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企業版ふるさと納税とは?個人版との違いや節税効果と決算対策

Stacks of Japanese yen banknotes surrounding a green map of Japan, emphasizing money and geography.

会社の利益が順調に伸び、企業版ふるさと納税による税金対策を検討する経営者は少なくありません。しかし、法人の寄附制度は個人向けと仕組みが大きく異なります。企業版ふるさと納税は純粋な寄附であり、会社に手元資金を残す決算対策には不向きです。

この記事では、富裕層や企業の税務・資産運用を専門とする税理士法人ネイチャーが、企業版ふるさと納税の概要を解説します。

本記事を読むことで、資金が減少するリスクを回避し、確実に会社へ手元資金を残す決算対策を理解できます。無駄な支出を防ぎ、未来の資産を最大化するヒントになれば幸いです。

資産運用・富裕層

企業版ふるさと納税とは?

法人のふるさと納税制度が持つ基本的な仕組みと、法人が得られる税金面の恩恵について詳しく解説します。

地方創生を応援できる

内閣府が推進する自治体の地方創生プロジェクトに対し、法人が寄附を行う制度です。人口減少対策や地域活性化事業へ、企業が資金面から直接支援できます。純粋な社会貢献活動は、企業のブランド価値向上やSDGsへの取り組みを外部へアピールする機会につながります。

さらに、寄附を行った事実を自社のホームページやプレスリリースで公表すれば、企業の社会的責任を果たしている姿勢を広く周知が可能です。これにより、地域の自治体や住民との間に新たな関係性が生まれ、将来的なビジネスチャンスや認知度拡大といった間接的なメリットを期待する経営者もいます。

寄附額の最大約9割が税負担から軽減される

法人税などの税額控除と損金算入という処理を合わせれば、最大約9割の税負担が軽減される仕組みです。

損金算入とは、課税対象の利益を減らす税務上の処理です。この損金算入と税額控除を合わせるため、1,000万円の寄附で最大約900万円の法人税などが軽減されます。

通常の寄附金であれば、一定の限度額を超えた部分は損金に算入できず、税負担の軽減効果は限定的です。しかし、本制度を利用すれば通常の損金算入による軽減効果(約3割)に加え、さらに最大6割の税額控除が上乗せされるため、合計で約9割の税金が安くなります。

税務上の優遇幅としては大きい点が特徴です。ただし法人税分、法人事業税分など控除額にそれぞれ上限が設けられているので、ご留意ください。

企業版ふるさと納税の手続き方法

法人が実際に自治体へ寄附を行い、税金の控除を受けるまでの具体的な流れや注意点を解説します。

寄附先の自治体を選ぶ

国から認定を受けた「地域再生計画に位置付けられた地方創生事業(地方公共団体のプロジェクトリスト)」から、法人の理念に合う支援先を選びます。各自治体のホームページなどで募集要項を確認後、寄附を申し出る流れです。

対象プロジェクトは自然環境の保全から子育て支援まで幅広くあります。具体的には、過疎地域のインフラ整備、観光資源の発掘、伝統産業の育成など、各地域が抱える課題に応じた様々な事業が展開されています。

選定の際は、自社の事業内容と親和性がある分野や、将来的に進出を検討している地域のプロジェクトに絞ることで、寄附の意義をより高める戦略をとる法人も多いです。

申告して税額控除する

寄附先の自治体に寄附を申し込み、指定された方法で寄附金を払い込むと、自治体から受領証が発行されます。法人はその受領証を保管し、決算・申告の際に、法人税・法人住民税・法人事業税の申告において、損金算入および税額控除の手続きを行います。

税額控除を受けるためには、対象となる寄附であること、必要書類が整っていること、控除限度額の範囲内であることなどを確認する必要があります。正しい申告書式で処理しなければ、想定した税額控除を受けられない可能性があります。

特に決算直前に寄附を行う場合は注意が必要です。自治体側の受付、納付手続き、入金確認、受領証の発行に時間がかかることがあるため、当期中の寄附として処理したい場合は、払い込み期限や必要書類の提出期限を事前に自治体へ確認しておくことが重要です。

資産運用・富裕層

企業版ふるさと納税の上限額計算

寄附によって安くなる税金には、法律で定められた上限額があります。上限額の決まり方と計算の考え方を確認しましょう。

法人税等の税目ごとの控除枠を知る

税優遇の割合は税目ごとに上限があります。法人税や法人住民税、法人事業税からそれぞれ規定の枠内で控除し、合算で最大約9割の負担を軽減できます。会社の利益水準によって適用される割合が変わる点にご留意ください。

税目①控除内容②上限
法人住民税 寄附額の4割を税額控除 法人住民税法人税割額の20%が上限 
法人税 法人住民税で4割に達しない場合、その残額を控除 寄附額の1割、かつ法人税額の5%が上限 
法人事業税 寄附額の2割を税額控除 法人事業税額の20%が上限

