも役立つ養老保険

養老保険は、保険期間中に死亡した場合は死亡保険金が、満期まで生存していた場合は満期保険金が受け取れる保険で、死亡保障と貯蓄がセットになっています。会社で導入する場合、役員だけでなく従業員も対象にすると「福利厚生費」として保険料の半分を経費にする「ハーフタックスプラン」という手法も選択可能です。従業員の退職金準備とセットで検討されるケースが多いです。なお経費計上のためには、社内規定の整備が必要です。

中小企業の経営者保険導入で得られる4つのメリット

経営者保険を導入する理由は、単なるもしもの備えに留まりません。経営戦略として多角的なメリットを得られます

  • 万が一の際に会社を守る事業継続資金になる
  • 役員退職金の効率的な積み立てができる
  • 遺族の生活を支える死亡退職金になる
  • 緊急時に役立つ契約者貸付を活用できる

万が一の際に会社を守る事業継続資金になる

社長が突然亡くなった際、会社は大きな混乱に陥ります。取引先からの信用低下や、銀行からの早期返済要求が発生するリスクがあります 経営者保険からまとまった死亡保険金を受け取ることで、借入金の返済や当面の運転資金を確保でき、倒産リスクの回避につながるでしょう。

役員退職金の効率的な積み立てができる

現金のまま会社に利益を貯めると、その利益に対して約30%の法人税が課されます。一方で、貯蓄性のある保険を活用すれば、支払う保険料の一部を経費にしながら、数十年後の退職時期に合わせてお金を貯められます。法人税の負担を抑えつつ、まとまった退職金を作れるのは経営者にとって大きな魅力です。

遺族の生活を支える死亡退職金になる

経営者が亡くなった際、会社から遺族へ「死亡退職金」や「弔意金(ちょういきん)」を支払えます。経営者保険の保険金を受け取った会社が、そのお金を遺族へ支払う形です。死亡退職金には相続税の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)があるため、個人の資産をそのまま相続させるよりも税負担を軽減できます。

緊急時に役立つ契約者貸付を活用できる

資金繰りが一時的に悪化しても安易な中途解約は、解約返戻金が支払保険料を下回る損失を招きかねません。急な資金不足に陥った際に活用したいのが「契約者貸付」です。解約返戻金の一定範囲内(一般的に7割から9割程度)で、保険会社から融資を受けられます。

銀行融資よりも審査が早く、手続きが簡単なため、経営者の緊急時の資金調達手段として重宝します。

主な内容期待できる効果
事業継続まとまった保険金の受取借入金返済・運転資金の確保
退職金準備解約返戻金の積み立て法人税を抑えつつ老後資金を構築
遺族保障死亡退職金の支払い相続税の非課税枠を活用した資産承継
資金繰り契約者貸付制度審査なしで迅速な資金調達が可能
資産運用・富裕層

中小企業の経営者保険の契約前に知っておくべき4つの注意点

経営者保険には多くのメリットがある一方、慎重な判断を要する点も無視できません。契約前に把握すべき注意点を整理します

  • 早期解約で発生する保険料の元本割れリスクがある
  • 解約返戻金を受け取る時の出口対策が必要になる
  • 更新型の契約で将来の保険料が上がる可能性がある
  • 保険会社の健全性を示す財務指標を確認する必要がある

早期解約で発生する保険料の元本割れリスクがある

積立型の保険であっても、加入して数年で解約してしまうと、戻ってくるお金は支払った保険料の合計を下回ることがほとんどです。最低でも解約返戻率が高まる時期まで保険料を維持できる資金計画が不可欠です。

解約返戻金を受け取る時の出口対策が必要になる

保険料を支払時に損金算入していた場合、解約返戻金は「雑収入」として益金に算入されます。利益に法人税がかかるため、出口(解約時)の対策を考えておかないと、納税によって手元に残るキャッシュが大幅に目減りしてしまいます。解約のタイミングで役員退職金を支払うなど、利益と費用を相殺させる対策が欠かせません。