上記①②のいずれか小さい方の金額で控除額が決まります。これに通常の損金算入による軽減効果、目安として約3割を合わせて、寄附額の最大約9割相当の税負担が軽減される仕組みです。 

法人住民税では、寄附額の4割を税額控除できます。ただし、法人住民税法人税割額の20%が上限です。法人住民税で寄附額の4割に達しない場合は、その不足分を法人税から控除できますが、法人税での控除は寄附額の1割、かつ法人税額の5%が上限です。さらに、法人事業税では寄附額の2割を税額控除できますが、法人事業税額の20%が上限となります。 

このように、複数の税目にそれぞれ控除限度額が設けられているため、実際にどの程度の税負担軽減を受けられるかは、法人の所得金額や各税目の税額によって異なります。 

自社の限度額を調べる

自社の限度額を正しく把握するには、決算時における利益の着地見込みを正確に算出する必要があります。

税額控除の上限を超えた部分については、想定していた追加的な税額控除を受けられず、実質負担が増える可能性があります。 無駄のない寄附額を設定するためには、事前に税額シミュレーションを行うことが重要です。 

売上高や経費が毎月大きく変動する企業の場合、決算の直前まで正確な税額枠を確定させることが困難です。過大に寄附を行うと、税額控除を十分に活用できず、財務負担が想定より大きくなるおそれがあります。寄附を行う前に、税理士などの専門家に相談し、控除限度額を確認しておくと安心です。 

企業版ふるさと納税の独自ルール

個人向け制度との違いを分かりやすく比較表で整理し、法人向けならではの厳格なルールを解説します。まずは以下の比較表をご覧ください。

企業版ふるさと納税個人版ふるさと納税
対象者青色申告書を提出している法人所得税を納めている個人
返礼品個人版のような返礼品は不可(感謝状などは可能性あり)地域特産品などを受け取れる
税軽減効果最大で寄附額の約9割寄附額から2,000円を引いた全額※一定の上限あり 
寄附先制限本社が所在する地方公共団体などは対象外制限なし(全国どこでも可能)

両制度は名称こそ類似するものの、法人の場合は返礼品を受け取れないなど明確な差異があります。詳細を見ていきましょう。

対象が法人に限定される

税制優遇を受ける大前提として、青色申告書を提出している法人である必要があります。青色申告とは、一定の水準で帳簿付けを行い、正しい申告をする法人のための制度です。日頃から適正な経理処理を行っていない法人は、税額控除の恩恵を受けられません。

白色申告を行っている法人は、たとえ高額な寄附を地方自治体に対して実行したとしても、本制度が定める最大9割の税額控除を利用することは不可能です。また、青色申告法人であっても、過去の帳簿書類に重大な不備や隠蔽がある場合は、後の税務調査で優遇措置の適用を取り消されるリスクもあるため、健全な財務基盤が運用の条件となります。

本社外の地域へ寄附する

企業版ふるさと納税では、法人の本社が所在する地方公共団体への寄附は税制優遇の対象外です。これは、企業の本社所在地以外の地域に資金を循環させ、地方創生を後押しする制度趣旨によるものです。

ここでいう本社とは、地方税法上の「主たる事務所又は事業所」を指します。そのため、登記上の所在地だけでなく、法人住民税・法人事業税の申告上、どこが主たる事務所又は事業所に当たるかを確認することが重要です。

また、制度対象外となる地方公共団体もあるため、寄附を行う前に、寄附先の自治体が企業版ふるさと納税の対象事業を有しているか、本社所在地ルールに抵触しないかを確認しておく必要があります。

企業版ふるさと納税はメリットが少ない?3つのデメリット

決算対策として導入を検討した際に、経営者にとって痛手となるデメリットを解説します。

  • 見返りの返礼品がない
  • 一時的に手元の資金が減少する
  • 本社所在地に寄付ができない

見返りの返礼品がない

法人向け制度では、寄附の見返りとして経済的利益を受け取ることが法律で禁じられています。個人向け制度にみられる、地域の特産品や宿泊券などの返礼品を受け取ることはできません 。経済的な見返りではなく、純粋な社会貢献活動として資金を拠出する仕組みと割り切る必要があります。

また、寄附と引き換えに自社製品を優先的に自治体へ納入してもらう、公共事業の入札で有利な扱いを受ける、といった便宜供与も認められません。 

そのため、寄附額に応じた直接的なリターンを会社に戻すことを期待して利用すると、制度趣旨と合わなくなります。 

一時的に手元の資金が減少する

企業版ふるさと納税では、税額控除と損金算入を合わせて、寄附額の最大約9割相当の税負担軽減を受けられます。しかし、裏を返せば、少なくとも寄附額の約1割は実質的な会社負担として残ります。 

例えば、1,000万円を寄附した場合、最大で約900万円の税負担軽減を受けられたとしても、約100万円は実質的な持ち出しとなります。また、法人税額や法人住民税、法人事業税の控除限度額によっては、軽減額が最大に達せず、実質負担が1割を超えることもあります。