更新型の契約で将来の保険料が上がる可能性がある

定期保険の中には、10年などの期間ごとに契約を更新するタイプがあります。更新時の年齢で保険料が再計算されるため、年齢が上がると保険料が跳ね上がるケースも珍しくありません。将来の資金繰りを圧迫しないよう、更新時の保険料負担もシミュレーションしておく必要があります。

保険会社の健全性を示す財務指標を確認する必要がある

万が一の時に保険金が支払われない、あるいは保険会社が倒産するという事態は避けなければなりません。保険会社の支払い能力を示す「ソルベンシー・マージン比率」などの数値をチェックしましょう。一般的に200%を超えていれば健全とされますが、長期的な契約になるからこそ、信頼できる会社選びが重要です。

中小企業の経営者保険の税務|社長の生命保険料は経費になる?

経営者保険を検討する際、多くの経営者が最も重視するのは「節税効果」です。しかし、2019年の税制改正により、以前のような極端な節税は難しくなりました。

最高解約返戻率の区分で決まる損金算入の割合

現在のルールでは、解約時に返還される金銭の割合(最高解約返戻率)によって、経費にできる範囲が決まります。

最高解約返戻率税務上の取扱い(資産計上・損金算入の割合)
50%以下全額を経費(全額損金)に算入可能
50%超 70%以下保険期間の前半4割の期間において、保険料の40%を資産に計上し、残りの60%を経費にする。
70%超 85%以下保険期間の前半4割の期間において、保険料の60%を資産に計上し、残りの40%を経費にする。
85%超保険期間の当初から高い割合で資産計上が求められ、損金に算入できる金額は極めて限定的。

解約返戻率が高い商品ほど、支払っている期間の節税効果は低くなる仕組みになっています。

年換算30万円以下の保険料なら全額損金も可能

例外として、被保険者1人あたりの年換算保険料が30万円以下の定期保険などの場合、全額を経費として処理できる特例があります。

役員や従業員に少額の保障を準備する際には、このルールを活用すれば、事務処理も簡略化しながら効率的に福利厚生を整えられます。

中小企業の経営者の生命保険|保障額はいくら必要?

保障額を根拠なく設定するのはリスクが伴います保障が過剰であれば保険料の無駄が生じ、逆に不足していれば会社を維持できません。

法人の借入金完済に必要な具体的な資金額

会社が抱えている銀行融資などの負債を確認しましょう。社長がいなくなった後、銀行から一括返済を求められる事態も想定されます 借入金の総額と同程度の保障があれば、借金をゼロにして後継者に事業を継承し、再出発のハードルを大きく下げられます。

残された家族が現在の生活水準を維持するための費用

経営者の収入で家計を支えている場合、万が一の後に遺族が困らないだけの資金が必要です。自宅のローン、子どもの教育費、配偶者の生活費などを計算します。遺族の生活資金をカバーできるよう設計しておけば、個人で高い保険料を支払う必要がなくなります。

従業員の給与支払いを継続するための運転資金

社長不在の混乱期でも、従業員への給与やオフィスの家賃などの固定費は発生し続けます。新しい体制が整うまでの期間(例えば半年から1年程度)の運転資金を保険金で賄えるようにしておくと、従業員も安心して会社に残ってくれます。

中小企業の経営者保険の選び方で大切にしたい判断基準

失敗を防ぐには、自社の現状を客観的に分析する必要があります

保障の確保を優先する目的の明確化

「まずは会社を守る、借金を返せるようにする」ことが第一なら、掛け捨ての定期保険をベースにしましょう。保険料を抑えつつ、必要な数億円の保障を手に入れられます。当面のリスクヘッジを優先する段階では定期保険が有力な選択肢です。

将来の積立を重視する目的の明確化

「将来の退職金を確実に作りたい、キャッシュを社外に貯めたい」という目的が強いなら、終身保険や返戻率の高い定期保険が候補になります。この場合、支払えるキャッシュフローがあるか、出口でかかる税金をどう処理するかをセットで考えましょう。

自社のキャッシュフローに合わせた保険料設定

節税ばかりを追い求めて、月々の保険料支払いで資金繰りが苦しくなっては本末転倒です。利益が出ている時はいいですが、赤字の年でも払い続けられる金額に設定するか、あるいは払い込みを停止できる機能がある商品を選ぶなど、柔軟な設計が求められます。

中小企業の経営者保険で失敗しない選び方

富裕層や資産規模の大きい経営者が実践している、一歩進んだ選び方を紹介します。

インフレ局面における現金価値を守る外貨建て保険の検討

2026年現在、日本円だけの資産運用にはリスクが伴います。円安が進行する局面では、 保険金や解約返戻金を米ドルなどの外貨で受け取れる「外貨建て保険」が有効な選択肢です。将来、円安が進んだ場合に、受け取る金額の実質的な価値を守れます。

過去の節税スキーム(名義変更プランなど)の安易な実行を避ける

かつて、解約返戻金が低い時期に法人から個人へ保険を安価で譲渡し、税率差を利用して利益を得る「名義変更プラン」という手法が存在しました。しかし、2021年の国税庁の通達改正によりこの抜け道は完全に封じられており、現在同じことを行うと多額の追徴課税を受けるリスクがあります。

ネット上には古い情報が残っていることも多いため、過去の過度な節税スキームに飛びつかず、最新の税制に適合した正攻法を選ぶことが真の資産防衛につながります。

自社株評価が結果的に下がる?相続税評価の計算における保険の影響

非上場企業の株式(自社株)の評価額は、会社の純資産が多いほど高くなる傾向にあります。保険料による利益圧縮や、解約返戻金の受取時に合わせた退職金支払いで赤字を計上すれば、自社株評価が結果的に下がります。評価が下がった好機に事業承継や贈与を実行することで、贈与税や相続税の負担軽減につながります。

相続税の納税資金準備を意識した受取人の設定

相続が起きた際、最も困るのは「現金の不足」です。不動産や自社株ばかりで現金がないと、相続税が払えません。生命保険の受取人を適切に指定し、キャッシュを確実に確保する準備は、争族(相続トラブル)を避けるための必須項目です。

最新の税制改正を反映した専門家のシミュレーション

法人保険の税務扱いは、度重なる税制改正の影響を直接的に受けます。過去に推奨された税務対策が、現在の税法下では効果を失っている、あるいは否認リスクを抱えているケースは珍しくありません。最新の税制を熟知し、長期的なキャッシュフローを精緻にシミュレーションできる専門家との検討が、確実な資産防衛につながります。

中小企業の経営者保険を活用した資産防衛なら税理士法人ネイチャー

経営者保険は、単にパンフレットを見て決めるものではありません。法人の財務、個人の資産、将来の承継プランを緻密に組み合わせる必要があります。

税理士法人ネイチャーは、税務と投資の両面に精通した専門家集団として、多くのオーナー経営者の皆様に支持されてきました。

私たちは、特定の保険商品の販売が目的ではありません。お客様の「手残りの最大化」を実現するために、 税務調査でも否認されない、堅実かつ大胆な資産防衛プランをご提案します。

法人保険の見直しや、出口戦略の再構築、自社株対策でお悩みの方は、ぜひ一度無料相談にお申し込みください。複雑なシミュレーションも、わかりやすく丁寧にご説明します。

まとめ:中小企業の経営者保険で構築する強固な財務体質

中小企業の経営者保険は、万が一の保障、退職金の準備、そして高度な税務対策を同時に実現できる数少ない手段です。

  1. 目的(保障か積立か)を明確にする
  2. 最新の損金算入ルールを把握し、無理のないキャッシュフローで契約する
  3. 解約時の出口戦略(退職金などとの相殺)を加入時に決めておく
  4. インフレや事業承継まで見据えた、プロのアドバイスを受ける

4つのポイントを遵守すれば、 保険は会社にとって「守りの要」となります。会社に現金を残し、家族に安心を届け、次世代へ円滑にバトンを渡す。その第一歩として、まずは現状の把握をおすすめします。

専門的な知見が必要な際は、お気軽に弊社までご相談ください。

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