そのため、資金繰りに余裕がない企業や、近い将来に設備投資・人材採用・借入返済などを予定している企業では、寄附によるキャッシュアウトが財務を圧迫しないか事前に確認する必要があります。  

本社所在地への寄附は税制優遇の対象外 

企業版ふるさと納税では、本社が所在する地方公共団体への寄附は税制優遇の対象外です。そのため、自社が日頃から関係を持つ地元自治体を応援したい場合でも、本社所在地に該当する自治体への寄附では、企業版ふるさと納税の税額控除を受けられません。 

例えば、創業の地や現在の本社オフィスがある自治体に寄附して地域貢献をアピールしたい場合でも、その自治体が本社所在地に当たる場合は、本制度による税制優遇は使えません。 

そのため、制度を活用する際は、自社の理念や事業内容と親和性のある本社所在地以外の自治体・プロジェクトを探す必要があります。寄附先との関係性や社会貢献のストーリーを作りにくい場合には、制度の利用価値を感じにくい企業もあります。 

企業版ふるさと納税に代わる節税・決算対策

手元資金を無駄に減らさず、将来に向けて会社に利益をストックするための具体的な代替策を解説します。

保険を活用する

保険を活用した利益対策は今も定番です。ただ税制改正後は、少し保険加入の方法や活用する保険商品の選定に工夫が必要になります。もし法人保険活用の現在地をお知りになりたい場合は、当グループの保険担当者からご説明をさせて頂きますので、ぜひご活用ください。

中小企業経営強化税制を活用する

中小企業経営強化税制は中小企業者が活用できる、決算対策のための強力な税制です。

具体的には事業に必要な固定資産を取得する場合に、本来は減価償却が必要なところを、本税制が適用出来れば投資額の100%を当期の経費として損金算入できる仕組みになっています。こちら自社の本業以外にも、新規事業に取り組む場合も適用できる場合がありますので、積極的に事業投資を行われる企業様では、今期の決算対策を副産物として余剰資金を新規事業に投下されるケースが多いです。

中小企業の方々が一般的にどのような新規事業に取り組み、本税制を活用しているかお知りになりたい方は、ぜひ当社担当との無料面談にお進みください。

企業版ふるさと納税のようにお金が減って終わるのではなく、投資した原資を着実に回収しながら次の利益の源泉を構築できるため、攻めの姿勢を崩さない決算対策として有効です。

役員退職金を準備する

将来の役員退職金を見据えて、法人向けの生命保険の活用も王道です。支払った保険料の一部を経費に算入しながら、将来の退職金原資を着実に積み立てます。長期視点で役員退職金の積み立ては、法人資産を守りながら経営者個人の老後資金を確保する堅実な手段です。

解約返戻金のピークを迎える時期に役員の退職時期を合わせることで、保険の解約によって発生する多額の利益と、退職金の支払いによる多額の経費を相殺させ、実質的な課税の繰り延べ効果が期待できます。

会社の大切な資金を税金として支払うことなく、経営者やその家族への確実な報酬として資産を移転できるため、一族の長期的な資産防衛において外せない方法です。

企業版ふるさと納税に代わる節税・決算対策は税務のプロに依頼しよう

自社に最適な対策を安全かつ確実に実行するために、高度な知識を持つ専門家を活用すべきです。

会社の財務状況や将来のビジョンによって、最適な手段は千差万別です。目先の法人税軽減にとどまらず、将来の親族間における相続まで見据えた設計が必要です。最適な資産防衛の提案には、専門家の知見が欠かせません。

税制は毎年改正され、要件が厳格化する傾向にあります。過去に有効だった手法が、最新の法律では否認されるリスクも常に隣り合わせです。最新の法改正情報を正確に把握している専門家と連携すれば、税務調査のリスクを抑えた安全な決算対策を徹底できます。

企業版ふるさと納税に代わる決算対策なら税理士法人ネイチャー

企業版のふるさと納税は、社会貢献の面では大変意義のある制度ですが、会社に資金を残すための決算対策としては不向きです。

手元資金を最大化し、次世代へ資産を安全に承継する本質的な決算対策をしましょう。税理士法人ネイチャーが最適なプランをご提案いたします。企業オーナーの皆様が抱える複雑な課題に対し、確かな実績に基づくオーダーメイドの資産防衛策をご提示しますのでご相談ください。

まとめ:企業版ふるさと納税とは何か理解して実施を検討しよう

企業版ふるさと納税の仕組みや、手元資金が減ってしまうデメリットについて解説しました。最大9割の税負担軽減は一見魅力的ですが、返礼品がなく実質的に手元の資金が減ってしまう点には十分な警戒が必要です。

会社の大切な資金を守り、確実に手元で増やすための代替策をお探しであれば、専門家の知見が欠かせません。最新の法改正情報や相続対策まで踏まえた、プロフェッショナルによる的確な提案が必要な方は、ぜひ税理士法人ネイチャーの無料相談をご活用ください。

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